オルネー・ス・ボワ 内蔵介さん、トベロラカシさん、こんにちは。 今回の暴動の主な舞台になっているオルネー・ス・ボワは、 工場見学などの関係で何回も訪ねている場所です。 この街がこんなことで有名になるとは夢にも思っていませんでした。 確かにオルネーを通るRERのB線の治安が悪いというのは あちこちで聞いていましたが、その要因に失業している移民系の若者が 関連していたのでは、と思うと悲しくなってきます。 不満がたまって、そういった犯罪行為を起こした末で、 感電事故をきっかけに暴動に発展してしまった、と考えると、 なぜRERの治安の問題が起きたときに背景を分析できなかったのか、 非常に残念な思いでいっぱいです。 私は移民してきた人たちにフランスで助けられたことがあります。 彼らは移民の苦労を知っているから、こうして援助の手をさしのべられるのです。 同じ移民の人たちが不満を持っていることは理解できますが、 他の手段で表現できなかったのでしょうか? 悲しくて涙が出そうでしょうがありません。
暴動の原因 内蔵介さん、 Be-Boyさん、こんばんは。 暴動の原因、といっても一言では言えないと思います。 直接のきっかけは若者三人の感電死、ですが。 超社会主義国家のフランスでは、弱者救済のために強者は税金を納めているわけです(失業率が10%弱にもかかわらず、個人消費は堅調という日本が見習いたいような状況)が、「恐らく救済される弱者から漏れている人がいる」と思われます。 確かに失業すれば手厚い失業保険が給付されますが、就業の機会が始めから全くなかった人は失業という状態に当てはまらないでしょうから(<給付条件は未確認です)。 その強者からの搾取も一定上限を定めようとしています。 また、テロを計画していたという容疑で10人くらいが逮捕されたり、テロ防止の警戒が強く、「一部人種の人々に有形無形の圧力が強まっていた」と思われます。 更に、保守政権の常で、移民制限政策が実施されますので、「不法滞在者は非常に不安定な立場に置かれている」と見受けます。 実際、近時パリ市内でおきた火災による死亡者も不法滞在者と聞いたような気がします、そういった住居を一掃しようという発言もあったと記憶しています。 フランスでは身分証明携行義務がありますので、確かに、変電所に逃げ込んだ人たちは、胸を張って身分証明を提示できない後ろ暗さがあったはずです。 が、一方で、移民を制限すると言っても、もともと共和国の精神で移民を歓迎していた国(それにより中東・アフリカへの発言力を維持)だったのが、ミッテラン大統領下でパスクワだったかバールだったかが内相のとき国籍・移民関連の法令を厳しくしたため、不法滞在者が増えざるを得なくなったという不幸な状況が生まれました。(アメリカのように出生地主義だったのが大きく転換したわけです。) 職を奪われる、という名目で極右政党などは公然と移民排斥を主張し、スターであるはずのジダン等も槍玉に挙げていますが、汚い仕事を移民にさせてきたのも、また、フランスだと思います。仕事はきついが待遇の良い鉄道員などは明け渡さずに、失業保険でぬくぬくと…。 いろんな意味でフラストレーションが高まっているのでしょう。 とはいえ、今回の「暴動」は警察との衝突もあったようですが、実際には、夜間バイクに乗った者が投じる火炎瓶によるゲリラ的な放火が殆どで、大掛かりに組織されているものとの見方はされていないと思います。 もともと、地方大都市では、元旦や14.7(Quatorze Juillet)などにそれなりの規模の自動車放火というのがちょくちょくやられていて、さほど真新しい感じはしません。 ガス抜き程度にやらせているのか、それともフランス警察力はその程度のものなのか。 昔、米仏(NYとパリ)の警察の比較をした文書を読んだことがあります。具体的な数字は全く記憶にありませんが、警察国家フランスの首都パリの人口当たりの警官数、警官の給与はNYのそれを大幅に下回るそうです。その文書の論調は、NYの治安の改善を例に取り、警官の数と質を上げることにより治安維持に効果があるというものでした。 内蔵介さんはアメリカ在住でしたっけ。実際のところは如何でしょうか。 とりとめもなくなりましたが。
Re: 暴動の原因 トベロラカシさん、おはようございます。 自宅ネット接続状態が不安定でお返事が遅くなりました。(HighSpeedInternetなんですけどねえ) >確かに失業すれば手厚い失業保険が給付されますが、就業の機会が始めから全くなかった人は失業という状態に当てはまらないでしょうから(<給付条件は未確認です)。 なるほど、給付に該当しないと経済状況は最悪ですよね。 >更に、保守政権の常で、移民制限政策が実施されますので、「不法滞在者は非常に不安定な立場に置かれている」と見受けます。 >実際、近時パリ市内でおきた火災による死亡者も不法滞在者と聞いたような気がします、そういった住居を一掃しようという発言もあったと記憶しています。 でしょうね。背景は別にすると、あくまで不法な滞在。 一般市民は願って当然でしょう。 >職を奪われる、という名目で極右政党などは公然と移民排斥を主張し、スターであるはずのジダン等も槍玉に挙げていますが、汚い仕事を移民にさせてきたのも、また、フランスだと思います。仕事はきついが待遇の良い鉄道員などは明け渡さずに、失業保険でぬくぬくと…。 フランスに限らず移民を受け入れた国は最終的にこういう結果に落ち着くのは、悲しいですが事実なんでしょう。 それにしても失業保険で・・と言うのはやはり問題ですね。 日本は正規には移民を受け入れていませんが、3Kの職場ではすでにそれに近いものがあるのでは無いかと思います。 ようやく日本のWebニュースでもそういう実態を書き始めました。 >もともと、地方大都市では、元旦や14.7(Quatorze Juillet)などにそれなりの規模の自動車放火というのがちょくちょくやられていて、さほど真新しい感じはしません そうでしたか。 >内蔵介さんはアメリカ在住でしたっけ。実際のところは如何でしょうか。 経った1年で、NYからは離れた郊外のため何ともいえませんが、警官はミシガンでも、路上で見かけると些細なことで違反キップを切る嫌なコップですが、イベントの際は頼りになる・・矛盾した存在です。 デトロイトは70年代の暴動以降、ダウンタウンは治安の悪さで有名ですが、野球場、モーターショーの会場やイベント会場は相変わらずダウンタウンにありますので、何かのイベントの際は警官が大勢集合し、安全であると言われています。 実際ジャズフェスティバルが終了する夜10時、11時でも安心して駐車場まで帰れますが、普段なら歩きたくない・・場所です。 結局、防犯の要は警官である・・と言うことなんでしょうね。 NYについての知識は、皆さんと同じレベルで、前のジュリアーノ市長が、小さな犯罪が大きな犯罪の温床であると言うことで、引ったくりなどから取り締まったとか、若者が武器を持たない自警団がボランティアを組織してパトロールしたとか・・・程度です。 趣味でこじつければ、落書きのひどかった地下鉄車両の外側を、書きにくい、また書かれてもすぐ消せる材料で発注したとか(日本の車両会社が受注していました)・・。(これはジュリアーノさんよりずっと前だったと思います)
Re: オルネー・ス・ボワ Be-Boyさん、早速のレスありがとうございます。 >感電事故をきっかけに暴動に発展してしまった、と考えると、 >なぜRERの治安の問題が起きたときに背景を分析できなかったのか、 >非常に残念な思いでいっぱいです。 問題・・・複雑そうですね。 どういきさつで移民を受け入れたのか、その人たちがどういう状況か・・想像できそうです。 落ち着いたら分析がなされるのでしょうから、状況をお聞きするだけにしておきます。 ありがとうございました。
Re: オルネー・ス・ボワ こんばんは。 ネットで政治のお話はご法度かな。掲示板の趣旨からすると脱線100%ですね。ごめんなさい。 サルコジさんのやり方はいささか拙劣かなあ、って感じます。ヴィルパンさんもENAの人、なかなかどうして、庶民丸出しの移民出身の方達とは折り合いがつきそうもないのではないかしらん。フランス自身にとって自分の身の持ち方、まさに内政問題そのものなので、これからもとてもしんどい問題ではないか、と感じています。 FNみたいに、地元の極右はいても、彼らを代表する立場の人間が公式に政治の場(アサンブレーナショナル)に送り込まれるようにならないとなかなかうまく折り合いがつかないのではないかしらん。彼らも人間だもの、彼らの利益を代表する人間が出て行かないと。移民に労働力を求めたのかもしれませんが、来たのは人間だったということでしょうか。 p.s. それにしてもENAルキーって、今のお互いの経済の敷居が低い世の中では、国の中身をある程度のところで天井打ちさせてしまう、弊害面の方が結果としてでてしまうのかなあ、ってみています。日本で言うと、例えば、成田の貨物便の様をみてください。国が航空業界(JALANA)を守ったところまではいいけど、結局、貨物は粗方北米の業者にもっていかれてしまいました。そういった、あるところまではいけるけれど、やり方でブレークスルーできない(競争力の天井打ち)のは、親方に守られるとどこもそういった傾向がみられるような。 ENAの人達がひっぱる仕組みって、ある程度はいくけど、どうしても、限界打ちが来てしまうような。 私も彼らをむしろ力に出来るような、息の長い取り組みがフランスには必要なのかなあ、って感じています。そうでなくたってたった一度の試験で人生決められるのは、フランスの若者でなくたってたまらないと思いますよ。ENAるきーってみていて切ないです。 昔のローマの様には寛容にはいかないのかな。今のガリアの人達には無理なのかしら。
この一文・・ Tom&Jerryさん、こんにちわ。 >移民に労働力を求めたのかもしれませんが、来たのは人間だったということでしょうか。 するどい一文です。 結局は、実際に仕事をする移民の心を考えず、単に労働力としかみなしていない政府。 反対に、わずかならでも食べてゆける稼ぎがあれば、親族も頼って来るわけだし、中には不法侵入もいとわないってことになるわけでしょう。 残念ながら、許されることではないのですが、仏政府は反省しないといけませんね・・・。 >昔のローマの様には寛容にはいかないのかな。 ・・塩野七生さんの本を少しずつ読んでいる最中ですが、正々堂々と戦って、負けた相手のみ寛容にだった様に思います。 >今のガリアの人達には無理なのかしら。 (それほど知識はありませんが)傍目に、エリート国家で、突然社会主義国になってみたり、過去は自国の王や女王をギロチンにかけた国と言うことで、憧れの国である反面、変な国であると思っています。 ギロチンの件は、首を切られるまで贅を尽くした王室も問題だとは思いますけどね。