レポート

映画「サハラ」の無茶苦茶・・・・?

公開日 : 2005年06月25日
最終更新 :

 大好きなペネロペ・クルスが出るのと、米国での成績も悪くない。曰く「イン
ディ・ジョーンズと007を合わせたような感じで、シリーズ化したい。」との
ことだったので、ふーんと思いつつ見に行ったところ・・・。

 ストーリーはよくある「アフリカ冒険物」なので、ここでいろいろとは言い
ませんが、よくある「腐敗したアフリカ諸国の政府」の描き方がなかなか露骨。
実態は本当にこうなのかも知れませんが、ここまでやるとどうなんだろ。

 舞台はナイジェリアとマリなんですが、私のような「地球の歩き方・地理観」
というか「旅行人・地理観」を持っている人間には、

ナイジェリア・・・・観光資源は豊富なのだけど、とても旅行できるような国
ではなく、治安上も問題あり。現軍事政権は膨大な石油収
入を独占し、腐敗しきっている。(ただ、私は個人的には西
アフリカで最も行きたい国ではありますが)

マリ・・・・・・・・ドゴン、トンブクトゥなどがある観光にも向いている国で
         トアレグ族の問題などはあるが比較的治安もよく、安定して
         いる国。

と思っていたのですが、この映画はまずそこが違っていて、ナイジェリアは比
較的良い国、マリはクーデターで「大佐」が大統領を射殺し実権を握っている
国で入国するのは非常に危険、外国人も含め、出国もなかなか難しい・・・。
 以下は日本政府の見解ですが・・・。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/mali/data.html

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nigeria/data.html

とにかくマリ国内の描き方が、ここまでやっていいの?という違和感がつきまと
います。例えば「キリング・フィールド」のカンボジア(政府)、「ホテル・ルワ
ンダ」(未見ですが)のルワンダ(政府)のように、過去に実際ありました。という
ならともかく、今、現在が舞台でしょ?

別にマリ政府の肩を持つわけじゃないけれど、特にラストの戦闘シーンとその
決着の仕方というのは、マリ政府に対する侮辱・・・とまでは言わないけれど、
それはないんじゃないの。いくら何でも南北戦争の・・・これ以上はネタバレに
なるので書きませんが・・・・。

 ダーク・ピットと日本政府の解釈も違っていて、彼によると「(マリの)ガオか
らアルジェリア国境までは安全。」だけど、外務省の安全情報だと「マリ北部は
トアレグ族との戦闘があったりして危険」この辺は「現場」をどれだけ踏んでい
るかの違いですかね。

 しょせん米国映画なんだし、カリカリきても・・・と思いますが、昔、酷評さ
れた「コンゴ」(この手の映画の中では好きなんですが。)はこれもコンゴ政府
をむちゃくちゃに描いたものでしたが、その後の旧ザイール政府は映画を上回る
無茶苦茶さで「崩壊」していったので、もうちょいアフリカ諸国もしっかりと
「統治」しないと、いつまでたってもボロクソに描かれるぞという警告というべ
きでしょうか。

 クレジットを見ていると、主なロケ地はモロッコ。パンフは買わなかったので
詳細は分かりませんが、伝説(?)の「ザイール川下り」に次ぐ同じく
神聖な(?)「ニジェール川下り」をいとも簡単にスピードボートで行ったりする
シーンとか、とにかく、「見果てぬ西アフリカ旅行」を考えてる人間の神経を逆な
でする映画です。というか、変に思いいれがある私自身が年をとったのかなあ。

http://www.ambamali-jp.org/ja/j02-03.html

現政権もクーデタで出来てるのか・・・・・。

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6件のコメント

  • Re: 映画「サハラ」の無茶苦茶・・・・?

    今、アフリカのスレッドでネットサーフィンしてましたらまたまた、高島さんコメントに。面白く読ませていただきました。おっしゃるとおり、インディージョーンズに似た伝説の宝探しの映画。あまり現政府とかアフリカの政権とかに考えもしませんでした。ただファンタジーな異国を舞台とした娯楽映画として楽しみましたよ。高島さんと同じ世代でしょうか?ハワイはいかがですか?いろいろお話したくなりました。

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    Re: Re: 映画「サハラ」の無茶苦茶・・・・?

     shalina007さん、こんにちは。

    昔のスレへのレスで恐縮してます。

    が、このマリの話、事実の方が映画に追い付きました。・・・・

    「大佐」でなく「大尉」だったことが違うくらいで、軍事クーデターを起こしたものの、その後政権放棄・・・・まじめにやれよ。という感じですが、北部はアザワド戦線が独立を宣言・・・遺跡を壊す。と言ってるのは、別の勢力みたいですが、時間の問題でしょう。パーミヤンの大仏でも思いましたが、人間が作ったものを人間が壊すことについては、私はまあ仕方ないか・・・という主義なので、成り行きを見守るしかないですが・・・。昨日BSでやっていたナイジェリアの原油生産のレポートを見ると、やはり、同国は滅茶苦茶な国と思いますけどね。

     ハワイは「老後の楽しみ」として取っています。すみません。まだ一回も行ったことはありません。アルジェリアはいつか行きたいです。(春の前の)チュニジアには行ったことがあるのですが、アラビア語かフランス語がそこそこ出来ないと旅行は難しい・・・より観光ずれしていないアルジェリアはハードルが高そう・・・というのが実感でした。でも、いつか考えてみたい。と思っています。

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  • Sahara

    That movie was a real disappointment.

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  • クライブ・カッスラー氏=ダーク・ピット氏+α

    いや、このシリーズ物、好きで図書館で借りて読んでいるのですが、
    映画はイマイチなのか~。では、見るのは止めて、最新刊でも借りよう。

    ところで、著者のカッスラー氏は、ご自分の印税を使って、ミシシッピー川、
    カリブ海あたりの「宝船」探しをされる方だそうで、その短編は非常に
    面白かったです。

    特に、著書に色濃く反映されているのが、アメリカ人にとって最大最悪の
    記憶と言われる、「南北戦争」。南軍の旗が、キーポイントにされていたり、
    メイフラワー号はみっちり教え込まれていても、南北戦争は、からっきし
    知識が無いのだな、と思わされます。

    しかし、オトコのご都合主義、と思ったのは、独身主義を貫き通して
    きた筈のピットに、実は成人した双子がいた・・・という設定!
    こりゃ~、ちょっとやりすぎ、と思ったんだけど、これが最新刊の
    登場人物なんですよね・・・これぞ、アメリカ的、と思いました。

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    ダークピット

    平成14年12月の「マンハッタンを死守せよ」の最後で、23歳になった双子(息子と娘)が突然ピットの前に現れたのです。この双子が最新刊で活躍しています。

    親父ダーク・ピットも最新刊の最後で長年の恋人ローレンスミス下院議員と結婚したばかりでなく、所属組織の長官に就任する気配。このシリーズもそろそろ終わりかもしれません。

  • Re: 映画「サハラ」

    この映画は見ていません(ほとんど映画は見ません)が、原作はクライブ・カッスラーの「死のサハラを脱出せよ」です。

    ラジオの映画紹介で言っていたことですが、同じ彼の原作「タイタニックを引き揚げろ」が10数年前に映画化された時に、あまりにも原作からかけ離れた駄作だったので、カッスラーは”二度とこのダーク・ピットシリーズは映画化させない”と怒ったそうです。

    ところが、今回の映画のプロデューサーか誰かが断れない人だったので映画化を認めたそうです。これではまたカッスラーが怒りだしそうですね。

    私はこのカッスラーの大ファンで、20作を超えるシリーズを全部読んでいますが、小説判「死のサハラを脱出せよ」は私の中ではベスト3に入ります。

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    退会ユーザ @*******
    05/06/27 09:10

    Re^2: 映画「サハラ」

    こんにちはー

    全然10代じゃありませんけど(笑)、たまたま見てしまいました、『サハラ』
    そして私が行った映画館(日本国内)は、人数は多くなかったけどなんか客層はわりと高年齢(大人)でしたよ。

    内容ですが、原作を読んでいないのですが、たぶんエピソードがたくさんあって映画にまとめきれていないんじゃないかなーという感じ。
    むしろ、原作を読んでみたいなと思わせられる映画でございました。私にとっては・・・・。
    (原作者が満足するかどうかはギモン)

    しかし、映画にマリとか実在の国を出すときって、勝手に出してるんすかね、などと考えたりして(断り入れるといっても誰に入れるんだ・・・・)
    マリの実情は知らないのでなんともいえませんが、どこかの土地を、とんでもない時代錯誤な描写をする映画ってありますものね。
    (例:映画「アルマゲドン」の上海)

    昔はずいぶんソ連が悪役になってましたっけね。

  • サハラ=今のアメリカの心象風景

    Japanese stake houseが日本の食文化と何の関係もないのと同じ。
    映画は娯楽ビジネスであり何をどう撮ろうと儲かりゃ何だっていいんでしょう。
    あれを観るのはteenager達で、サハラの所在を訊いたところで
    知っているのは十人中三人もいないんんじゃなかろうか? 
    作るほうも観るほうも雑でガサツで無神経な連中です。 
    確かに、あれに限らずダシにされた立場は穏やかじゃないでしょうね。

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  • マリとナイジェリアの話題。

    高島さん、どーも。

    全く関係ない話なんですが。

    映画「サハラ」は、これは冒険活劇シリーズの一部だという
    記憶がありました。
    テレビコマーシャルを見ても、あんまり見に行きたいという気持ちにはなりませんね。

    昔、ナイジェリアに入って、ベナン、トーゴ、ガーナと西海岸の小国を移動してマリ、ダカール(セネガル)を抜けて、モロッコまで北上するという計画を立てて、ナイジェリア大使館にビザを取りに行ったことがありますが、いろいろあって、やめました。

    結局、ダカール往復で、バマコからトンブクトゥへは飛行機を使う楽なたびをしてしまいました(でも、帰りは砂漠を4WDで一晩かかりましたが…)。
      ↓
    http://worldtraveller.hp.infoseek.co.jp/africa/tombouctou.htm

    これも、アエロフロートが安い切符を出していた時期です。
    今となったら、金も時間もかかるので、いく気持ちはないですね。

    アフリカの治安はますます悪化していますし、ぼくはもう、アフリカには足を踏み入れないでしょう。

    みど

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