レポート

Terracina

公開日 : 2010年09月15日
最終更新 :
退会ユーザ @*******

日本ではあまり知られていない町なので
行く人もほとんどいないかもしれませんが、まあご参考までに。

ラツィオ州の南端、ほとんどプーリアとの境界に近い場所です。
古代に Anxur と呼ばれたところで、奇岩がそびえ
頂上にユピテル神殿があります。

ローマから1時間半ほどで、日帰り圏内と言えるのですが、
平日は列車が1日3本というものの、注意すべきは発車時刻。
ローマ発テッラチーナ行きは、17:51、18:59、20:50の3本。
テッラチーナ発ローマ行きは5:29、6:32、16:35の3本、という
実にとんでもない時刻にしか走っていません。

ただ日曜のみ、ローマ発8:40、テッラチーナ発18:39という
使えそうな時間帯に走っています。
もっともローマ発もテッラチーナ発もこの1本のみです。

というわけで、9月5日の日曜に行ってきました。
本当はテルミニで往復の切符を買って行く方が安全なのですが
もしかして別の経路で帰る可能性も考えて、片道だけ買いました。

着いたのは、果たして無人駅。自動販売機もありません。
乗って来た列車の車掌に、どこで帰りの切符を買うのか聞くと
「町の中か列車の中」と言いかけて、駅にバーがあるのに気づき
「あそこのバーだね」と言い直しました。
要するに鉄道の職員でも、自分の管轄外のことは、
あまりよく知っていない、ということです。

別の経路なんて考えるのはやめにして
取りあえず切符を買っておくことにしました。
バーでは、外国人らしい男性が、たどたどしい英語で
次のローマ行きは何時発か聞いていました。
1日1本しかないというのが、どうも信じられないらしく
何度も確かめてましたが、諦めてバーを出て
わたしたちに海に行く道を聞いてきました。

海なんて考えてなかったので、通りがかった地元の人を呼び止めて通訳し
さらにローマ行きの列車についての同じ質問も通訳し
やはり同じ答えだったので、ようやく諦めたらしく、
教えられた海の方に歩いて行きました。
海までは遠いよ、バスもタクシーもないよ、と言われたのに。

まあね、これだけ人が住んでるのだから、
もう少し交通の便が良いと期待するのも無理はない。

わたしたちは、そのまま旧市街に入りました。
あまり活気のない、古い古い町、というのが第一印象で
こんなところで夕方まで時間をつぶせるのか心配になるほど。

古代の礎石や装飾的な組み方をした壁の一部が残るフォロ。
中世の頃に作られたと思われるアーチ。
鮮やかな装飾を施された鐘楼を持つ教会。
出土品を収めた、小さな市立博物館。
わずかに敷石が残る、旧アッピア街道の名残。
あまり人影もない中を、午前中いっぱい歩き回り
それから道を下って新市街に出ました。

新市街は、旧市街とは打って変わって店舗が並んでいます。
海に近く、いかにもリゾート地といった雰囲気のレストランなどが軒を連ね
山の方を見ると、まさに奇岩といった岩山がそびえていて
その一つの頂上にはっきりと神殿の形が見えます。

レストランの一つで昼食をとりました。
今回はアパートメントに滞在して、ほとんど自炊ですませていたので
これが唯一のレストランでの食事になりました。
パランツァ(底引き網)と呼ばれる、何種類かの小魚のフリット、
アッバッキオ、本日のお野菜(焼いたナスとホウレンソウ)、
ミックスサラダ、ワイン、水、コーヒーで、チップを含めて40ユーロ。

パランツァは海辺ではよくあるメニューですが
ここの魚は少し大きめで、シシャモぐらいの大きさのが数種類。
骨ごと食べるのは無理だったけど、新鮮でとてもおいしい。
やっぱり海に近いところでは、お魚をとるのが正解だと思いました。

わたしたちのすぐ後ろの席で、ドイツ人らしいグループが
携帯で知人か家族に電話してましたが
「ここは28度よ。夢みたいだわ」と言ってるのが聞こえました。
たぶんドイツは寒いんだろうな。

でもこの人たち、どういう交通手段でこの町に来たのかしらん。
ドイツでは比較的知られた町のようだけれど
列車の便があれだから、車を使っているのかもしれません。

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1件のコメント

  • 退会ユーザ @*******
    10/09/15 12:51

    Terracina (2)

    食後、6時半まで十分時間があるので、例の岩山の神殿まで登ることにしました。

    手元のガイドブックによれば、海抜1400mあまり、
    山頂まで3kmほどの道のりです。
    自動車道路をひたすら歩いて、1時間ちょっとで頂上に着きました。
    神殿跡に入るのに4ユーロかかりました。
    取りあえず中のバーで水を買い、一息。

    下から見上げてもはっきりとわかったユピテル神殿は、
    実は基壇部分だけだったのですが、アーチ型の石組みがしっかりと残り、
    かなり広大なものだったようです。
    眼下にはテッラチーナの町とティレニア海。
    ここはちょっとした岬になっているので、両側に湾が見渡せます。
    これは絶景と言っていい。
    古代の人がここに神殿を建てた理由がわかるような気がしました。

    これほどの場所が日本に知られていないのは、ちょっと惜しいような。
    でもあれだけの交通不便を押してまで訪れる個人客もあまりいないだろうし、
    かといって観光バスで大挙して乗り付けられるのも、ちょっとそぐわない気もします。
    アマルフィみたいにドラマ化されたりしたら、大変かもしれません。

    心ゆくまで景色と遺跡を堪能してから、45分ほどかけて下山しました。
    時間はまだ十分あるので、町の中に断片的に残っているはずの遺跡を探してみました。

    持っていたガイドブックは、イタリアについては一番詳しいだろうと思われる,
    イタリア旅行協会編の『ローマと郊外』なのですが、
    少し版が古いせいか、ところどころ現状と異なっているところがあり、
    遺跡も小さいものはそれほど簡単には見つけ出せません。
    場合によっては、個人の敷地の中に囲い込まれていて、見学不能だったりします。

    というわけで、公園の中に小さなテルメらしい跡を見つけただけでした。

    18:39発のローマ行きを逃したら、もうその日のうちにはローマに戻れないので、
    早めに駅に向かい、バーでパニーニと水とビールを買い込みました。
    帰ってから食事に出るのが面倒だったので、列車の中で食べるつもり。

    ただイタリア人は、あまり列車の中で食事をする習慣がないらしく
    (食事は楽しむもので、移動の途中にそそくさと済ませるなんて非人間的だ、とでも思ってるのかも)、
    4人がけのボックス席なのだけれど、ちょっと周辺の目が気になりました。
    しかも斜め向かいに座った人が連れていた犬が、パニーニの匂いに反応して、
    しきりにこちらを見るし、どうも落ち着かない。
    おまけに買ったパニーニが真空パックもので冷たくて固く、全くおいしくない。
    同じようなものでも、ローマだったらもう少しおいしかったのに、
    こういうものは南部ではあまり期待できないのかもしれません。

    というわけで、今回の旅で最もさびしい食事になりました。

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    10/09/27 01:44

    Re: Terracina

    amoramaさん、こんばんわ。プーリアが好きで何度か行っている人(ドイツ在住日本人)にききましたが、あのあたりは遺跡が多いそうですね。で、魚がおいしいと。味付けは比較的薄味だそうで(日本人好みのもよう)。

     ちなみにこの友人、ドイツからホテルと航空券セットの旅行ででかけました。もしかすると、ドイツ語の方が詳しいガイドブックがあるかもしれませんね。