社会構造

EAVOさん。
タイが居心地が良い場所というには、その国(タイ)の社会構造もあるのです。
タイは想像以上に階級社会なのです。
インドのカースト制度のように部外者(我々のような旅行者)が見ても
一発で分かるものなら良いのですが、タイの場合はなかなか見えないのが厄介なのですが。

例えば長期に滞在している者でも、宿泊代や食事代など最低でも数百円はお金を使うわけです。
お金を払う(お金を持っている)者は、そのお金を得る者から見ると「ぜったい」なわけです。
日本のように国民総平等主義ではないわけです。

これまた語弊があるかと思いますが、タイの首相はタクシンさんと言います。タクシンさんはタイの移動通信(携帯電話)の最大大手のオーナーなのです。彼の政策がどうのとかの問題じゃなく、タイ人の多くは「タクシンさんは金持ちだから信用できる。」と言います。

私が赴任した当初、タイ人の社員が最初に聞いてきたのは「何処に住んでるんですか?」でした。
風俗店に行っても、飲み屋に行っても、多少親しくなると真っ先に聞かれるのが「何処に住んでますか?」です。
これ日本でもたわいのない日常会話の中での質問なのですが、タイの場合は違うのです。住んでる場所で相手を値踏みするのです。
上手い例えが見つからないのですが、田園調布に住んでる社長は信用できるが、足立区に住んでる社長は信用ならない。ってな具合なんです。
彼らの論法で言えば、社長なら金を持っているはずだ。金持ちなら田園調布に住んでるに違いない。信用がある人だから金があるんだ。となっていくわけです。

私が「○○の××マンションに住んでるよ。」とタイ人の従業員に答えると、彼らは実際に見に来ます。
そして1週間もすると、「日曜日、近所に用事があってマンションの前を通ったんですけど、なかなか良いマンションですね。」などと言ってきます。用事があって私のマンションの前なんか通るわけありません。

また日本では考えられないようなことを申しますと、タイの会社でその会社のオーナー(社長)が毎日出社してバリバリ働くと、社員は危機感を感じて転職していってしまいます。
社長は金持ちのはずだ。金持ちは遊んでるものだ。ところが、うちの社長は遊びにも行かず毎日会社に来てバリバリ仕事をしている。これは金が無い証拠だ。間違いなく我が社は倒産する。となるのです。

ですから、なにすることなくブラブラしていて朝昼間からビールを飲み日がな遊んでいる「彼ら」に対して、金持ちは遊んでいるのが当然だとの温かい目で見てくれるのがタイなのです。
日本でなら冷たい目で見られる「彼ら」も、タイでは温かい目で見てもらえるわけですから居心地は良いに決まっています。

ちょっと通常の日本人が持っている感覚では理解できないと思いますが、それがタイの社会構造なわけです。
インターネットなどの普及で様々な情報が氾濫して、「カオサンに行けば1日1000円で毎日がパラダイスだ!」的な誤った情報を真に受けて訪泰する若者が増えてきているのも現実です。
私が危惧しているのは、そういう異国の文化や習慣・国民性・社会構造も理解してもらいたいと思うわけです。
初めは「なんとなく」でも「タイがすきだから」でも「カオサンに行ってみたかったから」でも理由なんて何でも良いのです。
でも数ヶ月後に日本に戻ったとき「タイは、カオサンは、1日1000円で朝から酒飲めて、屋台のおばちゃんもゲストハウスのおじちゃんも優しいんだ。」だけでは、あまりにも意味がないものになってしまうわけです。
私が再三申している「もったいない」は、そういうことなのです。

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1件のコメント

  • 05/11/16 14:43

    Re: 社会構造

    大王飯店さん、有難うございます。
    続けて興味深く読ませていただいています。

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    国民性

    「微笑みの国」ってキャッチフレーズがありますが、私は「ニッコリ笑って人を斬る」と解釈しています。
    在タイ経験者、長期滞在者、タイフリークの方々なら分かると思います。
    安易に逆ギレするのがタイ人です。

    「9時までに必ず来いよ!」と申しても、絶対に来ません。
    どんな重要な仕事の打ち合わせがあったて、絶対に来ません。
    「すいません 雨が降ってたもので。」
    「すいません 渋滞がひどかったもので。」
    駐在時代、私は何万回何億回この言い訳を聞いたことでしょうか。
    それもへラへラと薄笑いを浮かべて毎度毎度同じ言い訳を。
    ここで堪えきれずに怒鳴ったなら、良くて自動車に釘で傷を着けられる。最悪なら私の命が無くなる。

    そのくせ「12時に支払ってやるから来い。」と言えば、10時過ぎにはやって来る。
    「金が貰える」となると遅れることなんて100%ない。
    「12時じゃないと支払わないよ。」と言っても、「マイペンライ」と言って待っている。
    タイ語の「マイペンライ」、私には「マイペース」にしか聞こえません。

    駐在時代、私は何万回何億回、竹中直人のようにヘラヘラと笑いながら「てめー! ちきしょう、いつかぶっ殺してやる。」と相手に分からないように日本語で言ったことでしょうか。