私は、一度だけ、数時間だけ、ウクライナの首都キエフに滞在したことがある。
2011年9月11日だったと思う。
タイの首都バンコクから、トルコのイスタンブールに行くのに、ウクライナ航空のチケットしか取れなかったのだ。
2011年9月11日深夜、バンコク発キエフ経由イスタンブール行きのチケットだった。
飛行機が、キエフの空港に着地すると、乗客の一部が、拍手した。
私は、何十回も、飛行機に乗ったが、「無事に着陸できた!」と、乗客が拍手するのは、初めて、経験した。その後も、経験がない。1回だけだ。
ウクライナ航空機のスチュワーデスは、金髪で、細身の美人タイプだった。
イスタンブール行きの飛行機の出発時間まで、数時間あったので、私は、待合室で、ベンチに座って、過ごした。
私は、前の晩、徹夜だったので、あまり歩き回らず、じっと、座って、うとうとしていた。
ただ、空港内を見回すと、壁がない。
なんと、ガラス張りの空港だった。
天井もない。青空が見える。
キエフは、寒いから、暖房代を節約するために、ガラス張りにしたんだろう。太陽光線で、中を暖め、明かりも取り入れる。
「なんて、頭がいい!」
と思った。
ただ、他の国では、こんな空港、見たことがなかった。
東南アジアだと、ガラス張りの空港だと、中が暑くて、死にそうになるだろう。
寒い国だと、ガラス張りの空港か、となると、違う。
1986年11月、大学3年のとき、ソ連(当時)の首都モスクワへ行ったが、シェレメチェボ空港は、ガラス張りではなかった。
ドイツのフランクフルトの空港も、ガラス張りでないし、イギリス・ロンドンのヒースロー空港も、ガラス張りでない。
待合室で座っているとき、ふと、階段の方を見ると、黒い帽子・黒い服の、ユダヤ人の恰好をした若い男が、3人ほど、ゆっくり降りて来ていた。
私は、イスタンブールに、3,4日いただけで、すぐ、エジプトのカイロに飛んだ。
ロシアが、クリミアに、軍事侵攻したのは、その3年後だった。