2003年8月に、フランクフルトからの乗り継ぎで、モスクワのシェレメチボ空港に14時間ほどいることになったのですが、そのときに空港に住んでいるという男性に会いました。
夜中で、彼は2階の通路みたいなところに寝ていて、椅子が足りなかったから私もその近くで休もうとしたら、「毛布かしてあげるよ」と声をかけてきました。なぜかアエロフロートの毛布をたくさん持っていて…。話を聞くと、「外国にビザや働き口を手配してくれるという人に、約1000ドル渡して自分の国から出してもらったが、着いたらモスクワで、しかもビザが取れていなくて入国できない」というのです。しかも、「ロシアに入国するのにはまた1000ドルほどかかる(ポリスがそう言うのだそうです)し、国に帰るにも航空券代がない」と。
最初、どこの国の人なのか聞いたら「バレイスチナ!」と言われて、分からないという顔をしたら、「アラブ!」と言われました。地図を見せたのですが、地図の見方が分からないようでした。どこの近く?と聞いたら「イスラエル」と言ったので、たぶん「パレスチナ自治区」のことだと思います。残念ながら私の地図には載っていませんでした。
「国に帰ったら生きていられない」というようなことも言っていました。
一応ポリスが2日に1度食事を持ってきてくれるそうで、もう3ヶ月以上空港にいると言っていました。
「お金を用意して入国したいが、ここでは働くこともできないから、少しでいいからお金をくれないか」と言われましたが、ただの物乞いの作り話なのか、本当の話なのか判断できず、断りました。
その後シェレメチボ空港に行っていないので彼がどうなったのか分かりませんが、ニュースでパレスチナの報道を見ると単に作り話とも思えません。
彼の風貌から長期的に空港に寝泊りしているのは明らかでした。
私の他に彼と話した人や会った人はいませんか?
もう3年も経ちますが時々思い出して気になります。