バス停からかなり歩くよ

　今年の５月１日から新しくできたＤＢ３３０番路線だね。人気のノイシュヴァンシュタイン城は、エッフェル塔より新しい十九世紀末の鉄骨コンクリ製のインチキ中世城だが、エルツ城は本物。それこそノイシュヴァンシュタイン城のデザインのモデルになった城のひとつだ。ちょっと前までは城も周辺もひどく荒れ果てていて、蔓が絡まって、眠りの森の美女の城、と呼ばれていた。ほこり臭くて、おもしろいぞ。（もっとも、この城は、独仏をつなぐモーゼル川から外れていて、戦略的な重要性がまったくなく、ナポレオン戦争でも、二度の世界大戦でも、独仏両軍が無視して通り過ぎ、それで現代にまで無傷で残ってしまった、という、しょうもない遺物で、城主一家がいまでも上の方の階に住んでいる。）
　バス停から、城のある谷底まで、急坂を下って行って、３０分くらい歩く。登りはもっと大変。手ぶらで、帰りの時間に余裕をもって行こう。（ワンボックスの乗り合いタクシーが坂を往復しているものの、かなりいいかげん。）また、周囲に買い物できるところもない。飲み物や食べ物も持って行った方が無難。（小さなレストランはあるが、時間によっては満席で、かなり待たされるだろう。）
　城を入ってすぐの左側の小さな建物でチケットを買う。城内は狭いので、荷物はここに預ける。城内はグループツアーで回る。ドイツ語組と英語組が15分ごと。ツアーは約１時間。日本語の解説はない。スタート時間を確認しておいてから、その手前にある博物室を見ながら待っているとよい。ただし、この博物室も迷路みたいになっているので、あわてても、すぐには出られないかも。どのみち、ノイシュヴァンシュタイン城などに較べれば、なにもかもちっぽけで、そこがまた魅力的だ。