17/08/23 08:11

8)潮汐発電所見学

ブルターニュ地方のサン・マロ St Malo と、西隣のla Richardais という町との間にランス川(la Rance)という川が流れていて、河口部分に潮汐発電所(仏語では L'usine marémotrice という)が設けられている。

St Malo 駅から潮汐発電所まで約7km、すぐ近くを通るバスはなく、バスにした場合は降りてから4kmほど徒歩になるのでバスはやめて、駅前の客待ちタクシーに、潮汐発電所まで行きたいというと、OKしてくれた。
帰りは、時間を決めて迎えに来るのか、再度呼ぶのか尋ねると、どれくらいそこにいるのかと聞くので、1時間半ぐらいだというと、タクシーの電話番号名刺を渡すので、帰るときに電話して欲しいという。

駅前からタクシーは10分程度で着いた。料金は15eurosで、だいたい想定される金額である。

川をせき止めて、せき止めた堤防内にスクリューを多数並べ潮汐を利用して電気を発電する。スクリューは水の中なので、川岸や堤防上からは見ることは出来ない。堤防は橋としても機能していて、上部はSt Malo とla Richardaisをつなぐ橋の役目をしている。橋としての長さは600mぐらいである。
堤防の西の端(la Richardais町側)にミュージアムがある。見学は無料だった。
小学生ぐらいの遠足の一団が見学に来ていた。

内部には発電機構造の実物大模型が展示されている。
スクリューは直径3mぐらいで、中心にある芯部分は直径1mほどあり、その中に発電機が設置されている。
堤防内部の全体構造は、模型や映像で見学する。
堤防内部の水が通る部分は、スクリュー(発電機のある部分)に向かってノズルのように絞られ、水流を加速するようになっている。水の流れは、満ちてくるときと引くときは反対方向なので、スクリューのプロペラの向きが芯に対して角度を変えて、最も効率がよいように角度を変化させる構造になっている。
このような発電機単位が川幅いっぱいに24個並べて設置されている。

ミュージアムの廊下の一部から、発電所として使われている堤防(橋)の内部の空間が少し見える。その場所はスクリューや発電機を修理するとき、水中から引き上げて修理する場所のようだ。各発電機単位の上にあり、全部つながって幅広の廊下のような感じだった。修理機械らしいものが少し見える程度で、全容は見えない。

川に堰のようなものを設置すると、生物相が変化し、環境によくないと言うことがあり、電力会社ではこの川の環境の維持に勤めている様子などの展示もあった。環境団体の活動などへの対応だろう。

見学が終わったのでタクシー会社に電話して迎えに来てくれるように頼んだ。10分ぐらいかかって来ると言うので、駐車場で待つことを伝えて待つ。帰りの料金は21eurosだった。駅前でタクシーを拾って来たときより6euros高くなった。差の6eurosは迎車の時メーターを入れてくるので、迎車料金と言うことになる。(フランスではそのような習慣なので致し方ない。)

戻ってから、ここの発電所の出力を調べると、定格出力240MWとなっていた。この大きさは、例えば日本の原子力発電所一基と比べてどの程度だろうか。日本の原子力発電所の平均的な発電能力は、1基110万kWとなっている。単位が違うので換算すると、1,100MWにあたる。そうすると、フランスの潮汐発電所は日本の平均的な原子力発電所の約5分の一程度の出力ということになる。(正確には21.8%)
土木工事の規模は大きいが、一カ所でこの程度出れば、なかなかがんばっているといえるようだ。

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1件のコメント

  • 17/08/30 18:48

    ここは有名ですね

    私も地理教諭の義理兄にせがまれて車で行った事があります。
    カンカルの牡蠣やモンサンミッシェルもそうですが潮の満ち引き差は半端ないですね。
    フランスと言うと原発のイメージが強いですが他の方法も色々試した上での選択と言う事で説得力はありそうです。周りのフランス人に聞いても「仕方ない」と言いますし、原発見学会に参加した事もありますが同様の印象を受けました(怖いのは事故ではなくテロリストによる原発攻撃)。
    その横にある跳ね上げ式の橋が船が通るタイミングでしばらく通行止めになり参りました。

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    17/08/31 23:00

    tesla さん

    こんにちは

    レスありがとうございます。

    潮汐発電所というものは日本で営業運転しているところはなさそうで、潮汐発電所というもの自体、あまり知られていないようです。
    フランスでは、学校の見学が来ていたりするので、国民にはよく知られているのだろうと思います。

    見たところ、潮の満ち引きの高低差だけではなく、湾の様になっていて満ちたとき上がってきた海水がある程度蓄えられて、引くとき水量が望める地形の所じゃないと、立地は難しそうで、ここの河口は奥の方まで広く、適していた場所なのだろうと思います。

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