レポート

イラン・クルドの人々との思い出

公開日 : 2014年09月07日
最終更新 :

 8月上旬、イランの西部にあるクルデスタン州へ行ってきました。テヘランやイスファハン、シラーズなどと比べてずいぶん涼しく感じられました。というもの、ザグロス山脈山中にあるため、水が豊富で緑が多いからです。土漠になれた目に痛いほどの緑いろでした。
 イラクと国境を接しているため、最近は日本の外務省海外渡航情報では赤になっていることが多いのですが、地元のガイドさんに状況を確かめると、全く問題がない、というので思い切って出かけることにしました。
 1日目は、州の北西にある、マリヴァンという町に泊まりました。そこにはザリヴァン湖というイランでは珍しい淡水湖が広がっています。夕方になると、家族連れやグループなど、ボート遊びや散策を楽しむ人たちで賑わいます。二人の若者が釣りをしていましたが、なかなか魚がかからなさそうです。でも、向かいの砂州では年季の入ったおじさんが次々と釣り上げていました。夕日が山の向こうに沈んでいく様子は何とも言えず郷愁を感じました。
 ホテルに戻ると、隣のサロンで結婚式が始まっていました。朗らかなクルドの人たちに、結婚式においで、と誘われるまま、ちゃっかり参加させてもらいました。特に女性の服装は色とりどり、ちょうど男の人たちの踊りが始まっていました。みんなで横に並んで同じステップを踏んで踊りますが、先頭の人は特別に、立ったり座ったり、クルクル回ったりとテンポよく踊って見せます。場が盛り上がってくると、新婦も新郎もお踊りの輪に入っていきました。彼らのお父さんやお母さんは満面の笑みです。どうぞお幸せに。
 2日目はフラマーンという、家々が山肌にへばりついている村へ向かいました。細い道を下っていくと、キャラネ、の看板。薄く延ばしたパン生地に青ネギを散らして焼き、バターを塗ったシンプルなパンです。アツアツがとてもおいしく、地元の炭酸たっぷりのヨーグルト飲料と相性がぴったりでした。
 村の真ん中にあるイスラム寺院へ。金曜礼拝の時間でしたので、連れだって向かう地元の人に交じって階段を上っていきました。この村は階段と坂道ばかり、しかし、どんなお年寄りも息を切らすことなく淡々と登っていきます。男の人たちは、フェルトで作られた羊飼いのベストに粋なターバン姿。腰のベルトは日本の着物の帯を連想させました。ベストは肩の部分が角のようにピンと突き出しているのがユニークです。途中、いろんな人たちに挨拶を送ったり、送られたり。と、突然日本語で、こんにちは、と声をかけられました。以前日本に滞在したことがあるという村の男性でした。
 寺院は、石で作られていました。煉瓦造りにはない堅牢さと沈着さを感じました。建物の中に入ると、壁には預言者やイマームの名前がぐるりと彫刻されていて、クルミの木でできた2本の重厚な柱がしっかりと天井を受け止めていました。寺院の2階の窓から、涼しい風が入ってきます。しばらく遠く眼下に広がる風景を眺めていました。
 これからも素敵な場所を探して、イランを旅していこう!
 

 

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