五色薬水を求めて~ その3 <凍らない水> この地方の市内バスの乗り方は韓国の他の地域と少し違う。 というのも、均一料金ではなく、行き先を運転手に告げてお金を払うシステムなのだ。 ヤマネコは終点の五色までの1,770Wを払う。 25分程度で五色温泉に到着した。 山の奥深い場所とあって、この時期は川という川が全てぶ厚い氷に覆われている。 小さな滝や水道管から噴出していた水が、噴出したままの状態で凍結している。 まるで、瞬間的に時間が止まってしまったかのような不思議な空間だ。 五色薬水の表示板にしたがって歩いていく。 5分ほど歩くと五色薬水入口に着く。 石を積み上げた階段を降りていくと、川岸に降り立つ。 とはいっても、もちろん川は凍っているので地面と一緒だ。 飛んでも跳ねても氷が割れそうにない。 五色薬水は不思議なことに冬でも凍らないそうである。 となれば、冬でも凍らないことを実際にこの目で確認するのが 一番の重要なポイントではないかい?と思い、あえて厳冬のこの時期に のこのことやってきたのである(笑) で、結果はどうだったかって?? はい、本当に凍っていませんでした。 30センチほどのスペースにコンクリートの土管のようなものがはめ込まれており、 見事なまでにそこだけ水が潤っていたのだ。 実は五色薬水は3ヶ所のポイントがあり、 私が訪ねたのは誰でもいける1番下の炭酸がキツイところであった。 上に登っていくほど、鉄分を含んだ水になるらしい。 先客がいて、持参したらしい赤いひしゃくでポリタンクに薬水を入れている。 小さな小さな泉なので、水が無くなってしまうかな、と心配したのだが、 汲んでも汲んでもすぐに一定の量まで薬水が湧き出てきて来るのには驚いた。 この先客の夫婦にコップを貸してもらい、一杯飲んでみた。 うーん、シュワシュワの炭酸水というより重曹をたっぷり含んだ重たい水、といったところかな。 薬水の恩恵を受けるため、一応2杯飲んでみた(笑) <お待ちかねの食事です> さて、ここの名物はなんといっても薬水で炊いた釜飯である。 メニューはズバリ“薬水栄養石焼飯(ヤクスヨンヤントルソッパブ)”である。 ふらふら歩いていると、店から太ったアジュンマが飛び出してきた。 食事がまだならウチで食べていきなさい、言われ素直に入る(笑) 当然お目当てのヤクスヨンヤントルソッパブを注文する。 げげっ値段高し。なんと15,000Wである。少し贅沢かな、と後悔した。 どうやら何処の店で食べても同じような料金らしい。 遠くのちゃぶ台で親子連れがやはりヤクスヨンヤントルソッパブとおぼしきものを食べている。 ちゃぶ台の上はさまざまなおかずが並んでいる。 ヤマネコは一匹で食べきれるのか、ますます心配になってきてしまった・・・。 まず最初に赤ワインが運ばれてきた。 この辺の特産なのであろうか。飲んでみる。ものすごく甘い。 いやいや、砂糖をたっぷり入れたような甘さなのだ。 焼酎といい、韓国人にとって酒は甘いものというのが理念なのだろーか?? 続いてそば粉のジョン(焼いたもの)が来た。 江原道の名物でもある、そば粉を使った料理。 カンジャンベースのタレを付けていただく。日本人好みの味だ。 そして次々とおかずが運ばれてきた。 わらび・ぜんまいといった山菜ナムル、つる人参を裂いてコチュジャンであえたものと 太刀魚をやはりコチュジャンでまぶしたものを自分で鉄板で焼いたり、 トドリムッのサラダ、冷たいトンチミ、味噌汁などである。 いよいよ薬水で炊いた釜飯の登場である。 鉄蓋を持ち上げると、薬水効果の薄い黄色に仕上がった釜飯が顔を出した。 ナツメ、栗と一緒に炊き上げた、なんとも言えない良い匂いだ。 釜が熱いうちにご飯を全部取り皿にかき出し、ヤカンの熱湯をジュワ~と注ぐ。 おこげが香ばしいスンニュンの出来上がり。 必死になって食べたので、量が多かったが結構おなかに入ってくれた。 何しろ朝ご飯が遅かったとはいえ、昼食は高速道の休憩所で食べたフランクフルトのみである。 食後はテレビのバラエティ番組を見ながらゆっくりくつろぐ。 気がつくと、陽が落ちて外は真っ暗になっていた。 そろそろおいとましましょ、と靴を履こうとすると 店のアジョッシがコーヒー飲んでいきなさい、と言ってくれた。 親子連れにはコーヒー出してなかったよなぁと思っていたら、 コーヒーはお店側のサービスだったのだ。ありがたく頂く。 ヤマネコのマズすぎる韓国語に、どうやら好感を持ってくれたようである。 食堂を出た後は、今夜の宿探しである。 →続く