ホル・ヴィラップ修道院&ノラヴァンク修道院② ホル・ヴィラップ修道院から1時間半ほどの道程を経て、辿り着いた周りに民家も何も見当たらない急峻な渓谷の奥深く、崖の上に建てられたノラヴァンク修道院。 自動車もない時代、こんな難所とも呼べるような辺鄙な場所まで巡礼に来ていた昔の人たちは大変だっただろう。 数年前から自然、文化両方を兼ね添えたユネスコ世界複合遺産での登録を目指していたが、今年に世界文化遺産にのみ、ようやく登録されたそうだ。 「ノラ」は新しい、「ヴァンク」は教会という意味であり、直訳すれば新しい教会という意味である。 新しいといっても12世紀の創建であり、そこから2~3世紀かけて現在の修道院に増築させられていったそうだ。 修道院は主にアストヴァツァツィン教会、カラペト教会の二つの教会によって形成されている。 今回見てきたアルメニア教会群の中でも、アストヴァツァツィン教会は一種独特の変わった外観を持っていた。 スマートなフォルムを持ち、1階がこの修道院を建設したこの地の貴族の墓と祭壇があり、2階が鐘楼という2階建ての教会、2階に上る階段が外壁にあるのだが、1階出入り口を覆うようにして形作られている。 ガイドは1階、2階出入り口の上部に彫られた彫刻に注目するように促し、 「あれはキリスト、ペテロ、パウロの彫刻です。アルメニアの教会において、外壁に神の像が彫刻されている教会はここだけです。大変貴重なものです」 だそうだ。 カラペト教会は建てて早々、異教徒の侵略や地震などで何度か壊れてしまったらしく、何度か再建されているそうだ。 教会脇には石積みの遺構が広がっているが、元の建物はこちらに建っていたそうである。 この教会にも彫刻が多く施され、出入り口上部にある聖母子の彫刻は必見。 ツアーは、この教会の食堂で遅めの昼食に入った。 修道院は僧侶の生活の場なので、食堂はある。 ただ、ノラヴァンク修道院の食堂は大分新しい時代に改築されたようで、古きよき味はない。 出された食事はパンやサラダ等に、メインのアルメニアの郷土料理の定番、「ホロヴァツ」 串に刺して焼いた羊の挽肉で、トルコでいうところのキョフテ。 羊肉のハンバーグみたいなものか。隠し味というかスパイスが効いていて、キョフテよりもうまい、と思う。 ツアーはエレヴァンへの帰り道、アレニという場所に立ち寄る。 アルメニアはプラムや桃、アプリコットなど果物がよく育つが、良質のブドウの産地でもあり、有名なアルメニアコニャックだけでなくワインの生産も各地で行われている。 アレニは有名なワイン生産地の一つで、村の幹線道路沿いには大小様々なガラス瓶や細長い陶製の瓶に詰められた、赤ワインが直射日光を浴びながら露店で売られている。 ガイドによると自家製ワインだそうだ。 うまそうだ。飲みたい。買いたい。車停めてほしい。 こういうとき、団体ツアーに参加したことを悔やむ。 しかし白ワインが見当たらない。 アルメニアでは白ワインはあまり飲まれないのだろうか。 しかしエレヴァンでは普通に白ワインは飲めるし・・・ ガイドに質問しようとすると、アレニでの目的地に到着した。 アレニの教会を遠望するワイン工場だ。 工場見学の時間は無いそうで、試飲のみ。 セミスイート、ドライ、2ドライの3種類の赤ワインを頂く。 どれも舌の奥にまで響き渡るような鮮烈なおいしさ。 何の抵抗もなく喉に通っていく。ドライとはいえ、不思議と甘さを感じる。 モルドヴァといいアルメニアといい、何でこんなにおいしいワインが造れるのだろう。フランスよりもおいしいワインが多いのではないだろうか。 お土産に2ドライとセミスイートの2本を購入し、エレヴァンに帰ったが結局日本帰国まで持たず、アルメニア滞在中に全部飲んでしまった。
駱駝シアンズさん アルメニアに関してはもう私の及ぶ所ではないですね。 私は自己紹介の通り元酒屋です。 アルメニアワインが気に入られた様で何よりです。 しかし少し異論がありますので気に入らないでしょうが聞いてください。 ワインは雰囲気で味が違います。現地で現地の良い雰囲気で飲まれたワインと日本で同じものを飲んだ場合は多分味が違うと思ます。 私が現役の頃外国帰りのお客さんから聞いた事も無い銘柄のローカルワインが無いか聞かれた事は何回かありました。 ローカルワインを飲むときの雰囲気は現地で飲むのが一番だと思います。悪しからず。
Re: 駱駝シアンズさん 雰囲気は確かに大切です。 正しい意見だと思います。 僕にとっては日本を離れて海外に旅行している時間すべてが最高の雰囲気なので、ワインに限らず、どの国でも毎度おいしいものに出会っておりますが。 今までの旅行先の国々において、本当にワインがおいしいと感じた国はハンガリーとモルドヴァ、そしてアルメニアの3国だけです。 そういえば丹波で丹波ワイン飲んだ時、そんなに感動しませんでしたが・・・ アルメニア旅行では、アレニで試飲した工場のローカルワインにのみ感動したわけではありません。 これ以前にも以降にも、エレヴァンの食事どころや商店で購入した安価なボトルワインを何度か飲んでおりまして、ホテルの部屋やレストランなどどこで飲んでも非常においしかったため、非常に気に入りました。 ハンガリーもモルドヴァも、同じような場所にしか出入りしていませんでしたが。 わざわざ生産家のワイナリーや工場まで行かずとも、近場で気軽においしいワインが飲める国が、本当にワインがおいしい国だと考えています。 そういった意味ではフランス、イタリアは期待外れでしたけど。