鉄道パスが自由を奪う

こんにちは

このスケジュールでは鉄道パスが自由を奪うことになりかねませんね。まず最初に、

>以前ドイツへ行った際にジャーマンレイルパスを事前に購入していたことが非常に便利だったため、
>今回も鉄道乗り放題のパスを買おうと思っています。

この認識ですが、ドイツとフランスを一緒にしない方がいいでしょう。ドイツは確かに鉄道パスが有効で、欧州の中でもっとも使い勝手がいい国のひとつです。しかし、フランスは逆。欧州の中で最悪の国だと思います。

1.便利かどうか

ドイツではたしかに切符を買わないでもさっさと乗ることができ、とても便利です。しかし、フランスの高速列車は全て予約必須です。要するに、切符を買わないで済む便利さはフランスの高速列車では皆無です。個別切符にしろ、鉄道パスにしろ、いずれにしても切符は買わなきゃならんです。これがいやなら予約のいらない鈍行なんかを使えということですが、さすがにパリとドイツの間を1往復半するのに鈍行ではねえ…

2.パスホルダー座席

とても限定されています。eurail passの場合は、これがなくなると乗せてくれません。よって、パスホルダー用の座席が空いている列車の中から選択しなければならなくなり、当然、みんなが乗りたいような良い時間帯の列車ほど、混んでいて乗れなくなる確率は高くなります。これが結構ストレスになるんですよ。

ちなみに、明日(10/20)のParis->Saabrücken(ドイツの最初の駅)を走るTGVまたはICEの混雑状況を見てみましたが、ほとんどの列車の料金が上限近いですね。混んでいるということです。こうなると、今日eurail passを持って予約に行っても、明日のドイツ行きは多分全便予約不能でしょう。まあ、明日は週末という特殊要因があるかもしれないですが、いつでも常に選択肢が限られてくるリスクは抱えるわけです。

3.Paris->Düsseldorf

この行程を往復されるわけですが、普通の人がどうのようなルートで鉄道移動するかというと、Brussel, Köln経由のThalysです。Kölnで乗り継ぎ、あるいは、1日1本ですが、直通もあります。なぜThalysかというと、最も速いからです。所要時間4時間前後で、4時間を切るスケジュールもあります。ParisとDüsseldorfを地図で見てみればわかりますが、このルートがもっとも直線的でもあります。

しかしながら、Eurail France-Germany Passの保有者ならば、このもっとも速いルートは選ばず、ベルギーを迂回しフランス-ドイツ国境を越える最速でも5時間20分はかかるルートを選ぶでしょう。なぜならThalysはパスホルダー追加料金がべらぼうに高いからです。Eurail France-Germany Passの場合は一部カバーされていないベルギーを通るという理由もありますが、片道二等で60EUR(Paris-Köln間)かかります。ですから、使いませんね。ヘタすると、タイミングにもよるけど、普通にチケット買った方が安いかも。

このように、鉄道パスを持っていると、最速のルートの選択肢を使わず、その分、自由度が減るわけです。しかし、Thalysよりは安いと言っても、TGVまたはICEでも追加料金はまぬがれません。国際線の場合は二等で一回13EURかかりますから、1往復半で39EURは余計にかかります。2.の問題もありますが、たとえ希望通りの列車に乗れても、これだけの追加料金は必要です。

以上から「私なら」ということを前置きしますが、鉄道パスは選びません。例え高くなったとしても、自由にルートや列車を選択できる個別チケットにいたします。もし、あらかじめ予定をFIXできる部分があるならば、その部分はなるべく早めに手配します。そうすることで、コストの点でも相当有利になるでしょう。

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3件のコメント

  • 12/10/20 08:24

    私も心のなかで拍手

    flowerboxさんと同じ気持ちです。
    私は何度も書くように、例の制度(はじめのと、追加のもの)
    自体には発足当時から反対で、これのために、質が保たれていた
    ところが、地雷原となり、真っ当、有能なかたが、嫌気をさして
    次々やめてしまいました。でも、気持ちは上記の通りで、
    とてもわかりやすく、かつ論理的(こう書くと、そうでない
    書き込みがなんであるかを、牽強付会、、、ああ、筆が滑った、
    実質上言ってしまいます)。

    パスに限らず時代とともに変わってきていること。

    例えば、欧州内の空路。LCCがまだ恐竜時代のほ乳類みたい
    な時では、日本から安い運賃で飛ぶことは至難の業で、
    余程のことがない限り、何かと組み合わせたり、現地代理店で
    安い週末を挟む往復料金を見つけたり。乗ると、身なりから
    別世界に入り込んだ気分。それが今や、場合に依っては
    鉄道のほうが高級。しかも、ビジネスマンが優先的に使って
    います。

    宿もしかり。国内代理店を通すとべらぼうに高いか、パッケージに
    出す分を高くして(個人には割安に見せて)売っているのを買うか、
    自力で電話かFAXで交渉。特に電話では時差が大きな壁。FAXは
    返事が来ないとか・・。と言うことで、現地で探すというのは
    かなり当たり前でありました。これも今は違いますよね。
    良く書くのですが、現地で交渉するのが好きとかなら別で、
    大抵は重い荷物を抱えている上に、客は必ず部屋を確保せねばならないと
    いう売り手市場、しかも貴重な時間を取られるし。

    高速鉄道も以前の欧州にはなかったもの。また新会社の参入などで、
    料金体系が複雑化し、これも航空機同様に料金割引で、客の取り込みが
    激しい。当然、客は、状況に応じて(これって基本中の基本だと
    思うのですが・・・)、鉄道パス、普通運賃、割引き運賃、さらに
    LCCやバスを上手く利用するのではないのでしょうか?

    凄く当たり前のことなのですが。

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  • Re: 鉄道パスが自由を奪う

    ご回答ありがとうございます。
    週末はかなり混雑しているようですね。
    パスホルダー席がいっぱいで何本待ってもドイツに戻れなくなってしまっては困りますし、
    結局パスを持っている方が割高になってしまっては本末転倒ですので
    ユーレイルパスは買わないでおこうと思います。
    すでに移動するタイミングが決まっている部分は予約しておきます。
    ジャーマンレイルパスはなかなか捨てがたいので、検討してみます。

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  • 説得力、抜群ですね!

    拍手が1回しかできないのが何とも残念です。

    ところで、タイトルの「鉄道パスが自由を奪う」ですが、
    「レイルパス=自由に行動」とは限らず、場合によってはレイルパスを持つことが、
    かえって列車選択の自由や行動の自由も奪ってしまうと解釈してよいのでしょうか?

    それだけではなく、レイルパス万能信仰に陥ることにより、
    発想の柔軟さを失うことを戒めておられると受け取りましたが…。

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