Re: 京猫御殿さん、教えてください

旅クマさん、こんにちは。旅クマさんのお話もおもしろいですねぇ。いつも楽しみにしております。

ご質問ですが、端的に言いますと逆のもあるし同じのあります。千年前はなんでも文化・宗教的なものは、ご存知のように大陸から・正確には多くは朝鮮半島経由で我国にもたらされております。当然同じなのはこのためですし、逆なのは明治の新政権以降か戦争時に変わったんですね。難しくなりますが国家神道と神社神道の違いまで言及しないといけないのですが省略しますね。

あと意外に知られていないのが、遣唐使は有名だし学校で習うけど、遣新羅使の存在です。じつは遣唐使の倍くらいの三十回以上派遣されていますし、新羅から来る新羅使はもっとその倍くらい来ています。古代朝鮮との交流はもうここから見落とされておりますし、私の住む京都の修学院離宮は有名ですが、すぐその北に赤山禅院というお寺がありますが(京都住民は結構知ってますが)なんとそこのご本尊と言うかご神体は、新羅明神という新羅の神様なんです。天台宗の留学僧・円仁や円珍など最澄を継いだ後の高僧たちが向こうで困っているのを助けて支援したのは、なんと新羅の交易商人たちだったんですね。それで無事帰国できたら御国の神仏を祀りますという、信義が守られて建立されたのです。というように連綿と歴史そのものをきちんと固持している社寺、明治維新や帝国主義時代の国策に乗じた社寺、良いとか悪いは別にして、日韓の陰陽の上下・逆という現象はこういった事由で散見されます。私は大学で教えるとともに(神社の)神職でもありますが、ほんの少しだけでも全体が見えて頂ければ幸いです。こんなんですいません。

先々月は釜山・海雲台から汽車で安東へ。先月は友人の車で釜山から順天・松広寺・雲住寺・光州と私も韓国の田舎旅が好きで、今月はさすがに行きませんが、来月はまた引率でソウル・中央国立博物館見学、楊平から原州へ連れて行こうか思案中です。一体年間で何度、韓国へ旅行してるのか(笑い)。さすがに正月はロ-マに滞在予定ですが、イベリア半島は存じません。留学したパリやソウル、フランスと韓国はほぼどこでも行ってますのでお役に立つかもしれません。あと北京にもほんの少し詳しくなりつつあります(笑い)。

旅クマさんや、さすけさん、ヤマネコさんなど、旅通のベテランが後進の方に、色々アドバイスされて旅行を上手に楽しむ方が一人でも増えれば幸いと存じます。私もちよっとは役に立てればと思量しております。



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1件のコメント

  • 野次馬で申し訳ないのですが 教えて下さい。

    京猫御殿どの 割込みご容赦下さい。

    朝鮮半島に神道が残っているとは存じませんでした。 といっても 2-3回のソウル、釜山、チェジュ島程度の旅行経験ですから 当たり前ですが。

    島根や能登の神社が鳥居をあちらの方向に立てていますし、白山信仰などがあちらの色濃いのは承知しておりましたが なぜか半島にその痕跡が無い?(いえ 目に付かない・・・)のが不思議でなりませんでした 。

    どちらかといえば 道教的な祭祀が残っているのは気がつきましたが・ ・。 微妙な言い方になりますが 本来的?な形が日本の中心部に残ってあちらは消えてしまったのかと・・・思っていました。

    いわゆる儒教の締め付けによる何かで・・・。

    八幡信仰も どちらかといえばあっちの系統の・・・とか。

    いえ微妙なお話を興味本位で恐縮ですが 日本の文化・伝統の後に見え隠れするご先祖様にはタイヘン関心があるものですから・・。

    差し付けない範囲でご教授たまわれば 幸いです。

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    ぼうふらおじさんさま、こんばんわ。

    いえいえ、朝鮮半島に神道が残っているのではなく、むしろ我国に古代朝鮮の神々たち、新羅明神とかが残っているし、現在も大切に祭祀奉られているというお話です。

    島根や能登やのお話を聞きますと、ぼうふらおじさんさまも、うすうすなんとなくお解かりだと直感的に感じましたが、様々な形で古代朝鮮と我国の神様は関係しております。ちなみに能登半島の能登はノット・アイヌ語で突き出たあごの意味でして、半島の形がそうですよね。この辺りまで北方文化の影響があるのですね。越の国から大王を迎え入れる大和朝廷の話など、この北陸海岸沿いは朝鮮半島との玄関口だったのですね。こういうところのお話は講義では90分・一コマを半年間とか、やりますから(笑い)掲示板ではこれくらいにしておきます。ごめんなさい、悪しからず。

    ご存知のように、李氏朝鮮王朝時代に儒教政策を取りましたので、高麗時代の仏教も排斥され、寺院もすべて山の中に追いやられました。国師とも呼ばれた僧侶の身分も低層階級に貶められ、我国の明治維新期の廃仏毀釈・神仏分離令と同じ惨状でありました。そのあとは世界的帝国主義時代の高波に飲み込まれ我国の植民地に。朝鮮神宮を京城・ソウルに建立し、あちこちに神社がたてられました。もちろんいまはその痕跡すら、わかりにくい状態です。つまりお解かりの通り、道教的・儒教的なものは色濃く残っています。でも神道的なものはもうありません。仏教も我国が島国で、もう伝播する先がないので、言葉は悪いですが吹き溜まりのように残っているのです。神道も古神道と呼ばれる、アミニズムとでも言いますか、山や巨石・大木など自然崇拝から、中国大陸・朝鮮半島の文化などが融合したりして、いや影響を受けたりして今日に至っています。アジア圏で神話や昔話が共通してるのがよい証拠ですね。ではこの辺で、つたないお話で恐縮でした。