レスポはカッターで切れる

Q1 お母さんは赤ちゃんを抱えて駅に行くか?

 A1 行かない。ヨーロッパの赤ちゃんはどでかい。だから、赤ちゃんは抱えるものではない。どでかいベビーカーに乗せる。さもなければ、フレーム付きのしょいこで父親が背負う。駅、とくにオランダには、かならず自転車が何台も乗れるようなどでかいエレベーターがあるので、それで駅橋に上って、ホームに降りる。


Q2 レスポはどうか?

 A2 ダメ。ヨーロッパでも知名度はあるが、あんなのが高級ブランドなわけがない。ヤワ過ぎる。カッターで切ったら中身がかんたんにばらまかれる。親切そうにそれをいっしょに拾い集めながら、本人が背中側に跳ね上げた手持ちバッグの方から財布を別の人物が抜き取る。人はかがみ込こむと、バッグが地面にすらないように背中側に廻すもの。なんでヨーロッパの連中が、ごつい皮のバッグを好むのか、よく考えてみよう。


対策案1

 スーツケースにくくりつけられるような、日本の柔なB型ベビーカーなど、石畳のヨーロッパではまったく役に立たない。いっそでかいごつい現地仕様のベビーバギー(下にバッグ一つ分くらいの収容力がある)で、それに子供がすぐに使う物をすべて入れ、スーツケースは事前に別送する、というのが、ふつう。


対策案2

 むしろひとに頼りまくる。あえて赤ちゃんはベビーカーに乗せ(バッグは下に乗せるか後にくくりつける)、スーツケースと両方を押す。身長150センチそこそこの女性にできっこないのは、誰の目でもあきらか。こういうとき、見て見ぬふりをしたのでは、ヨーロッパでは、人間として許されない。男性はもちろん、女性でも、すぐにだれかが助けに来てくれる。とくにオランダやイングランド、ドイツ、イタリアはそうだ。何人もが助けてくれているところには、ものを奪うやつは近づけない。電車に乗るときも、心配ない。中の人がだれかかならず降りて来てくれる。
 じつは、スリやヒッタクリにも、暗黙のルールがある。子連れは狙ってはいけないことになっているらしい。同業者さえも、それは許さない。実際、イタリアのバスの中でやられそうになったことがあるが、ほかのやつが止めに入って、事なきを得た。


 子供は、世界の宝。それは、どこの国でも同じこと。できもしないのに、自分でなんでもしようとすれば、むしろいつかひどい事故を起こす。こちらから、目を合わせ、言葉をかけ、周囲に助けを求めよう。いくら不景気でも、助けを求めている人からものを奪うほど、ヨーロッパも落ちぶれてはいない。

 むしろ、日本の空港に降りると、立派そうなビジネスクラスのおっさんが陰湿にベビーカーを脇に押しのけて追い越していったりして、こいつら薄情だなぁ、会社でなんぼのもんか知らんが、人間として最低だなぁ、と思う。ヨーロッパでそんなところを会社の経営者が見ていたら、翌日にクビになっても当然、とだれもが思うものなのだが。

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1件のコメント

  • 12/10/26 15:34

    【お礼】

    具体的な案をたくさん提案していただき、ありがとうございました。

    しょいこはとてもいいアイデアですね。
    ご指摘の通り、日本製のベビーカーは、石畳のヨーロッパでは役に立たないと思いますが、抱っこできないシチュエーション(例えば、私の食事の時間など)で子供を座らせることができれば十分です。
    ベビーカーとしても使えるタイプのしょいこを購入したいと思います。

    バッグについては、カッターで切られない、丈夫な素材のものを購入したいと思います。
    子連れで荷物が重いので、丈夫かつ軽い素材のバッグ(そしてポケットがたくさんあるもの)を探すのが課題です。

    どれだけ対策をしても、一人では対応できない場面が発生するので、そのときは周囲に助けを求めたいと思います。日本ほど治安は良くないかもしれませんが、日本よりも子連れに優しい人が多そうですね。少し、気が楽になりました。回答いただき、ありがとうございました。

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