Re: スオミには湖沼、湖の国の意味もある

「スオミには湖沼、湖の国の意味もある」

というのは俗説だとフィンランド語の授業で習いましたが。

Suomiという名はHäme, Savoとともに昔のフィンランドの3部族のひとつで,現在のトゥルク周辺であるVarsinais-suomi(元スオミ)地方を中心としていました。ここはフィンランド本土で最も湖沼の少ない地域であり,「湖の国」とは言いにくいのではないかと思います。東南部の湖だらけの地域ならまだしも。また語尾の-miの説明がしにくいですね。

suo(沼)の他にもsuomu(鱗),suoda(与える)などを語源とする説もあったようです。まあフィンランド語はsuo-で始まる語は結構たくさんあります。

Suomiの語源は現在も明確には分かっていません。有力な説としては「地」を表す古バルト語の*zemēがあります。ノヴァヤゼムリャも同語源,またもうひとつの部族名Hämeもここから来ているらしいです。もうひとつの有力な説としては「民」を表す印欧語からの流入ということで,同語源としてリトアニア語のžmuõ,ラテン語のhomōがあるそうです。

なお,フィンランドでフィンランド語と対等の公用語であるスウェーデン語ではFinlandですから,「フィンランドは現地語でFinland」でもあります(毎度言ってしまいますが)。

参考:Nykysuomen Etymologinen Sanakirja (フィンランド語語源辞書)

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1件のコメント

  • たとえ俗説だったとしてもいいではありませんか

    >というのは俗説だとフィンランド語の授業で習いましたが。

    ひとりの先生が言っただけで俗説と断定しちゃうのですか。

    その先生だけ、もしくは一部の方々の説かも知れませんよ。

    無数の印刷物に載ってますよ。圧倒的に多くの。ネット辞書にも。

    私もそれを基に書いています。
    〇〇といわれているでいいではありませんか。

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    Re: たとえ俗説だったとしてもいいではありませんか

    suo語源説を信じていらっしゃるのか,俗説とお思いなのか判然としませんが…

    >ひとりの先生が言っただけで俗説と断定しちゃうのですか。

    いえいえ,当然1人でなく何人ものフィンランド語教師や研究者から聞きますし,それ「だけで断定」してもいません。まあフィンランドで学問的にフィンランド語を扱う人はだいたいそういった考えだと思います。

    >無数の印刷物に載ってますよ。圧倒的に多くの。ネット辞書にも。

    たとえばどのような?フィンランドのものでもありますか?

    >私もそれを基に書いています。

    信憑性のあるソースを基にですか?

    私が前回書いた説はたとえば

    https://www.tiede.fi/artikkeli/kysy/tiedetaanko_mista_nimi_suomi_on_peraisin

    で,同辞書の編纂者であるトゥルク大学のフィンランド語教授Kaisa Häkkinen氏の説明で

    Vanhoissa, esitieteellisissä selityksissä sitä on yritetty johtaa kielen omaperäisistä aineksista, esimerkiksi sanoista suo, suomu tai suoda.

    「昔の前科学的説明ではフィンランド語特有の単語,たとえばsuo, suomu, あるいはsuodaからの派生と考えようとした。」

    とされ,現在の説が紹介されています。Tiede誌ですから信憑性があると思っていいでしょう。

    もっと手軽にWikipediaのSuomiの項のNimiという,Suomiの語源はと考えればすぐに思いつくようなところにも同様の説が書かれています: https://fi.wikipedia.org/wiki/Suomi#Nimi

    日本語で検索したって,suo語源説は当てにならないと言っているページがヒットしますが,そういうものはお目に触れないのでしょうかねぇ。

    >〇〇といわれているでいいではありませんか。

    ええ,「スオミには湖沼、湖の国の意味もある」という断定でなく「といわれている」であれば,私が前回書いた内容はそれと相入れないわけでなく,「と言われている,けど科学的には~」と,補って楽しめることだと思います。