昼食で入ったとある牛丼屋(都内)でのこと。隣の客がサイドメニューの冷ややっこを頼んだのだけど、店員が誤って手をすべらして、皿ごと客の方に落としてしまった。その客はズボンを少し汚してしまった。
「一体何やってんだよ。・・・・」みたいな悪態をついたので、ややクレーマーかなあ、と思いつつ横目で見ていたら、店員はひどく恐縮し謝罪の上、客のズボンを拭くために台拭きを渡そうとした。
その客は「台拭きじゃないだろ、ちゃんと新しいおしぼりを持って来いよ。」この店員は外国人であることはすぐに分かったのだけど、彼はすみませんを連発しながら、さらにカウンターを乗り越えて台拭きで客のズボンを拭こうとする。この客のいうことは至極真っ当な要求で、ズボンを汚したのだから、台拭きでなく、ズボンの汚れを拭くために新しいおしぼりを持ってきてくれ。・・・牛丼屋なので「おしぼり」を持っているとは思わなかったけれど、であれば、新しいタオルなりなんなり、マニュアルにもあるはずだよなあ、と他人事ながら考えていた。
彼は、相手に通じてない、と判断したのか「日本語のしゃべれるやつはいないのか?」と怒鳴った。問題の店員の日本語は横で聞く限りでは、そんなに問題があるとは思わなかったが、とりあえず、責任者なりシフトリーダーが対応すべきだろう。「どうしましたか?」とリーダーらしき別の店員がやってきたが、「どうしましたか?」は明らかに外国語なまりで、彼も外国人である。
その客は不満げだったが、状況を簡単に説明し「新しいおしぼり」を持ってくるように言った。が、新たに来た店員も謝罪の日本語を口にしつつ、別の台拭き・・・そっちの方が汚れていた・・・を持ってきて、ズボンを拭こうとした。
客もさすがにこれには切れた(んじゃないかな、と私は思った。)。「日本人はいないのか、日本人は。」と再び怒鳴った。先ほどやってきたリーダーらしき店員が即答した。「日本人はいません。」「・・・・・。」店員は4人くらいいたのだけど、そこに日本人はいなかった。
私はちょうど食べ終わったので、そこで店を出たので、最後にどうなったのか、までは知らないのだけど・・・・日本語のコミュニケーションが国内でも難しくなってきているお話です。