イギリス鉄道事情あれこれ(3)

5.Virgin Trains(VT)の食事
欧州鉄道事情通の間では良く知られた話であるが、VT↓の1等は食事つきである。ブリットレイルパスでも追加料金は不要である。ヨーロッパの鉄道では1等車で食事を提供する例はスペインのAVE、EurostarやThalys等ある。いずれもパスの場合は高額な追加料金が必要であるが、太っ腹なVTは追加料金をとらない。ただし食事がでるのは平日のみであり、土日には供食はないので注意。
http://www.virgintrains.co.uk/trains/first-class/

帰国日にロンドンにいた。パスは夕刻にHeathrow Expressを利用するだけのつもりでいたが、無料の朝食を食べようと思いたちVTにバーミンガムまで乗ることにした。バーミンガムで用事はないのですぐに折り返して昼前にはロンドンに戻ってきたので、この間に2回のEnglish Breakfastを摂ることになった。さすがにこれは重く昼食は抜いた。パスを持っているとタダ飯にありつけるという例である。夕刻にこれをやれば夕食を浮かすことができたが、この妙案を思いついたのは最終日であった。まぁ、このようなことをするほど貧しくもないが。

なお、Crosscounty Trains(XC)の長距離列車も1等は無料の食事がでる。リゾットはおいしかった。でも食事の質はVTのほうが上である。また、National Express East Coast(GR)等の1等は飲料等は無償であるが、食事は有償である。それ以外の社も1等車は飲料やスナック菓子等が無料で提供されるが、すべての列車にそのようなサービスがあるわけではない。
ロンドン-スコットランドの鉄道による移動では、東海岸経由と西海岸経由の2ルートあるが、1等車を利用する場合、食事無料のVT(西海岸ルート)か食事有料のGR(東海岸ルート)であり、食事の有無が選択肢となりうるだろう。

6.Javelin
今回一番乗ってみたかった列車。日立製作所製のイギリス最速の高速電車で、ロンドン(St.Pancras)とアッシュフォードやドーバーを結んでいる。日立のTVコマーシャルにでてくる青い電車である↓。
http://www.youtube.com/watch?v=-_FFDX0yqKg

車体は新幹線であるが、車内は近郊電車仕様で、そのミスマッチ感がおもしろい。つまり外観は新幹線で車内は横須賀線や東海道線の電車のようなもの。さすがに日本製だけあって日本車の雰囲気がある。乗り心地は路盤がイマイチなせいか日本の新幹線よりもいくらか揺れるような気がしたが、他のイギリスの路線よりは良い。
乗って楽しいものではないが話の種になるだろう。

以上

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1件のコメント

  • 興味深く拝読しました。

    イギリスの鉄道会社も進化している、ということのようですね。

    イギリスでは、(日本の国鉄時代のように)長距離の各停が多く見られました。
    日本では効率向上のためにどんどん短い編成、短区間運行に移行しています。
    その点では、イギリスも変化していますか?  旅客には不便なことですが。

    さて、引用のリンク先、日立のCMのナレーションに違和感があります。
    「 発電したエネルギーを蓄えて再利用する」 という部分です。
    エネルギーは、発電して作るものではないでしょう。

    「 減速(制動)時に発電した電力を蓄えて」 なのでしょうね。


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    Re: 興味深く拝読しました。

    長文を読んでいただきありがとうございます。

    イギリスでは面白いルートを走る長距離列車があります。たとえば、Manchester-Birmingham-Oxford-Southamptonとか。ロンドンに近づくがあえて避けるような経路で、日本で言えば長野-前橋-小山-水戸のようなルートです。イギリスは分割民営化の様相が日本とはまったく異なり、地域ごとの分割×長距離列車運行会社なので、とても複雑で奇妙なルートの列車があります。JRは基本的に地域分割なので、鉄道会社をまたぐ列車はJR化後に激減しました。
    ドイツにもMunchen-Frankfurt am Main-Berlinと三角形の2辺を行くようなICEがあります。JRだったらFrankfurtで2分するでしょう。

    イギリスの鉄道で特徴的なのは、ディーゼル大国であること。例えばGlasgow-Edinburghは15分おきに快速列車がでていますが、電車ではなくディーゼルカー。しかもおもしろいことに平行して電化路線もありロンドンからの長距離列車は電気機関車牽引で走っています。黒煙をもうもうとあげて出発するディーゼルカーを見ていると、地球に優しくないなぁと思います。どうしてイギリスだけはディーゼル大国なのか不思議です。
    さらに自動車用ディーゼルエンジンはメルツェデスなどがクリーンエンジンを出していますが、鉄道車両用はないのかねぇと思います。

    日立CMのナレーションについては仰せのとおりと思いますが、一般には「電力」というより「エネルギー」と表現したほうが、わかりやすいのではないでしょうか。エネルギーは広義には電力を含みますので、間違いではないと思います。