サーチャージ内訳の試算

以前、以下のとおり内蔵介さんがサーチャージについて概算されています。
http://bbs.arukikata.co.jp/bbs/tree.php/page/2/-/view_num/30/-/id/116943/-/order_field/default/-/parent_contribution_id/115151/
それに基づき、以下のとおり試算してみます(数字のお遊び)。

●仮定条件
ケロシン価格は下記サイトよりUS$75/バレルとする(2005年12月)。
http://www.jal.co.jp/jalcargo/fuel/main2.html

JALの場合、サーチャージは基準ケロシン価格US$28.49/バレルとの差額としているようである。下記サイトを参考にした。
http://www.jal.co.jp/jalcargo/fuel/img/fuel.pdf

●具体例(北米の場合)
日本からニューヨークを飛行する場合を例にとり、具体的な燃料費の見積もりを行う。
ニューヨークまで飛行する場合、燃料消費量は約125トン(下記サイトより)なので、ケロシンの比重は0.8なので、約156000リットルである。
http://www.jal-foundation.or.jp/html/taikikansoku/kitai/36.htm

したがって、現在日本-ニューヨークを飛行するための燃料費は、
156000 × (75×118/159) = ¥8,683,019 となる。
ここで、1US$=¥118、1バレル=159リットル とした。 

一方、サーチャージ適用前の燃料費は、
156000 × (28.49×118/159) = ¥3,298,389 となる。

したがって、燃料費の差額は、¥5,384,630 となり、乗客一人あたり(300人/機)は、約¥17,000 となる。
ただし、カーゴにもサーチャージはかかっているので、分母を乗客数だけとすることは正しくないだろう。また、ここで乗客数を満席と仮定することも正しくなく、実際の算定には、過去の乗客数の平均値等を用いているのだろう。しかし、仮定だらけの計算にしては、まともな数字がでてきたものと思う。

JALのサーチャージは、下記のとおり北米で13,000円なので、ニューヨーク線の場合、過少という結果になる。
http://www.jal.co.jp/other/info2006_0714.html

一方、北米でもバンクーバーはニューヨークの約7割の距離であるから、燃料費は距離に比例すると仮定し、試算すると約¥12,000(=17000×0.7)となり、サーチャージ(13,000円)は過大になる。

わざわざ試算するまでもないが、上記、ニューヨークとバンクーバーのように、サーチャージの価格設定は広い地域を一括しているために、不公平が生じていることは問題であると思う。
また、機種による燃費の違いも考慮すべきであろう。ボーイング777は747よりも25%程度低燃費だそうで、この差を無視すべきではないと思う。

●結論
試算してみた結果、サーチャージはそれほど「ぼったくっている」とは思われないが、路線や機種による不公平感が明らかにあるので、もっときめ細かい料金設定をすべきだと思われる。

利用者の立場では不透明な金を支払いたくはないし、また「サーチャージでぼったくっている」と思われることは航空会社にとっては損なことなので、航空会社はその内訳を明らかにし、透明性を高めるべきだと思う。

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1件のコメント

  • 退会ユーザ @*******
    07/01/08 09:20

    試算についてお尋ねします。

    航空機燃料に関する詳細な計算有難う御座います。
    本件に関してお尋ねします。

    1、この試算は片道の燃料費ですね。
    往復の場合はUSAまで行くと帰りの燃料費は往きに比べて相当多く必要です。
    通常往復切符を購入するので片道の2倍と言うわけには行かないのではないでしょうか?

    2、長距離はこの試算が当たるのかも知れませんが、短距離でも結構高い燃料費が追加されていますが、この当たりはどの様な考え方なのでしょうか?

    もしご存知でしたら教えて下さい。

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    Re: 試算についてお尋ねします。

    1.偏西風の影響があるので、当然西行き・東行きで燃料消費量は異なっているし、そのときの偏西風の強さや飛行ルートにも依存するでしょう。突き詰めていくと、「目的地に到着後、実際に消費した燃料に応じ、その都度算定したサーチャージを徴収する」ことになり、現実離れしますので、適当なところで割り切って考える必要はあろうかと思います。個人的には、路線ごと、機種ごとにサーチャージを設定してほしいと思います。

    2.JALのサーチャージをみると、香港線、サンパウロ線、バンクーバー-サンパウロが安めに設定されていることがわかります。それ以外の路線は、概ね距離に比例しているように見受けられます。キャセイはJALやANAより安いし、航空会社間の格差や地域差がありますが、そのカラクリは分かりません。とにかく、サーチャージの根拠を明確にしてもらいたいと思います。