アユタヤ 44 詐欺の定番

一瞬、2人の顔がサーッと白くなったように見えました。 私も旅に出る前に、ガイドブックに書いてある注意事項は読んでいましたが、頭に入っていたのはほとんどここで教えていただいた事ばかりで、ホアランポーンの客引きやトゥクトゥクについてでした。

もしかしたらどこかのページで見ていたのかもしれませんが、女の子に関係のないことは印象が薄かったんだと思います。
それでも1番大事なことを忘れてひどい目に遭いましたが......泣


「何で欲しくも無いスーツなんか買うたんや? スーツ買うためにタイに来た訳とちゃうやろ」

2人のうち、あまり話さない方(ちょっとやさしい感じ)の人が、パンフレットを見て肩を落としている人に、

「....俺も、あの時『ちょっとコレ、ヤバイのかなぁ』って思ったんだよ。 でもさぁ、もうしょうがないじゃん。 高い授業料と思ってさぁ.....」

なだめたように見えたけど、よく喋る方はおさまりません。

「ふざけんなよっ!!そんな奴らに何で授業料なんか払う必要があんだよ!」

「うん、でも古い手口みたいだし、そんな事も知らなかった俺たちの方がイタイって」

「...........」

「だから、もうしょうがないじゃん? もしかしたら....もしかしたらだけど、ちゃんと送ってくれるかもしれないしさ」

するとAさんが、

「うん、送ってくれたらラッキーやと思う、送ってくれたらな。 でも、間違いなく注文したモノとは全然違うモンが来るとは思うけど....」

「同じような体験があるんスか?」

「いや、無い。 俺も話には聞いた事あったけど、未だにそんな詐欺師がおる事が信じられへん。 それくらい有名な話やし、騙される奴がおる事も信じられへん。 トゥクトゥクのオッサンに何て言われたんや?」

「......1ヶ月の内、1週間しか開いてない激安店が今日最終日だから、見るだけ見てみたら?......って.....」

Aさんはため息をついてから、

「.....教科書通りやないか...。 もう、しゃぁないわ....」

「明日、店に行ってキャンセルしたら手数料とか取られるんですか!?」

「.....いや、分からん。 多分、普通に開いてると思うけど、そんな詐欺師がキャンセルに応じるか? 50%戻って来たらラッキーとちゃうか?」

「じゃあ明日、朝一で行ってみます!......こんなのって、騙されるより騙す方が悪いに決まってますから! クッソーッ!!!!」



Aさんはそれ以上何も言いませんでした....


私はそれを聞きながら、女の子が他に注意することって他にどんな事があるのか考えていました。
後でもう一度聞いてみよう.....


でも、2人の災難はそれだけじゃなかったのです.....

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3件のコメント

  • アユタヤ 45 詐欺の定番

    2人がシャワーを浴びに部屋に戻っている間、Aさん以外のみんなは2人の詐欺事件について大笑いしたり冗談を言ったりしていましたが、Aさんの表情は曇ったきりです。
    私も、あたりまえの詐欺と言われていることが全く分からないのと、2人が気の毒なのと、Aさんの顔色が気になって笑えませんでした。

    Aさんは、少し不機嫌でした。


    「......お前ら、あんまりしょうもない事で盛り上がんな。 俺も若い頃、アチコチで騙されたりしてるし、今でもタイ人と100%同じ条件で旅できるかってゆうたら出来へんのやから。
    あいつらは今時特別かもしれんけど、タイ初めてやど! おい、K、お前、チャオプロム(市場)の前でガイドブック見て道に迷ってて俺に助けられたんとちゃうんか?
    なぁ、SとT、お前ら、カオサンの屋台で日本語メニューのある屋台でしか自分の食いたいモン注文出来んかったって俺に言わへんかったか?
    お前ら、たまたまココってゆう落ち着けるトコに泊って、たまたま俺みたいにチョットだけタイに詳しい日本人と出会って、図に乗ってんとちゃうか?
    特にお前(Kさん)。お前、アジアは色んなトコ行ってんのに、何で初心者の失敗談を初心者と笑ってんねん!最低やぞ、お前!
    他人の失敗談笑える程、お前は偉いんか!? お前はその失敗談を、次に会った奴にネタで話して笑いでも取るんか? もしそうなら、お前のことを嫌な奴の例に取って俺がネタにしたるわ!」


    いつもは優しいAさんの目が、渡し舟で見た怖い目になっていました。


    みんな静まり返ってしまいました。


    正直言って、私も2人の話を聞きながら「いい気味」と思っているところがありましたが、そんな自分が恥ずかしくなりました。


    Aさんの行ったことのある国について、私がいつも言っていた言葉は「すごいな~」でした。

    Aさんはいつも、

    「何もすごい事無い。俺が旅って言う旅をしてないのは、自分が落ち着く場所を探してるだけやし、たかが旅行や、こんなんに憧れるんなら時間とお金の無駄やで。 発展途上国に来て、こんなとこに一人で泊る旅するんなら、日本に帰ってからの自分が、どれだけ恵まれてるか思い知ったらいい。 カルチャーショック受けてハマる若い子も多いけど、若い時は感情に流されたらアカンで! みんな勘違いしてるけど、日本人でいるだけで得してんのやで」

    と言っていました。



    私はまだ20歳。


    何にも分からないけど、笑いで全てを隠すのはやめようと思いました。

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    アユタヤ 46 詐欺の定番

    もちろんKさんもS君もT君も、みんな優しいいい人たちです。

    Aさんは、「ああいう態度がイジメの温床になる」と、後から話してくれました。

    2人がシャワーを浴び終えて部屋から出てきました。


    「少しは頭も冷えたやろう、すっきりしたか?」

    Aさんは、何も無かったかのように笑顔で話しかけました。

    「はぁ....まぁ...とりあえず、明日はバンコクに行ってみます」

    「ん、そうやな。キャンセル出来たとしたらラッキーやしな。まぁ、店は多分開いてると思うし」

    「いや、マジで....恥ずかしいっス....」

    「いや、しゃあないって。ただな、男やから女がらみでトラブルに遭うのは色んな意味でしゃあないねん。 でも、欲しくも無いもんは損得無しで手ェ出さんようにせんとな」

    「そうっスねぇ....今考えてみると、何でスーツ買ったのか良く分からないんですよ。 『最後のチャンス!』みたいに言われて......催眠術にかかってたんスかねぇ....」

    「あいつら、別に見破られようが誰彼かまわず声かけるしな。 それよりも、ツツモタセなんかに引っかからんかっただけエエやんか。 身ぐるみ剥がしよるからな」

    「ツツモタセ........って、何スか?」

    「あぁw、今の若い子は知らんわなぁ。 例えば、街で美人に声かけられてなんだかんだと話してるうちに、『気に入った』とか言われて女の部屋に招待されて、いいムードになってきたところに女の亭主か彼氏だかが急に入ってきて。 オマケに、その男はムエタイの達人やったりw。 他にも詐欺の定番なんか色々あるけど、今回は命に別状無いわけやし、ちょっとイタイ出費やけどな」

    「ウワ~!俺、そんなの多分すぐ引っかかりますよw。タイ、ヤバイっスね」

    「いやいや、あくまでも『定番』やし、今時そんなのに引っかかるほうが少ないで。 スーツの件も、ちゃんと情報持ってたらそんな目に遭わへんかったんやし、そこは反省せなあかんで。 
    会社の慰安旅行とかではパックツアーでガイドさんがついてて、バスの中でもトラブルについて説明があったりするけど、聞いてない奴に限って定番詐欺の餌食に遭いよんねん。
    日本にツアーで観光に来て、旅館に土足で入ろうとする外人と同じレベルやど」

    Kさんたち3人も唇を噛んで頷いています。 それにしても、ツツモタセの話が衝撃的で動悸がしてきました。

    「いやぁ~、確かにそうっスね~。 俺、負けたくないんで、次、またタイに来ますよ! 今度はガッチリ情報持って!」

    「おう! そんな気持ちで旅せえへんかったら今回の旅の意味が無くなるからなw。 若いんやし、気持ち切り替えて楽しまなアカンで」


    Aさんの言葉は、私に向けて言ってくれているようにも聞こえました。

    こんないい人、ほんとにいるんだなぁ....すごく、あったかい。

    私のヘタな文章では伝えられないと思うけど、親から激励されているみたいで、とてもあったかいんです。



    「んで、バンコクで大金使ったのはスーツだけやんな?」

    「はい。他に買い物はしてないっスw。 でも、なんだかんだとお金って使いますよねぇw。 水上マーケットとか、別に安くもなんとも無いような気がしましたよ~w」

    「水上マーケット? あんなもん観光ルートの一つやし、現地の人間がわざわざ利用するわけないやろ。 でも、本に載ってたら行きたくなるわなぁw」

    「いや、別に目指したわけじゃないんスけど、ワットアルンに行く時にボートを借りたんスよ」

    「........ワットアルンに行くのにボートをチャーターしたんか?」


    Aさんが飲んでいるビールが入ったコップを持つ手が止まり、Kさんは天井を見上げました。

    ワット・アルンは私も行ったお寺です。

    ホテルで知り合ったご夫婦に払ってもらった渡し舟代は、たしか3Bだったような..........

  • .>災難はそれだけじゃなかったのです まだあるの?メンテの間気になって(引っ張るのが旨くなって)

    TAMOさんメンテが長かったですね。

    ケチはご多聞にもれず爺も。

    スクンビットの偶数側の屋台で絹のパンツを目いっぱい値切り10枚2000バーツで取引成立、この年になって初めて履ける絹の肌触りを想像してにんまり。

    包んでもらっていざ行こうとしたら、後10枚1000バーツでいいよ、と来た。ニヤロメやられた。追加で買う?止めましたが。

    福祉施設の銭湯で同じ柄の絹のパンツを見て、「どこで買いました」「通販で」「いくらしまし」「1枚3千円で」にんまりしながら日本の業者がまだ上手か。

    立体裁断ではなかったので○○にくい込んでも一つの履き心地。

    2-3回洗うと横がほつれてきてチャイナドレス状態、この1枚だけ欠陥か、と思っていると全部ほつれてくる。

    もともと東南アジアの縫製の荒さは知っていたつもりだったが最近の中国やインドネシア製の木綿のブリーフの縫製が良くなっていたので信じてしまった。

    絹の生地や柄はまあまあだったので未練はあれど捨てる羽目に。
    生地はいいのにケチってマチを十分とってなかったためらしい。

    のんちゃん又ここを借りたよ、はっつの安物買いの銭失いでした。

    追、ちなみにスクンビットの奇数側屋台は身体障害者(聾唖者)が許可を受けて電卓を叩いて商売しているようです。

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    Re: .>災難はそれだけじゃなかったのです まだあるの?メンテの間気になって(引っ張るのが旨くなって)

    おやすみのあいだ、たくさん勉強できましたw

    「安物買いの銭失い」をバイト先のパートさんに教えてもらいました。

    私も値段で何でも決めてしまう方なので反省してます泣

    ユ○○ロのTシャツなんかも、洗濯したらすぐにだめになっちゃうんですよね~、タイで買ったTシャツの方が厚手で長持ちしそうですw

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  • 08/04/22 02:14

    若槻千夏・にしおかすみこ

    先回りしてごめんね。
    なんだかいいとこで終わっちゃうからついつい先走りたくなってしまいます。でも、いいところで終わらせるのんたんの書き方が上手ですね。

    だまされる人って、残念ながらだまされ続けちゃいます・・・。
    今度は、じゃあちゃんとしたカシミアのを作るからもう10000バーツとか、いま5000バーツ払ってくれればキャンセルに応じて全額夕方に返金するといってトンヅラとか、なんだかカモ相手にいろいろやってきそう・・・(笑)もっとひどいのは、どこかに連れられていきヤクザに囲まれて無理矢理クレジットカードで別の決済をさせられるとか。

    こういうことって別に何も知らなくても、何かしらおかしいところあるはずです。でも、そんなことがガイドブックに出てたりパンフレットまで出ているとは・・・。

    話変わりますが、若槻千夏がまたタイにいるようです。カオサンで靴を売ってごはん食べたとか、ブログ面白い~(笑)
    あと、にしおかすみこもタイ国際航空のイメージキャラクターに起用されたらしく、タイ国際航空のサイトから、にしおかすみこがルーシーダットンやっているのが見れます。ブログも面白いです。

    若槻ブログ http://wakatsukichinatsu.net/index2.html
    にしおかブログ http://blog.watanabepro.co.jp/nishiokasumiko/

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    Re: 若槻千夏・にしおかすみこ

    若槻千夏が、カオサンに行きつけの美容室があるなんて知りませんでした。
    初一人旅がタイだったことも・・・・
    この掲示板で質問したら、きっとレスがいっぱいついたことでしょう。

    タイ国際航空が、なぜにしおかすみこをCMキャラクターに選んだのかも
    分かりません。
    ターゲットは働くOL(この言いかたって古い)のようですが、
    その層に人気があるのでしょうか?