パリに行くと決めたときには、二日間の夜をどうするか、が、まずは課題になった。一日はクレイジーホースに行く(!)ことで悩まなかったのだけど、もう一日は当然オペラ座である。東京バレエ団のガルニエでの公演での舞台裏DVDを見たことがあるが、やはり一度は観てみたい劇場である。
が、私の二日間にはそもそもガルニエでの公演はない。逆にバスティーユではヴェルディの「Il Trovatore」をやっている。・・・ご存知の通り、パリのオペラ座というのは二つの劇場があり、一つはいわゆる「オペラ座近辺」とかいう時のあの建物・・ガルニエ宮・・・こちらは主にバレエ公演が多い、と、1990年から使われているバスティーユにあるオペラ・バスティーユと言われる劇場・・・こちらは主にオペラの公演が多い、となっている。
オペラ好きだと「Il Trovatore」をやっているなんて何てラッキー(ただ、私の到着する二日前までは、有名なソプラノの人がでていたそうで、その人は見られない。)と思うかもしれないが、オペラはねえ・・という私にとっては、バスティーユで「Il Trovatore」と言われても(しかも、この「Il Trovatore」はストーリーが難しい。・・・)・・・なのだけど、やはり場数を踏むことが大切である。チケットゲットに走った。
前にも書いたが、ネットで非常に簡単に取れる。(空いてれば、だけど。)直感的にも優れたシステムで、英語画面も問題なし、である。が、問題は値段である。一番高い230ユーロは売り切れていたが、二番目に高い190ユーロは残っている。・・・ヨーロッパでは安く観劇できるというのは一体どこの話なんだろう。金額は忘れたが一番安い席でも新国のZ席よりは高かったような気がする。安い席で何度も観るというのが王道なのだろうけど、ここは高い順に買ってみることにする。ということで、190ユーロ・・・翌日のクレイジーホースと合わせると、カタール航空でヨーロッパまでもう一往復できる。・・・
せめてきちんとしたチケットに引き換えたかったが、当日はストラスブールから17時前に着くため、19時半の開始時間を考えると、チケットを巡ってドタバタしたくなかった。仕方なくA4の紙に印刷して、持っていくことにした。(この辺の融通が利くのはいいことなんだろうけど。)
当日はホテルをモンパルナスのVavin駅近くに取っていたため、何となく近い気がしていたのだけど、例のシャトレ乗換で案外時間がかかる。(ホテルについては別途書きたいが、目的地が全てセーヌ川右岸にあるのにモンパルナスにホテルを取ったのは、やや反省、である。)それでも30分前には着いた。
駅から上がるとすぐに劇場へのアプローチがあり、新国みたいな感じである。小雨が降っていたが、そんなことに関係なく荷物チェックが厳しい。中に入ると・・・なんかがっかりである。これが「オペラ座」なのかあ。新国と雰囲気的には似た感じがしなくもない。バイエルン歌劇場はもとより、コスタリカのサンホセにスペイン人たちが執念で作った国立劇場の方がまだ、「ヨーロッパ」という感じがする。
時間になって入ってみたが・・・・確かに大きな劇場ではあるが、当たり前だけど現代風な内装で、ヨーロッパ・・・という雰囲気ではない。休憩の時に分かったのだけど、ホワイエにあたる部分はとても狭くて、人があふれている。トイレもいまいちだし・・ちなみにトイレの手洗いが足で蛇口の開閉をいる方式で、これは分からなかった。