暫く前からドロミティ観光についてのトピックが数回出ましたが、その折に私も「計画中ながら」という断り付きで口を挟みました。その際にぼうふらおじさんを初め、何人かこの地に興味を持たれた方がおいででした。
去る9月末に私達年寄り夫婦二組で北イタリアの旅行途次にヴェローナからボルツァーノ経由で山間に入り、たった1泊2日ですが晴天のもとでドロミティの片鱗に触れ、忘れられない体験をしましたのでレポート致します。
ドロミティと云っても広いのですが、私達が行ったのはボルツァーノからコルティーナ・ダンペッツォまでのうち、ボルツァーノに近い西半分です。
この辺りの路線バスはSADトラスポルト・ロカーレが運行しています。ボルツァーノから東へ直線距離で25kmのオルティゼイまでは本数も多いのですが、更にその東に行かないと山々の真っただ中に入る事が出来ません。他の季節は知りませんが、9月末時点では奥地までのバスは極端に本数が少なく、私達の日程では行く事は無理なので、ボルツァーノから東に直線距離20km弱のシウジの村に泊まって、翌日にアルペ・ディ・シウジの高原で半日ハイキングをする程度の予定でした。この高原は西を除く三方を3000mのドロマイトの岩山に囲まれ、なだらかな起伏を持つ標高2000mほどの広い牧草地で、冬はスキー、夏は登山と避暑でしょうね。
私達は午後早くにシウジに着いたのですが、その晩のホテルを紹介してもらおうと当てにしていたインフォメーションが閉まっていました。どうしようか思案していたところに土地の老人が通りかかり、私達が困っているのを察したようで、声をかけてくれ、親切にも知り合いのホテルに連れて行ってくれました。(この老人は翌朝にホテルにいた私に電話で付近の案内を申し出てくれました。これにまつわる出来事も忘れられないのですが、長くなるので省略)
ホテル名はSchwarzer Adler, イタリア名Aquila Neraといい、女主人が取り仕切る家族経営のきれいな素晴らしい三星ホテルでした。素晴らしいと云うのは、あとで分かった事ですが、ここのホスピタリティと料理です。さて、このホテルに1泊2食付きを頼んですぐにロープウェーでアルペ・ディ・シウジに上って歩き回りました。結構観光客やハイカーがいました。リフトもあちこちにありましたが、みな止まっていました。
私達がバスの便が悪いために奥地へ行くのを諦めているという事情はホテル到着時に女主人に話したのですが、彼女は私達が高原に行っている間に奥地までのタクシーによるエクスカーションの値段を問い合わせてくれていました。高原ハイキングはその日の内に済ませたようなものだし、折角の機会で、値段もリーズナブルに思えたので、翌日のタクシー観光を予約しました。
夜の食事は感嘆の美味でした。野菜、スープ、ドルチェがバフェで、プリモとセコンドはその晩のメニューになっています。献立内容は覚えていませんが、その美味しかった事、これまでのイタリア旅行中で最高と云っても良いと思います。メニュー以外にアラカルトも幾つかありました。
翌朝。女運転手のミニバンタクシーでシウジからオルティゼイ、プランを経由し、青空に聳える異様な姿のサッソ・ルンゴを西に見ながら、形も色も様々な岩山のただ中に乗り入れました。標高2100mのセッラ峠で一服。この辺りで斧で断ち割ったような数百mの垂直岩壁に目を凝らすとロッククライミングをしている人達が点々と見えます。
更に重畳たる山塊の間の九十九折りを上り下りしながら2200mのポルドイ峠に達して昼の休憩。ここからロープウェーで2950mのポルドイ山頂に上がり、残雪に囲まれた展望台から360度、ギザギザの岩山また岩山のパノラマを楽しみました。彼方には北から西へとアルプスの白い嶺々を見る事が出来ます。
ポルドイ以降はカナツェイからコスタルンガを通り、カレッツァ湖で写真タイム。青く美しい湖を見てからボルツァーノの駅まで送ってもらいました。ホテルを出て以来4時間半。驚き連続のドロミティ・ドライブでした。
これでレポートを終わりますが、忘れられないものとなった理由を以下にまとめます。
1 シウジの村でたいへん親切な人々と出会えたこと。
2 良いホテルで美味しい食事を味わう事が出来たこと。
3 スケールの大きい独特の風景を楽しめたこと。
4 これ以上望めない程の晴天。