ロレート、不信と後悔のバス停・・・

イタリアのバスは難しいという話です。

先ほどレカナーティからアンコーナ行きのバスに乗って降車したバス停(Aとする)。ここから3時のバスに乗るつもり。バス停のすぐ後ろにあるタバッキ兼バールに入って、ふと「ロレート行きのバス停はこれよね?」と尋ねるとバール兄ちゃんが「違う。あっちだ」とここから脇道に入ったあたりを指す。脇道のバス停をBとする。
そんなはずないが???と、また別の人に尋ねると私が降りた方のバス停Aを教えてくれた。
2対1、何よりも私にはAでアンコーナ行きのバス停を降りたという揺るぎない実績がある!3時前からバス停Aで待機していたら目の前に忽然とバスが現れ去って行った・・驚く私に近くにいた暇オヤジが「アンコーナ行きだよ。バス停はあっち」とBを示す。

次のバスは4時。バス停Bの後ろのインテリアショップの人に尋ねると「多分ここだよ」斜め後ろの花屋のシニョーラは「バス停はここよ」。
どうして私はさっきバス停Aで降りたんだろう?運転手さんが脇道に入るのを面倒がったとか?そんなはずないけどイタリアだからな・・
4時前からバス停Bにいた私の目の前で、バス停Aを通り過ぎたアンコーナ行きのバスが加速して行くのが見えました。

私は本当に何が何だかわからなくなりました〜〜・・我をはってバス停Aで待てばバスはBに止まり、素直にBで待てばAに止まるバス。これは聖なる家を軽くみた不信の徒への天罰なのでしょうか。
次のバスは5時です。時節柄薄暗くなってきます。いいトシをして泣きたくなります。
郵便配達の人が通りかかったので「町の事情に詳しいはずだ」と思い尋ねることに。私はカタコトをゆっくりと喋るだけなので、面倒だと逃げられては大変ですから袖をぐわしと掴んで「とてもとてもバスを待っている。どうしてバスは来ない?3時のバスも4時のバスも行っちゃった。私はどうすればいい?」
・・おばさんに袖を掴まれ泣きそうな形相で怪しいイタリア語で迫られた郵便配達人は気の毒であったが、彼はどうやら正解らしきものを教えてくれました。

曰くーー3時のバスはバス停B、4時のバスはバス停Aに来る。だからここにいれば5時のバスは来るよ。
マジかっ!?!?
そのような注意書きなんてどこにもないのに?どうやってバスに乗る人はその仕組みを知るっていうの?これはロレートの常識なの?
というようなことをイタリア語にする能力はないので、「本当ね、5時のバスはここね」と念をおして彼を解放した。
しかし私は不信の徒、最初に尋ねたバールのお兄ちゃんにも確認することにしました。ノート片手に聞くとやはり郵便配達人と同じ答えでした。

・・・最初に彼のいう通りにしていれば3時のバスに乗れて、私はもう今頃ホテルでダラダラしてたんだなぁと思うと後悔後悔。
日暮れて寒くもなった中、改めてバス停Bに戻ります。そうすると別のバスが止まっていてここで折り返し運転をするらしい。乗りたいバスではないけれど念のためにアンコーナに行くか尋ねると「カブール広場が終点だよ」と。おぉ、5時のバスを待たずにすむ=3
でも「アンコーナのカブール広場だよね」とさらに念を押しました。イエス様の傷に指をグリグリ突っ込んだトマスも褒めてくれる用心深さです。
運転手さんが「5時のバスを待ってもいいけど寒いだろう。バスは暖かいよ。まずポルト・レカナーティに出て海沿いを走って、また山の中に行って、そしてカブール広場だ」とルートを教えてくれました。往路と違う道なのは楽しそうです。
買っておいた切符で乗れました。

というわけで無事にアンコーナに戻りましたが、5時のバスがちゃんとバス停Bに止まったかどうかは確認していないのです。
今では笑えるお気に入りの出来事になりました。が、そもそも最初に尋ねた時にバールのお兄ちゃんに「でも私はさっきロレート行きのバスをここで降りたのよ。」とでも言って事情を聞き出す語学力があれば、こんなことには・・・

恥を忍んで(今更?)書きますが、実はロレートから20分も歩けば鉄道のロレート駅に出られます。そこから電車に乗れば20分でアンコーナ駅に着く、そして電車の本数はバスより多いです。
これ、事前に検討したことがあったのにどうしてあの場でチラリとも思い出さなかったのか〜〜。

どうも失敗続きの遠足でした。

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1件のコメント

  • 退会ユーザ @*******
    17/12/08 01:58

    嗚呼、いかにもイタリアな話です

    読みながら大受けしましたし、あるある~とものすごくうなずいておりました。
    イタリアの地方を周遊する人ならば誰しも何度となく見舞われる事態ではないでしょうか。
    それにしてもバスが停まる場所が毎時変わるとは誰が予測できるでしょうかっ?!
    新たにイタリア信じられない話トピを立てなくても、もうここで十分なネタを拝見できました。はああ~、これだからイタリアは・・面白すぎです。
    そうでした、鉄道。私も初めは調べたことがあったのについ楽な方を選んでバスで往復したのでした。しかし自分は上手く乗れて良かった・・。

    イタリアを旅していると、他の国よりも待ち時間が何でも異様に多くなりますよね。バスを待つ時間、鉄道を待つ時間、何かの窓口や入り口が開くのを待つ時間・・もう慣れてしまいましたが、何事も機能的にいかないのが困ったものです。

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