日本ではあまり知られていない町なので
行く人もほとんどいないかもしれませんが、まあご参考までに。
ラツィオ州の南端、ほとんどプーリアとの境界に近い場所です。
古代に Anxur と呼ばれたところで、奇岩がそびえ
頂上にユピテル神殿があります。
ローマから1時間半ほどで、日帰り圏内と言えるのですが、
平日は列車が1日3本というものの、注意すべきは発車時刻。
ローマ発テッラチーナ行きは、17:51、18:59、20:50の3本。
テッラチーナ発ローマ行きは5:29、6:32、16:35の3本、という
実にとんでもない時刻にしか走っていません。
ただ日曜のみ、ローマ発8:40、テッラチーナ発18:39という
使えそうな時間帯に走っています。
もっともローマ発もテッラチーナ発もこの1本のみです。
というわけで、9月5日の日曜に行ってきました。
本当はテルミニで往復の切符を買って行く方が安全なのですが
もしかして別の経路で帰る可能性も考えて、片道だけ買いました。
着いたのは、果たして無人駅。自動販売機もありません。
乗って来た列車の車掌に、どこで帰りの切符を買うのか聞くと
「町の中か列車の中」と言いかけて、駅にバーがあるのに気づき
「あそこのバーだね」と言い直しました。
要するに鉄道の職員でも、自分の管轄外のことは、
あまりよく知っていない、ということです。
別の経路なんて考えるのはやめにして
取りあえず切符を買っておくことにしました。
バーでは、外国人らしい男性が、たどたどしい英語で
次のローマ行きは何時発か聞いていました。
1日1本しかないというのが、どうも信じられないらしく
何度も確かめてましたが、諦めてバーを出て
わたしたちに海に行く道を聞いてきました。
海なんて考えてなかったので、通りがかった地元の人を呼び止めて通訳し
さらにローマ行きの列車についての同じ質問も通訳し
やはり同じ答えだったので、ようやく諦めたらしく、
教えられた海の方に歩いて行きました。
海までは遠いよ、バスもタクシーもないよ、と言われたのに。
まあね、これだけ人が住んでるのだから、
もう少し交通の便が良いと期待するのも無理はない。
わたしたちは、そのまま旧市街に入りました。
あまり活気のない、古い古い町、というのが第一印象で
こんなところで夕方まで時間をつぶせるのか心配になるほど。
古代の礎石や装飾的な組み方をした壁の一部が残るフォロ。
中世の頃に作られたと思われるアーチ。
鮮やかな装飾を施された鐘楼を持つ教会。
出土品を収めた、小さな市立博物館。
わずかに敷石が残る、旧アッピア街道の名残。
あまり人影もない中を、午前中いっぱい歩き回り
それから道を下って新市街に出ました。
新市街は、旧市街とは打って変わって店舗が並んでいます。
海に近く、いかにもリゾート地といった雰囲気のレストランなどが軒を連ね
山の方を見ると、まさに奇岩といった岩山がそびえていて
その一つの頂上にはっきりと神殿の形が見えます。
レストランの一つで昼食をとりました。
今回はアパートメントに滞在して、ほとんど自炊ですませていたので
これが唯一のレストランでの食事になりました。
パランツァ(底引き網)と呼ばれる、何種類かの小魚のフリット、
アッバッキオ、本日のお野菜(焼いたナスとホウレンソウ)、
ミックスサラダ、ワイン、水、コーヒーで、チップを含めて40ユーロ。
パランツァは海辺ではよくあるメニューですが
ここの魚は少し大きめで、シシャモぐらいの大きさのが数種類。
骨ごと食べるのは無理だったけど、新鮮でとてもおいしい。
やっぱり海に近いところでは、お魚をとるのが正解だと思いました。
わたしたちのすぐ後ろの席で、ドイツ人らしいグループが
携帯で知人か家族に電話してましたが
「ここは28度よ。夢みたいだわ」と言ってるのが聞こえました。
たぶんドイツは寒いんだろうな。
でもこの人たち、どういう交通手段でこの町に来たのかしらん。
ドイツでは比較的知られた町のようだけれど
列車の便があれだから、車を使っているのかもしれません。