レカナーティとロレート、初めての町は時間配分が難しい

アンコーナからバスで日帰り遠足に。

ロレートは、イエスや聖母マリアが暮らしていた家を13世紀頃に天使がエッサホイサとこの地に運んできたとされ、その家(サンタ・カーザ)をまつる大聖堂が建立されました。今も重要な巡礼地とされているそう。
信仰はないが、この聖堂にはシニョレッリ手がけた天井画があると言うし、各国から寄進された各礼拝堂の装飾にその国らしさがあって面白いという話を見たことがあった。何よりもカラヴァッジョの傑作「ロレートの聖母」のロレートなわけでアンコーナからは行きやすいので一度行ってみたいと思っていました。

行き方を調べるとアンコーナからロレートへ行くバスの終点がレカナーティ。
レカナーティにはロレンツォ・ロットの風変わりにして魅力的な「受胎告知」があります。
そこで朝アンコーナからレカナーティに行き、受胎告知だけ見て戻りのバスに乗ってロレートで下車、ロレート観光の後またバスに乗ってアンコーナに戻るという我ながら完璧な計画を立てました。

アンコーナのバス発着所はカブール広場。海を背中に広場を突っ切って右側の小屋(新聞などを売るエディーコラ)で切符を買い、左手の小道沿いにバス停がある。
切符は前日の街歩きの時に抜かりなく3枚購入しておきました。イタリアでは切符を買うのに苦労することがあるので予め買えるものは買っておく・・
朝9時前にアンコーナ発、レカナーティ10:30着

レカナーティはロットの「受胎告知」だけ見ればいいと思っていたのに、思ってた以上にとてもいい町だった。丘の上にある薄灰茶色の町で、中世の頃の建物を中心に町並みにゆるい統一感があって生活感や活気もある。のぞいて見たい教会も多く、町の中心の広場にたつ塔は登れると知ったら登りたくなり、感じのいいお店で食事もしたくなり・・要するに「ロレートやめちゃうか」と迷ってきた。
どうしようどうしようと逡巡しながらウロウロし、でも結局は昼のバスでロレートには行くことにしました。

レカナーティからロレートまではバスで15分ほど。ロレートの大聖堂は昼休みを取らないのでバスを降りてそのまま聖域に入って大聖堂へ。参道?を進んで行くのだが、11月だからか金曜日だからか時間のせいか、とにかく人が少なくてひっそりしている。お土産屋さんはお昼休みを取るところ多し。
なんだか巡礼の気配も感じられない?
立派な大聖堂も聖なる家も信仰を持たない身には、あまりピンと来なかった。1時間ほどで大聖堂を出て「もっとレカナーティにいればよかった!!」となる。なんだかロレートにそれ以上いる気分ではなく、3時から開く美術館もパスしてアンコーナにさっさと戻ることにしました。「失敗したな」と後悔しながらバス停に戻ります。

好みですが、私はロレートはもう行かなくていいけれど、レカナーティには晴れた日にぜひもう一度行って塔に上りたい、もう一度ロットの絵を見て、散歩して食事をしたいと思ってます。小さな町が好きな方にオススメしたいです。

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1件のコメント

  • 退会ユーザ @*******
    17/12/08 01:48

    レカナーティというとジャコモ・レオパルディの都市ですね

    cokemomoさま、こんばんは

    熱の入った旅のレポート、楽しく拝読しております。
    私はレカナーティは実はまだ行っておりません。ポルト・レカナーティも通っただけなのです。
    でもレポートを拝読して俄然行きたくなりました。次回のマルケ行きの際には絶対寄ります!
    私にとってレカナーティとはイタリア文学のレオパルディの生誕地です。彼の詩は私には難解で何のこっちゃ、なのですが・・。彼の生涯を描いた映画を昨年だったかに見ましたが、ここでロケしたようで、きれいな町並みが印象に残りました。

    (脱線ですが、今頃ですけどイタリア文学の世界に足を踏み入れまして、ダンテの神曲やらペトラルカやらを読んでいます。夏頃にソース野郎に、俗語なんてお前読めるのかよ?と言われたのが頭にきて読み始めたのですが、ダンテの美しい文体や巧妙な押韻にはまってしまいました。
    俗語って、ラテン語に比しての当時のイタリア語のことなのに、そんなことも知らずに非難するなんて、それこそ知ったかぶりだし無教養ですよね。さすがイタリア語の祖トスカーナの言葉、すらすらとは言えないまでもかなり読めます。)

    さてさて、ロットの絵って、ひょっとして猫ちゃんが走っている絵ではないでしょうか。これなら見たい!レカナーティにあることを知りませんでした。行かなくては。

    ロレートは私は気に入ったのですが、それでも信仰心篤い信者向きのところだなと思いました。私も再訪はないと思います。私はこの帰り、すぐ近くのカステルフィダルドという小さな村が気になってバスを降りて1時間ほど歩いてみました。こんなところに来た日本人なんて自分だけだろうなんて思っていたら、後で知ったことですが、アコーディオニストのコバさんがここに留学されていたそうで今は名誉市民でいらっしゃるとか。いやはや、お見それしました失礼しましたという感じです。

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    Nel mezzo del cammin di アンコーナ行きのバス停

    Sabinaさん、こんばんは。
    楽しんで読んでいただいているようでとても嬉しいです。

    レカナーティにあるロットの受胎告知は、そう、それです!猫は走りガブリエルは妙に腕が太く「あらまあ困るでち」の聖母の。この絵は美術館でも特別に一室に一枚だけ展示されていました。額に入ってないのが新鮮でした。
    レオパルディのことは観光インフォのお姉さんが教えてくれたのですが、知らないので反応できず申し訳ない状態でした。

    カステルフィダルドってアコーデイォン製造で有名だとさっき知りました。
    ところで頭に玉ねぎを乗せた鐘楼が見える街が気になってバスの窓から撮った写真があるのですが、それがカステルフィダルドだったようです。私も降りてみればよかった〜〜。ってアンコーナ行きのバス停に迷ってそんな余裕はなかっただろう。
    まだ「道中気になった場所に降りてみる」をしたことがないのです。もっとイタリアに慣れたらぜひやってみようと思います。

    ダンテにペトラルカと聞きますと・・タイトルをご覧になって「あれ!?」と思われたでしょうか。実は私も〜と続けられたらカッコイイのですが。
    今NHKのラジオ講座応用編が「原文で読む古典の楽しみ」ダンテ、ペトラルカ、ボッカッチョ・・・ 黎明期からルネサンスのイタリアの古典文学を原文で読み、その言葉の響きやリズムを楽しむ〜というプログラムなのです。ま、正直私は入門編レベルなので分かりはしないんですが、作品や作者をめぐるエピソードは日本語なのでそちらを楽しんでます。
    神曲の回の時に講師の人がこのフレーズをあんまり連呼したので耳に残った次第です。
    原語で読めるなんてすごいし楽しいでしょうね。

    あのソースについては、しつこくくどいし独りよがりで料理を台無しにすることが多いので使いたくないですわ。
    私は一度フィレンツェのトピでトピ主さんにジェラテリアを一軒オススメしたら「冬にジェラート、季節を考えろバーカ」みたいなレスをつけられたことがあります。「ケッ」て感じ。
    今回も寒い中しっかりジェラート食べてきました。ミラノのチョコラーティイタリアーニというお店のものが気に入って・・思い出したらまた食べたくなってしまった。