体験記7 おそるおそる外に出てみたのですが、外で誰かに制止の声をかけられると言うこともなく、拍子抜けをするくらいに普通に外に出ることができてしまいました。 おそらく、彼らにとってみれば、先ほど私に行ったようなことは日常茶飯事のことなので、罪の意識も何もないのでしょう。勿論、この事実を警察に話したところで、大統領選挙の最大の争点がいつも汚職の追放という国です。空港の職員からこのホテルまで、全てが有力者の影響下にあることは疑いないわけです。従って、警察としても有力者には手も足も出ないことから、私がこのような目にあったと言っても、結局話を聞くだけに終わってしまうことは確実なので、安心して私を外に出すことができるのでしょう。 外に出てみると、右側に大通りが見えたのでそちらに行ってみました。とても大きな通りなのだけれど、他の道では交差点に行くと、道路の標識があるので、ここはどこだと言うことがすぐにわかるのですが、フィリピンのこのあたりの道路には道路の表示板が見あたらなかった。 辺り一帯はスラム街のような感じで、高いコンクリートの建物が密集して建っているのですが、建物に人の気配が全く感じられないために、心中穏やかではなかったけれど、クルマの交通量はとても多いので、襲われる心配はないだろうと思ってとりあえず大通りを右方向に歩いてみました。しかし、どこまで歩いてもこの大通りがなんだかわからないので途方に暮れていたのですが、歩いているうちにだんだん人通りが多くなってきたところでちょうど大きな教会が目に入り、そこの入り口に警備員と思われる制服を着て立っていた老人が目に入ったので、老人の前に行って、この道路は何という道路かと地図を差し出して尋ねると、老人はRoxas Boulevardと書かれた所を指さしました。 この老人の行動に間違いがなければ、この先の道を右に曲がるとバクララン駅に行くのではないかと思い、先に行くと運良く右に行く道にでることができ、道の両側にはびっしりと朝市のような感じの店が並び、同時に大変な大にぎわいの状況になりました。これはもしかして地図にあるバクラランマーケットなのではないのか。もし、この予感が当たれば、ようやくこちらに運が向いてきたことになると思って歩いていくと、まもなく、モノレールのような高架が見えてきました。これで、ああ、あのホテルはこんなに駅から近いんだ。ということは、あのごろつきと一緒にクルマで走った距離なんて、せいぜい1キロか2キロくらいでしかない。こんなわずかな距離を走って500ペソだなんて、全くとんでもないペテン師だと思うと腹が立ちましたが、フィリピンと言うところはそういうところなのだと言うことで、まさしく聞いていたとおりのことが自分の身にも降りかかってきたと言うことなのであって、フィリピンに来たからにはこうしたイヤなことを経験しないではいられないと言うことなのだ。と思うと同時に、自分のいるところがわかったことで安心感がわいてきました。 これで明日は、この高架鉄道に乗ってエルミタに行くことができる。
体験記8 このあと無事にホテルを出ることができて、エルミタに高架鉄道で行くことができました。 これまでの状況を振り返ると、いかにもフィリピンと言う国はとんでもない国だという印象を与えることになってしまったかも知れませんが、エルミタに行ってからの一般のフィリピン人と接した限りでは、皆穏やかで親切な人ばかりで、フランスやイタリアのようなラテン系の国では言葉が不自由だと知ると、とんでもない金額を提示してきたり、おつりをごまかすなどと言うことは珍しくも何ともないけれど、フィリピンでは最初に電車に乗るときでも駅の係員が親切に教えてくれ、乗車券を買うときも、お金を適当に出したけれど、ごまかすなどと言うことは全くなく、商店で買い物をしたり、スーパーマーケットでも同様の対応で、とても気持ちの良い旅を続けることができました。 トロピカルフルーツは、タイでは価格が書かれていないことが多く、外国人だと言うことになると、高額な価格を言ってくるのと、路上で売っているものはあまり衛生的とは思えないようなのが直接手でいろいろといじくっているのをみると買う気にはなれなくて、タイではあまりトロピカルフルーツを買うと言うことがなかったのですが、フィリピンでは価格が明示されていて、しかも信じられないくらいに安いので、お昼はマンゴーを1キロ買って食べるというようなことをやっていました。1キロでも安いところでは35ペソ、日本円で70円ほどです。あまりにも安いので、果物ばかりを食べていたら、下痢になってしまい、その後は普通の食事もするようになったほどです。 また、女の子は日本の女の子のようなつんつんした感じの子は殆ど見ることがなく、日本では気の強い女が増えてきて、いかにも気が強そうなきつい目つきをしたのが多く、私のような中高年の男を見ると、さげすみの目で見たり、あからさまに軽蔑の目つきで見る。このために気の弱い男は女に話をすることができずに、結婚をしたくてもできないというのが急増していますが、フィリピンの女の子は日本の昭和30年代のような感じで、穏やかでとがった感じがほとんどないことから、言葉の問題がなければ気の弱い男はフィリピンに来て、こちらの女の子と結婚した方が絶対に良いと思ったものでした。 物価がタイと比べても安く、お金の価値が高いので、ほんとうに生活がしやすい国だと思いました。これで汚職がなければ、ほんとうにこの国はすばらしい国だと思ったものでした。
5という数字の左側に1と書きこんだ国 etigonotoraさん、一通り読み終えました。 一般の方の視線というものが見えて、面白いレポートでした。 ただ、もう少し「NO!」という根性を見せつけてほしかったです。 フィリピンの入国管理官の賄賂の話は、世界的にも有名な話です。 勿論、公務員や警察官、誰も信用できません。 私はマニラ→セブシティ→ドゥマゲッティまで旅行してきました。 他にもいろんな国を見てきました。とんでもない経験をいろいろしましたが、 一例を挙げれば、エルバサルバドルに入国時、 イミグレで5Daysの滞在許可しかおろしてくれませんでした。 私があまりにも怒って苦情を言ったら、 5という数字の左側に1と書きこみ、15日間の滞在が許可がおりました。 何ていいかげんな国だと思いましたね。 フィリピンもエルバサルバドルに近いですね。
追加(ホテルについて) 日本に戻ってからネットで地図を見ると、私が悪党に連れて行かれたホテルの場所は、エアポート・ロードがロックサス・ブールバードにぶつかったところのエアポートロード側に建っているホテルだと言うことがわかりました。地図には最大に拡大してもホテルは載っていないけれど、すぐ斜め前にあったガソリンスタンドが載っていたので、確認がとれました。 地図で見たのと実際に見た印象を総合すると、この辺りは埋め立て地らしく、だから地盤が軟らかく、しっかりとした基礎工事をしなければ建物全体が揺れるのは当然のことなのに、見えないところには手を抜けるだけ手を抜くという建築業者の性のようなものが、フィリピンといういい加減な国では顕著に出ていると言うことのようです。 このホテルの名は「CROSSWINDS OCEAN HOTEL」というもので、これはカウンターの女が全く悪びれることもなく、宿泊料金を支払った際に、領収書を渡してくれたのですが、そこに書かれてあったものなので、まず間違いないはず。このホテルはずいぶん前に建てられた古いものらしく設備は古めかしいし、周囲の環境も荒涼とした荒れ果てた印象に満ちたもので、お世辞にも魅力的なホテルとはいえないために、通常の営業では好きこのんでこんなところに来る客はまずいないと言うことから、黙って客の来るのを待っていたのではホテルの維持すらも難しいという状況になっているからなのでしょう。それで、ごろつきに頼んで強引に客を引っ張り込むと言うことをしているのでしょうが、エルミタに行けば1500位でもっとましなホテルがいくらでもあるので、何らかの関係で、上記のホテルを紹介されるということがあったとしても、拒否することをおすすめします。 翌日エルミタで泊まったのは、santos Holseと言うところですが、1500ペソということで少し高いと思ったけれど、エアコンはもちろんセパレートで、静かで日本のものと変わりはない。シャワーも前日のところではお湯は出るものの水量を多くするとどんどん水に近づいて行ってしまうので、結局弱々しい水量でシャワーを浴びるしかなかった上に、水量を調節するのにえらい手間がかかってしまうという代物で、シャワーを浴びるまでが一仕事というひどいものだったのに、こちらは普通の水量でお湯の温度も水量もワンタッチです。 悪党が、エルミタなんてあんなボロな町、あんなボロホテルとエルミタのことを盛んにけなしていたけれど、ボロな町、ボロホテルは自分が紹介したところということがよくわかったというわけです。 こちらのホテルは、鍵もドアを閉めると自動的にロックされ、開けるのはカードを近づけるだけで自動的に開くというもので、悪党が紹介してくれたホテルの、安ホテルと同じ押しボタン式の安物の鍵とはとんでもない差がありました。 しかも、ここは1500ペソで朝晩食事付きですから、食事のでない一般のホテルと比べると実質1000ペソ以下と言うことができます。このホテルは地球の歩き方には載っていないけれど、マビニペンションに行ったところ満杯だと断られ、仕方なくその隣に行ったのですが、却って良かったと思っています。