お世話になっております。
あちこちの旅行ブログでも話題にのぼる「眺めのよい鉄道路線(scenic rail routes)」について、トピックをたてます。
「眺めのよい鉄道路線(scenic rail routes)」とは、一般的表現のようでいて、旅行愛好家の間では特定のリストを指すものです。そうです。Thomas Cook timetable(現・EUROPIAN RAIL TIMETABLE)の定番付録のScenic Rail Routes of Europeを指すものと決まっているんですね。
1ページという狭いスペースのなかに、欧州27か国から選ばれた176もの鉄道路線がぎっしりと並べられ、そのうち25の路線が「編集部のおすすめ(editorial team’s favorite journeys)」として、*マークで強調されているあのリストです。Thomas Cook timetableがEUROPIAN RAIL TIMETABLEになっても、この定番リストはそのまま引き継がれ、同じ路線が掲載されています。
実際に欧州旅行にお出かけの皆様のプランニングに役立つことはもちろん、私のようなアームチェアー旅行者の妄想にも実に楽しいリストです。例えば、スイスのおすすめ鉄道路線に、
Thun – Brig* M L
との鉄道路線があり、この*のおかげで編集部おすすめ25路線の一つだとわかる仕掛けです。Thun やBrigは、もちろん駅名です。MやLは、景色の種類(Types of scenery)です。リストの路線には、 一つひとつに、C=海岸線 F=森 G=渓谷 L=湖 M=山 R=川 といった記号が親切についているんですね。
さて、これら情報をもとに、グーグルマップを見ますと、乗車時間約50分の路線。トゥーン駅を出て、トゥーン湖沿いに進み、シュビーツからは山間を縫って南下、ヒシュテホルンを通り過ぎたあたりで進路を東に変えて、ローヌ川沿いにブリークに至る。などとわかるわけです。たしかに、M山並みとL湖の景色がよさそうです。トゥーン湖は進行方向の左手だな、とか、南下中はドルデンホルンが左に見える、けっこう線路に近いな、しかし、リンダ―ホルンやダウベンホルンを擁するプフィン・フィンゲス自然公園は右だ、どっちを眺めるか、忙しいぞ、などと、楽しめてしまうわけです。
しかし、路線評価の権威と化すくらいに定番であるだけに、誰がいつ選んだリストなのだろう?との好奇心もわきあがります。Thomas Cook timetable 時代も現在のEUROPIAN RAIL TIMETABLEもリスト掲載ページの説明は、The following is a list of some of the most scenic rail routes of Europe.と、これだけです。何もわかりません。
冒険旅行者向けルートガイドとして知られる“TRAILBLAZER”によりますと、「眺めのよい鉄道路線(scenic rail routes)」176路線のリストは、「主に、故John Price 氏による調査にもとづく」とあります。John Price 氏は、1952年から1985年まで、Thomas Cook timetableの編集長を務めた人物だそうです。176路線リストづくりは、故John Price 氏の尽力によるものだと考えてよいのでしょう。すると、編集部のおすすめ*マークつきの25路線は、なんだろう?
謎は解けたような解けないような中途半端さですが、John Priceさんありがとう!
次のレスで、「眺めのよい鉄道路線(scenic rail routes)」のうち、*印がついた25の鉄道路線を抜き出します。皆様、実際に乗車した印象はいかがでしたでしょうか。いつか乗ってみたい路線は? おすすめ25路線を肴に、欧州鉄道旅行の話をお聞かせください。