チップの話

国によって様々な習慣がありますから、私がお話しさせていただくのはイギリスでのことです。
たんたんたぬきさんのご指摘どおり、これは値上げという感覚に近いです。
ピローチップは室内係の人達が収入源としてあてにしているものです。
ホテルが室内係の人を雇うときに、チップとしてどれくらいの収入が入るのかを(ちょっと水増しして)雇います。
この数字は当然ホテル代として表には出ませんから経営側は安い値段のままで部屋を提供、雇用ができるわけです。雇用されている側でも、所得税を払うよりはチップの一部だけを申告して税金による目減りをちょっとでも減らそうとしています。
まじめな日本の人からみれば理不尽にうつるかもしれませんが、これが事実です。
ガイドや運転手、ウエイターやウエイトレス、皆そうです。
イギリスのレストランでは12.5%から15%ぐらいがチップの平均額で、最近は会計に組み込まれていることも少なくありません。
サーヴィスが本当に悪い場合はこれを払わないことも可能ですが、通常は払うことを前提にしています。
私はそういったことを踏まえて、価格操作のできる人たちにはチップは払いません。
例えば家族経営の小さなレストランやホテルで他人を使っていない場所ではどんなにサーヴィスがよくても、サーヴィス料というのはちょっと違う、と思うからです。
その代わり、他の人たちにいい場所お見つけたよって情報を流してあげるようにしています。
ガイドの仕事をしていると、エージェントからの仕事はチップ込み・チップなしとINFOが入っています。なしの場合はお客様にどうやって伝えようかと散々悩みます。
言い方によっては「ぼられた、ふっかけられた」と誤解されかねません。
特定の国籍の人たちがチップに対する考え方というのがもちろんあって、興味深いです。
私は日本人しか相手にしていないので運転手たちから聴く話しをもとにしていますが、彼らが一番嫌いな仕事は、
1、オーストラリア人(決してチップを払わない)
2、イスラエル人(人間扱いしてもらえない)
3、フランス人の子供(食べ散らかすので、後片付けが大変)

逆に人気のあるのは
1、アメリカ人(チップをちゃんとくれるから)
2、日本人(時間通りに戻ってくるから)

ちなみに日本食のレストランで客の殆どが日本人の場合はウエイターやウエイトレスが長くいつかない場合が多いようです。
理由を聞いてみると、やはりチップが原因のひとつのようです。

まあ、払いたくないという人は法律ではありませんのでご安心ください。
ただイギリスでは期待はされているというだけのことです。
日本では仲居さんへの心づけは最初、こちらの人は楽観的なのかサーヴィスの後です。最近は仲居さんにはいくらくらい払うんでしょう?
子供の頃に、旅館などに泊まったら父がのし袋に5千円前後入れていたようなおぼろげな記憶があります。20年以上前ですからきっと変わっているでしょうね。
それに比べたらイギリスの1ポンドのピローチップは僅かだと思いますが・・・。
ふと、あることを思い出しました。
今はもう使われていませんがイギリスに昔、ギニーという単位がありました。
20シリングで1ポンド、21シリングで1ギニーでした。
お医者様や先生なんかに支払いをするときにはポンドではなくギニーで支払ったそうです。
別にチップを渡すことが失礼になるかもしれないということで、通貨までこんなに気を使ってすごいな、と思いました。

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3件のコメント

  • Re: チップの話

    英国の貴重な情報ありがとうございます。チップについてのレスには、根拠薄弱一方的な意見を感情的に押し付けるようなものを多く見かけますが、珍しく勉強になったレスでした。
    このレスに対する感想質問等をのべておきます。

    「まじめな日本の人からみれば理不尽にうつるかもしれませんが、」
    日本人だけでなくほとんどの人がちょっと考えればおかしいと思いますが
    「最近は会計に組み込まれていることも少なくありません。
    サーヴィスが本当に悪い場合はこれを払わないことも可能ですが、」
    いわゆるサービス料として請求されることもある、ということですか。普通サービス利用として請求されたものについては払わないことができないというように思いますが。もちろんサービスが非常に悪い場合別途クレームを申し出て何がしかのお詫び料をとるということはありえると思っていますが
    「価格操作のできる人たちにはチップは払いません」経営者とか上級管理職にチップを渡すのはおかしい、と物の本などに書かれ私もそう思いますが、イギリス全体の感覚は違うのですか。私は払いませんではなく私も払いませんですか

    「なしの場合はお客様にどうやって伝えようかと散々悩みます。」
    自分に対するチップは自分では言わないことがベターだと思いますよ
    昔は100パーセント近い客、今でも80パーセントくらいのお客はチップを払ってくれると思いますが残りのうちの一部の客がクレームとして日本の会社に言うことが想像できるからです。いくら支払いは自由ですといっても当のガイドが発言し他の客が払っている状況では支払いを強制されているのに等しいといって。
    「ただイギリスでは期待はされているというだけのことです」
    チツプの習慣のないといわれているわが国だって表面上はともかく本心は期待していますよ
    ですから期待されているのだから払ったほうがよいとは私は思えません
    まして世話になったことの対価として世話をしてくれた人に渡すわけでないピローチップは不要だとおもいます。
    「父がのし袋に5千円前後入」
    20年前に5千円というとかなり経済的に余裕があったのですね。もうサービス料が請求されている時期ですからこれに加えて5000円は家族3から4名くらいの旅行では高いほうの部類だと思います。普通の家庭では出す人も1000円から2000円くらい、出さない人のほえが多いと聞いていましたが。今の相場はいくらくらいか知りませんが今でも払う人は間違いなくいるようです。しかし20年前と比べるとまた少なくなっていると思われます。支払い0と比べると1ポンドは十分高いですよね。
    「通貨までこんなに気を使ってすごいな、と思いました。」
    アメリカでは必ずチップを払うべきだと発言する人のなかにチップをコインで渡すのは失礼だと言う人がいます。アメリカには1ドル紙幣2ドル紙幣があるのだから硬貨で払うのは受け取る人に失礼だ、というものです。私は硬貨じゃいやだというなら別に払わなければよいと思いますが
    その人は硬貨でなく紙幣で払うべきだというのです。私だったら同じ1ドルなら紙幣であろうと硬貨であろうとどちらでもいいと思うし、もし可能なら硬貨でいいから後1セントでも2セントでも増えたほうがよりハッピー思うのですが。こういう意見についてはどう思いますか








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    枕の上か下か?

    たんたんたぬきさん、
    ご質問にお答えします。
    1、レストランなどでサーヴィスチャージが会計に組み込まれている場合は、払わないことも可能です。
    マネージャーを呼んで、具体例を出してサーヴィスが悪かったので払いたくないといえば大丈夫です。
    私は今までに数回だけですが、これをやったことがあります。高級店でも庶民的なところでも経験があります。
    一生懸命働いて得たお金ですから、理不尽なものや理由のないものには払いたくありません。
    自分で考えて払う価値のあるものにはケチらない方ですが、やみくもにお金をばら撒く人を見ると、ちょっとどうかと思います。

    イギリスでは、逆に、一旦払ってから後でクレームをつけるほうが「難癖をつけている」様にとられがちです。

    2、経営者にはチップは払う必要がないというのが大半の見方だとは思いますが、これも決まりではありませんから、私も、と書くのには微妙な抵抗があります。

    3、私のチップはお客様によっては言いません。
    1日お付き合いをしていればある程度の考え方は想像できますから、臨機応変にやっています。(笑)

    4、ピローチップですが、強制ではありませんからそういう考えでしたらそれもいいかと思います。
    私はイギリスのホテルでは必ず1ポンド枕の上に置きますが、ルームメイドの人たちの話ではやはり本人の手にちゃんと渡っているところが殆どのようです。
    フランスやスペインなどでホリデーに出かけるときは連続で3-4週間同じ宿に泊まりますが、その時には帰り際に20ユーロぐらいを封筒に入れてチョコレートの箱と一緒に「ハウスキーパーの係りの子達で分けてね」と手渡すようにしています。
    経験はありませんが、もし自分がウエイトレスだったら・・・とかルームメイドだったら、と考えた結果を基準にしています。

    自分のポリシーに現地事情を足して自分で判断すればいいのであって、
    現地事情のみや、現地事情も知らないガイドブックに振り回されるのはどうかと思います。

    5、最後のアメリカでは・・・というのは住んでいましたが、聞いたことはありません。
    ただ、考えてみると、(これは私の想像ですが)渡し方が変わるからではないでしょうか?
    お札を手渡すときには渡す側と受け取る側の手の高さの位置が同等の場合が殆どです。
    風で飛んでしまうので放り投げることもできません。
    でも小銭はどうしても受け取る側の手に落とす感じになってしまいます。何となくあごで使われている印象が・・・。ですから横柄な渡し方にならない様に、ということではないでしょうか?
    レストランなどで小銭だと、ポケットでジャラジャラかさばるのも理由かと思います。
    ただ、(金額が同じで)お札は欲しいけど、小銭は要らないという人は今まで見たことはありません。


    おまけ、ここまで読み返して、ひとつ、思い出しました。
    チップを枕の上に置くか下に置くか?
    正解はお札は飛ばないように枕の下に、小銭は転がってなくならないように枕の上に置くのが正解と、何人かのホテルのメイドさんに教えてもらったことがあります。

    自分がしてもらいたいことを相手にもしてあげれば感謝の気持ちは伝わります。

  • 06/02/27 19:26

    各論

    各論を調べてみました。先の投稿では段落が乱れてしまいまし
    た。

    これまで、いい加減にしていたのがわかりました。
    さらに知らなかったのが、チップの渡し方。オーストリアでは
    直接渡せと。スペインでは法律でサービス料を請求することを
    禁じられているため(本当?)、払うべきと書いているサイト
    もあり、実体験でも、レストランでは皆払っているように感じ
    ました。チップのない国でも小銭は置いていくのが習慣のよう
    です。ハンガリーやスペインでは払うのが普通で、その他の国
    では端数を置いていくというのが良いとの結論です。さらに、
    気分が良かったら多めに出すというのが気のきいた作法のよう
    です。

    大別して三種類になるようです。

    1)原則必要で、払わないと相手を傷つけるし、払わないのには相
     当の理由がある。
    2)払う方が良く、相場は5-15%。
    3)せいぜい端数の切り上げ(round up)程度で良い

    中欧では、
    1)がハンガリー
    2)がチェコとポーランド
    3)がオーストリア、ドイツに旧ユーゴ

    しかし、フランスでは要らないという人もいて
    http://www.gate1travel.com/central-europe-travel
    /Central-Europe-travel-tips.htm#tippi

    Austria: Hotel and restaurant bills include a service charge,
    but hotel porters and cleaning staff usually expect something
    for their services. It is also customary to tip in restaurants
    and cafes. Round up smaller bills and add an extra 5% to 10% to
    larger ones: simply say the total amount you want them to take
    when handing over the money (it's not usual to leave the tip
    on the table).

    Poland: 10 to 15 per cent is customary in restaurants and cafes.
    Tipping in self-service restaurants is not expected.

    Hungary: Hungary is a very tip-conscious society and virtually
    everyone routinely tips waiters, hairdressers, taxi drivers
    and even doctors, dentists and petrol-station attendants about
    10%. Not leaving a tip, or leaving a very small tip, is a strong
    signal that you were less than impressed with the service. Never
    leave money on the table in a restaurant: tell the waiter how
    much money you want to leave as a tip as you are paying the bill.

    Germany: At restaurants, the service charge is always included in
    bills and tipping isn't compulsory, though it is appreciated.
    Germans are used to rounding up prices as tips, but rounding up
    in euros can be too generous.

    Czech Republic: A tip of 5-10% is appreciated in any tourist
    restaurant with table service. The usual protocol is for them
    to tell you the total food bill and for you, as you hand over
    the money, to say how much you are paying with the tip included.

    Croatia: If you're served well at a restaurant, round up the bill
    unless a service charge has already been added. Bar bills and taxi
    fares should also be rounded up. Tour guides also expect to be
    tipped.

    イベリア半島
    http://www.gate1travel.com/spain-travel
    /Spain-Portugal-travel-tips.htm#tippi

    これを書いているひとは否定的。データーは古い。
    http://www.bbc.co.uk/dna/h2g2/alabaster/A640018
    しかし、UKについては曖昧(パブに拘っている)。

    ロンドンでは10-15%が標準とか。
    http://www.a-london-guide.co.uk/information/
    default.asp?type=everyday+tips&ID=26

    他のサイトでは

    イタリア
    Either way, it's customary to leave an additional 5%-10% tip
    for the waiter, depending on the service.

    スペイン

    Tipping is a great tradition in Spain. While practically all
    establishments currently include a surcharge for service it is
    still common to leave something of a tip.

    やはり、5-10%で、バルでは小銭か切り上げ程度もしくは、なしのようです。

    北欧

    基本的に払わないが、スウェーデンでは10kr程度の小銭は出す。

    各論はここにもあります。

    http://www.fodors.com/features/nfdisplay1.cfm?name=stt/
    010124_stt_tg_europe_toc.cfm

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  • 日本の昔の心づけ・・・

    旅館の仲居さんに 5千円・・・はすごいです。 まあ滞在が長ければ・・・。

    日本の場合 昔のいい宿屋さんはほとんど常連客でお世話する仲居さんが決まっていたようです。 お部屋を予約するのにもその人が相手・ ・・で いまでいう営業も兼ねていて・・・。

    一流料亭なのでは 勘定は年2回なのでかわりに なじみの仲居さんには包んでいた見たいです。 その分 急なときでもお部屋にありつける ・・。 この辺は そちらの一流レストランや 昔流のホテルも同じ感覚かもしれません。

    今の宿屋さんも 料亭もほとんど税サービス料込み、即の支払ですから
    心づけの発生する余地がなくなっています。

    秘書や世話役が自分の頼みをきちんと聞いてもらうための いわば鼻薬的な心づけは一部の世界ではしっかり生きているようですが・・。

    昔ながらの古い宿に泊まった時は お部屋係のオネエサンに千円程度は包むようにしています。 でも大概は夜食で受け持ちが変る・・みたいです。 しつけのいい?宿屋さんでは心づけはプールして裏方を含めてみんなで分けるとか・・・。 日本はホントの社会民主主義社会・・・といわれるユエンでしょう。

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