アユタヤ 40 詐欺の定番 「日本に帰る前にウィークエンドマーケットに行ったらエエんとちゃうか? なんだかんだ言うても、土産とか買うならあそこが安いと思うけどな~。あ、間違ってたらゴメンな、俺、土産とか買わへんしコッチで買い物もほとんどせぇへんから」 「ウィークエンドマーケットってどこでやってるんですか?」 「バンコクの北バスターミナルの近く。BTSでも地下鉄でも近くに駅があるから行くのは簡単やで。 ただ広いからな~あそこはw。人も多いしな」 「地元の人が行くような感じの場所なんすか?」 「うん、行く行く。 でも今は観光客5割くらいかな? まとめ買いすれば何でも安くなると思うで。 ガイドブックに載ってるしチェックしといたらエエよ」 「はい、ありがとうございます....何か、すんません...俺ら、すげぇかっこ悪いっスよね....」 ん??? 「何で?」 「.....いやぁ..、来たばっかりの時って分からなかったんですけど、ガイドブックに書いてある料金よりけっこうお金かかるし、さっきも2人で話してたんですけど、バンコクでも、もしかしたらボラれてるんじゃねぇかなぁって....。 カオサンでも、カオサンの事しか知らない人とか、初めて来た人としか喋ってないんスよ....外人と話せるわけでもないし」 「...で?」 「それで....何か、.....この娘とかにも.....何て言うか....」 「うん、もうエエわw、何が言いたいか分かったし。 残りの日がいい思い出になればエエんやしな! んで?バンコクでボラれたってどういう事や?」 この2人も別に性格悪いわけじゃなかったんだ.....何かほっとしたなぁ。 でもこの後、私の知らないバンコクと2人のあきれた行動に唖然とすることになるんです。
アユタヤ 41 詐欺の定番 「んで? バンコクで何をボラれたって?」 2人はチラッと私を見て話しにくそうにしています。 「あのぅ...私、部屋に行きましょうか?」 違う違う!と手をふりながら、 「そうじゃなくて....あの....何か、ゴメンな。俺ら、感じ悪かったよね」 突然謝られて、ちょっと照れくさくなりました。 「気にしてないですよ、そんなこと。私もちょっと事故に遭って落ち込んでたんですけど、たまたまココに泊れてみんながいてくれたおかげで全然元気ですから! お互いに、偶然ココに来れてよかったですね」 「事故?....あ、足ケガしてるじゃん。どうしたの?」 まさかレイプされそうになったなんて恥ずかしくて言えません。 それにしても明日は短パンむりそうだなぁ、すごく目立つし...泣 『ちょっと自転車で...』と、ごまかそうとしたところをAさんが助けてくれました。 「エエから、何があったんや?」 2人は我にかえって、 「いや.....あのぉ......ナナって知ってます?」 そう言ったとたん、AさんとKさんがクスクス笑いだしました。 「クックックッ.....。んで? ナナプラザ行って2人とも女買うたんか?」 「エッ!? 何でわかったんスか!?」 「分かるがなw。 そんで、1人いくら払ったンや?」 「.....5000Bなんですけど.....やっぱ高いっスかね?」 女買う?? 何?売春婦!? ナナプラザって何?? 5000B?? えーっ!何この人たちーっ、やだーっ!! 「5000B!! ん~、どうなんやろな? 内訳は?」 「え~っと....バーで飲んだビール代が1本90Bで、結構安いな~と思ったんですけど、女の子がやたらとコーラ飲むんですよ! まぁコーラぐらいいいかぁと思って飲ませてて...後でチェックしたら飲み代が1人1500Bくらいして......あ、女の子を連れ出すのにもお金かかるんですね~。それで高かったんだと思うんですけど....」 AさんとKさんは笑い転げています。....も~っ!おもしろくない! 「それから、『どこかで食事でも』って誘ったら、近くのショボいレストランに連れて行かれたんですけど、3品くらいしか頼んでないのに800B取られたんですよ」 「クックックックッ.......それで?」 「で.......あのぅ...交渉.....して....」 「交渉、って? 何て言うたん?」 「....I LOVE YOU...って....」 途端にみんながお腹をかかえて大笑いしました。 も~っ、おもしろくないってばぁ!
<おもしろくないってばぁ! ったって のん、おにいちゃんも海外旅行が○○って言ってなかったっけ。 のん初海外で、たった1週間で他人の何十回分の経験をしてきたみたい だね、当分海外はお休みがいいと思うけど。
アユタヤ 42 詐欺の定番 宿のオーナーにもAさんが通訳しているので、ご夫婦も面白がって聞いているのですが奥さんは呆れ笑いです。 「で? そのままソレ専用のホテルに直行か?」 「いえ、そうしたかったんですけど、クラブに踊りに行こうって言われて.....タクシーに乗って20分くらいかかるところに行ったんですけど.....」 「ほう....なかなかアチコチ観光してるやんかw」 「結構でかいクラブなんスけど、タイ人ばっかりでホントにギュウギュウなんスよ! 入って行けないくらい。 でもまぁ、デート気分でこんなのもいいかぁと思って、女の子についていったらテーブルに案内されて、女の子たちがいろいろ注文し始めて...」 「ソコって、何て言う地区か分からへんの?」 「いや~、全然。 でも、クラブの周りにも色んな店があって若いヤツばっかりたむろってましたね~」 「ふ~ん....んで?」 「入場料いくらだったかわすれたんスけど、女の子の分も払って、テーブルチャージとボトル代で全部で3000Bって言うんですよ! 女の子が日本語をカタコトで喋るんですけど、さすがに『コレ、おかしいよ』って思って....」 「そりゃオカシイわなw、んで? 」 「それで、逃げるに逃げられないんで、とりあえず乾杯してから『踊ってくる』って言って、コイツと2人でギュウギュウの中に入って行って......店内暗いじゃないスか、コイツの手ェ引っ張って、なんとか別の出口まで辿り着いて....それからダッシュで逃げましたよ! タクシーがすぐつかまったんで良かったんですけど、どこに行けばいいか分からないんでとにかく『カオサン、カオサン!』って言って....」 「はぁ!? お前達、何にもしてないんか??」 「......はい..。」 みんなお腹を押さえて大笑いしています。 でもよかった、この人たちがへんなことしてなくて。 「大金はたいて残念やったかもしれへんけど、まぁ良かったんとちゃうか? 外人とデート出来たわけやし、病気も伝染されへんかったしな!?....ハァ...笑いすぎて腹痛いわw。 そんなん、誰でも経験するやろうし、最後の飲み代払わへんかっただけでも良かったな! そのタイ人のバカ姉ちゃん、ザマミロやんかw」 Aさんは笑いすぎて出た涙を拭きながら中指を立てて言いました。 「ホントそうですよ~、昼間に結構でかい買い物してたから手持ちの金もピンチだったんスよ。 クレジットカードとか持って無いスから、ヤバかったっスよ」 「でかい買い物? お前達、学生やのにバンコクで豪遊やなぁw。 彼女に土産でも買うたんか?」 「そんな! 彼女にでかい買い物なんかしないですよw、2人で初海外の記念に、自分達用の買い物ですw」 うわっ! サイテーっ! なんでそんな言い方するの?? こんな彼氏絶対無理っ! 「へ~ぇ、何買うたん?」 「スーツです、オーダーメイドっスよ!」 そう言ったとたん、AさんとKさんの顔から笑顔が消えました......