レポート

バイエルン州立劇場・・・・セミオノワさんの「椿姫」その1

公開日 : 2015年03月27日
最終更新 :

 今回の弾丸旅行にあたり、一つ何とか実現しようと思っていたのが、ドイツのどこかでバレエを見ること、であった。20世紀にウィーンの楽友協会ホールにクラッシックを聞きに行ったことがあるが、この時は訳も分からず、とりあえず「有名なホールでクラッシックを聞きました。」というだけで、何も覚えてない。それに比べて、今回は東京の世界的にも目の肥えているうるさい客(?)(私もその一員と言うつもりはない。・・・念のため。)にもまれてきて、実戦経験も重ねたし、だいぶ違った形で「鑑賞」できるに違いない。昔と違って、ある程度は高い席、も買えるし・・・で、一カ月くらい前から、ネットで探し始めた。(ちなみに私は「国産バレエ+少し外国バレエ」派で、オペラは原則として観ない。・・・)

 まずは今回立ち寄る二つの街のBerlin Staatsballest、Bayern Staatsballet、なかったら、日本人ダンサーの多い、ハンブルクバレエか、あとはシュツットガルトバレエくらいか・・・・シュツットガルトはともかく、ハンブルクに行くのは弾丸には難しい・・・・。果たして都合のいいチケットがあるか・・・まずはベルリンを探したが、そもそも滞在期間にやってない。2011年に東京文化会館に来たセミオノワさん(バレエをあまり知らない人のために書くと、ユニクロのCMに出ていたバレリーナ、と言った方が分かりやすいかも。)率いるBerlin Staatsballestが私が観た初めての外国のバレエ団だったので思い入れもあるし、ベルリンでセミオノワさんを見たいと思っていたが、彼女はNYのABTに移籍したし・・・そもそもやってない以上、今回はだめみたい。
http://bbs.arukikata.co.jp/bbs/tree.php/id/603099/-/parent_contribution_id/394436/

 次に探したのが、Bayern Staatsballetである。これがミュンヘンのたった一泊のその日に運のいいことにバレエの公演がある。ジョン・ノイマイヤー版の「Die Kameliendame」とある。「カメリアの女」・・・さすがに「椿姫」という単語はすぐに浮かんだ。ただ、オペラの「椿姫」は有名だが、バレエの「椿姫」ってどんなのだったか・・・まあ、ノイマイヤーであれば、それはそれでおもしろいかも知れない・・・というか、弾丸には選択の余地はない。それで、踊るのはだれだろうと見てみると、主役の娼婦マルグリットはPolina Semionovaとなっている。

 最初、何かの間違いかと思って、もう一度綴りやらウエブサイトをよく見たが間違いない、あのセミオノワさんである。
https://www.staatsoper.de/infos-service/aktuelles/meldung/news/termine-polina-semionva.html?no_cache=1
 これはきっと神様の思し召しに違いない。(基本的には無神論者だけど、時々神の存在を信じることがある。)

 急いでチケットの空き席を確認すると、何とか前の方の席が残っている。・・・それからがもどかしいこと。バイエルン州立劇場に限らないが、この手のネットチケットボックスはまず、「登録」をしなければならない。ここは優しいサイトで、英語のサイトがあることもちろん、ドイツ外の居住者でも登録可能で、外国発行のクレジットカートも登録可能で、至れり尽くせり系である。で、チケットゲット。「rechts」の前から5列目。71.5ユーロというのは、東京で日本のバレエ団のS席で見るのと同じ値段だが、この組み合わせで東京で「来日公演」でもしたら、恐らく20000円近くになるので、半額くらいなのかなあ。チケットの入手手段は、郵送とチケットボックスでの引き換えとなっていて、これも悩まず、チケットボックスで引き換えを選択。予約・支払完了のメール(英語)の写しを持っていくことにした。

 ちなみにセミオノワさん、今でもABT所属でミュンヘンでゲストダンサーとして出演とのこと。
https://www.staatsoper.de/biographien/detail-seite/semionova-polina.html

名だたるバレエ団でのゲスト出演の中で、東京バレエ団でのゲスト出演もプロフィールに載せているので、東京も捨てたものじゃないのよ、と思うのは・・・・どうですかね。

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2件のコメント

  • Re: バイエルン州立劇場・・・・セミオノワさんの「椿姫」その1

    ドイツ旅行記シリーズ、ついにメインイベントのミュンヘンバレエのお話になり、わくわくしながら読ませていただきました!

    ポリーナ・セミオノアさんの長年のファンだった高島さんが、偶然『椿姫』の公演日にミュンヘンに居合わせたなんて、本当にラッキーでしたね。『椿姫』はマルグリットにオーラがなければ魅力半減の演目なので、ポリーナちゃんで観られて本当によかったと思います。アクロバティックでエロティックなパ・ド・ドゥ、想像するだけで興奮! 

    ミュンヘンはあまり興味がなかったけれど(ビール飲まないので・・・)、ミュンヘンバレエを観るために行こうかな!という気になりました。報告ありがとうございました!

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    Re:Re: バイエルン州立劇場・・・・セミオノワさんの「椿姫」その1

    ゼフィール西風さん、こんにちは。

     さすが、よくお分かりになってますね。・・・・心の中を見透かされた(?)ような・・・・実はおっしゃるとおり、その「エロティックなタンツェン」のところを本当は語りたいのですが、本題からずれる(?)ので、ぐっと我慢です。・・・・

     要はその1.チケットの取り方ときっかけ、その2.劇場への行き方と中の雰囲気、その3.始まってからの観客の雰囲気を伝えるのが目的です。この板でもクラッシックを聞きに欧州に行ってる人はたくさんいるみたいですが、中身の話でなく、器や劇場の環境の話をする人はあまり見ないので、分かる限り書いてみようと思いました。

     ミュンヘンのガイドブックを見ると、「周りの観客を見ながら拍手して、雰囲気を壊さないように気を付けよう。」みたいなことを平気で書いている本もあるのですけど、全く初めてクラッシックを聞きます、という人向けならともかく、東京のレベルを知ったうえで書いてるの?と聞きたくなります。でも、劇場そのものの雰囲気はやはり逆立ちしても東京の劇場では追いつかないですね。・・・そんな風に思いました。

  • バイエルン州立劇場・・・・セミオノワさんの「椿姫」その2

     当日はかのヴァイエンシュテファンで予想以上に時間を取られて、ミュンヘンHbfに着いたのが、15時頃。駅の北側の安宿街にチェックインして、かの19番トラムでNationaltherterに向かおうとしたところ、いきなり反対方向のトラムに駅前から乗ってしまった。右側通行を忘れていたというより、土地勘の問題である。Nationaltherterで降りると目の前が州立劇場だが、こんなに立派な建物だったか・・・進行方向に少し歩いて、劇場から道を隔てた隣の建物にチケットボックスがある。すいていて、メールのコピーを見せると、すぐに発券してくれた。セブンイレブンなんかよりも簡単かも知れない。・・・・この辺は20世紀と違い、ネットの力だよなあ。と改めて感心。その後、すでに16時を過ぎていて、どうかな、と思いつつ、レジデンツの入場口に行ったら、今日はおしまい、と言われた。これで数少ないミュンヘン市内観光の道は絶たれた。マリーエンプラッツで買物をすることにした。

    問題は劇場のルール、である。ウィーンとかミラノのオペラ座に比べればカジュアルな劇場、と聞くが、そうは言ってもどんなものか分からない。19時半開演なのだけど、まずは買物に行く前に劇場の正面と思われるところに行ったが、開いてない。東京の場合、建物の中のホワイエまでは、営業時間だといつでも入れるが、ここはそもそも建物自体が開いてない。18時15分頃行ってみたが、人はそこそこ集まってきているものの、やはり建物自体が開いてない。本当にこの入口でいいのか不安になってきた。ガラスばりのところから中をのぞくと、クロークがあって係員が揃っていて、準備万端という感じである。一時間前ちょうどにドアが開いた。

     すぐにチケットのチェックがある。半券式でなく、チケットの上を少し破る式である。まずはプログラムを買う。値段は忘れたが、東京より安いけど、そのぶん、チープなつくりである。内容は似たようなもので、やはり、ストーリーのところだけ英語があるが、他はドイツ語のみ。セミオノワさんの相手のアルマン役は、バイエルン州立バレエ団のプリンシパルのマーロン・ディノで、この人も東京に来ている。

     で、一番の問題の恰好だけど・・・結論としては、やはり、ジャケットくらいは着ていた方がいい、というのが正直なところ。男性の場合、スーツにネクタイの人が圧倒的に多い。ただ、月曜日の夜なので会社帰りだと、必然的にスーツになる。私も二月に赤坂のACTシアターに「スパムアロット」を見に行ったときは、平日だったのでスーツで行った。ACTシアターに、スーツで行ったのは初めてだったけど、やはりスーツ姿が多かった。モンティパイソンなのにスーツなの・・・というのと、同じ部分もあるが、どう考えてもリタイヤしているような人でも、スーツでピシッと決めている人が多かったので、席にも依るだろうが、前の方や桟敷席で観る場合は、ZARAかH&Mで調達した安物ジャケットでもいいから羽織っていた方がいい。私は結局、アウター(モンベル製・・・)はクロークに預けて、シャツ姿で観ることにした。

     館内では、「英語案内係」の人がうろうろしていて、わかんないことはこの人に聞けば問題ない。これはさすがだなあ、と感心。地下のビュッフェに行くと、まだ始まってなかったが、新国や東京文化会館と比べ二けたくらい大きくて立派(これは別途書く予定。)で、やっぱり違うなあ。意外だったのは、オペラグラスで観ている人がいなくて、貸出なんかもやってない。「オペラグラス」っていうくらいだから、これこそ西洋の道具ではないの?これは謎の一つである。

     ロビーのイスで待っていたが、今度は劇場のドアが開かない。東京の場合、切符を切ったらそのまま劇場内の自分のイスまで直行できるが、そもそも入れない。ドイツ語でも英語でもそのことを聞いてる人は案外いて、これは独自のルールなのか・・・結局、開演10分前にドアが開いた。

     すごい・・・きょろきょろとおのぼりさん状態である。この劇場は1963年に再建されているので、1961年に出来た東京文化会館より新しいくらいなのだけど、こういう内装は全く発想が違う。Bundesrepublikでも、きちんとロイヤルボックスもあるし、上層階の桟敷席もすごい。・・・また、演劇なんかにあるような花道みたいに出っ張った部分(何というのかよく知らないが)が両サイドにある。イスは普通。たまたま前の人が背の低い人だったので良かったが、傾斜があまりなく、案外観にくい構造である。観客は満員。月曜の19時半の公演でも満員なんだ、と思うと同時に、よくチケットが取れたものだ、と我ながら感心。これはセミオノワさんの人気なのか、そもそもこんなものなのか。・・・・

     

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    バイエルン州立劇場・・・・セミオノワさんの「椿姫」その3

     幕が上がるまで、本当にセミオノワさんが出てくるのか、まだ、疑心暗鬼であったが・・・幕が上がると・・・・しばらくして出てきた。彼女である。高級娼婦の役なのだが、踊り出して五分くらいで、もう娼婦っぽく(?)なってきた。(映画でも何でもそうだが、観だして五分くらいで感情移入できないと、多分、ずっとおもしろくないと思う。)で、今日の踊りは私の目で観てても、かなりいやらしい、・・・違った、すばらしい踊りだった。
    というのも、カーテンコールが4~5回あった上、普通は明りをつけて「カーテンコールは終わりだから、帰ってください。(この辺は東京と同じ。)」と促すのだけど、それでも拍手がやまないので、観客は全員たって帰りかけているのに、もう一度セミオノワさんが挨拶にでてきたくらい(こういうのは初めて見た)、であった。

     観客はどんなレベルか・・・なんていうのはおこがましいが、拍手のタイミングがいまいち、である。初めて外国(しかも本場で)で観るのにそんなことが分かるのか、と言われそうだが、パラパラ拍手が始まり、わーっと拍手になるパターンが多く、断言していいが、東京の客の方が、やはりきちんと分かっていると思う。東京と違うのは、足を鳴らす人が多くて、あれは東京では見たことがない。また、前にも書いたがオペラグラスを使っている人もいない。「ブラボー」という掛け声は何というのだろう、とこれが一番の興味であったが、やはり「ブラボー」であった。こういうのは仏語のままなのね。

     バレエ論を書く気はないのだけど、非常に現代的な演出で分かりやすい。特に良かったのは「rechts」の出っ張った部分で踊る場面が多く、これは「links」でなくて良かった。この時は10メートルくらいの近さでセミオノワさんを観られて、この点は東京の時よりはるかにすばらしい・・・・最初は緊張していたのだけど、途中からはやや興奮気味で、普通幕間にはあまりお酒を飲まないのだけど、ついついスパークリングワインを計三杯も飲んでしまった。また、このバレエ団全体が東京で観ているのとあまり違和感がなかったのは、一つは黒髪の背のそんなに高くないダンサーが多いせいで、北欧のバレエ団とかだったら雰囲気が違うのだろうか?

    あと、リフト(男性が女性を持ち上げる)が多い踊りで、セミオノワさん、170センチはあるので、ディノさんも大変だろうと思ったのと・・・やっぱり、彼女の踊りをあれだけ観られたのであれば、今日だけのために航空券代を出す価値があったと思うくらい、それは素敵な舞台でした。

     劇場を出たのが22時30分。できれば劇場の向かいのシュパーテンのレストランでご飯を食べたいと思っていたのだけど、そこまでお腹はすいてなくて断念。Hbfまで歩いて帰ることにした。

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