アユタヤ 41 詐欺の定番 「んで? バンコクで何をボラれたって?」 2人はチラッと私を見て話しにくそうにしています。 「あのぅ...私、部屋に行きましょうか?」 違う違う!と手をふりながら、 「そうじゃなくて....あの....何か、ゴメンな。俺ら、感じ悪かったよね」 突然謝られて、ちょっと照れくさくなりました。 「気にしてないですよ、そんなこと。私もちょっと事故に遭って落ち込んでたんですけど、たまたまココに泊れてみんながいてくれたおかげで全然元気ですから! お互いに、偶然ココに来れてよかったですね」 「事故?....あ、足ケガしてるじゃん。どうしたの?」 まさかレイプされそうになったなんて恥ずかしくて言えません。 それにしても明日は短パンむりそうだなぁ、すごく目立つし...泣 『ちょっと自転車で...』と、ごまかそうとしたところをAさんが助けてくれました。 「エエから、何があったんや?」 2人は我にかえって、 「いや.....あのぉ......ナナって知ってます?」 そう言ったとたん、AさんとKさんがクスクス笑いだしました。 「クックックッ.....。んで? ナナプラザ行って2人とも女買うたんか?」 「エッ!? 何でわかったんスか!?」 「分かるがなw。 そんで、1人いくら払ったンや?」 「.....5000Bなんですけど.....やっぱ高いっスかね?」 女買う?? 何?売春婦!? ナナプラザって何?? 5000B?? えーっ!何この人たちーっ、やだーっ!! 「5000B!! ん~、どうなんやろな? 内訳は?」 「え~っと....バーで飲んだビール代が1本90Bで、結構安いな~と思ったんですけど、女の子がやたらとコーラ飲むんですよ! まぁコーラぐらいいいかぁと思って飲ませてて...後でチェックしたら飲み代が1人1500Bくらいして......あ、女の子を連れ出すのにもお金かかるんですね~。それで高かったんだと思うんですけど....」 AさんとKさんは笑い転げています。....も~っ!おもしろくない! 「それから、『どこかで食事でも』って誘ったら、近くのショボいレストランに連れて行かれたんですけど、3品くらいしか頼んでないのに800B取られたんですよ」 「クックックックッ.......それで?」 「で.......あのぅ...交渉.....して....」 「交渉、って? 何て言うたん?」 「....I LOVE YOU...って....」 途端にみんながお腹をかかえて大笑いしました。 も~っ、おもしろくないってばぁ!
アユタヤ 42 詐欺の定番 宿のオーナーにもAさんが通訳しているので、ご夫婦も面白がって聞いているのですが奥さんは呆れ笑いです。 「で? そのままソレ専用のホテルに直行か?」 「いえ、そうしたかったんですけど、クラブに踊りに行こうって言われて.....タクシーに乗って20分くらいかかるところに行ったんですけど.....」 「ほう....なかなかアチコチ観光してるやんかw」 「結構でかいクラブなんスけど、タイ人ばっかりでホントにギュウギュウなんスよ! 入って行けないくらい。 でもまぁ、デート気分でこんなのもいいかぁと思って、女の子についていったらテーブルに案内されて、女の子たちがいろいろ注文し始めて...」 「ソコって、何て言う地区か分からへんの?」 「いや~、全然。 でも、クラブの周りにも色んな店があって若いヤツばっかりたむろってましたね~」 「ふ~ん....んで?」 「入場料いくらだったかわすれたんスけど、女の子の分も払って、テーブルチャージとボトル代で全部で3000Bって言うんですよ! 女の子が日本語をカタコトで喋るんですけど、さすがに『コレ、おかしいよ』って思って....」 「そりゃオカシイわなw、んで? 」 「それで、逃げるに逃げられないんで、とりあえず乾杯してから『踊ってくる』って言って、コイツと2人でギュウギュウの中に入って行って......店内暗いじゃないスか、コイツの手ェ引っ張って、なんとか別の出口まで辿り着いて....それからダッシュで逃げましたよ! タクシーがすぐつかまったんで良かったんですけど、どこに行けばいいか分からないんでとにかく『カオサン、カオサン!』って言って....」 「はぁ!? お前達、何にもしてないんか??」 「......はい..。」 みんなお腹を押さえて大笑いしています。 でもよかった、この人たちがへんなことしてなくて。 「大金はたいて残念やったかもしれへんけど、まぁ良かったんとちゃうか? 外人とデート出来たわけやし、病気も伝染されへんかったしな!?....ハァ...笑いすぎて腹痛いわw。 そんなん、誰でも経験するやろうし、最後の飲み代払わへんかっただけでも良かったな! そのタイ人のバカ姉ちゃん、ザマミロやんかw」 Aさんは笑いすぎて出た涙を拭きながら中指を立てて言いました。 「ホントそうですよ~、昼間に結構でかい買い物してたから手持ちの金もピンチだったんスよ。 クレジットカードとか持って無いスから、ヤバかったっスよ」 「でかい買い物? お前達、学生やのにバンコクで豪遊やなぁw。 彼女に土産でも買うたんか?」 「そんな! 彼女にでかい買い物なんかしないですよw、2人で初海外の記念に、自分達用の買い物ですw」 うわっ! サイテーっ! なんでそんな言い方するの?? こんな彼氏絶対無理っ! 「へ~ぇ、何買うたん?」 「スーツです、オーダーメイドっスよ!」 そう言ったとたん、AさんとKさんの顔から笑顔が消えました......
カモたち 勝手に予想しますが いかさまオーダーメイドに引っかかり 届かないスーツでも注文したのかな・・・(笑) お金にセコいだけじゃなくて、考え方がセコい人たちは 逆にいいカモになりやすいようですね。 この人たちは、もともと安いゲストハウスで値切ろうとしたり ビールの値段まで気にするくせに 何やってるんでしょうね~?(笑) 買春・売春問題で、本当に悲惨なのは、 金持ちの国からやってきた人間が 貧しい国の、貧しさにつけこんでいる点です。 そこにはただ金のやりとりがあるだけで タイ人やこの国の文化へのリスペクトなんか何もないと思います。 少しでもそういうものがあったらそんなことできないと思う。 そういうものを持たずに旅行しても何の意味があるんだろう~と自分なんかは思ってしまいますね。 まあ、この2人はカモられて自業自得なんじゃない?(笑)
アユタヤ 43 詐欺の定番 笑顔が消えたAさんとKさんの表情の意味が、私には分かりませんでした。 「.....ふ~ん.....スーツ、ほしかったんか?」 この時、2人もまだ、Aさんの表情が変わったことの意味が分かってないみたいで、空気が少し変わった事に戸惑っているように見えました。 「ていうか、まぁ.....安かったんで........どうかしました...か...?」 「安かったって、幾らで作ったんや?」 「......1人、20000B....ですけど.....え?なんか、ヤバイっスか?.....」 「それ、どこで買うたん? オーダーやし、まだ品物貰ってないやろ?」 「...はい、でも領収書は貰ってますから。 メンバーズカードも作ってもらったんですけど....コレなんですけど.....」 小さめのパックから取り出した封筒から、金色のメンバーズカードと英語で書いてある領収書が出てきました。 Aさんは、それをチラッと見ただけで、 「もしかして、観光してる時にトゥクトゥクのドライバーに声掛けられへんかったか?」 「....はい.....え!?...あのぅ....」 「そいつ、カタコト日本語使うたやろ? どこで声掛けられたんや?」 Aさんに次々と言い当てられ、2人は不安そうな表情になっていきます。 「あぁ....日本語、少し喋ってました.....ラッキーブッダに行った時なんですけど....」 「はい、ビンゴ!!」 Kさんがそう叫ぶと、Aさんが大きくため息をついてから、 「それ、200%詐欺やな。可哀相やけど」 「えっ!? えーっ!! マジっスかっ!? えーっ!? で、でも、何でそんな事....何で200%なんスか!? 別に店の客引きに連れて行かれたわけじゃないっスよ!」 あわてる2人をAさんはなだめる様に、 「....トゥクトゥクのドライバーは、仕立て屋にマージン貰えるからな。グルって言うよりもバイトやな。 そのために日本語覚えるわけやし.....多分そいつ、韓国語も話せるで。 まぁ....注文したモンと違う安物でも、ちゃんと日本に届けば儲けモンってとこかなぁ....」 「マジっスかー!? でも、ドライバーとかマジ親切で優しい奴でしたよ? そんな悪い奴には全然見えないような奴なんスけど.....」 「.....あのなぁ、詐欺師ゆうのはいい奴そうに見えへんかったら仕事にならんやろ? 大体こんな詐欺、かなり古めの有名な話やし、まだあったんかって逆にびっくりしてるんやで? 多分、シルクのスーツやろ?」 2人は何故かその言葉にホッとして、 「あ、じゃあ大丈夫ですよ! 俺らが頼んだのってカシミヤですからw! あ~ビックリしたーっ!」 2人のリアクションにAさんが頭をかかえているとKさんが、 「.....これ、よく見て」 と、宿の本棚から1枚のパンフレットを2人の前に出しました。 それには、【バンコクの詐欺・トラブル対策】 とあり、こんなことが書いてありました。 * ラッキーブッダ周辺等で、親しげに声を掛けてくるトゥクトゥクドライバーに、『丁度、今日はバーゲンの最終日だから見るだけでも見て下さい』と言われ、宝石店やカシミヤスーツのオーダーメイドを勧められる。 * 複数のタイ人が旅行者を装い、『私達は○○から観光に来たのですが、道に迷ってしまいました』と言われ、大き目の地図を広げて死角を作り、バッグの中身を奪う。 その他にもたくさん書いてありましたが、1番最初に書いてあることって.......
<おもしろくないってばぁ! ったって のん、おにいちゃんも海外旅行が○○って言ってなかったっけ。 のん初海外で、たった1週間で他人の何十回分の経験をしてきたみたい だね、当分海外はお休みがいいと思うけど。
面白いわよ(笑) 年寄りも若造も(笑) どうしようもないわねぇ、オトコって生き物は。 でもしょうが無いわよネ、オトコなんだからサ(笑)
私も、面白いですよ 私だって、タイでは 後から考えたらボラレタんじゃないかってこと、ありましたけれど、 この手の話は、どうにも体験しようがないので(笑) タイへ行く男性たちはどのようにしてボラレルのか、 とても興味を持って読んでいますの。 それにしても、カオサンで見かける日本男子達、 ちょっと頼りなく見えませんか。 大して大きくもないバックパックを重そうに担いで ビーサン履いてダラダラ歩いてたりする。 体格的には欧米男性に負けるのは仕方ないとしても、 せめて、背筋を伸ばして胸を張って堂々としていて欲しいの。