レポート

シンガポール語雑感・・・・その1

公開日 : 2011年07月05日
最終更新 :

 前回、シンガポールに行った時は、まだ一人旅を始めて日が浅く、シンガポール語のことなどに考えが回る余裕がありませんでした。今回もまる三日間しかいなかったので、シンガポール語で困る事はありませんでしたが、それでも色々とふーんと思うことがありました。

1.英語
 シンガポール人を見ていると、まるで初めてしゃべる人に対しては、相手がどんな肌の色だろうが、必ず英語で話しかけて、そこでコミュニケーションを取っています。これは、実はなかなかすごいこと。のように思えます。私も過去に「多言語国家」というのは、行ったことがありますが、そういう場合は、まず「言葉の地域」が分かれているので、あまり違和感がないのですけど、この国みたいに、街中を歩いていて、一体相手は何語を母語にしているか分からない。という国は、あまり多くない気がします。そもそも、本当に日常生活で英語で物事を考え、常に英語しか喋らない。というシンガポール人はどのくらいいるものか・・・・わたしが地下鉄とか街中で、きちんと英語で「だべっている」(?)複数の人たち。というのは、三組くらいしか見ませんでしたし・・・。

 まじめに英語で長々話したのが、タイガービールのガイドのお兄さん、DBS銀行の受付のお姉さん、同じく口座を作ってくれたお兄さんの三人だけど、これが聞き取りにくい。この三人とも、国を代表する企業の職員だし、仕事柄、英語をきちんとしゃべらないと色々と差し支えると思うのだけど、色々悪口を言われる香港人の英語の方が相当分かりやすいと思ったのは慣れのせいか?・・・・この点、外人に分かりやすい英語をしゃべるという点では、ニューヨーカーが一番だ。思うのですけど、また、その思いを強くしました。

2.中国語
 この国で違和感を感じるのは、簡体字で表記することで、大陸以外では使わない文字を何で採用するのだろう?あなた方は、台湾人や香港人のように中国の伝統を守ろうという気はないのですか?(全く余計なお世話ですけど。)と、思ってしまう。外資企業も追随しているし・・・HSBCなんか「匯豊(これは日本式漢字)」を繁体字で書くといかにもお金がたまりそうに見えるけど、簡体字で書くと、えらく貧相に見えるので・・・で、当地は貧相字で表記です。

 政府は正しい北京語で話しましょうと宣伝しているらしいけど、これまたきれいな北京語でしゃべっている人たちはついぞ見かけませんでした。福建の人が多いと言いますが、中国系の小中高生も聞きなれない中国語(少なくとも、広東語、北京語ではない。)でしゃべっているし・・・・書き言葉は確かに「北京語」で書かれていているのだけど・・・。MRTの駅名も英語と北京語は必ずあるし、英語と北京語のみ書かれている。というものは多いので、幻の第二位の地位を占めているのか・・・おもしろかったのはチャイナタウンが実は「にゅうちゃーしゅい(牛車水)」という地名が中国名になっていること、リトル・インディアの「小印度」でそのままというのは、関心のないところにはどうでもいい適当な地名しかつけない中国人の習慣がそのまま出ていて、おもしろいと思いました。

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3件のコメント

  • シングリッシュ

    シンガポール人同士なら理解できるのでしょうが、あの訛りには苦労します。
    ナイトサファリのガイドは帰国子女なのか訛っていませんでした。

    ネイティブスピーカーなら、インディアン、オーストラリアン、アイリッシュ、スコティッシュ、コックニーにも対応できるのですかね? 

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    「ネイティブ」の定義はむずかしいですが

    シングリッシュは、シンガポーリアンであればほぼ問題なく理解できると言ってもいいでしょう。
    もちろん、世代間、コミュニティー間などで言葉遣いに違いがありますから、こっちの若者の会話をあっちのお年寄りが理解できないということは世界中どこにでもあるでしょうね。

    ネイティブ・スピーカーが生粋の母国語をしゃべる人と考えると、日本人を考えてもわかるように、どこの方言でもすぐに理解できるようになる人、他の方言はちんぷんかんぷんの人と、その人の言語生活体験や言語認識(使用)能力によって様々でしょう。
    つまり、ネイティブと言う点と、その言語の訛りや方言などに精通あるいは追従できるかどうかと言う点は、直接の関係はないと考えます。
    ネイティブ・スピーカーと言うと、日本の学校や語学教室にいるような外国人を思い浮かべる方が多いのではないかと思いますが、たとえば、アメリカ中西部や南部からほとんど他の地域にも出ない方とかもネイティブですので。

    シングリッシュは、英語からピジンというかクレオールというか、そういう言語に一部なりかけたようなところがありますから、他の英語話者にとっては、単純に訛りの問題ではありません。
    語彙の問題を中心に中国語(主に福建語)から取り込まれたものがありますから、「○○人の英語」というものとはだいぶ様相が異なります。

    日常、シングリッシュでおしゃべりしていても、できる人はより正しい英語を使えます。
    なまっていないから帰国子女と言うこともないと思います。
    (なまっていなくて、シングリッシュが通じないのであれば、諸外国からシンガポールに来た人でしょうね。)

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  • 中華系が4分の3を超えてますから

    政治経済においては英語で物事を考え、生活では中華系のどれかを使い、中華系の間では普通話によって共通の理解を得るということでしょう。
    国全体、あるいはビジネスを考えている人は家の外では英語が主体です。
    公用語は、マレー語、中国語(普通話)、英語、タミル語なわけですが、日本人が案外知らないのが国語はマレー語ということで、国歌はマレー語で歌われています。

    Wikipedia にも掲載されているように、第一母国語が英語の人が多いです。
    お書きになられたように、福建の方が最大勢力ですが、潮州、広東、客家など、出身は中国南方の多岐にわたっており、共通語は中国語普通話にするよりは英語を使った方が、他の民族(マレー、インド、アラブ)の方々ともコミュニケーションを取りやすいということもあるでしょうし、経済発展、国力増強には英語が必須でしょう。

    高島たいらさんが接触なさったのは、どちらかというと、カスタマー担当者の方々で接客がメインだと思われますが、ビジネスで商談だとか、そういう会話ですとまた違ってくるのではないかと思います。(もちろん、今回ご覧になったような人々がベースにありますが、その上にもっと洗練された層があるということです。)

    香港との違いは、英語が公用語ではあっても、日常の公用語ではないという点ではないでしょうか。(香港の庶民の言語や教育システムについては現在の実態を存じていないので間違っているかもしれませんが)
    香港や中国の中華系の人は外国語として英語を学ぶのに対して、シンガポールは日本で国語を学ぶように英語を学びます。
    日常使う言語というものは変化が激しいのは、ご納得されると思います。
    まあ、どちらかと言うと、インドやフィリピンの方の英語に位置づけは近いと思われます。
    そんなこんなで、日常言語として使っていくと、当然ローカライズされる部分が増えますので、シングリッシュはやめて、標準的な英語を使おうということが出てくるのですね。

    さて、MRTの駅には4つの言語で表示があります。ただし、目立つように表記されているのは、基本的に英語で、それに加えてチャイナタウンでは中国語が目立つようになっていると思われます。
    中国語の表記(字体)に関しては、シンガポール(政府、企業)としては普通話に準拠した方が利益があるということでしょう。
    正体字や繁体字を使うところでは使ってると思いますが、わかりやすくて客が来るんだったら簡体字でも儲かりますね。特に中国人旅行者が増えているし。^^;)

    チャイナタウンが牛車水というのは、要するに今のチャイナタウンは、「牛車水」と名付けられた地域に中国系の人が集められたからですね。真ん中にヒンズーのお寺があったり、モスクがあるのも、もともとは河岸のいろんな人が住んでいた場所だったわけで、植民地時代の都市計画の産物です。中華系移民は、あっちこっちに住んでいたので、中華系由来の地名があちこちにあります。もちろん、もともとのマレー系の地名もあちこちにあります。
    チャイナタウン駅に「唐人街」などの中国語名を付けなかったのは、他国のチャイナタウンと違って、そこだけが中華系の街ではないからではないかと・・・。
    リトル・インディアの駅名は、駅所在地付近の古い中華系の地名を付けるよりは、既に有名な地域名の中国語をそのまま駅名にしたのでしょう。

    通りの名前(つまり住所になる)は英語名で付けられていますが、そのもとになったマレー語、中国語などの地名の他にも、なかなか観光客にはわからない、昔の名前が隠されている場合があります。たまに地元の人の情報に出てきたりして、それを知った後では建物の名前などの謎が解けることもあります。
    東京で言うと、西麻布交差点が霞町だったとか、そんな感じだと言えるのかどうか。

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  • シンガポール語雑感・・・・その2

    3.マレー語

     今回はこれが一番謎の言葉。MTRの「車内放送四カ国バージョン」で「Mind the gap」にあたるマレー語がいつも「Be happy,happy(マレー語の綴りは「berhati hati」だったと思う。)に聞こえたのと、マレー鉄道のタンジョン・パガー駅は構内の説明が全てマレー語が一番先に書かれていて、やはり「マレーシア」なんだなあ。と思ったこと。この言葉の謎は、私が探しきれなかっただけなのかも知れないのでしょうけど、マレー語の書籍、音楽を売っているところがない。・・・・ボーダーズ、ページワン、キノクニヤのいずれも英語と中文しかないし・・・音楽も地場のThat's CD shopにも置いてなかったような・・・・そもそも、マレー語話者の若者はどんな音楽を聴くのだろう。・・・・次回のテーマです。

    4.タミル語
     実は、今回一番期待していた言葉がこれで、日本ではタミル語映画の公開が多くて、しかも日本語とタミル語はもともと同じだ。とまで、のたまう学者さんまでいる(?)割には、本屋でもタミル語の情報が少ない。香港は歴史的経緯なのか、ヒンドゥ語世界で、これまたタミル語はほとんどない。・・・・チャンギのMRTの駅で、タミル語で書かれたパンフを見つけた時は感動。(と言っても、私の知識は、ヒンドゥ語は角ばっていて、タミル語は丸丸している。くらいのものだけど。)

     タミル語書籍、CDもリトル・インディアに行って探したから、マイナーではあるのだけど、とにかくあります。ムスタファセンターはタミル語CD、DVDも多く、「タミル語ヒット曲ベスト50、2010年版」みたいなのも売っていて、またも感動。何枚か買いましたが・・・。ここも最近は「ヒンドゥ語をしゃべりましょう。」みたいな話があって、ヒンドゥ語話者が増えているとのことで、大丈夫かなあ。ある国の地方の言葉が別の国の公用語になっているのは、このタミル語とアンドラのカタロニア語くらい。と聞いたことがありますが、頑張ってほしいものです。経済的にもタミル語圏というのは、決して負けてないですけどね。もっとも、当地に出ている銀行はSBIにしろICICIにしろムンバイの銀行ですが・・・・

     ヒンドゥ教寺院のスリ・ヴィラマカリアマン寺院には行きましたが、警備など全くなく、ルールを守ったうえで誰でもどうぞという感じ。MRTの中には「不審物を見たら通報してください。」という東京でもおなじみのお知らせが貼っていますが・・・・髪を隠すベールをはおった女の子と、胸元もあらわなタンクトップにショートパンツ姿の女の子が仲良く話しながら歩いているのを二回見ました。四つの公用語以外にもみんな好き勝手な言葉をしゃべっていても、こういう社会を作り上げたシンガポールには改めて敬意を払うものです。・・・・・・・

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