その14 ラグーザ 2 一旦、宿に戻り、着替えて夕食へ。 このホテルは、イブラの中心部に同じ名前のレストランも経営していて、 そこもなかなかよさそうだったので、ホテルを通じて予約を入れたら 外の、入り口に近いいい場所をとっておいてくれました。 テーブルの飾り方も、テーブルウェアも、ホテルと同様シックでエレガントです。 食前酒にシチリアのスプマンテをいただき、 手作りの数種のパンは、食べやすいサイズでいろいろ楽しめそうと思っていたら 美味しいと言われるシチリアのオリーブオイルの中でも 特に香り高いとされるヴァル・ディ・ノートのEXヴァージンオイルを添えてくれました。 目の前で瓶から皿に注いでくれたので、鮮やかなグリーンの色とともに 青りんごのような香りが立ち上りました。 パンに付けて食べれば、口の中一杯に香りが広がります。 やっぱりパンには、バターよりオリーブオイルだわ! フルコースは、無理だと思ったので、 (こういう店は、1皿1皿が材料も味もしっかりしていて かつボリュームもちゃんとあることが多いのです) 今日は、品良く(?)プリモを飛ばすことにして 前菜に魚(鯵のようでした)と野菜(ペペローネ)とラグザーノチーズの重ね焼き、リコッタソースとバジリコソース、 セコンドに、仔羊のロースト夏野菜のダイスとチーズのラビオリ添えをいただきました。 友人はセコンドに牛肉を選んだので、 牛にも羊にも合う赤ワインを1本いただこうとソムリエ氏に相談したら ボトルでご注文をいただかなくても、グラスでお楽しみいただけますよ、 というので、彼のお薦めをグラスでいただき、 もっと飲みたかったら別のワインをまたグラスで注文することにしました。 出されたのは、フラッパートという種類の葡萄で、 シチリアワインにしては、穏やかで、渋みのないエレガントなワイン。 ソムリエ氏が、この店の料理とよく合います、と言っていた通りです。 料理も、どれも美味しく仕上がっていましたが、 ここの料理は、洗練されていて、都会のおしゃれなレストランのよう。 昨日までの、海辺で出されるシチリアならではの 気さくで、素朴で、それでもすんごく美味しい店とは対極にあるように感じます。 こういう店もたまにはいいけれど、やはり私が好きなのは…。 夕方から夜にかけてのドゥオーモ付近は、 ライトアップされた建物が美しく(ただしドゥオーモは修復中)、 店もたくさん開いていて、 夕涼みしているまちの人や、散歩をする観光客など人出も多く、 賑やかで楽しい雰囲気でした。 折りしもこの日は大きな満月が、ゆるりと昇ってきて。 同じ場所でも、前回立ち寄った昼の様子とは全く違い、 つくづく、駆け足の訪問で、ほんの一瞬のちら見ではよさは分からないと感じました。 朝見て、昼見て、夕方も夜も見て、まちの雰囲気を味わいたいものだと。