フランス国籍取得の選択肢を持つ立場から ―メリットと危険性をハカリにかけて

実はオードリーさんと同様に、子供にフランス国籍を取らせたいためにフランスに来て出産する外国人がいます。アフリカなど、貧困と社会不安に悩む国々から来た方々です。彼らの場合、フランス国籍が取れれば子供の将来が本国にいるよりはるかに明るいものになることと、フランスの手厚い生活保護が受けられることで、フランス出産は大変にメリットがあるのです。ただし、こうした方々がフランスに殺到しているので、国として規制する方向になっています。

一方、経済的・政治的に安定した日本から、母体の危険、入国拒否の危険(出産&国籍取得目的での入国がばれると、入国拒否される危険性があります)、滞在身分の問題(日本人は観光目的なら3ヶ月までビザ不要ですが、産後の経過など考えると確実に3ヶ月以内に戻ってこられるのでしょうか?それを超える可能性がある場合は事前にビジター・ビザなどを取得していかねばなりません)、外国の病院での意思疎通の問題(例えば痛みでパニックを起こしている時に、自分の状態を外国語で的確に説明するのは至難の業です)、そして生まれたばかりの赤ちゃんを飛行機で10数時間もかけて連れ帰る危険など、様々な危険をおかしてまでフランス国籍を取ることが、本当に赤ちゃんにとってメリットがあるのでしょうか?

確かにフランス国籍があればフランスでの居住と就職(特に公務員や医師・弁護士などの国家資格が必要なもの)、不動産取得、会社設立などに、何の制約もなくなりますが、こうした権利を行使するには、フランス文化が自分のアイデンティティになっているか、少なくともフランスで中等/高等教育を受ける必要があるでしょう。なお、フランスで高等教育を受けたフランス人でさえ高い失業率に悩んでいる現状では、フランス国籍がフランスでの就職の保証にはなりえません。

今は色々な夢がふくらんで、海外出産のノウハウ的なことで頭が一杯の時期かもしれませんが、どうかフランスでの出産のメリットと想定される危険をハカリにかけて、生まれてくる赤ちゃんにベストな答えをお出しになってください。

なお、フランスでの出産の具体的な情報は在仏日本人のコミュニティ・サイト「OVNI」の質問掲示板で質問なさると、出産経験者(国際結婚した方や駐在員の奥様など)からの話が山のようにきけますよ:http://www.ilyfunet.com/cgi-local/bbs01/wforum.cgi

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