アユタヤ 24 お布施 木に飲み込まれた仏頭は、周りをロープで囲いがされてありました。 色んな国の言葉で、仏頭の高に合わせて撮影して下さいと書いてあります。 人気の場所だけに、まだ9時だというのにたくさんの観光客がとりかこんでいます。 撮影するのも順番です。 私もあわてて最後尾にならびました。 1組すみ、2組すみ、あと4組くらいで私の番というところで、おかしな光景を目にしました。 前に並んでいるタイ人や日本人には、横にいるタイ人の警備員(?)は何も言わないのに、欧米人の番になると、仏様にお布施を要求するのです! 「マニー、フォー、ブッダ!」 警備員は欧米人がしぶしぶ出した小銭や20Bを受け取ると、足元に置いてある小さな箱に入れていきます。 (そんなこと、ガイドブックにも書いてなかったし、Aさんからも聞いてないのに、なんなんだろう?この人) 私の番になって撮影した後も、お布施は要求されませんでした。 (これって人種差別!?それとも、お金持ちそうに見えるひとだけ?) 楽しみにしていた仏頭を目の前にしても、そのことに意識を取られて 「あっ、ガイドブックの写真と同じだ~」 くらいの感動しかありませんでした。 後でそのことをAさんに話したら、 「う~ん、そんなん初めて聞いたなぁ。 多分、勝手に寺に入ったタイ人が勝手にやってる事としかかんがえられへんなぁ。 でも、そんな変な奴って、タイにはナンボでもおるからなぁ...よっしゃ!明日にでも行ってみて、もしもまだおったらヤカマシゆうたるわw」 と言われました。 やっぱりなぁ、どうみてもあんなのおかしいよ~。 GHのオーナー夫婦も横で聞きながら憤慨してる様子でした。 「そんなことするからアユタヤはユネスコから外されようとしてるんだ! ブッダがお金なんか欲しがるわけないでしょう?」 ちょっとがっかりした気持ちでワット・マハータートを後にしました。
アユタヤ 25 危機感 ワット・マハータートを後にしてから、ワット・シーサンペットをめざしました。 (ちょっと残念だったけど、早い時間はきもちよかったなぁ...) ワット・シーサンペットへと向かう道も、朝のラッシュとは無関係のように交通量もまばらでした。 (ここらへんは遺跡の中だから関係ないのかなぁ...) 行き交う自転車のほとんどが観光客で、時々、麦藁帽子をかぶったタイ人のおばちゃんが道端で掃き掃除をしているくらいです。 高そうなカメラで遺跡を遠くから撮影する人もよく見ました。 あんな趣味ってすてきだなぁ~、私の趣味って何なのかなぁ...写真をたくさん撮ってるわけでもないし、ただ外国の空気を楽しんでるだけなような気がする。 でも、それでもいいかなぁーw ワット・シーサンペットは、以外にもまだそんなに観光客も来ていませんでした。 中に入ると、さっきのワット・マハータートに入った時のように静かで、すごく得した気分になりました。 (やったあ!また貸切みたい!) 中はきれいに整備されていて、3つ並んだ仏塔をいろんな角度から写真を撮ったりしました。 (...Aさんも言ってたけど、私が写ってないと意味が無いよね) 周りを見ても遠くに欧米人のグループがいるだけで、近くに観光客はいません。 (せっかくいい雰囲気だけど、しょうがないなぁ~) そう思っていると、係員でしょうか、遺跡の奥のほうから1人のタイ人男性が近づいてきました。
アユタヤ 26 危機感 (ちょうどよかった、写真おねがいしようっと♪) 近づいてきたタイ人男性に声をかけました」 「execuse me,would you take my picture?」 「×××××...」 まったく英語が通じないみたいなので、カメラを出して写真を撮るポーズをすると、ウンウンとうなづいてカメラを受け取ってくれました。 「×××××、×××!」 彼は入り口と反対方向の奥の方を指差して何か言っています。 何か、『向こうの方がきれいに撮れるよ』みたいなことを言っているようです。 (あっちにみんなが撮るような場所があるのかなぁ?) 「OK、OK」 誘われた方へついていくと、中が通路になっているような仏塔の前でした。 (あ、ほんとだ。けっこう雰囲気いいなぁ☆ やっぱりこの人、ここで働いてる人なんだ) 2枚ほど撮ってもらってお礼を言うと、仏塔の中を指差して何か言っています。 『×××××!××××』 何を言ってるか分かりませんでしたが、ニコニコして鳥がはばたくようなジェスチャーをしています。 (中に鳥??鳥がいるの??) 入ってみると、暗くてひんやりしています。 鳩でしょうか、バタバタと音をたてて通路から飛び出していきました。 (鳩をみせたかったのかなぁ....こんな中で写真撮ってもなぁ....あっ!!!) 突然後ろから抱きつかれました!! (エッ!?何っ!?チョッ..チョット!!!) すごい力と恐怖で声が出ません! (イヤーッ!!何!?エーッ!?やめてよーっ!!怖いよ!!やめてーっ!!!!!!!) 殺されると思いました。 いろんなことが頭の中を駆け抜けました。 (パパ!!パパ!!助けてっ、パパ助けてーッ!!!!!) 相手の手が首元からTシャツの中に入ろうとした時、 「ガブッ!!」 と思い切り噛み付きました! 「アアアアアアーッ!!!」 相手が悲鳴をあげて離れたとき、出口へ向かって逃げようとしましたが、恐怖でうまく走れずに足がもつれてこけてしまいました。 「助けて!!!助けて!!!誰かーっ!!!助けてーっ!!!」 今思えば、何であの時英語で助けを求めなかったんだろうと思うけど、そんなことはまったく頭に浮かびませんでした。 やっと出せた大声のおかげで、観光客の外人さんが私に気付いて駆け寄って来てくれました。 「Pervert!!pervert!! help me,please!!!」 後ろを振り返るとさっきの男はもう逃げていました。 「Are you O.K.!?」 白髪まじりの外人さんに抱き起こされながらも、私は恐怖とパニックで声を出して泣いてしまいました。