レポート

インド人もだまされるニセ車掌

公開日 : 2008年02月08日
最終更新 :

アーグラーからデリーへ列車で帰った。

私は、Shatabdi Expressが好きでない。
窓が、黒の遮光ガラスで外が見えないし、座席が新幹線の座席のようで、窮屈だ。
私は、昼間、移動したいのに、早朝発だったり、夜間着だったりする。
車内食がでるのもイヤだ。

だから、普通のExpressに乗った。
座席は2A.
AC付の寝台車(*)で、ベッドは2段だ。

列車は、濃霧のために、約1時間遅れで、アーグラー・カント駅に入ってきた。

ポーターに荷物を運んでもらった。
私の座席は下段だ。

どやどやと、若い男の3人組がやってきた。
私の座席の上段と、向かいの上・下段の座席の客だ。
3人は、荷物を置くと、私の向かいの下段の座席に、並んで座った。

妙な連中だった。
私は、2AやCCなどの料金の高い車両によく乗る。
そういう車両に乗るのは、インドでは、金持ちだ。
大体、みなりがよく、態度も落ち着いている。
なのに、この連中は、みなりもよくないし
「初めてAC車に乗った!」
といったふうにはしゃいでいる。

列車が走り始めた。
私は、窓の外の景色に気をとられているフリをしながら、3人の様子に注意した。

毛糸の帽子をかぶり、首から何かぶらさげた、若い細身の男がやってきた。
3人組のうちのひとりが、私に、
「切符だ」
と言った。
「妙だな」
と私は思った。
普通、インド鉄道の車掌は、かっぷくのいい中年男性で、ブレザーを着ている。
こんなカジュアルな格好をした若い車掌は、見たことがない。

私の切符は、駅の予約窓口で買ったReservation ticketだ。
リストでチェックして、切符を返してくれるはずだ。
3人組は、料金後払いの切符だったようだ。
金を払っている。
私は、自分の切符を手に持って、順番を待った。
若い細身の車掌は、私には目もくれずに、次の車両に移っていった。

その直後だ。
かっぷくのいい中年男性がやってきた。
ブレザーを着ている。
よく見かけるインド鉄道の車掌そのものだ。
私は、切符を渡した。
彼は、リストにチェックし、切符にも、チェックしたしるしをつけて、返してくれた。


3人組は、その中年の車掌と、口論を始めた。
ヒンドゥー語なので、内容はわからない。
中年の車掌が、財布から、顔写真を貼った、身分証明書らしいものをだして、3人に見せている。
「私が本物の車掌だ」
といったところか。
3人組と中年の車掌は、口論を続けた。
とうとう、3人組は、金を払い、本物の車掌は、次の車両に移っていった。

今まではしゃいでいた様子はどこへやら。
3人組は、意気消沈し、互いになぐさめあっていた。
「ペンダントをさげていたしな」
「駅に着いたら、金を返してもらおう」
英語だったのでわかった。

インド人もだまされるインドのニセ車掌。
インドには、車掌のニセモノもいる。
インド鉄道に乗るときには、十分注意しよう。


(*)寝台車といっても、夜間限定で走るわけではない。
インドのExpressは、ときには、2,3日かけて、昼夜ぶっとおしで、目的駅まで走る。
自分の乗りたい区間を、乗りたい時間帯に走る列車を選べばいいわけだ。

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1件のコメント

  • Re: インド人もだまされるニセ車掌

    列車内の詐欺は単独では出来ません、多分乗務員とグルになった犯行でしょう。

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    08/02/12 17:46

    よくわかりませんが

    まさか、あういうことになると思っていなかったので、よく見ていませんでした。

    インドの列車は、エキスプレスといっても、速度が遅いので、シゴトが終われば、さっさと列車から飛び降りる、ということも可能だとは思いますが。