最近のロンドン/英国食事情

レバノンは、元在仏日本大使公邸の料理人(当時レバノン大使公邸の料理人)が、フランスに引けを取らないくらい食材が豊かな、料理をするのが楽しい土地だと仰っていました。パリでも最近、レバノン料理のお店が増えているようで、賑わいを見せています。

同僚のインド人に言わせると、ロンドンのインド料理は本国より美味いといいます。「本国」のものは確かめたことがないし、比較の基準がわからないので?ですが、洗練された高級店が多いという意味かもしれません。確かに満足できる店が多いです。
中華に関していえば、個人的にはベトナム色が色濃いパリの中華のほうがあっさりしていて好みですが、昔中国に長く住んでいた方が「美味しい!」を連発していらっしゃいました。

さて、ロンドン/英国の食事情に関して。
味覚は人それぞれだし、ここまで独断で書くと不快に感じる方も多いでしょうが、私個人の見方です。

よく言われていることですが、確かに20年前と比較すれば相当な進歩をとげているのでしょう。

が、ご安心ください、まだまだ欧州随一の美食の都には程遠い状況にあります。(パリに比べれば、住みやすくていい街なんですけどね。)

結局昨年までの4年間のロンドン生活で、モダンブリティッシュと呼ばれる店、ミシュラン星付イタリアン、星付フレンチをはじめ、そこそこ行きましたが、うーん?(「旅名人」の取材陣は本当に食べたのか?)という印象です。

結局、自腹を切るのがもったいないので、ロンドンでの外食は専ら中華OR印度でした。また、韓国人が多くすむ地域に近かったので、韓国レストランにもよく足を運びました。イタリアン、スパニッシュなどはそこそこ美味しい店が多数ありました(これはパリが漸く追撃を始めた分野かも)。

少ない経験をもって全体を語るのも無理があるのを承知で、印象を述べると、モダンブリティッシュは「見栄え」の、つまり「ファッション」としての料理であるということです。実際にある新聞で発表された英国人の食に関する意識調査(いい加減なものなんでしょうが)にもそれが現れていました。

素材も「それなり」です。これはスーパーや市場で肉魚野菜を買えばよくわかるのですが、ロンドンでは「種類が多い」ものの、素材自体の「味わい・鮮度はイマイチ」なんです。一方パリはその逆。しかも、消費者の行動を見ても、フランス人はよく吟味して選びますが、イギリス人は無造作。
「種類」の多さと「質」、さらに「吟味」の関係は、両都市の食事情をよく反映していると思います。
それに、たかがスーパーというなかれ。そのレベルでの食材の質の違いは、生まれ育つ家庭での食の質の違いに直結しています。

また、味付け、火の通し加減はまだまだ発展途上です。
ハロッズのフードコートでも、スペインやイタリアのハムなどはいいのですが、調理済みのものは…

しかし何といっても、値段が高すぎる、という最大の欠点の一つは隠しようがないです。

また、もう一つ、英国の食事情の最大の欠点は、地方料理が相変わらず「生きるために食う」ものであることです。まあ、それなりのところもあるのですが、これはフランス、イタリア、スペインの現状からは遥か彼方にある、と言わざるを得ません。旅行の楽しみが半減するので、4年間での英国内旅行は、片手で足ります。美味いものが食いたくなると、大陸へ旅をしていました。北フランスにもいくつかいいレストランがありますので、大掛かりなたびでなくとも、ドーバーをくぐってお向かいへ。

今から十年後のロンドン・英国の食事情を確かめてみたいと思っています。

イギリスの食に関して、ついつい、力が入ってしまうトベロラカシでした。

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1件のコメント

  • 世界4大料理はレバノン料理、それと英国食事情

    doubletreeさん、トベロラカシさん、モイモイさん、情報有難うございます。

    レバノンは意外なことにキリスト教徒が多く、イスラム教でも多くの宗派が混在していて、その多様性が食へのこだわりと追求をもたらしたのでしょうか。
    手が込んでいておいしいらしいですね。正月にロンドン~パリへ行きますので、是非試してみたいと思います。トルコ料理とは若干違うのでしょうね。
    (個人的にはそこでベリーダンスも見られるのか?が非常に気になります)

    また、モイモイさんの素敵なインド料理体験が原点、というのもうなずけます。あの時食べたあの味が忘れられないこと、確かにありますね。
    歴史的にもインド料理は英国料理の中で大きな位置を占めていますし、
    美味しい店がありそうです。

    ロンドンもここ数年人種のるつぼ化が進み、それと並行するように味音痴返上キャンペーンに突入していったように感じます。
    (他国出身者が我慢できなくなったのかも?)

    ジェイミーオリバーというシェフのJamies's School DinnersというTV番組で,「食はまず子供時代から」というので、学校給食改善を目指す
    というのがありました。
    ところが・・・。

    大体、給食のおばさん達からしてまず、料理ができない。
    揚げたり、チンしたりばっかりで、「あたしゃ包丁はつかえない」とのたまう。

    格闘の末、なんとかヘルシーで見た目も美しい料理完成。

    子供達、大喜び!・・・・・のはずが・・・。

    「え~、チップスはないの?」「ハンバーガーは?」

    リージョンコードは違いますが、DVDにもなっています。
    http://www.feedmebetter.com/

    また、料理家の栗原はるみさんもTV番組の中で、イギリスに指導に行った際
    「ほうれん草はゆですぎないほうがおいしい、ということをシャキっとゆでてみせればわかってくれる」と発言されていました。

    要するに今までイギリス人は代々料理とは縁がなく、美味しいと感じるDNAが欠如しているのか?と思ってしまいました。

    >しかし何といっても、値段が高すぎる、という最大の欠点の一つは隠しようがないです。

    私も1ポンド=100円の感覚です。
    それゆえ、食べられたら何でも良い、になってしまうのかも。



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    イギリス婦人と家庭料理

    >要するに今までイギリス人は代々料理とは縁がなく、美味しいと感じるDNAが欠如しているのか?と思ってしまいました。

    と、よく言われますが、私の知るロンドン在住の典型的イギリス婦人は、今年で御歳約80才位にもなりますが、昔から、手の入った家庭料理がお得意で、お味もとてもおいしいです。うちの母が料理手抜きをしない方だったですが、食生活や栄養摂取バランスへのマメさでは、うちの母以上と思いました。
    日本人の食生活について、日本人は自画自賛することが多いですが(実際そうでしょうけど)この方から伺える、イギリス家庭の極一般的な食生活は結構な水準にあるとおもっていましたけどね。それが証拠に、この方は見かけが実年例より20才位若いです。食生活がしっかりしてると、かわらないんだなと思いました。ロンドンでも比較的良い住宅地にお住まいの方です。もしかしたら、そういう要素もあるのかもしれませんが。

    先日の夏に訪れた時も(何も連絡せず、ふらっと行った)「今、ペストリー作ってるのよ~」と言って、手を粉で真っ白にして玄関に出てきましたから。典型的日本のお母さんだと、ペストリーなら、神戸屋とかサンマルクとかで買って来ちゃいますよね。

    レバノン料理は、中近東の本場、パディントン駅界隈一帯からマーブルアーチにいくエジウェア・ロード沿いに、めちゃくちゃいっぱいありました。海のものから野菜から肉まで、バラエティ豊富なお料理項目があるようです。良心的価格のテイクアウト屋さんも、ありましたよ。