おまけの国境と夜行の話。

アルプスでは、もともと峠しか道がつながっていないので、あまり気になりませんが、まっ平らな北の方へ行くと、とくに国境を意識させられます。すぐ向こうに街が見えていても、道がつながっておらず、橋がなく、森で隔てられているのです。東京で言えば、国道1号と第三京浜以外は多摩川を渡れないようなもの。

ドイツ国内でも、ベルリンこそ1つの街に回復したものの、旧東ドイツと西ドイツの間で、いったん分断された道は、容易には元に戻らないようです。まして、ドイツ・チェコは、数百年来、対立を繰り返しており、国境は、いまでも数えるほどしか開いていません。

東西冷戦のころは、夜行も、真夜中に国境で全員がたたき起こされました。なにしろ目のくらむような投光器が、線路の真ん中に孤立させられた列車全体を照らし出し、銃を持った兵士たちが、1時間以上に渡って、乗客はもちろん、車体の隅々までハンマーでたたいて調べ、まさに『スパイ大作戦』のまま。

しかし、いまやヨーロッパ中を飛び交う格安飛行機の出現で、夜行は、すっかり減ってしまいました。そんな中CNL353、通称オリオンは、魅力的なコンパートメントを備えた近代的長距離夜行の一つでしょう。ただし、飛行機よりも、高級ホテルよりも、さらに高い(フランクフルト・プラハ間で、片道だけでも二人400オイロくらい)。

いつかまた乗ってみたいと思う夜行です。お帰りになったら、ぜひ御感想をお聞かせ願えればと思います。

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