新潮社の『「地球の歩き方」の歩き方』という本を見つけたので、早速購入して読んでみました。
まだわずか30年前は日本の若者が海外に出て自由に旅行しようと考えても、そうした旅行自体が存在しなかった時代だったのです。
したがってその時代は旅行ガイド本も定番のツアーで訪れるような土地のことを紹介するのみで、海外旅行は旅行社にチケットもガイドも手配してもらうのが当然で、どうやったら日本人がひとりで旅行できるかなどという発想すらありませんでした。
旅行のノウハウを盛り込んだ「地球の歩き方」が登場したのはそんな時代ですから、新しい旅行のスタイルを求めていた若い人たちに受け入れられたのは当然のことでした。
読んで感じたのは、シリーズ創刊当時の安松清、西川敏晴、藤田昭雄、後藤勇の四氏の熱意と自由な海外旅行創生期の空気です。
学生たちはアメリカやヨーロッパなどへ自分の力で数ヶ月の自由な旅を始めるようになり、外国でのコミュニケーションの苦手な日本人の手引きとして、「歩き方」はなくてはならない情報源となったのです。
その後は各国編、主要都市編と記述が豊富になり、細分化されていきます。
海外個人旅行がごく普通に行われるようになると、バックパッカー向けの情報だけでは読者の必要とする情報を満たすことができなくなり、万人向けの情報が必要となり、ガイドブックの性格も変容しますが、歩き方のスピリットはどこかに残っていて、この掲示板にもなんでも自分でやってみようという精神が反映しているように感じます。
そういえば、歩き方創刊時のメンバーの安松さんから連絡をいただいたこともありますし、藤田昭雄さんにはお会いしたことはありませんが、最近ビエンチャンの日本人の方からお名前を聞いたように思います。
ひょっとしたら藤田さんには近いうちにラオスでお会いできるかもしれません。
歩き方30年を記念する良い本が刊行されたことをお喜び申し上げます。