井の中の蛙 つられました。 >何故、これほど国民意識が違うのか、不思議です。日本で学生が政治的に >立ち上げるということは将来にわたって二度とないような気がします。 タイトルは飛躍していると思われるかもしれませんが、フランス人の「国民の意識」という点について考えてみました。 勿論、あくまで、米英仏人と仕事をしてきたとは言え、根っからの日本人である者の価値観からの見方ではありますが。 まずは「周囲(世界)を見ようとしているか」という点。 所詮日本に住む日本人やアメリカに住むアメリカ人も井の中の蛙かもしれませんが、前者がより世界に目を向けているところと、後者が世界の標準となっているところが、フランスに住むフランス人と違うところだと思います。 最近フランスで「何故フランス人は世界から嫌われるのか」という論調の書籍が幾つか出版されているように、オリンピック開催地投票敗退などをきっかけとして、漸く蛙が大海の中の自分の位置を知りつつあると思っていましたが、こんな記事がありました。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060325-00000022-mai-int まあ、民間はもう少しマシということなんでしょうが。 フランス人の海外生活支援会社のTVCFでは、ニュース番組風にアナウンサーがまじめくさった表情と口調で「世界人口の97%はフランス語を話しません」と述べ、社名のクレジットが出るまで少し間が空きます。 次に「どの範囲」での繁栄を見ているかという点。 CPE反対デモに反対するデモもあるように、また、デモに参加しない学生の「英米では、解雇はもっと容易なのに、失業率はフランスの半分だ」という発言を聞き、まともな感覚の人たちも少なくないとは思います。この国の将来を、政治的・社会的駆引きや野心からではなく、本心から憂えている人もいるようです。 が、残念ながら、殆どの国民は、フランスレベルでの繁栄はおろか、個人の繁栄しか見ていないようです。それに政治も擦り寄っている。 一国の首相が一民間企業のリストラ策に異を唱えたり、 EU統合の推進者であったはずなのに、自国企業が敵対的買収に晒されるとなりふり構わず政府主導の企業統合が行われたり、 国営企業が民営化に反対して数ヶ月に亘りストをしたり、 閉鎖される工場の従業員が経営者を軟禁して退職金の終わりなき上積みを要求したり、 失業者へのクリスマス特別支給金が前年より減額されたからといって社会保険事務所を襲撃したり、 カリフラワー価格が暴落したため政府補助金を要求する示威行動で国鉄駅の通信回線をズタズタに引き裂いて機能停止にしたり、 スペインから輸入される魚介類に職が脅かされる漁師が役所を焼き討ちにしたり、 ・・・ パトロン(政府や企業経営者)から毟り取れるだけむしりとるという狭窄な視野。それによって国家や企業の屋台骨が傾いても我関せず。企業は防衛のため、国外での利潤追求に血眼になる。フランス企業の好業績は国外における業務で成り立っています。 相変わらず、隠れた奴隷性も残っていて、行き着くところは「自分さえ良ければそれでよい」という考え方。うまくオブラートに包みながら、透けて見えてしまう底の浅さ。 日本の将来も暗いと思いますが、フランスも然り。こういう意識・態度の国が生き残っていけるとは思えない。 交通網の混乱で思い出されるのが、1995年の一ヶ月弱に及ぶゼネスト。 それと同じ規模のものをやったとしたら、世の中から見放されるかもしれませんね。