一人料金

日本だけが一人料金の例外とよく言われますが、本当にそうなのしょうか?
確かに、海外旅行未経験のかたと、海外のホテルについて話すと、「その
値段は一人の料金ですよね。」、「え～二人で、安い!!!」。まあ、欧米
ではあり得ないことですが。という感じで、一人あたりの料金がまず頭に
あります。しかし、ホテル業界に黒船が来訪してから久しく、国内を仕事
でまわる人は、部屋単位の考えになれているのではないでしょうか?日本独
自と思われるシステムは、実は旅館の仕組みから来ているのではないかと
思っています。まず、ベッドがないので、収容人数に制限が少ない。泊め
る側は、できるだけ多く一部屋に詰め込んで、パーフォーマンスを上げよ
うとします。これが部屋単位では儲かりませんよね。さらに、一泊二食付き
というシステムも作用します。欧米の朝食はビュッフェスタイルでならフル
ブレックファーストでもさしてコストも掛からないし、南欧州ならばパンと
コーヒー程度ですので、さらに安上がりです。しかし、旅館の夕食はある意
味温泉とともに顔でもありコストも掛かっているので、一人でも二人でも同
じという訳には行かないでしょう。ですから、旅館は今でも一部屋4名泊ま
っても一名料金の4倍から1割引き程度でしょう。また、部屋で食事、お風呂、布団敷きに、朝食と結構慌ただしいのも、年寄り世代が、ホテルでくつ
ろげない原因なのかも知れません。日本の旅館も、チェックアウトの早さと
夕食の重さを克服し、食事は別料金で選択肢を増やし、部屋単位で料金を
設定すれば、復活の可能性もあると思います。とくに海外からの客には面白
体験ができるはずです。韓国の旅館もまた特殊なシステムですが、長くなり
ましたので。

実は同じような一人単位の料金が、欧州でもリゾートや農村リゾートとも言
えるアグリツーリスモにあります。B&Bは別として、halfやfull boardの場
合は、部屋単位ではなく人数当たりを表示します。これは別に安く見せよう
とするのではなく、料金を明確にするためです。

最後に、値段交渉ですが、長期滞在とか安ければ安いほど良いという場合を
除いて、欧州では効果はあまり期待できないでしょう。それでも、ホテルに
はできれば使いたくない部屋があるので、場合によってはそういう部屋に優
先的に回してもらえる可能性が出てきます。窓がない、西日が強く当たる、
騒音がひどい等々。フロントも内心「しめた」と喜んでいるのではないでし
ょうか?まあ、値切った客に良い部屋を出すはずはありませんが。逆を言えば、パッケージではなく個人で払う客には良い部屋が来る可能性が高いとい
うことです。シャングリアホテルは、正規料金で泊まる客を優遇し、種々の
特典を付けます。一方、安くパッケージに出す部屋は、個人では泊まる価値
のないようなものです。同じホテルでも建物が異なり、雲泥
の差を生じます。

また、今はオフシーズンですので、旅行本に書かれている料金よりも大幅に
値引きするホテルが多くなります。以前には、当地の情報を政府観光局や現
地の雑誌等で、一生懸命に調べたのですが、今はインターネットという便利
なものが普及しており、リアルタイムで、情報が入ります。事前にお得な料
金を調べ、予約するか交渉材料に使うのが賢いやり方だと思います。では、
飛び込みの交渉が全く意味をなさないかと言うとそうでもなく、完全なオフ
シーズンで、閑古鳥が鳴いているホテルなどでは、「3泊すれば二泊分で良い」とかいろいろ提示してくれます。これが楽しい人も居るはずです。