その15 ノート 翌朝は、イブラから見て日が当たり美しく見える新市街を眺め、 公園を散歩してからチェックアウトし、またタクシーでバスターミナルへ。 ところが、これからが大変。 このターミナルから利用できるバスの会社は3つ4つあるのですが、 ここからノートに向かうASTバスの切符売り場もなければ 時刻表もどこにも貼られていないのです。 他の2、3社の切符を扱う切符入り場はあるのですが、閉まっています。 切符は、バスの運転手からも買えるシステムになっていたのでいいのですが、 とにかくいつバスがくるのか、誰にも聞くことができないのです… 事前にネット検索で調べたところでは11時半のバスがあるはずで、 同じノート行きの人たちが何人か待っていたので、 (待合室などというものもなくて、みんな適当に日陰を見つけています) きっと来るだろうと信じて待つこと1時間半。 どうやら11時半のはなくなったのか、飛ばされたのか、 次の13時のバスがやってきたのです。 ああ、今までが順調すぎたのだわ、 イタリアなのですもの、このぐらいは仕方がない… 冷房の効いたバスの中で涼みながら、ノートまで行きました。 11時半のバスがあれば、モディカ行きなのでモディカで昼食をとり、 どこか荷物を預かってくれるところにお願いして、 半日観光してからノートに向かうつもりでしたが この状況ではモディカで降りても、次のノート行きバスがいつ来るか分からないと思い、 一気にノートまで行くことにしたのです。 ノートの宿は、VENEREで検索してもよさそうなのが見つからなかったので BBPlanetというサイトで見つけたB&Bです。 ご夫婦で数年前に始めた宿で、自宅の隣のアパートの一画を買い取り、 そこをB&Bにしたものでした。 部屋は小ぎれいで、余計なものはありませんが、必要なものはちゃんとあります。 朝食は、ご夫婦の家の庭でいただきます。 庭に面して作ってあるキッチンも冷蔵庫も自由に使っていいと言われました。 とてもフレンドリーなご夫婦で、 近くにスーパーがないかとか、お薦めのトラットリアはあるかとか 気軽に聞ける雰囲気でした。 それにも増していいのがロケーション。 バスターミナルから近いし、中心部にも近いのです。 おまけに結構大きなスーパーまでも歩いて10分ぐらい。 ハイ・シーズンでしたが、ツインで70ユーロは、優秀だと感じました。 さて、ノートのチェントロは、ラグーザよりも、翌日行ったモディカよりも、 小ぢんまりとまとまっています。 それが18世紀に一気に造り上げられたバロック都市なのですから、 とても統一感があります。 ここでの目当ては、何と言っても、ニコラチ通りとニコラチ館。 前述の芸術新潮に陣内さんが書いていますが、 この通りは坂になっていて、上って行くと、 突き当りのモンテヴェルジニ教会の正面入り口が凹型になっていて、 それが行き止まり間を感じさせない空間になっているのです。 そして、ニコラチ館の建物のバルコニーを支える部分に、 いろいろな楽しい彫刻が施されていて、いくら見ても飽きません。 例えば、ペガサスが5頭彫ってあっても、皆表情が違うのです。 市庁舎やテアトロなどバロック建築の数々の外観を楽しみながら散歩をしていると、 結婚式を終えたカップルが、市内のあちこちを巡り、 カメラマンを同行して写真とビデオ撮影をしているのを見かけました。 イタリアでは、おなじみの光景です。 撮影風景を写真に撮り、彼らに祝福の言葉をかけました。