09/05/23 09:32

政府の行動計画

政府の行動計画とガイドラインが改定されたのが今年の2月17日です。

その内容は、日本独自の5段階。
未発生期、海外発生期、国内発生早期/感染拡大期/まん延期、
回復期、小康期。

ただし、明らかに高病原性のものを想定しています。
よもや、普通のインフルエンザと大差ないものが、しかも中米、北米から
出るとは予想外。これがそもそも想定外。

行動計画
第一段階 海外発生期

厚生労働省は、関係省庁と協議の上、発生国から来航する航空機・船舶につ
いて、検疫法に基づき、その状況に応じて事前に国内検疫実施場所を指定し、
集約化を図ることを検討する。

問題なのはこれ、

発生国から第三国経由で入国する者に対し、航空・船舶会社等の協力を得な
がら、検疫法に基づく質問票の配付や旅券の出国証印の確認を実施するなど、
発生国での滞在の有無を把握し、検疫の効果を高める。

これも可能。

(外国人の入国制限)
・ 発生国の在外公館において査証発給を行う際、査証審査の厳格化や
査証発給の停止等の査証措置を行う。

ただ、全体を読んでみても、大方は対策室の設置、連絡体制などが多く、
具体策に欠けているような気がします。結局事なかれ主義で終わり。

水際対策では二通りが提示され、

パターン1では、
直行便のある主要都市で発生
検疫体制の集約化
停留措置として、発生国からの入国者を全て最大10日間停留
全便運行自粛
代替輸送手段による在外邦人の帰国
査証発行停止

パターン2は
辺境地での発生
検疫は集約
濃厚接触者のみを停留
運行自粛はなし
定期便での邦人帰国
査証審査の厳格化(密入国阻止でしょう)

もう少し本質を理解できる人が中枢に居れば、ここまで狼狽する
ことはなかったのしょう。しかし、行政ばかりではなく、事なかれ主義は
民間も同じ。

とは言うものの、米国や欧州のような、無関心もどうかと思います。
中国の黄砂に混じった汚染物質同様に、海外流出を抑える努力をしろ
と言うくらいのことはあってしかるべき。

また、今回の件は、医療体制の日本と海外との違いを浮き彫りしにしました。
日本では短時間の間に数百人を捕捉し、それの何倍かの遺伝子検査までして
いる。一件数万円のものをですよ。恐らく、米国でも「熱程度で医者に
掛かれるか」と寝ているか無理して仕事をしている人は多いはず。
メキシコでは後者が多かったのではないだろうか。日本の迅速診断を
評価するか、騒ぎすぎとするかは意見の分かれるところでしょうが。

ついでに、機内での感染について。誰か書くと思っていましたが、
誰も書きませんね。

座っていた周囲何メートルの・・・とか言いますが、意外に感染は少ない。
理由は機内の空気の流れ。上から下に流れる。しかも高性能フィルターを
通って再利用(半分とか)されるので、きちんと整備されていれば(怪しい
エアラインはありそう)、横への拡がりは少ない。たしか何年か前に、
この空調システムの故障でほとんどがインフルエンザに罹った事例があった
はず。また、機内感染で一番恐いのは麻疹です。「はしかに罹った子どもを
ハワイに連れて行った」親の武勇伝?などは良く聞くところ(言語道断ですが)。
SARSでは詳しい追跡調査がありますが、いかんせん何処かに行ってしまったので。

私はむしろ、搭乗をさせないシステムの確立が急がれるのではないかと
思います。今回でも、恐らく、ほとんどのかたは搭乗後に発病または自覚症状が
出たのではなく、搭乗前からわかっていたはずです。それでも乗ってしまった。
発覚した数名の数十倍もの人は、多分すり抜けたか、第三国経由で入国して
いるはず。モラルだけに頼るには無理がある。
例えば、荷物検査→検疫(書類、口頭、機械など)→出国検査(あれば)とか
一律に決める。セキュリティーチェックも大昔はなかった訳ですし。

低毒型とは言え、高熱を発し、数日から一週間は仕事も学校にも行けません。
健常人でもこれです。そうでないかたは生命の危険もある。拡げないことは
重要です。それでも低毒型。これが高病原性であったら、考えるだけでも
恐ろしい。今頃、人がばたばたと倒れ、病院は患者とパニックを起こし駆け
込んだ人で溢れ、パンク。医者も看護婦も次々倒れ、流通は途絶え、マスクが
足りないどころではなく、店があいていない・・・

今のうちに行動計画の欠陥、今度の対応の問題点を洗い出すことが必要。
まだ終わっていないが、高病原性に備えての予行演習と捉えれば有意義です。
「そのために有識者会議を計画し・・」では遅すぎるのです。

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