12月中旬のこと、ハワイからの帰国便で半ばを過ぎて、
成田まであと3時間くらいになった時、突然のオプショナルツアーが発表された。
発表は機長からだった。
この飛行機は、2基あるエンジンのうち1つが停止したため、
現在は1基で飛行しています。
そのため、「一番近いWake Islandに着陸します。目的地までは1時間余りです。」
見ると、座席の前の飛行モニターは、西を向いていた飛行機が南を向き、目的地はAWKになっていた。
フライトも静かで、滑走路には消防車が待機していたが、着陸も何事もないようにスムーズだった。
Wake Islandは米軍の基地の島で、、基地以外は本当に何も無い、周囲数キロの珊瑚礁でできたごく小さな島だ。
時刻は現地時間の5時頃で、夕方の海は綺麗だった。やがて暗くなって来た。
宿学施設やレストランなど、もちろん無くて、たぶん機内で夜を明かすしかないだろうな~と感じた。
着陸すると、しばらくして機長からアナウンス。
「滑走路と、小さな空港建物に行く許可は出たが、機密上のことが有りそれ以外はダメ。
今夜は、機内で過ごしていただき、成田到着は1日遅れ、
明日の朝、救援機が来て、午前11時頃に出発、成田着は午後1時頃。」
Wake Islandと日本の時差は3時間。
滑走路に降りると、空気はハワイよりも暖かい。
珍しく乗客は3割程度で、100人程だ。
ケータイは圏外、インターネットも繋がらない、南海の孤島。
安定した着陸と、今後の予定が示され、みな動揺もなく、落ち着いて朝を迎えた。
そして、翌日は予定通りに成田に到着した。
本当に突然の、オプショナルツアー。
帰国して、調べてみた。
2基のエンジンで飛ぶ旅客機は、航路上に3時間以内に着陸できる空港があること。
今回の機体はたしか、B330-300 だった。
ハワイから日本に向かう飛行機は、時速180km位の強い逆風を受ける。
あと3時間、とんで飛べないことは無かったようだが、リスクを少なくするための緊急着陸は、乗客としても、良かった。
なかなか出来ないオプショナルツアーで、不安に思えばキリが無いが、これも楽しい旅だと思った。