17/01/14 22:50

6)Vaubanの要塞(2) Belfort(ベルフォール)の要塞

Belfortはフランス東部のブザンソンとミュルーズの中間ぐらいの所にある。この地はドイツからアルザスを経由してフランス中部(ブルゴーニュ地方、ローヌ・アルプ地方)に至るには、地形的にここを通るしかなく(山脈の間の回廊を通る)、ルイ14世の時代に要塞建設の天才、ヴォーバンに命じてヌフ・ブリザック、ベルフォール、ブザンソンと3カ所の要塞を順に並べて回廊を守るべく建設し、東方面の備えとしたものである。

建設から約180年後の1870年にドイツ(プロイセン)との普仏戦争が起こった。
プロイセン軍のうち仏中部を目指した部隊はヌフ・ブリザックの要塞を包囲して大砲を雨あられと撃ち込み、仏側は兵士と市民の損害が大きくなったため、この要塞は早い時期に降伏し開城した。続いて、ベルフォールに迫り、攻め立てたがここの要塞は陥落せず、フランス中部を目指したドイツ軍はここで足止めされ戦争終結を迎えた。(一方、ドイツの主力部隊はヴォージュ山脈の北側を進み、仏軍は連敗してパリを包囲され、仏側の敗北が決まった。)
この要塞は、平地に建設されたヌフ・ブリザックとはどんな違いがあり、なぜ持ちこたえたのか、興味があったので、見に行くことにした。

ベルフォールの国鉄駅から町の中を歩いて要塞に向かう。要塞の正面は30mぐらいの切り立った岩で、ジグザグに登っていくと正面入り口に着く。入り口は入り組んだ構造になっているので、また、下からは見上げる位置関係で、この正面を大砲で攻略することは不可能だろう。(当時の大砲は、下からと上からの砲撃戦では圧倒的に上から撃つ方が有利だった。)
要塞の後ろ側に回ると、この丘の後の方は緩やかな傾斜で、何重にも星形に稜が設けられ、防御構造となっている。この何重にも設けられた防御稜を突破するのもまた難しそうだ。 ヌフ・ブリザックを攻略したように、遠距離から大砲を撃ち込むしかなさそうだ。

ここの見学はガイド付きのツアーはなく、オーディオガイドを借りて音声案内で順に内部の見学をするようになっていた。番号に従って内部に誘導される。内部は地下の通路やホールのようなものが建設され、見学コース以外は格子の扉があちこちにはまっていて、複雑に分岐し、見学コース以外に広大な空間があることを予感させてはいたが、分岐地下壕は見学外で、全容を見ることは出来なかった。感じとしては、ここの見学の前に見に行ったボルドーの近くのブライ(Blaye)の要塞と地下構造は似ているようだった。

推定するに、次々落下する砲弾に耐えるには、地下にいかに多数の兵士を保有できるかが分かれ目になったようだ。

  • いいね! 0
  • コメント 0件

0件のコメント