レポート

ノルウェーにて

公開日 : 2006年07月09日
最終更新 :

7月初めから7泊9日の日程でノルウェー旅行に行って来ました。

ノルウェーといいますと、思い浮かぶのはまずオーロラ、そしてフィヨルド、ヴァイキング、ムンク等々。

でも今回の僕の最大の目的はそのいずれでもなく、「スターヴ教会」という世界最古の木造教会建築群を見に行く為でした。


僕がスターヴ教会を見に行こうと決めたのは、二年前のロシア旅行において。
日程不足の為に仕方なく諦めた、黄金の輪とキジー島の木造教会。

この「木造教会」というのにかなり惹かれるモノがありました。
今までヨーロッパの幾つかの国で、様々な教会を見てきたのですが、石造の教会しか見た事がなく、木造というのは1度も見た記憶が無かったので。

今現在の生活状況において、ロシアへ行くのは日程の都合で相当難しい。
で、ロシア以外の有名な木造教会を探してみて、三ヶ所の旅行候補地を発見。

「ルーマニア、マラムレシュ地方の木造教会群」

「ポーランド南部の木造教会」

「ノルウェー、ウルネスのスターヴ教会」

ロシア以外に三つもの有名な世界遺産の木造教会を発見。


この中でノルウェーのスターヴ教会を選んだのは、そのデザインが西洋の教会と明らかに違う、強烈な個性を放っていたからです。

「北欧神話時代の神殿を模した形をしている」という説もあるらしく、北欧神話やサガの意匠を取り入れたスターヴ教会は、単なる木造の教会というだけではなく、美術的な価値も非常に高いと思われます。
(そもそも北欧神話は幻想的でカッコイイ神話です)

かつてノルウェー国内に少なくとも750はあったスターヴ教会も、現在では約30ほどしか残っていません。(数においては資料によって諸説あり)

このスターヴ教会がいずれもまたアクセスが困難な僻地にある事が多く、観光のルート組み立ては困難を極めました。

まずは悪名高いノルウェーの物価高に対抗すべく、セコセコと小金を貯め、一日に2~3本程度しかないバスやフェリーの時刻表を徹底的に調べ上げて臨んだ、僕のノルウェー旅行。



今回はソグネフィヨルド方面を中心に、

「ウルネス」「ボルグン」「ゴル」「ヘッダール」「カウパンゲル」
「ホッペルスタッド」「ファントフト」

の、7つのスターヴ教会の見学に成功。

構想二年、計画に半年を費やした僕の旅行記、
時間があれば書いていこうかな、、、と考えています。

とりあえずは帰国の報告を兼ねてレポートを書きました。

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50件のコメント

  • 行き方がわかりません。

    こんにちは。駱駝さん。
    8月に
    ベルゲン2泊→フロム1泊→オスロ(深夜着でもかまいません)のスケジュールで旅行しますが、
    どうしてもウルネス教会に行ってみたくなりました。
    ベルゲンからソグンダル経由でフェリーを乗り継ぐのがいいのか、
    一旦、フロムまで行って、翌日行動したほうがいいのか、スケジュールが今ひとつわかりません。
    http://www.thefjords.no/bergen-sogn.asp
    これによると、ベルゲンからソグンダルのフェリーは19:00着しかないようなので、そこからソルボンまで行けるのかどうか?また行けたとしてソルボンからウルネスのフェリーに乗れるのか?難しいような気がします。
    一方、フロムからのアクセスは見つけることができませんでした。
    そもそもこの日程では無理なのでしょうか?

    他に頼る方法がないのでよろしくお願いします。

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    ルート1例

    ベルゲン発のバスが早朝にあります。

    http://www.ruteinfo.net/ruter/r/22-450.htm

    ベルゲンからソグンダールまでのバス、フェリーはこれだけではないですが、ちょこっと検索してみましたら、このバスが一番早そうです。

    これだとヘバッケンかラールダールでバス乗り換えの必要があるかもしれませんので、運転手に要確認を。


    11時35分にソグンダールに到着後、

    http://www.ruteinfo.net/ruter/t/14-153.htm

    11時40分のバスに乗り、ソルヴォルンの港まで行ってもらいます。
    運転手に「ウルネス教会に行きたい」と告げておいたほうがいいと思われます。


    13時発のウルネス行きフェリーに乗りこみ、

    http://www.ruteinfo.net/ruter/t/14-147.htm

    ウルネス教会を見学、ガイドツアー見学方式ですので、教会までの往復時間も含めて、普通に見学していると再びウルネスの港まで戻ってくるのに1時間半はかかると思われます。

    この為、ガイドの人などには失礼かもしれませんが、時間によっては教会見学を早めに切り上げることをお勧めします。

    帰りのソルヴォルン行きフェリーは14時半か15時半ウルネス発。


    そもそもソルヴォルンの村は幹線道路のバス停から大分外れた場所にあり、ダイレクトにバスは入ってきません。

    ソルヴォルンに到着後、無料のミニバスに乗って幹線道路沿いのバス停に行くか、急な峠道を30~40分歩きで幹線道路のバス停へ行くか。

    ミニバスの場合は、事前予約が必要みたいですので、ベルゲンの観光案内所で聞いてみてください。

    ソルヴォルン村から電話でソグンダールのタクシーを呼び出すという手もあります。

    とにかくソルヴォルン発18時15分のソグンダール行きバスに乗れたとしまして。


    18時55分にソグンダール着。

    あとはソグンダールからの19時5分発か、それ以降の時間発の、

    http://www.ruteinfo.net/ruter/t/14-103.htm

    グドヴァンゲン行きバスに乗れば、フロム着は早くて20時35分。

    このルートであれば、ベルゲンからウルネススターヴ教会に行き、一日でフロムへ抜けることは可能と思われます。


    ただ、ピンポイントでの乗り継ぎが多く、バスを1本でも逃すと悲惨な目にあうかもしれません。

    以上は、あくまで僕が立てたルート計画の1例です。

    このルートも少々手直しが必要かもしれませんが、しかとらさんの旅行スケジュールにあうような計画にしてください。

    ココに掲載したルートインフォのバス時刻表は

    「Klikk her for turtabell」

    をクリックすることにより、行き先を逆にすることも出来ますので、探してみればもっと効率のいい観光ルートがあるかもしれません。


    フロムからのソグンダール行きバスの始発も時期によっては5時55分からあるようですので、フロムからの1日エクスカーションも可能かなぁ・・・と思われます。

    (ちょっと私用で忙しいので)フロムからのルートに関しては、僕は調べていません。


    土曜、日曜を挟んだりすると、ソグンダール地方のバス、フェリーは本数が極端に少なくなります。
    また、時期によっては運行されない便もありますので、注意してください。

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  • 07/01/21 17:45

    Re: ノルウェーにて

    はじめまして。
    いまさらですが、楽しい、スリル満点の旅行記読ませていただきました。
    ありがとうございました。
    今回の旅の参考にさせていただきます。

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  • あとがき

    心臓に悪い旅行だった。

    今までも色々なタイプの旅行をしてきたつもりでしたが、バス一本にいたるまでここまで綿密に予定を組み上げ、またスケジュールに縛られた旅行は初めてだったと思う。

    バス一本、フェリー一本乗り遅れていたなら、予定日に帰国する事は出来なかっただろうし、なにより職場に迷惑がかかる。

    今回の旅行、本当は3日間しか有給が認められなかったのですが、なんだかんだで例年通り一週間の休暇を認めてくれた、職場の上司や同僚に感謝です。



    今回訪れたノルウェーでの最大の目的であるスターヴ教会。

    もともとロシアの木造教会の代替として探し、訪れたに過ぎませんでしたが、おそらくはロシアに負けない、素晴らしい建築に遭遇する事が出来ました。


    ノルウェーは美しく雄大な自然と、温厚な人達が暮らす素晴らしい国です。
    是非1度は訪れてみる事を強くお勧めします。
    僕もまた、お金を貯めて再びノルウェーの地を訪れたいです。

    その時はスターヴ教会だけでなく、ノ-ルカップからフィヨルド、テレマルク運河まで、スターヴ教会以外のノルウェーもたくさん見る事が出来ればいいと思う。


    再来年、再びロシア旅行に挑戦しますが、諦めていたキジー島の木造教会に出会う事を今から楽しみにしています。


    今年の年末年始の旅行地はモルドヴァ&ウクライナに決定。

    ロシア旅行のデモンストレーション的な意味合いも兼ねていますが、ノルウェーに負けないドキドキする体験が再び待っていることを信じています。

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  • 七月八日・・・①「帰国」

    ノルウェーで迎える最後の朝、すっかり忘れていた重要な事に気付く。

    そうだ、職場へのお土産をなにも買ってなかった。

    少なくとも一週間、仕事を休んでいるわけだから買わないわけにもいかない。

    YHをチェックアウトし、とりあえず港の魚市場へ行ってみる。

    ここでは魚や野菜、果物などの生鮮食品だけでなく西側区画には
    ノルウェーセーターやトロール人形などのノルウェー土産も扱っている。

    なんとマトリョ-シカやモスクワ名物の皮の小物入れなどのロシア民芸品を取り扱っている屋台もある。


    この魚市場で買ったのは上司へのお土産。
    トナカイのサラミやシシャモ、サケの卵などのノルウェーキャビア詰め合わせ。

    余ったノルウェークローネを使い切る為、屋台をウロウロしていると日本人アルバイトに出会う。こんな所にまで日本人がいるとは驚きだ。

    旅先では相手の氏素性は一切尋ねない主義なので彼女のことについては全く尋ねなかったが、この手のバイトは月に40万円稼げるという噂もあるし、別にノルウェーでは珍しい事ではないのかもれない。

    ここの屋台でスモークサーモンとクジラのパックを何枚か購入。
    タックスフリーの看板が目立つこの市場、やはり完璧な観光名所
    になっていることをあらためて実感。



    お土産を買い込み、港西側のバス停でフレスラン空港行きエアポートバスを待つ。
    この日のベルゲンは気持ちいい朝晴れで、昨日の大雨が嘘のような天気。
    こんな日にノンビリ観光できたら、もっとベルゲンの良さがわかったかも。

    ベルゲンの街の僕の感想は、「あまり長居したくない街」だった。


    やがてやって来た空港行きのバスに乗り込み、フレスラン空港へ向かう。
    さらばベルゲン。


    フレスラン空港は「地方の小規模空港」と思いこんでいたが、なかなかに小奇麗な店が並んで明るい空港だった。
    空港内もこれから飛行機に乗ろうという人達で混んでいる。


    僕の乗るKLMオランダ航空のボーディングチィックは以外とすいていて幸運だったが。
    機内預け荷物は四キロオーバー、しかしお咎めもなくすんなりと搭乗手続きが終わる。

    荷物、ボディチェックを済ませて搭乗ゲートに入ると、いきなり免税店内に出てしまった。

    免税店を通らねば搭乗ゲートにいけない仕組み。
    「ノルウェー出て行く前にぎょうさん買うてって」
    という魂胆か。

    見事なまでにノルウェー以外の国からの輸入品が並んでいる。
    一言で言えばろくなものがない。


    ノルウェーのチョコレート会社、フレイヤのミルクチョコレートを職場に配るお土産として購入。

    これはかなりウケが良かった。
    味は日本のチョコレートに近い。


    免税店を出て、搭乗待合室にあった売店で免税手続きを済ませる。
    何故かユーロで還元してくれた。


    12時10分、アムステルダム行きの飛行機が出発。
    アムステルダム乗り継ぎで、いまだ梅雨が明けきっていなかった
    蒸し暑くて住みにくい日本へ帰国。

    翌日から早速仕事だ。
    しかし今年も楽しいバカンスになった。

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  • 七月七日・・・⑥「ファナフォークロアショー」

    フェスト広場北側の集合場所にはすでに「ファナフォークロア」と行き先表示された黄色いバスが停まっていた。

    集合時間数分前、もう車内は満員で来ていなかったのは僕だけだったようだ。
    案内役の民族衣装を着たおばあさんが、

    「ツアーのお客ばっかりだと思ってたよ~」

    とこうだ。

    どうやら僕以外は全て同じ旅行ツアーの観光客がショーに参加していて、個人客は僕だけだったらしい。
    ついでに言うと、僕はほぼ頭数に入っていなかったみたいで、もう間もなく出発する所だったそうだ。

    僕は遅刻していないのになぁ。


    案内役のおばあさんは見た目の年の割に(失礼)大きな声できびきび動くおばあさんで、流暢な英語で本日のスケジュールの説明をする。



    バスはついさっき行ったファントフトを通り過ぎ、ファナ教会へ到着する。

    幻のスターヴ教会か?と期待していたその教会は、簡素な造りの石造教会だった。

    四角すいのトンガリ屋根に丸くカーブした後陣、形はヴィクのホーエ教会とほぼ同じ。いくつかのスターヴ教会が持つノルウェー伝統の形を模した、実にノルウェーらしい石造教会だ。


    みんなしてゾロゾロとバスを降りて教会の中に入っていく。
    内部はごく普通の薄暗い教会だった。
    皆それぞれ思い思いのベンチに座る。

    一体これから何が始まるのかいぶかしんでいたが、やがてどこからともなく透明感のあるソプラノの独唱が聞こえてきた。

    一体どこから聞こえてくるのだろう?
    僕を含めて何人かはキョロキョロと辺りを見渡すが、姿を確認できず。


    やがて独唱か終わると、おばあさんについてゾロゾロとバスに戻り
    次なる目的地、ファナ山に向かう。

    バス内で気づいた事だが、ショー参加者にはアメリカ在住の日本人夫婦もいたようだ。(日系人ではなく)

    やがて到着したファナ山の平小屋。
    周りには民族博物館で見たような草葺の木造小屋がいくつか見られた。


    ショーが行われる平小屋の入口では、民族衣装を着たお姉さんによるヴァイオリン演奏のお出迎え。


    やがて小屋内の長テーブルの席に全員が着席する。

    おばあさんの英語の案内によって、今からの細かいスケジュールの説明があった。

    とりあえず今から食事らしい。

    壮年のおじさん、おばさんからお兄さんお姉さん、小さい女の子まで
    様々な年代の民族衣装を着た人達が次々と何やら運んでくる。

    え~、本日の夕食献立はカスタードクリームみたいなスープと山盛りのパン、トナカイのサラミ四枚。
    ノルウェー独特のものと思われる甘いパンケーキと木苺のジュースとノルウェーのおいしい水。

    パンはビスケットみたいな固いプレッツェルと、さっきレストランで見かけた味なし八つ橋みたいな薄焼きビスケット。

    先に食事を済ませてきて正解だった。
    トラディショナルミール、恐るべし。


    食後のコーヒー紅茶が済んで、食事が一通り終わると約1時間のフォークロアショー。

    内容にいたってはハンガリーあたりのフォークロアショーと特に大きな違いはなかった。
    ダンスに歌に演奏に、観客を巻き込んで進行する


    インドやらコスタリカやらイギリスやらアメリカやら・・・
    様々な国からの参加者がいる。

    全員がデンマークからノルウェーへと旅行するツアー参加者だそうだが、一体どこの国の企画ツアーなのだろう?

    観客を巻き込んでのショーはますますエキサイト。
    こういった事に関しては、欧米人は積極的に恥ずかしがることなく楽しんでいる。



    やがてショーも終わり、ゾロゾロとベルゲンへ帰るバスに戻る。

    帰りのバス車内で、参加していた日本人夫婦と少しだけ喋った。
    アメリカの工場は2週間ほど、毎年必ず機械を停めるらしい。

    しかも有給も、使わなければ逆に怒られるのだそうだ。
    今回はその工場停止の休暇を利用しての北欧バカンスだそうで。



    ぬぅ・・なんとうらやましい。

    2週間もあれば、あと2つ、いや3つくらいはスターヴ教会を見れただろう。
    オマケにガイランゲルやノ-ルカップなど、南から北までノルウェーをもっと味わい尽くす自信があるのに。

    日本にもそういった休暇制度を入れてほしいものだが。


    バスは集合場所とは全然見当違いの、ベルゲン市内の見た事もない場所に停車、そこで降ろされる。

    話を聞くと旅行ツアー客は全員、この付近のホテルに宿をとっているそうで
    ツアー以外の唯一のショー参加者である僕ははじき出された形となる。

    日本人夫婦に助けてもらい、現在位置をベルゲンの地図に記して教えてもらい、事無きを得た。

    ちょっと港方面から外れた所で降ろされたようで、徒歩10分ほどで港に出る事が出来た。

    ノルウェー最後の夜が、今終わった。

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  • 七月七日・・・⑤「オオカミウオ」

    ファントフトのバス停に戻り、土砂降りの雨に憂鬱になりながらもひたすらバスを待ち、やがてやって来たベルゲン行きバスでブリッゲン近くまで戻る。

    時刻は夕方17時、夕食にはちょっと早いけどフォークロアショー19時の集合時間の前に食事を済ませておく事にする。


    レストラン「ブリッゲロフテ&ステューエネ」は、世界遺産ブリッゲンの木造家屋を利用したシーフードレストラン。

    ここでベルゲン訪問においての目的の一つ、オオカミウオなる魚を食べる事にする。

    オオカミウオそのものは実際に見た事はないですが、とりあえず食べた事も聞いた事もない魚だったので、興味がありました。


    実際はこのような魚。

    http://www.zukan-bouz.com/suzuki/gengeamoku/ookamiuo.html

    真っ黒でグロテスク、目がどこにあるのかさえわからん。
    日本でも捕れるらしいがあんまり食べられていないようだ。

    ノルウェーではごくフツーに食べられているポピュラーな食材のようである。
    地球外生命体みたいなこの生物を、最初に食べようとした人は偉い。


    ブリッゲロフテ&ステューエネの内部はシックな内装で、昔のベルゲンの風景を描いた大きい絵画も飾られていて、ノルウェーの木造家屋らしい温かみが感じられ雰囲気は悪くない。

    店の前にその日のお勧め料理がチョークで書かれているのが、観光客用レストランっぽくなくていい。
    しかも英語というのがなおナイス。


    早い時間にもかかわらず、店内はすでに混雑が始まりつつあった。
    客が多いのは立地条件だけではなく、おいしいからだとも思う
    僕もギリギリで席を確保する。

    僕の頼んだメニューはこの店の名物(だそうだ)魚のスープとステインビット。

    オオカミウオはノルウェー語でステインビットという。
    読みやすく、発音しやすい名前だ。

    メニューには「ステインビット」とだけ書かれていたので、(小さい説明書きらしきものはあったけど読めなかった)オオカミウオをどのように料理して持ってくるかは謎。

    こういうのもたまには楽しい。


    メインのオオカミウオの前に出された魚のスープ。

    なんだかクリームシチュー味ののスープに、野菜と共に白い魚のすり身みたいな平べったい団子が入っている。

    ロシアあたりのぶつ切りの魚の入ったスープみたいのを予想していたのだが。

    魚のいいダシが出ていてあっさりしていておいしい。
    周りのお客もこのスープを頼んでいる人が多かった。
    この味の良さならうなずける。


    しかし一緒に持ってこられた、薄っぺらいせんべいみたいなパンは頂けない。
    かご一杯に盛られていたのですが、ニッキの香りもしない味無しの固八つ橋を食べているようだ。

    ノルウェー独特のパンのようなこの八つ橋もどき、ほとんど残してしまった。
    自分、京都産まれの京都育ちでありながら、八つ橋が好きで
    はないんですね~。


    やがて持ってこられたオオカミウオはフライになってやって来た。
    エイリアンのような魚も、フライになってしまえばおいしそうな料理に変身する。

    レモンを絞って食べる。
    思わず唸ってしまうくらい、うまい。

    どちらかというとフライというよりはカラアゲに近い気もする。
    白身魚だが、タラやタイなどよりも味がいいと思う。



    オオカミウオ、あっという間に平らげる。
    ちと足りないけど、これからいくフォークロアショーでもちょっとした食事が出るらしいのでこのぐらいがちょうどいいかも。

    クレジットカードで支払いを済ます。

    魚のスープとオオカミウオ、ビールと白ワインとエスプレッソで
    合計435クローネ。


    やく8600円なり。
    日本なら神戸牛ステーキが食べられるぞ。

    日本でも神戸牛なんて食べた事ないのに、ノルウェーという国は滞在するだけで贅沢をしているような気がする。

    店を出るころ、18時30分頃には雨の中、入店待ちのお客が現れるほど混みまくってきた。

    僕は19時までにフェスト広場北側の、ファナフォークロアショー集合場所に行かなければならない。

    雨は少し小ぶりになっていた。

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  • 七月七日・・・④「ファントフトスターヴ教会」

    バスに乗りこむ際、ファントフトに行くかどうかを運転手に確認する。

    「ファントフトで降ろしてネ!」

    と念を押すが、ちょっと気が緩んで眠りこんでしまい、起きた時には乗客は僕一人の状態。
    どうやら終点のようだ。

    運転手に「ファントフトはまだ?」と尋ねると、

    「アッ!ごめんごめん、忘れてたよ」

    ・・・忘れてた、じゃねーよ。
    ウッカリ寝てしまった僕が悪いんだけど。


    運転手はわざわざファントフト行きのバスが通る幹線道路のバス停まで戻ってくれた。

    いつの間にやら天候は再び大雨。
    住みたくない上に、長居したくもない街だ。
    気が滅入ってくる。


    「ここからバスに乗って、さっき買ったバスのチケットを見せるといい」

    とのことだった。


    15分ほどバス停で待っていて、やってきたベルゲン行きのバスに乗りこむ。
    出戻りやね。

    さっきのバスで購入したチケットを見せるとタダで乗れるものだ、と思いこんでいたら、


    「何コレ?1度使ったチケットは使えないよ」

    とのこと。
    再びチケットを買う羽目に。

    今度は間違えないよう、走行中の道路付近を注意深く観察する。

    すると見えた「ファントフトスターヴ教会」の茶色の看板。

    バスを降り、徒歩で坂道になっている道路を雨の中登っていく。


    途中に駐車場があり、停まっていたツアーバスからゾロゾロと観光客が出てくる。
    この人達もスターヴ教会を見に行くのだろうか。

    教会の正確な位置がわからない為、この団体について行くことにする。

    「ファントフトスターヴヒルケ」と彫られた小さな木製の標識が示す、木々生い茂る森の中に入っていく。

    五分ほど歩くとスターヴ教会が見えてくる。


    ファントフトスターヴ教会はボルグンやゴルのスターヴ教会などと同じような外観を持っていて、何らかのつながりが感じられる。

    元々はフォルトゥンというソグン地方の街にあった教会だったが、

    「新しい教会を建てるからいらない」

    という理由で取り壊される所だったのをベルゲンの市長が買い取り、ここファントフトに移築されたそうです。

    だが1992年6月6日、放火によって焼失。
    オリジナルのスターヴ教会は永遠に失われました。


    どこの国にもいるんですね、こういうとんでもない事する奴は。
    後の世代に引き継いでいかなければならない人類の遺産に火をつけるなんて
    許せない。

    移築された教会はここだけではないものの、この教会の場合はゴルやハルトダーレンなどのように野外博物館のような管理された地に移築されたわけではないし、郊外とはいえ都市部に近いため、ソグン地方など田舎に住むおとなしい人ばかりでなく、少々危ない人も多い。

    「管理が悪かった」

    放火にあったのはこんな理由もあったと思う。


    オリジナルの教会は失われたものの、こうやって再建してくれたことは本当にありがたいし、後世のためにも意義のある再建だと思う。


    フェンスで覆われている教会の横には石の十字架の建つ大きな土盛りがあった。
    誰かの墓なのだろうか?

    教会入口にはちゃんとレジと椅子があり、管理しているおじさんが30クローネのチケットをしっかり売っていた。

    外部は黒ずんでいるものの内部は木が真新しく、新築である事が見てとれる。

    創建当時の他のスターヴ教会もこんな感じだったのだろう。
    切りたての木の香りがさわやか。



    新しいから見る価値ない、ということはないと思う。

    現代建築の技術を持って建てられた古代の教会の復元は、今までに見てきたスターヴ教会との比較にもなる。

    隙間なく積まれた土台の石や、無機質なまでに完璧な仕上がりの木工彫刻などの現代建築らしい特徴が見られ、初めて見るスターヴ教会にここファントフトを持ってきた方は、面白みには欠けるかもしれないけれど。

    (他のスターヴ教会のあとに見たほうがいいと思う)



    今回の今回の旅の締めくくりにふさわしいスターヴ教会だった。

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  • 七月七日・・・③「ベルゲン半日観光その③」

    歴史博物館を出ると、外はなんの脈絡も無く大雨が降っていた。
    折り畳み傘をさして歩いてもなんの役にも立たないほどの大雨だ。

    この後工芸博物館に行く予定だったが、近くの自然史博物館を見学しつつ
    雨足が弱まるのを待つことにした。

    自然史博物館一階は鉱石を中心とした展示になっており、2階部分は生物学を主にした展示になっている。

    クジラの骨格標本や白いエルクの剥製があるところが、いかにもノルウェーらしい。

    地震が体験できるコーナーもあり、柵に囲まれた小さなスペースに入り震度を選んでスイッチオン。

    揺れは強いけど、リアリティには欠けていたような気がした。
    そういえばロンドンの博物館あたりでも地震体験コーナーがあったような気がするけど、あんまり記憶に残ってない。



    自然史博物館から出る頃には雨足は、、、
    全然弱まってなかった。

    一年の内、3分の2が雨というベルゲン。
    雨嫌いの僕にとっては「絶対住みたくない街」の
    上位にランクインするだろう。


    足元ずぶ濡れになりながらベルゲン美術館へ向かう。


    ベルゲン美術館は市内の中心部、広大な池のあるフェスト広場に面してラスムス・マイエルコレクションとステナーセンコレクション、ロシアのイコンやムンクなどが展示されたベルゲン美術コレクションの3つの建物で構成された美術館で13世紀から近代の美術が展示されています。



    残念ながら時間が無かった為、見る事が出来たのはラスムス・マイエルコレクションとステナーセンコレクション、2つの建物に挟まれるように建っていたクンストハウスのみ。

    ベルゲン美術コレクションは駆け足でロシアのイコン展示区画を探し出し、
    駆け足で見ただけ。


    ラスムス・マイエルコレクションは18世紀から19世紀初頭までの絵画を展示しており、ノルウェー人だけでなくスウェーデン、デンマークの作品の展示も少しあります。


    目玉となるような絵画はなさそうでしたが、ムンクの作品はオスロの国立美術館よりも多く、ムンク好きにはたまらない美術館だと思う。

    古い邸宅を改装した美術館なのか、古い木製の調度品を並べた部屋や
    見事な天井画の描かれた部屋もあった。


    ステナーセンコレクションは近代ヨーロッパ美術の展示。
    館内は新築のように美しく、しかもお洒落。

    個人的にはこの美術館が一番自分の好みだった。

    ピカソを初めとするお馴染の西欧有名画家の絵画の秀作が揃い、飽きる事が無かった。

    ミロの作品は久々に見たためか、この展示の中で最も感動した。

    ミロの作品は総じて僕には理解不能の構図の絵ばかりだけど、黄色や赤など
    色の使い方がうまい画家だと思う。

    そのうちまとまった作品が見てみたいけど・・・


    クンストハウスはわずか三部屋ほどの小規模な現代美術の展示。
    前衛的な作品が多く、映像を使った美術やキャンバスに色を塗りまくっただけの評価が難しい作品の展示です。

    ベルゲン美術館の3つの建物は、初めに入場した建物でシールタイプのチケットを購入し、あとは3館全てフリーパスなのだが、クンストハウスはベルゲン美術館ではない為、別途50クローネがかかる。

    入場料が高額なのと展示作品が無名な為か、僕以外の入場者は見られなかった。
    やっぱり50クローネは高いと思う。



    ベルゲン美術館を見終えた頃には、雨はやんでいて太陽が少し見えていた。

    時刻は14時過ぎ、ベルゲン鉄道駅構内からバスターミナルへ向かい、20番ターミナルのファナ行きバスに乗りこみ、最後のスターヴ教会のあるファントフトへと向かう。

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  • 七月七日・・・②「ベルゲン半日観光その2」

    ベルゲンの歴史博物館は今回のベルゲン観光の最大の目的地。

    ここの教会コレクションはノルウェー随一と名高く、スターヴ教会からそれ以降の教会関連のコレクションを収蔵、展示している。

    自然史博物館の立派な建物に比べ、脇道に入った建物の角の部分にピッタリと閉じられたドアのある歴史博物館の入口。

    あまり観光客を歓迎しているようには見えない。



    ドアを開けて入場し、チケットを購入。

    地下のコインロッカーにカバンを預けるように促され、階下のフロアに下りる。バンドネオンの特別展示をやっていたが、音楽の世界はあまりわからない。

    ただ100年くらい前の貴重な楽器であることはわかるけど。


    各階層ごとに展示のテーマが分かれているけど、ヴァイキングやサーメ人に関する展示は少なく、やはり最大の見所は上階の教会関連の展示。


    スターヴ教会の木製装飾パネルのコレクションがやはり充実している。
    しかもヘッダ-ルの装飾パネルよりも明らかに大きい装飾パネルが並び立つように展示され、あまりの迫力に圧倒されてしまう。

    取り壊されたスターヴ教会の祭壇画や彩色木彫りのキリスト像など、装飾パネル以外のコレクションも充実。主にテレマルク地方とソグン地方のスターヴ教会関連の展示が多かった。


    スターヴ教会以降に建てられた教会の展示もあり、スターヴ教会以降のキリスト教美術の変遷もわかります。

    「ノルウェー最大のコレクション」という前評判は本物。


    宗教美術の展示の次はノルウェーの文化に関する展示。
    家具や衣装、風俗画などが展示されており、こちらのコレクションも見応えあります。

    最上階ではネイティヴアメリカンやエスキモーなど、他国の原住民に関する展示になっている。最上階へ上がる階段横の壁にはジャワ島あたりのカラフルなお面が展示されていた。

    ノルウェーとは関係無いので特別展の一種なのだろうか。
    考古学的価値のある展示はほとんど見当たらず、ただの生活、風俗の紹介という感じのの展示だった。

    この階では現在エジプト展が開催されていた。
    しかし展示品は非常に少なく、目玉は2体のミイラくらいだった。

    この展示の少なさからすると、特別展ではなくただの常設展示だったのかもしれないが。


    スターヴ教会関連の展示だけでも訪れる価値が充分にあるこの博物館。
    しかしお客は寂しいくらい少なく、おそらく僕を含めても10人いなかったと思う。

    オスロの歴史博物館と違って、町外れの目立たないところにあるのが原因の一つかも。


    ツアー客も周って来なさそうだし、絶対に採算が取れてないと思う。


    歴史博物館のほうも、これだけのスターヴ教会コレクションを持っているのだから、オスロの歴史博物館とも協力して「世界最古の木造教会 スターヴ教会展」とでも銘打って日本など世界各国にスターヴ教会をアピールして欲しいものです。


    帰り際、さりげなく入口に並べて売られていたお土産や書物をみていると、
    その中で一際目に入った一冊の大きくて分厚い本。
    スターヴ教会を紹介した本だ、これはデカイ!
    写真も説明文も今まで購入した本が絵本に見えるくらい充実している。

    超欲しいけど重い。
    おそらく2~3キロはあると思う。

    それに高価、なんと500クローネもする。



    「一万円と重量」と「知的探求心」を天秤にかける。

    「知的探求心」の勝ち。


    あえなく購入、帰りの機内預け荷物の超過重量が心配。

    しかし肝心のベルゲン歴史博物館の教会コレクションに関する書籍を買うのを忘れてしまった。

    やっぱりスターヴ教会展、是非日本で開催してほしい。

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  • 七月七日・・・①「ベルゲン半日観光その1」

    朝8時起床。

    横のベッドの男が朝方からゲホゲホやっていた為か、再び風邪がぶり返してしまったようで咳が止まらない。

    最悪の目覚め。

    しかし今日がノルウェー観光最後の日になる為、風邪程度で観光を控える気にはなれない。早速朝の魚市場を見に行く。

    すぐに食べれる茹でたエビや身がたっぷり詰まっていそうなカニ、お土産用にパックされたサーモンやクジラ、果てはトナカイのサラミまで売っていた。


    エビやサーモンサラミなどを試食させてくれる。
    エビはメチャクチャおいしいけど、サーモンは随分と脂っこいようにも感じた。

    パンでも買ってエビとサーモンのサンドイッチでも作ろうか、それとも身がたっぷり詰まったカニ甲羅を買って朝食にしようか迷ったが、時間があまり無いので急遽予定変更。

    まず近くの観光案内所へ向かう。

    番号札を取って順番を待つシステムだが、待っている間に資料などをかき集めておく。



    観光案内所に来た理由は一つ。

    「ファナフォークロアショー」という伝統舞踊のチケットを購入する為です。

    ただでさえせわしないベルゲン滞在、なんでこのフォークロアを見ようと思ったのか。
    ロンリープラネットでの記述によれば、「ファナスターヴ教会」という場所で行われる。という記述を発見した為だ。

    「スターヴ」のキーワードに目ざとく反応、こんなスターヴ教会は聞いた事がない。幻のスターヴ教会かもしれない。

    もはやこの教会を見るためのみにフォークロアショーに行こうと決めていました。



    チケットはあっさり手に入る。一人350クローネ。
    本日19時にフェスト広場北側に集合、送迎バスが来るそうだ。

    19時・・・中途半端な時間やね。
    夕食は出るのか尋ねてみる。


    「トラディショナルミールは出るけど・・・ウーン・・・」
    (オーノーみたいな顔で)


    トラディショナルって何だっけ?
    英語の意味が出てこない。

    しかしこの表情からすると、たいしたものは出なさそうだ。
    やはり早めにレストランで食べてからのほうがいいみたい。
    また貴重な観光時間が削られた。


    観光案内所を後にし、フロイエン山に登りに行く事にする。
    今日は天候が曇り空で怪しい。
    昨日は夜とはいえ、清清しい晴れの天気だったのだが。

    フロイエン山はベルゲンの街を見下ろす事ができる展望台が有名だが、山肌にへばりつくように民家が建てられている。

    ソグネフィヨルドではよく見かけた光景。
    ここベルゲンもフィヨルドなんだな、と実感。

    山頂まで行くケーブルカーのチケット売り場はまだ朝早い為か閉まっており、チケットは自動販売機で購入する。

    ケーブルカーの到着と共に無人の改札に通してケーブルカーに乗りこむ。
    お客は僕の他に5~6人の幼児とティーチャ-らしき引率者1人。


    途中に民家が集まる駅に停まり、後は一直線に山頂駅まで。
    霧がかかっていて、風が冷たい。


    土産物屋は開店準備中、レストランまである。

    こんな場所にあるにもかかわらず本格的な料理を出し、ハイレベルな味のレストランだそうで、フォークロアのチケットが取れなかった場合、こちらでの夕食というのを考えていたのですがね。

    ケーブルカーに同乗していた子供達は、先生に連れられて霧がかかった山の奥へと消えていった。ハイキングコースがあるようだ。

    自分はやっぱりハイキングをしている時間は無いので、展望台からのベルゲンの街並みを楽しむ事にする。

    曇り空で霧がかかっているけど、ベルゲンの街を一望できた。
    晴れていれば文句無しだったけど雨が降らないだけマシか。

    ケーブルカーで街まで下り、徒歩で次なる目的地である歴史博物館を目指す。

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  • 七月六日・・・⑥「ブリッゲン」

    夜10時にもなると、魚市場もほとんどが店じまい。
    フィッシュ&チップスの店だけ頑張って営業していた。

    ただ、日本でいう所の夕方レベルの明るさで、日はなかなか沈まない。


    僕は魚市場の向かいのパブでちょっと遅めの夕食。
    午前中にバレストランでチーズケーキを食べて以降、何も食べていない。

    ビーフステーキを注文する。
    エビの串焼き付きで豪快。
    ボリュームもあり、味もいい。
    これで200クローネ、少なくともノルウェーではリーズナブルでお得な選択だと思う。


    夜の11時を過ぎてくると、さすがにほんの少しだが薄暗くなってきた。
    疲れていたのであんまり動きたくなかったけど、日があるうちに当初の予定通りブリッゲンを見に行く事にする。

    ブリッゲンは急高配の三角屋根のカラフルな木造倉庫群。
    整然と並ぶ倉庫であるにもかかわらず、どことなくメルヘンの世界。



    ドイツのロマンチック街道とか行けば、こんな建物がありそう。
    (行った事ないからわからないけど)

    建物はドイツとの海洋貿易で街が栄えていた頃の名残だそうですが、主に乾し鱈を売って儲けていたそうで。

    京都名物にも干した鱈「棒ダラ」なるものがあり、違いがあるのかどうか自分の舌で調査してみたかったけど、今回は残念ながら食べられなかった。

    建物どうしが密接しあっている為、火事が起これば一大事。
    今はほとんどの建物が土産物屋になっているが、中にはレストラン等も営業している。火の用心だけは気をつけてもらいたい。


    建物と建物の間の狭い路地に入ると、倉庫街だった当時を彷彿とさせてくれた。入口は狭い割に奥行きはかなりある。

    二階部分が道方向に突き出ており、コンテナなどを引き上げる構造に見えた。
    立体的で道も結構複雑、天井を見上げても光があまり入ってこない。
    中世の迷路だ。

    驚いた事に道まで板張り。これでもかというくらい、どこもかしこも木で作られている。


    やがて中庭みたいな広めの空間に出る。
    暗くなってきて道に迷いそうだったので、ブリッゲン観光はここまで。

    表通りに戻り、十字架教会付近に点在するアンティークショップ(閉まっている)に陳列してあるアンティークを一人眺めていると、後ろから声をかけられた。

    やたらとハイテンションでセクシーなお姉さんだ。
    僕を飲みに誘っている。

    世の中そんなに甘くない。
    断ると相手も意外なくらいあっさり立ち去っていった。


    こういう場合、いい人もいるのだろうけど悪人がほとんど。
    でもあのあっさりした引き際を見ると、「悪人ではなかったのかも?」
    と思ってしまった。

    しかしふと付近を見渡すと人通りも少なく、ヤバげな若者達が数人たむろしていた。

    危険信号がなる。ここは治安がよくなさそうだ、角を曲がってホステルの前まで来ると人通りも多くなり、危険な雰囲気は消えていた。

    時刻は深夜の1時をまわっていた。
    周りはさすがに薄暗い。

    変な道に入ってしまった、反省。
    平和なソグネフィヨルドでは治安の心配をする必要がなかった為、勘が鈍っていたのかもしれない。



    ホステルの大部屋に戻ってシャワーを浴びようとすると、そのシャワー室自体に驚かされた。

    ブリッゲンのように整然と立ち並ぶシャワーたち。
    しかし仕切りがなく、お互い丸見え。

    こんなシャワー室は初めて見た。
    いくらオープンな国でも限度があるだろうに。

    日本の銭湯などでは別に不思議ではない光景だろうけど、さすがに外国でこれは恥ずかしい。

    時間帯が遅かった為か、利用していたのが僕一人だけだったのがせめてもの救いか。

    日本での評判が悪い訳がようやくわかった瞬間だった。

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  • 七月六日・・・⑤「ソグネフィヨルドからベルゲンへ」

    ヴィクあたりまで来るとネーロイフィヨルドを初めとする奥地のフィヨルドよりも幅が広く、迫力はないけれどもその分ゆったりとした入り江の風景が楽しめる。

    ここから外洋へ出てベルゲンまで約3時間の船旅。

    しかしヴァングスネスまではカンカン照りだった気候も、ヴィク以降段々崩れてきている。小雨が降ったりやんだりで寒い。

    離れゆくフィヨルドの風景を見ながら、ふと空を見ると沈みそうで全然沈まない西日が見えた。ここでふと気がついたが、西日が見えるということはもうフィヨルドを抜けて外海へ出てしまったという事だ。

    船内に戻り、航行位置を示すディスプレイを見てみると、確かにすでにソグネフィヨルドを抜けていた。
    視界の周りにあるのは外洋に沿って無数に点在する群島で、幾重にも島が重なって見えるため、「島だ」と自覚するまでフィヨルドと見分けがつかなかった。

    なんと表現したらいいのか、ソグネフィヨルドが水没して左右に迫る高峰が頭だけ出して残っているような風景。島の向こうにも島が見え、切れ目が見えない。



    外洋に出ると、こういった島々の間を縫うようにしてフェリーが疾走する。
    横幅50メートルくらいの狭い航路もあり、フェリーはスピードを落としたりして慎重に運行する。


    岩礁みたいな不毛の島もあれば、岩の上に生い茂った木々がカツラのように乗っかっている島もある。

    小さい家も、島に1軒2軒の単位で点在している。
    ここまで来るともはや村とも呼べない、まさしく島の上の一軒家だ。
    泳いでいる人もいれば、ボートに乗って魚を釣っている人もいる。
    ソグネフィヨルドよりも交通不便そうなこの地でも、生活の風景が見られる。


    こんな外洋にもフェリーは停まる。
    ただ道路と駐車場しかないドッグに停船し、その度に数人の乗客が降りていく。

    観光客か地元客かも見分けがつかないけど。


    フェリーは大きなつり橋の下を通り、やがて大きな街が見えてきた。
    夕日に照らされたブリッゲンが眩しい、港町ベルゲンに到着。


    ベルゲンに降り立って、まず最初に成すべきは宿の確保。

    オスロとソグンダ-ルの宿はあらかじめ予約しておいたが、バスに乗り遅れた等でソグネフィヨルド内に立ち往生した時の事を考えてベルゲンの宿は予約してこなかった。

    初めに港近くのYMCAホステルにアタックする。
    観光案内所やブリッゲン、魚市場も徒歩圏内。
    交通至便のユースホステル。

    2階のレセプションでベッドの空きを尋ねる。

    スタッフは、

    「あぁ~!駄目駄目。予約客でもうどの部屋も一杯なんだよ、残念だねぇ」

    ・・・覚悟していた事だ。荷物をまとめて立ち去ろうとすると、突然呼びとめられる。

    スタッフ「ちょっと待って!1ベッドだけ空きがあったよ。32人部屋だけどそこでもいいなら・・・」

    僕「問題ないです!お願いします」

    何も考えずに即答する。



    宿泊手続きをしていると新たなお客がベッドを求めてやってくる。

    スタッフ「ウォウ残念!たった今こっちの兄さんに最後のベッドを取られちゃったよ」

    人を泥棒扱いするんじゃないよ。


    スタッフに言われる。

    「お前はグッドラック(強運)の持ち主だな!」

    同感。

    会員価格で一泊125クローネ。
    馬鹿に安いなと思ったら、案の定朝食代別だった。

    朝食代は50クローネ、朝にレセプションで支払うらしい。
    このクラスの宿泊所の朝食は50クローネの価値がないと思っていたので、朝食代別のほうが助かる。

    ホステルシーツは45クローネ。
    重かったけど持ってきておいてよかった。

    2泊分の宿泊料金を支払い、カードキーを受け取る。
    シャワー室も部屋もホステルの入口も、このカード一枚で開けることが出来る。

    僕の部屋は1階。

    奥行きのある部屋に2段ベッドが2列、整然と並ぶ光景は異様。
    夜9時をまわっていたが、目の前のベッドで堂々いちゃつくカップルがいる光景も異様だ。

    なかなか清潔なホステルなのだが、男女共同部屋というのが気になる人は32人部屋は受け入れられまい。
    僕自身は「寝るだけの場所に過ぎない」という考えですので
    このあたりはさほど気にならないほうだ。

    というか、男でこの手の状況を気にする人は少ないと思う。
    男に生まれてよかった。


    自分のベッドに荷物を置いて夕食に行くことにする。

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  • 退会ユーザ @*******
    06/08/11 23:22

    あまりの長さに・・・

     レポートを拝読する勇気がありませんでしたが、最近掲載中の写真の美しさに、息をのんでいます。

     北欧って、きれいなんですね。
     大昔から、なんとなくあこがれていました。
     テレビの世界遺産番組で見た、木造教会も印象に残っています。
     以前一度、計画を立てかけた事があるのですが、また、具体的に検討してみたくなりました。

     その際は、このレポートを是非、参考にさせて頂きます。

     今後掲載されるだろう写真にも、期待しています。

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    確かに・・・

    あらためて見返してみると、「よくこんなに書いたなぁ」と自分ながら笑けてきます。

    普段それほどヒマでもないんですけどね。


    写真は時間があれば更新していきますが、なにぶん僕のパソコンは結構なお年を召されているので、なかなかいう事を聞いてくれず、レポートと同じく全然掲載が進んでいません。


    なお左上のトラベルフォトコーナーに僕が投稿した写真は、ソグンダ-ルで撮ったツーショット写真が最後の一枚、それでおしまいです。

  • 退会ユーザ @*******
    06/08/06 20:11

    祝福♪

    こんにちは。

    私もスターヴ教会は、ナットシェルの途中にFla°m辺りに宿泊し、ここからいくつか行けないか、バスの時刻表を見て検討していたのですが、丸一日使っても一か所行けるかどうかさえ微妙だったので、あっさり止めてベルゲン3泊に戻しました。

    ほんとに、希望の時間帯に目的地に行くバスは一本しかなく、これに乗り逃したらアウトみたいな感じでしたから。
    それに、時刻表の読み方にも確信が持てないことは、まったく同感です。

    なので、ふたを開けてみて、駱駝シアンズさんが、ことのほか沢山のスターヴ教会を見に行かれていたのには、ほんとに驚きました。
    行程は手に汗握る場面の連続ですが、それだけの苦労の末につかんだ本物ですね。
    快挙に祝福です!

    検討中、私はこんなサイトを見ていました。

    Stave Churches
    http://www.sognefjord.no/stavechurch/stavechurches.asp

    今日見たサイト
    http://www.norway.or.jp/culture/architecture/churches/stavechurch.htm

    個人のHPにもありますね。行く人は行っているのですね。
    www.asahi-net.or.jp/~sp6k-tkmt/Stavechurch.html

    www.tcat.ne.jp/~norway/myhomepage/stavkirke.htm

    さきほど「スターヴ教会」で検索したらここでの駱駝シアンズさんの書き込みが複数、上位に乗ってましたよ!

    私は現地に見に行けなかった代わりに博物館などで見ました。
    オスロの民族野外博物館のもの(これはシアンズさんも見られたものの一つですね)。
    あとはオスロやベルゲンの歴史博物館で。
    リンク先で見れますが、あの門の装飾は凄いですね。畏敬の念というか畏怖の念というか、そういったものを起こさせました。
    ノルウェー(ヴァイキング)関連の木彫は、その技術も凄かった!

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    Re: 祝福♪

    最近少々忙しい為、返事が遅れてしまいました。
    申し訳ありません。

    eucoさんもスターヴ教会に行こうとしていた、とのこと。
    フロムあたりから一番近そうなウンドレダ-ルあたりでも、バスが走ってないですからねぇ。

    ボルグンなんかも近そうに見えて、実際はバスの接続も悪いですし。


    ノルウェーに行って、この教会を見ようという人はやはり少ないと思います。
    僕も最初のきっかけはロシアの木造教会の代替でしたので。
    調べ始めるまでは世界最古の木造教会なんて、耳にかすりもしませんでした。

    しかし今回は無事に自分が立てた計画通り行動が出来たので、旅行に対する自信もつきました。

    同時に、くすぶっていたロシア熱に再び火がつきました。
    再来年の初夏あたりに、いよいよロシアのキジー島に行っちゃう事にします。

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  • 七月六日・・・④「ホーエ教会」

    ホッペルスタッドから徒歩20分、石造りのホーエ教会を見に行く。
    途中で通り雨が降ったり道に迷ったりして苦労したが無事にたどり着いた。

    1170年頃の創建と、年代はスターヴ教会並みに古い。
    外壁は思いっきり石組みだが、屋根は遠目から見るとスターヴ教会の屋根っぽい色をしている。

    教会内部でチケットを買い入場。

    天井部、左右から奇怪な動物の頭部の彫刻が左右から14個も突き出している、異様な光景。

    内部は薄暗かったが祭壇部は明るく、キリストの壁画の上のドーム型の壁に星空がプラネタリウムのように描かれている。

    現在は祭壇部分を飾る花の壁画の修復中で、修復の風景も見る事が出来た。
    本格的な修復の前段階で、プラスチックの板を使って花の型を取っていく作業だった。

    ホーエ教会を出て、ヴィクの中心部まで戻る。
    スーパーやちょっとした土産物屋、本屋などがあり、ちょっと高級そうなレストランやチーズ&ワインバー、パブなどもあるが、宿泊施設らしきものはキャンプ場以外は見当たらなかった。(ちゃんと探せばあると思う)


    パブでビールを頼んで束の間の一服。

    こんな田舎に来ても、英語が通じるのは凄い。
    ローカル地方のバスの運転手も流暢に英語を喋るし、ノルウェーの教育水準の高さにひたすら感嘆する。

    やがてフェリーの時間がやってくる。
    通り雨以降、空は曇り空で怪しい天気。

    ほぼ年中雨という魔都ベルゲンが近づいているためだろうか。
    雨嫌いの僕にとっては、今回スケジュールに組みこむのに最も気分が乗らなかった街。

    観光案内所に戻って預かってもらっていた荷物を受け取り、フェリー乗り場でフェリーを待つ。

    やがてやってきたベルゲン行き巨大高速船に乗りこむ。
    いよいよ最後のソグネフィヨルド観光だ。

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  • 七月六日・・・③「ホッペルスタッドスターヴ教会」

    観光案内所から真っ直ぐ南へ。
    途中で白い木造教会、ヴィク教会を通りすぎて左手に学校が見えたら右折してだだっ広い農道を真っ直ぐ進む。

    ホッペルスタッドスターヴ教会は畑の広がる平野の真ん中に建っている。
    肥やしの匂いが香る、古き良き農村の風景だ。

    チケットオフィスが教会の入口にあり、結構込んでいる。
    比較的アクセスしやすい所にあるから、人も沢山訪れるのだろうか。

    ホッペルスタッドスターヴ教会は龍頭の飾りや三層屋根、風見鶏付き尖塔など、ほとんどボルグンのスターヴ教会とうりふたつ。

    元々この教会には立派な龍頭の飾りも尖塔も存在せず、一層屋根で平屋みたいな質素かつ粗末な教会だったことが資料から伺える。

    当時、この教会も保存が悪く取り壊しの運命を辿る所だったのを、1800年末に一人の建築家が大修復を行い、その時に屋根を足したり龍頭を付けたりなど、今のようなボルグン型の立派な教会に大改造してしまったそうだ。


    今となっては「余計なもの付けやがって!」

    と思うけれども、地元民でさえもスターヴ教会の価値が理解できなかったあの当時を振り返れば、このような大改造で立派な教会に作り変えてしまわなければ、保存に関する地元の理解は得られなかったのかもしれない。

    内部はボルグンと同じでベンチがなく、ガランとしている。
    ベンチの代わりに大きな石碑が真ん中に埋めこまれている。

    壁には円に十字の妙な模様が描かれている。
    なんだろう、十字架を現したホッペルスタッドのシンボルだろうか。


    ゴシック様式の祭壇天蓋は1200年代創建当時の作。
    人物頭部の彫刻が施され、またキリストの生涯が色鮮やかに描かれていて見事。

    西側入口のユグドラシルの木製装飾パネルと、北側入口の2匹の蛇(ドラゴン?)が自分の首を噛みながら2匹で並ぶ門飾りも必見。

    ここの地名はヴィクなのに、なぜかこの教会はホッペルスタッドという。
    本当はヴィクスターヴ教会ではないのかな?

    周辺に並ぶお墓にはホッペルスタッドと刻まれた墓が多い。
    地名ではなく、人の名前を指しているのだろうか?

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  • 七月六日・・・②「ヴァングスネスからヴィクへ」

    ソグンダール行きバスは途中、フィヨルドに突き出した格好のドラグスヴィクを経由し、やがて20分ほどかけてヘラへと辿りつく。

    ヘラはヴァングスネス行きフェリーが頻発するフェリー乗り場のある場所で、平たく言えばフェリーボート乗り場以外、民家もなにもない。

    僕はここでバスを降り、やがてやってくるクジラ型フェリーへと乗りこむ。
    車は大量に乗りこむものの、徒歩で乗りこんだのは僕一人だった。

    バレストランの街を対岸に見ながらフェリーは疾走、ヴァングスネスの街が段々近づいてきた。

    ヴァングスネスのフェリー乗り場からは、この街の唯一の見所ともいえるヴァイキングの巨大な銅像がはるか丘の上に見える。
    フェリーー乗り場の前には対岸のバレストランや滝を眺めることが出来るベンチと売店、そしてモーテルを兼ねた売店、パブもある。


    ヴィク行きバスまで時間が一時間ほどあるので、とりあえずこの巨像を見に行く事にする。

    バックパックが重いので、途中の農道の脇に隠す。
    こんなもの誰も盗らないだろう。

    ひたすら坂道を登る事15分、ようやく銅像に到着。
    フィヨルドのパノラマを望む小高い丘の上に建てられた銅像は、近くで見ると想像以上に巨大だ。これもまたドイツの皇帝からの贈り物らしい。

    ベレの丘のヴァイキング像よりも若く、精悍で強そうだ。


    これでヴァングスネス観光は終了、残念ながらこの巨像しか見るものがなさそうだ。途中で荷物をピックアップし、フェリー乗り場へ戻る。

    僕の乗るヴィク行きバスが発着するであろうフェリー乗り場傍のバス停は
    只今アスファルトを掘り起こして工事中。

    フィヨルド寄りの売店でオレンジジュースを買い、バス停の詳しい場所を尋ねる。しかしヴィクという地名の発音がどうも伝わりにくい。

    ヴィケとかヴィックなどと、いろんな発音で必死に伝えていると売店のお姉さんが、

    「ヴィキ?あぁ、ヴィキね」

    やっと通じた。どうやらヴィクというよりヴィキの方が現地の発音としては正しいのかもしれない。

    バスが停まる場所はやっぱりあの工事中のバス停で間違いないようだ。
    バスの時間も間違いない。

    オレンジジュースを飲みながらフィヨルド沿いに設置されたテーブルに座って、対岸のバレストランやヘラ方面にある豪快な滝を眺めながら時間を潰す。

    フェリー乗り場でフェリーを待つ車相手にイチゴ売りが来ていたので購入。
    夏に食べるノルウェーのイチゴは最高だ。


    13時10分、ヴィク行きバスが到着。
    お客は僕を含めて2人、オマケに15分ほどの行程なのに冷房完備のデラックスバスだ。

    ヴィク行きバスは、ヴィクのフェリー乗り場近くのバス停に到着。
    フェリー乗り場近くの釣具店を兼ねた観光案内所に入り、情報収集。

    ヴィクの地図をもらい、ホッペルスタッドスターヴ教会、ホーエ教会などの見所も教えてもらう。更にこの観光案内所ではフェリーのチケットの購入も可能。ベルゲン行き17時10分のフェリーチケットも購入する。

    ベルゲンまでは400クローネ、約8000円也。
    あぁ、湯水のごとくゼニーが消えていく。

    やたら重い荷物も預かってもらい、ソグネフィヨルド最後の街、ヴィクの観光スタート。

    ホッペルスタッドスターヴ教会は観光案内所から徒歩20分、学校から農道へ入った更に奥にある。


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  • 七月六日・・・①「バレストラン」

    朝7時10分発のベルゲン行きフェリーに乗りこむべく、早朝6時にホステルをチェックアウト、レセプションが開くのは7時半からだが、支払いは済ませたし部屋に鍵を置いておけばいいとの事だったので鍵を部屋に置いたまま荷物をまとめてチェックアウト。

    ソグンダールのフェリー乗り場でフェリーを待つ。

    やがてやってきた巨大高速船、さすが大都市行きのフェリーだ。

    スタッフにバレストランへ行く事を確認し、待っていた数組のお客と共に乗りこむ。

    船内は広く、客席数も多い。
    客席中央部には子供向けのおもちゃやアニメ上映などが用意されていて、ノルウェーらしい細やかな気配りが感じられる。

    チケットを購入し、デッキに上がって離れゆくソグンダールを眺める。

    フィヨルドを疾走するフェリーからはライカンゲルなどの街並みが眺められる。

    高速艇の為、風が冷たかったけどフィヨルドを見ていると今日でフィヨルドとはお別れ、僕のノルウェー旅行も終わりに近づいているということが感じられ、なんだか切ない。



    やがて到着したバレストランの街。

    スイス風の高級住宅が並ぶ風光明媚なソグネフィヨルドのリゾート地。
    観光案内所で市内地図を貰い、バレストランの見所、聖オラヴ教会とベレの丘の場所を聞き出し、荷物を預かってもらって約2時間の観光スタート。

    19世紀末創建の聖オラヴ教会は、パッと見るとスターヴ教会の外観、スターヴの外観に似せてイギリス教会のアレンジを加えたカラフルで面白い教会だ。

    支柱や交差させた支えの架構などもスターヴ教会の造りと似ているが、ステンドグラス等、多くの窓で明かりをとっているので薄暗いスターヴ教会の内部と一線を画し、明るい内部となっている。

    ただ、やはり木や調度品が新しすぎて(きれいすぎて)重厚さは物足りない。


    聖オラヴ教会から更に進むとキング・ベレの丘というヴァイキングの墓がある。
    こんもりした芝生の丘が2つ並んでいるだけだが、右の丘にはドイツの皇帝が送ったとされるヴァイキング王の銅像がある。

    もっさりしたヒゲを撫でながら座りこんで、ずっとフィヨルドを眺めるポーズが哀愁を漂わせている。

    この丘にはヴァイキング船などの副葬品が埋まっている事が確認されているらしいが、本格的な発掘はされていないようだ。
    なによりフィヨルドを眺めているヴァイキングの銅像を見ていると、そっとしておいてあげたいとも思った。


    まだ時間があったのでフェリー乗り場まで戻り、水族館を見学する。
    お客は僕一人だったが展示は規模も大きく、面白い。

    ソグネフィヨルドに生息する生き物が水槽で飼育、展示されている。
    カレイの化け物みたいな巨大魚やらハマチみたいな魚やら巨大エビやら、
    見ているだけでお腹がすいてきた。

    バレストラン沖のフィヨルドの模型もあった。
    街沿いのフィヨルドはほんの少し沖に向かうだけで急にえぐれて深くなり、いきなり1000m級の深海になってしまう。

    深海の上に置かれた小さいカヤックの模型が、信じられない深さを演出している。


    最後にフィヨルドを紹介する映像を見て終わり。
    広い部屋で一人見る映像は、かなり寂しい構図だ。


    バスの時間まで後40分くらい。

    カフェに入ってコーヒーとノルウェーのチーズを使ったケーキを朝昼兼用で食べる。

    カフェは地元画家のギャラリーを併設しており、こちらは無料で見学可能。
    2階のアトリエも見学させてもらう。

    ギャラリーのショップで、ボルグンスターヴ教会を描いた小さな絵があったのでお土産に購入。


    観光案内所に戻って荷物をピックアップし、案内所前に来ていたソグンダール行き10時20分のバスに乗りこむ。

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  • 七月五日・・・⑥「ソグンダール市内観光」

    ボルグンからバスはラールダールでソグンダール行きに接続、今日のスケジュールをなんとか無事にこなし、ソグンダールへ戻った。

    夜8時というのに日が沈まず明るい。

    ユースホステルに荷物を置き、夕食に行く。
    実際、市内中心部にレストラン関係は少なそう。


    2階でペンションも経営している、市内でも唯一であろう中華料理店に入る。

    店の外のテラス席に案内されたが、西日の為、日よけのパラソルが意味をなさず、直射日光にさらされて熱い。

    中国人経営であるにもかかわらず、中国語のメニューがない。
    頼んだのは大海老とブロッコリーのチリソースとライス、そしてビール。

    さすがに中国人経営、激辛で味は最高。
    支払いは約5000円くらい、ノルウェーではリーズナブルなほうだろう。


    食後、ソグンダールの市内をブラブラ観光。
    目抜き通りにベンチに座った人物の石像があったので、近くにいた旅行者のお姉さんに頼み、石像とのツーショットを撮ってもらう。

    彼女はオーストラリアからの旅行者で、もう一人の友達とノルウェーのフィヨルド観光に来たそうだ。

    ちょっとだけ話した後に彼女等と別れ、市内外れにあるステディエ教会を見に行く。中心部からも見える建物なので、地図を見なくても行く事が出来た。

    ステディエ教会はかつてこの地に建っていたスターヴ教会を取り壊して、その跡地に建てた赤い木造教会。

    昔の人間はスターヴ教会の価値がわからなかったのだろうか。
    それでもこの教会は19世紀の創建、歴史はある。


    この手の新しい北欧の木造教会はいずれも西欧の石造教会とは違う独特の形をしており、原型はスターヴ教会から来ているのかもしれない。

    教会内部に入ることは出来なかったが、墓参りに来ている地元住民も多く
    付近の住民の生活に根付いた教会である事が伺える。


    教会から少し歩いたところに、オラヴ王のルーン文字石碑がある。

    石碑の周りには花が植えられ、石碑には白いチョークみたいな顔料でルーン文字が書かれている。しかし消えかかっているのか相当見にくい。

    「オラヴ王がこの石から矢を射った」

    というようなことが書かれているそうだ。
    石碑からはソグンダールの街とフィヨルドが見渡せる。


    ソグンダール中心部まで戻り、ベストウェスタンホテル付属のパブでソグンダール最後の時間を過ごす。
    パブは地元の客で満員状態、その理由は大画面でワールドカップの試合を上映していたからだろうか。

    さすが高級ホテル付属のパブだ、ノルウェービールだけでなくキルケニーやギネスも飲める。
    フレンチフライがおいしそうだったので注文しようとすると、他の物とセットでなければ単品販売は出来ないとのこと。

    ピーナッツと一緒に注文する。


    ワールドカップの試合はフランス対ポルトガル。
    ノルウェー人はどちらを応援しているのか気になったが、どうやらフランスびいきのようだった。

    試合も終わると店内にいた人はほとんど外のテラス席に行ってしまい、タバコを吸い始める。

    当然のごとくノルウェーではタバコも高いのに、喫煙者人口は少なくないようだ。平日なのに皆なかなか帰らない。仕事はいいのかな?


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  • 七月五日・・・⑤「ボルグンスターヴ教会」

    スターヴ教会から道路を挟んで近代的な建築のビジターセンターがある。
    かなり大きくきれいな建物で、ここ2~3年の間に建てられた新しい建物だ。

    内部はスターヴ教会のチケットオフィスの他にカフェテリア、売店、ボルグンスターヴ教会内部に置かれていた装飾品の展示を始めとする、各地のスターヴ教会の
    歴史の紹介を兼ねた小規模な博物館を兼ねている。

    団体客の到着に合わせて、スターヴ教会の木工彫刻のデモンストレーションをやっているようだ。

    ここでまず教会のチケットを購入、ついでにスターヴ教会などに関する書籍などを買いあさる。

    ここボルグンではガルダネという、昔の家を保存している場所がある。
    この辺を旅行する人は少ないようで、日本ではあまり情報が集まらなかった。

    センターのスタッフに詳しい場所を尋ねてみる。

    しかしこのビジターセンターからは五キロも離れているそうで、時間と体力の限界を悟ってガルダネの見学は断念する。



    ボルグンスターヴ教会はウルネスを差し置いて、ノルウェーで最も有名なスターヴ教会だそうです。

    紙幣や切手のデザインになっているという理由もあるでしょうが、要は見た目の勇壮さ、立派さが切手になったり等、有名にしている理由だと思う。

    三層屋根構造で龍頭の飾りが左右に付いている。
    左右の龍頭は、お互い微妙に形が違うのが興味深い。
    平等院の鳳凰みたいにオスメスあるのかもしれない

    全身はうろこ状のこけら屋根で覆われている。

    ゴルや後に見るホッペルスタッド、ファントフトなどのスターヴ教会と、見た目はほぼ同じ外観だが、元々これらの教会は今とは似ても似つかぬ質素な形をしていたそうで、後世の大修復でみんなボルグンのような形に作り変えられたそうだ。

    龍頭の飾りも三層屋根も、本当はこの教会のオリジナル。
    おそらくこの教会の外観があまりに見栄えが良過ぎた為、他の教会も修復時に真似をして作り変えられたのだと思う。

    建築年代もウルネスに並ぶくらい古く、しかも他の教会も外観を真似して作り直すほどの教会であるにもかかわらず、何故か世界遺産には登録されていない。


    スターヴ教会の周りは主に1800年代のお墓が立ち並んでいる。

    更に現在大掛かりな修復中の鐘楼がある。
    組み上げられた丸太を取り払って、新しい丸太で組み直すようだ。

    鐘楼の側には新しく建てられた赤い木造協会がある。
    スターヴ教会のすぐ横にこのような新しい教会を建てるとは、景観を損ねるとか考えなかったんだろうか?
    全然理解できない無神経さだと思った。

    内部は明るい光が挿しこむ普通の教会で、ちょっとした地元画家の描いた絵画の特別展を催していた。


    ボルグンスターヴ教会の内部は信者が座る長椅子が無く、広々とした部屋になっている。祭壇画や人面の彫刻、架空の動物の頭を彫ったかんぬきなどが見られるが、ウルネスやヘッダールに比べると内装はちと物足りない。


    北側出入り口の左右には古代ルーン文字が刻まれ、教会に入って左側が1150年代の創建当時に刻まれたもの。右側が1200年代の文字で、どちらかといえば古いほうがはっきり書かれているように見える。

    どちらのルーン文字もガラス板で保護されていますが、見ていく人は少ないようだ。

    この教会の扉の周りにもウルネスなどと同じような装飾パネルがある。
    当然のことながら、装飾のモチーフは他の教会と微妙に違う。

    ユグドラシルはユグドラシルだが、蛇らしき生き物の他に大きな鳥のような生き物の羽が広がっているように見える。
    フレスベルグだろうか?


    回廊を一周する頃にはツアーの団体客が、教会見学に大挙して押し寄せてきた。ここはオスロ~ラールダールの幹線から近いという立地条件から、ツアーや個人旅行などの観光コースに組み入れやすいようだ。

    だからあんな大きい、立派なビジターセンターが建ったんだなぁ。



    帰りのバスの時間まで教会をゆっくり見学。

    もと来た道を逆戻りし、幹線道路脇のバス乗り場で一人バスを待つ。

    バス乗り場といっても高速道路沿いに一本、バスのマークの看板が立っているだけ。最寄の街ボーラウグまでは12キロ離れており、もしバスが来なかったらと思うと不安でたまらない。

    時刻表の到着時刻が20分過ぎてもバスが来ない。
    どうしよう、最終手段のヒッチハイクか?

    と考えていたら、やっとラールダール行きバスが来た。

    ボーラウグで乗りこんだお客が比較的多く、全員がチケットを買うのに時間がかかっていたのだと思われる。


    とことん人をハラハラさせるのがうまい国だ。
    ソグンダールへ帰ろう。

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  • 七月五日・・・④「ボルグンへの道」

    ソグンダールのバス停へ到着したのは14時20分。

    ここで「オスロ~ラールダール~ボーラウグ」と行き先表示された、14時30分発のバスに乗り変え。

    ややこしい行き先表示ですが、このバス自体はボーラウグ行き。
    ラールダールでオスロ行きに乗りかえる事が可能、という意味です。

    今回の旅行、計画の段階で僕を悩ませたのは、行き先表示から時刻の書き方にいたるまでの、こういったバスの時刻表の曖昧な書き方。

    今でも何が書いてあるのかよくわかりませんが。


    運転手にバスがボーラウグヘ行く事を確認し、ボルグンスターヴ教会の近くで降ろしてくれるように頼む。

    ボルグン行き直行バスは午前中しか出ておらず、午後からボルグンへ行くにはボーラウグ手前の幹線道路で降ろしてもらう必要があります。

    やがてバスは出発。オスロ方面へ接続できるバスの為か、お客は多く、満員一歩手前状態。

    苦い体験をしたカウパングセントレートを通りすぎ、やがてバスごとフェリーに乗りこみ、フィヨルドを横断。

    バスから降りてフィヨルドを眺めていると、やがて見えてきたラールダールの村。

    ラールダールのバス停からは、ワイルドサーモンセンターと思われる大きい建物が見える。

    ここでほとんどの乗客は降りてしまい、オスロ行きバスに乗り換える。

    車内に残ったのは僕を含めて6人。


    道の両脇に巨大な山が迫ってくる幹線道路をバスは快調に走り、やがて全長6キロのボーラウグトンネルを通りぬける。

    通りぬけた途端にバスから降ろされる。
    運転手は、

    「ボルグンスターヴ教会へは、あの道を真っ直ぐ行けばいい」

    巨大なボーラウグトンネルの脇道を指して教えてくれる。


    やがてボーラウグヘと走っていくバスを見送り、教えてもらった道を真っ直ぐ進む。

    途中変電所みたいな施設を通りすぎ、スターヴ教会を示すお馴染の茶色い看板が見えた。

    「あと一キロ」

    もう少しだ、と歩いていると10分ほどしてまた同じ看板が。

    「あと一キロ」

    ・・・いやらしい看板やね。


    やがて道の両脇に迫っていた山が広がってきて、広々とした盆地のようになってくる。

    トンネル脇の幹線道路から徒歩20分。

    ラールダールの谷に守られるようにして、どっしりと建っているのがノルウェーで最も有名なスターヴ教会といわれる、ボルグンスターヴ教会だ。

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  • 七月五日・・・③「2つの選択肢」

    教会見学を終えた後、スターヴ教会傍らのカフェ、「ウルネスガルド」でビールとホットドッグの昼食。

    カフェの中はさっき一緒に教会を見学していた人達ばかり。
    秘境ウルネスでは人の流れもほぼ皆同じだ。

    このカフェがプロデュースしている地元の果物で作ったジュースやジャムがお土産として売られていた。僕は姫リンゴとベリーのジュースをお土産に購入。

    やがてフェリーの時間が近づいてくる。
    皆ゾロゾロと元来た一本道を下っていく。

    駐車場の辺りでイチゴが売られていた。
    行きは見かけなかったのに、どこから現れたんだろう。

    1パック25クローネ。
    畑の雑草ほったらかしのノルウェーイチゴはどんな味がするのか興味津々。
    1パック購入し、フェリーを待ちながら食べてみる。

    甘酸っぱい味がなんともたまらない。しかも粒が大きい為、食べ応え抜群。
    日本のイチゴは甘さのみを追求していったような味だが、こちらのは野イチゴみたいな、自然の酸味が味わえる。

    個人の好みによってどちらのイチゴがいいか、というのは別れるだろうけど
    僕はノルウェーの素朴な味のほうが好きだな。


    やがてフェリーがやってきて、待ちうけていた人や車が次々とフェリーに吸いこまれていく。行きと同じフェリーだった為、スタッフも一緒。

    さっき少し喋ったスタッフに、

    「ハローアゲイン!」

    と挨拶、僕もフェリーに乗りこむ。


    離れていくウルネスをフェリーから眺めていると、何やらどよめきがおこる。
    フィヨルドに目をやると、遠くにアザラシが泳いでいる。

    ネーロイフィヨルドで1度見たので、さほど珍しい光景にも見えませんでしたが。


    ソルヴォルンに再び戻ってくる。

    他の乗客は車で次々と去っていく。
    僕は徒歩なので、一人で埠頭で来るかどうかも怪しいバスを待つことになる。

    まわりは水着姿の地元の子供達が多い。
    近くに泳げるような場所があるのだろうか?

    しばらく待っているとフェリーのスタッフが近づいてきて、ちょっと会話。

    スタッフ「へぇ、バスを待っているのかい。でもダイレクトに入ってくるのは
    週三本くらいだよ。新幹線ならバス停まであっという間なのにねぇ」

    は?なんですって??
    じゃ、バスは来ないかもしれないってことでは?


    付近の売店で尋ねてみる。
    その答えは、

    「フェリー乗り場で待っていれば、バスが来ると思う」

    とのこと。


    「思う」?

    一番詳しいであろう地元の人でも、この玉虫色の答弁かい。



    ここで2つの選択肢を選ばざるを得ない。


    1、フェリー乗り場でバスを待つ。バスが来なけりゃボルグン行きはアウト。

    2、幹線道路のバス停まで、約三キロの急な山道を徒歩で登る。もしバスがフェリー乗り場に来てたら無駄な体力の消耗になる。


    決断の時間が迫る。

    13時55分の幹線道路発のバスに乗るべく、山道を登る事に決める。
    カウパンゲルの悪夢の再現だ。

    村の外れの山道の入口まで来ると、イチゴの無人販売があった。
    1パック20クローネとさっきより安い。

    購入して食べながら坂道を登り始める。
    ソルヴォルンのイチゴはおいしい。


    カウパンゲルの時のように重いバックパックは背負っていなかったが、その代わり熱い。快晴の真っ昼間の為、例え木々が生い茂って日陰を作ってくれていても、空気の温度はさほど変わらない。

    汗だくになりながら途中でソルヴォルンの街とルストラフィヨルドを見下ろすパノラマポイントに出くわす。

    休憩がてら見ていると、村へ下りていくミニバンのタクシーとすれ違う。
    タクシー呼んだ村人がいるのか?羨ましい。


    13時40分、ようやく幹線道路に到着。

    しばらくバスを待っていると、さっきすれ違ったタクシーがおばあさんを乗せてやってくる。

    ソルヴォルンと書いた紙が張られている。
    あれ?これってもしかして・・・

    おばあさんに尋ねてみる。
    やはりフェリー乗り場からこのバス停へと運んでくれる、無料のミニバスだった。

    うわ!くそ、やってしまった!!
    さっきの山登りが水の泡。

    このミニバスは運行されている時とされていない時が曖昧のようで、大体は電話で事前予約しなければならないそうだ。

    面倒な制度ですが、この利用客の少なさを考えれば当然か。


    やがて10分ほど遅れてやって来たソグンダール行きバスに乗りこむ。
    スケジュール通り、このバスに乗れただけでも今回はよしとしようか。

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  • 七月五日・・・②「ウルネススターヴ教会」

    フェリーからウルネスを見ている間も、ウルネスのフェリー乗り場からもスターヴ教会の姿は確認できなかった。

    フェリー乗り場から降りた人達は全員、スターヴ教会を目指して一本道の上り坂を登っていく。
    車を停める駐車場もしばらく坂を登ったところにある為、車も次々坂を登る。

    一本道の両脇は果樹園。
    赤く色づいたサクランボや姫リンゴが植えてある。

    徒歩約10分、坂を登りきったところにウルネスのスターヴ教会の姿が見えた。

    木々に囲まれた丘の上に建っている為、フェリーなどからは確認できないというわけです。

    1100年代初めの創建で、ノルウェー最古のスターヴ教会だからだろうか、今までに見たどのスターヴ教会よりも黒ずんで見え、大きな建築でもないのにどことなく迫力を感じる。

    フィヨルド観光で賑わうフロムからフェリーやバスの乗り継ぎ、オマケに山道の徒歩までして辿りついた、僕の今回の旅行の最大の目的地である世界遺産の木造教会。

    ルストラフィヨルドの奥地に自然に隠れているかのように、ひっそりと建つ優雅な姿はまさしく「スターヴヒルケの女王」と呼ぶにふさわしい。

    「ついにここまで来たんだ」

    という達成感と感動で、思わず胸が一杯になる。


    教会脇には、カフェと民家みたいな小さなチケット売り場がある。フェリーで降りた人達全員が、チケット売り場の中に吸い込まれていく。


    僕もチケットを購入、売り場のお姉さんにいきなり

    「ありがとうございました」

    と日本語で喋りかけられ、ビックリした。


    ウルネススターヴ教会はガイドツアーのようだ。
    時間はおそらくフェリーの到着時間に合わせてと思われる。

    例によって民族衣装を着たお姉さんのガイドで教会の見学が始まる。
    ちなみにこの人も裸足だった、やっぱりノルウェーの文化なんじゃないの?


    まずは教会内部の見学。
    ガイドの英語は難しいのが多かったため、あまり聞いてなかった。

    バロックの祭壇や説教壇、交差するように架けられた架構。
    さらに柱頭に浮き彫りされた北欧神話の架空の動物。

    ありとあらゆる個所に施された細密な彫刻。

    時代はそれぞれ違う物だが、その時代の最高の木工技術を駆使して作られていったものが、この教会の中には全てある。

    ここまで手間をかけた内装を持つスターヴ教会は、今回一つもなかった。
    宗教美術の混沌の世界観を表現しているかのようだった。



    内部見学が終わると、今度は外部の見学。

    教会そのものに回廊は取り付けられておらず、真っ黒な北側の壁には有名なウルネス様式と呼ばれるユグドラシルの装飾パネルがある。

    教会そのものは1130年位の創建だが、この木製装飾パネルは更に年代が古く、1070年前後に製作されたものだそうだ。

    教会を建てる前の神話時代の神殿に取り付けていたパネルをそのまま取り付けたものだろうか?
    ガイドは今のウルネス教会が建つ前は、この地には別の建物が建っていたという話をしていた。歴史のロマンを感じます。


    装飾パネルに浮き彫りにされたユグドラシルの枝を舞台に、架空の鹿と蛇がお互いの首を噛合って戦っている光景だそうです。

    ユグドラシルと鹿、蛇が表現する優美な曲線はどこまでも美しく、現代のどんな芸術家でもこのような表現は真似出来ないと思う。


    装飾パネルを見て、約30分のガイドツアーは終了。
    後は各々、教会を自由に見学していた。

    教会の北側の外壁は焦げ目をいれたように黒ずんでいるが、南側の日の当たる部分は木の地肌が見えて白っぽい。

    見る方向によって、いろんな色を見せてくれる不思議な教会だ。
    教会の下にはルストラフィヨルドが広がっている筈だが、教会周りの木々が視界をさえぎってフィヨルドは見えない。


    しかし今回かき集めてきた資料には、フィヨルドをバックにした素晴らしい写真が堂々と載っている。
    一体どうやって撮ったんだろう?

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  • 七月五日・・・①「ウルネスへの玄関口、ソルヴォルン」

    ユースホステルの朝食は朝七時半から、レセプションのある建物で食べられる。宿泊費に朝食代込みなのでかなりお得だ。

    朝食後、とりあえずソグンダールの観光案内書へ向かう。
    早朝の為、案内所自体は閉まっているが、ソグンダールの地図や周辺地域へ向かうバスやフェリーの時刻表など、資料は取り放題。

    資料を一通り集めた後、バスターミナルへ向かいバスのインフォメーションでウルネス、ボルグン行きバスについて、いくつか質問をする。

    自分が乗る予定のバスやフェリーについては日本で可能な限り調べたが、やはり現地に来なければわからないこともある。


    8時45分発のヨーステルダール行きバスに乗りこむ。

    ヨーステルダールはノルウェー最大の氷河がある有名観光地。
    氷の塊みたいな大雪渓には、全く興味が涌かないけど。


    僕はこのバスでソルヴォルンにて途中下車。

    ソルヴォルンからは、ウルネスへ向かうおそらく唯一と思われる公共交通手段であるフェリーが出ている。


    運転手にソルヴォルンのフェリーターミナルまで行くかを確認しチケットを買って乗車。
    乗客は僕を含めて7人。ヨーステルダール手前のハスフロという街に向かう地元の人がほとんどで、観光客は僕だけみたいだ。


    ソルヴォルンへと向かう途中、車窓からはまるで鏡のように山の景色を写しこんでいるバルスネスフィヨルドが確認できた。
    波が立たず、水が真っ青できれいだからこんな風景が見られる。

    ノルウェーでは結構頻繁に見られる風景ですが、僕はこのような景色を日本はもちろん海外でも1度も見た事がない。

    世界は広いなぁ、と再認識。


    ソルヴォルンはヨーステルダール方面を結ぶ幹線道路から外れ、急な山道を10分ほど下りていったところにあります。

    道が狭い上にヘアピンカーブ多発地帯。おまけにデラックスバスなので対向車が来たら大惨事になるんじゃないか?と思った。

    ソルヴォルンのフェリーターミナルに到着後、運転手に尋ねる。

    僕「帰りのソグンダール行きバスはこのフェリー乗り場まで来るの?
    それともあの幹線道路まで行かなければならないの?」


    運転手「18時15分のバスなら私が戻ってくるけど?」

    僕「それじゃ遅いんですよ、13時40分のバスはどうですか?」

    運転手「ダイレクトには入ってこない、これは月曜だけだ」

    僕「えっ?じゃあ幹線道路まで歩いて行けと?」

    運転手「いや、ここで待っていなさい」


    なんか会話が噛合っていないぞ?
    己の英語力のなさを恨む。


    ま、地元民に後で尋ねればわかるだろうと判断し、ソルヴォルン下車。
    バスを見送る。

    フェリー乗り場からは水面一面が深い緑色に染まったルストラフィヨルドが見渡せる。水面が青ではなく緑なのは氷河の氷が溶け出して出来たフィヨルドだからだそうだ。

    このようなフィヨルドは今回他に出会えなかった。
    対岸にはウルネスの村が見えるがスターヴ教会は全く確認できない。

    現在時刻朝の9時過ぎ、ウルネス行きフェリーは10時。
    何台かのキャンピングカーが既に停まっていて、フェリーの到着を待っている。

    僕はソルヴォルン村の観光に出かける。

    かわいい木造のカラフルな街並み、一面に広がる黒いビニールを被せたイチゴ畑。イチゴを含めどんな種類の果物、野菜畑も背の高い雑草がビッシリ生えまくっている。

    日本では畑の雑草は除草剤や草むしりで一本残らず始末しているのに。

    イチゴ畑で収穫の真っ最中の地元の人達を眺めつつ、ソルヴォルンの白い小さな木造教会まで辿りつく。

    スターヴ教会ではないにしても、木造教会がこれだけ見られる国もそうはないと思う。

    教会は小高い丘の上にある為、晴天でも青く染まらないルストラフィヨルドを見降ろす格好となる。



    時間が近づいたのでフェリー乗り場に戻ると、フェリーを待つ人が随分集まっていた9割以上が車、2人が自転車の旅行者で徒歩が1人(僕)

    やがてフェリーが到着、グドヴァンゲンからカウパンゲルへ向かう時に乗ったあのクジラ型フェリーのミニチュア版だ。

    チケットを購入し乗りこもうとするとフェリーのスタッフから、

    「お前は日本人か?」

    と尋ねられる。

    そうです、と答えると妙に嬉しそうに喋ってきた。

    なんでも北海道に友達がいるそうで、日本にも1度行った事があるという。
    新幹線に乗ったことが彼の一番の自慢であり、あんな速い乗り物があるのかというカルチャーショックでもあったそうだ。

    こんな所からでも、日本に来た事がある人がいた。
    ただ、逆に日本人含めアジアの人間は、ここではほとんど見かけないらしい。

    年に数人見かけるかな?という程度らしい。

    ウルネスのスターヴ教会は世界遺産の中でも超が付く位、
    マイナーな世界遺産のようです。

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  • 七月四日・・・⑧「ソグンダールユースホステル」

    カウパングセントレートからフィヨルドに沿って曲がりくねった道路をバスは疾走する。やがてフィヨルドの向こうにソグンダールの街並みが見えてきた。

    人口6000人、この地方最大の都市である。

    フィヨルドに架けられた橋を渡るとすぐ、ユースホステルの看板が見えた。
    僕の今日と明日の宿泊予定地だ。

    運転手「ソグンダールのどこに泊まるんだ?近くで降ろしてやるけど」

    いや、さっき通り過ぎちゃったんだけど・・・

    僕「とりあえずバスターミナルまで行ってよ」

    バスターミナルの場所がわからなければ、翌日の観光に支障があるので。


    さすがにこの規模の街ともなると、バスターミナルも立派な案内所付です。
    ここからソグンダールユースホステルまで徒歩15分ほど。


    オスロを離れてさほどの日数も経たないのに、久々に街らしい街を見たような気がする。人通りもチラホラ見かけるし大きな街だ。

    なんと映画館付きの立派な大規模複合ショッピングセンターがある。

    閉店間近だったけど、なんとかハム、エビマヨネーズなどの
    夕食を買いこむ事が出来た。

    ビザカードで支払ったのでサインを日本語で書いたら、

    「こんな珍しい文字は見た事がない!」

    と、店員に非常にウケた。そんなにここには日本人や中国人が来ないのか?
    ATMもあったので、お金を多めに引き出しておく。


    郵便局やら観光案内所やら、メインストリートの建物はどれも大きく立派で、おまけに新築のようにピカピカ。

    使われていないからかな?


    さて、僕の宿泊するユースホステル。
    予約時のメールのやりとりで、

    「もし夜の9時をまわる時間帯にチェックインするようなら、電話で呼び出してくれ」

    と、こうだ。

    夜10時をとっくに過ぎている。

    「自信ないよ。あぁ電話か、イヤだなぁ。」

    しかしレセプションには数人のスタッフが残っていた。
    ラッキーだ。早速宿泊手続きに入る。

    僕が予約したのはシングルで、一泊朝食込みで235クローネ。
    ただ、ホステルシーツを借りるとなんと75クローネも取られてしまう。

    この為、シーツは日本から持参してきた。


    夏休みの間、学校をユースホステルとして開放したサマーホステルで、
    グラウンドやら校舎やらが敷地内に建っている

    僕が泊まる部屋はレセプションのある建物ではなく、ちょっと離れた建物の一階にある。どうやら学生寮のようだ。

    ベッドも机も付属の洗面所も、清潔できれいにしてある。
    共同のバス、トイレも清潔さ、使い勝手共に合格点。


    窓からは果物畑が見えるが、部屋が1階の為、外からも部屋内が丸見え。
    カーテンを閉めておく

    オスロのシティホテルなんかよりも、宿泊施設としては全然いい。

    スーパーで購入した簡単な夕食を食べて就寝。

    明日はウルネス、ボルグンの2つのスターヴ教会を見に行く予定。

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  • 七月四日・・・⑦「バスが来ない?」

    バス停ではグドヴァンゲン行きの最終フェリーがやってきた。
    埠頭に集まっていた数台の車は次々とフェリーに飲みこまれていく。
    ひとりポツーンとバス停で待っているのは虚しい。

    しかし19時15分発の、僕が待っているソグンダール行きバス、ひとつ気になる時刻表がバス停に貼ってあった。

    2002年の時刻表だがカウパンゲル発のバスは15時でお終いとなっている。僕の待っているバスの時刻はカウパングセントレート発のバスの時刻と酷似していた。

    用意してきたプリントの時刻表を何度も確かめる。
    間違いなくこの時間にカウパンゲルから発着している。

    ただノルウェー後の注意書きに、気になる小さな文字を発見。

    「Retur til Kaupangsenteret」

    ノルウェー語なので読めないが、カウパングセントレートと書いてある。
    まさか・・・?!!



    19時15分から20分以上が過ぎ去る。
    バスは全く来る気配なし。

    「やられた!」

    チクショー!紛らわしい時刻表作りやがって!!

    目の前の電話ボックスからタクシーを呼べるらしい。
    ソグンダールまで200クローネ半ば。
    バス停のあるカウパングセントレートまで70クローネちょっと。

    しかしこれらは2002年の値段だ。
    今は当然もっと高いだろう。

    なにより電話でタクシー呼べるほど英語に自信がない。


    バス停の時刻表によれば、カウパングセントレート発のバスが21時50分にある。2002年の時刻表とはいえ、今と大して違わないだろう。

    周辺の地図でカウパングセントレートの位置を確認し、一本道をひたすら歩く。

    カウパンゲルスターヴ教会を通りすぎると、後は山の中の道路になる。
    しかも登り道、最低だ。

    20キロ近い重量のバックパックを背負って、汗だくになりながらひたすら歩く。まるきり登山だ。


    ノルウェーバスエキスプレスへの恨み言ばかり考えつつ、休憩を入れながらようやく辿りついたカウパングセントレート。

    巨大なスーパー前にバス停があった。ここかな?

    バスを待つ間にスーパーで夕食を買い込もうと店に入る。
    しかし店員は、

    「もう閉店だ」

    と、さすが田舎だ、そうきたか。
    まだ夜9時前なのになぁ。

    僕「ところでソグンダール行きバスは、前のバス停から出るんですよね?」

    店員「ソグンダール?駄目だ、そこからは出ない。更に先に進んだ所にガソリンスタンドがある。そこの向かい側のバス停だ」

    あ、危なかった・・・
    確認しといてよかった。


    再びバックパックを担いで300メートルほど歩くと、確かにガソリンスタンドと茶色いモーテルがあった。

    ガソリンスタンド付設の売店で冷たいジュースを購入し、バス
    停の位置を再確認。

    ガソリンスタンドからさらに少しソグンダール方面に歩いたところに、小さいバス停が。
    ここでひたすらバスを待つ。

    やがてラールダールからのソグンダール行きバスがやってきた。

    運転手にソグンダール?と確認すると、

    「イエス!」

    と力強いお言葉、運転手が神に見える。
    助かったぁ♪


    お客は僕一人だけ、なのにデラックスバスだ。
    快調にソグンダールを目指す。

    最後の最後にひどいトラップが待ちうけていた。
    とんでもない目にあったけど、予定通りソグンダールに
    入れて本当によかった。

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  • 七月四日・・・⑥「カウパンゲルスターヴ教会」

    小さなバス停にはバスの時刻表と共に、カウパンゲルからカウパングセントレートまでの簡単な地図を掲載していた。

    地図によるとカウパングセントレートまでの一本道を真っ直ぐ一キロほど進んだ所にあるらしい。


    付近は人通りが全く見当たらず、さっきのフェリーの乗客だった車の旅行者二人が弁当を広げて食べているくらい。


    重いバックパックをバス停の片隅にさりげなく置いておく。

    金目のものは入ってないし、こんなもの誰も盗らないだろう。


    カウパンゲルスターヴ教会の閉館時間は夕方5時半。
    現在時刻5時ちょっと過ぎ、急がねば。

    道すがら、ボート博物館を発見したが、閉まっていたし開いていたとしても見ている時間がない。

    やがてスターヴ教会を指し示す茶色い看板が見えてくる、もうすぐだ。
    看板に従って脇道にそれる。

    砂利道を下っていきようやく発見、カウパンゲルスターヴ教会。


    二層屋根にエンピツを削り上げたような風見鶏付き尖塔。

    壁は横板で張りつけられ、屋根もこけら屋根ではなくただの板張り。
    龍頭の屋根飾りなども付いていないため、すっきりした形です。



    閉館15分前だが、教会内部を見る事が出来た。
    内部には既に先客がいた。
    さっき一緒のフェリーに乗ってた人達。

    壁には色褪せた花が描かれているが、その下に音符のような横線が二列に渡り描かれている。

    教会内の太い柱、ここにもヘッダールスターヴ教会で見た三桁の数字が並ぶ看板を見つけた。


    わからないのでスタッフに尋ねてみる。

    壁画はやはり音楽の音符だそうで、1600年ごろに描かれたものだそうだ。
    音符記号は谷型に並んでおり、アップダウンの激しい曲のようです。

    数字の書かれた看板も、やはり音楽。
    教会内で歌う聖歌の本のページ数で、数字のページの順番に歌っていくそうだ。まわりに教会は見当たらないし、今も現役の教会なのだろうか?

    祭壇脇に取り付けられた、小さな説教壇の明るい彩色が見事だった。


    教会の外まわりをしばらく見学した後、バス停に戻る。

    僕の調べた時刻表ではカウパンゲル発ソグンダール行きの最終バスが19時37分発で出るらしい。





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  • 七月四日・・・⑤「カウパンゲルまでの船旅」

    グドヴァンゲン発ラールダール行きフェリーは随分とノンビリ走る。
    おかげでネーロイフィヨルドの景色も、ゆっくり堪能する事が出来た


    カモメが大勢で寄ってくるので、おやつに食べていたワッフルを少しだけちぎって投げる。カモメは器用に空中でキャッチする。

    フィヨルドを紹介するパンフレットによく使われている写真の光景そのままだ。

    船内はキャンピングカーや車と一緒に乗りこんでいる人達も多いが、ほとんどはイギリスからの観光ツアー客のようだ。
    これらの乗客で船は満員状態。デッキでは立つ場所を確保するのも困難な状況。

    ツアー旅行者のおじいさんと少しだけ世間話。

    「ノルウェーは最高に気持ちいい国だ。何よりもまわりに人が少ないのが一番いいね」

    同感。
    少なけりゃいいってものでもないけど、何事も程々やね。


    バイテレンから少々広がったアウランフィヨルド北部に入り、やがて見えてきたカウパンゲルの村。フィヨルドに面した山の斜面に貼り付く様にしてカラフルな家が建ち並んでいる。ソグネフィヨルドではよく見かける光景だ。

    ちなみにフェリーからはカウパンゲルのスターヴ教会の姿は確認できなかった。


    ところでフェリーのチケットはどうなったんだろう?

    不安になってカフェテリアのおばさんに尋ねてみると、どこかへ連絡を始めた。しばらく待たされた後にスタッフが現れ、

    「お前はツアーではないのか?」

    おいおい、どこからどう見ても東洋人の僕がイギリスのツアーに入ってるわけがないだろう?

    しかし昔、一度ポーランド人に間違われた事があるので、今回も似たようなものだったのかな。
    ポーランド人はそんなに僕に似ているのか、そのうちポーランドに行って調査したいのだが、数年の内は無理だろう。


    とりあえず地下室に案内されチケットを購入。
    またレシート切符だ。

    こんなチンケなチケットの為に下船ギリギリまで待たされたのか。。


    カウパンゲルの埠頭で下りたのは僕を含めて十人足らず。
    僕以外の全員が車ごと下りてきた。


    これからラールダールに向かうフェリーを見送り、近くの石造りの屋根のバス停のベンチにバックパックを下ろして一息つく。

    さて、カウパンゲルにあるというスターヴ教会はどこだろう?

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  • 七月四日・・・④「グドヴァンゲン」

    グドヴァンゲンの埠頭のすぐ側に巨大なカフェテラスと土産物屋が。
    とりあえず昼食にエビマヨサンドイッチとビールを購入し、テラス席で頂く。

    遠くシェル滝やネーロイフィヨルドを眺めながらの食事はムード満点。
    ジリジリ照りつける太陽を除いては。。。

    食事して一服すると、以前から抱いていた疑問を確かめるべくフィヨルドの水辺へ向かう。

    「フィヨルドの水はしょっぱいのか、真水なのか?」

    水をちょこっと舐めてみる。
    こりゃ真水だね。
    またひとつトリビアが増えたぞ。


    グドヴァンゲンのカフェテリア裏手ではヴァイキング時代の鍛冶の実演を行っていた。
    しかしほぼ日本の鍛冶と道具も行程も一緒と思われる。

    傍らには六角形の平べったいモーテルがある。
    部屋が丸見え、こりゃまずいだろう?

    モーテル裏手が駐車場。
    観光バスやキャンピングカーがわんさか停まっている。

    しかしここにダイレクトに入って来る公共バスは少なく、ほとんどのバスは
    駐車場から住宅の並ぶ一本道を五分ほど歩いた所にある幹線道路まで行かなければならないようだ。

    グドヴァンゲンのカフェテリア脇の小さな橋を渡ると、こじんまりした船着場があり、ヴァイキング船(プチバージョン)が停船している。

    船着場から後ろを見ると、木の柵で囲まれた怪しげな空間があり、
    テントやら小屋やら何やらけったいな施設が見える。

    鹿を描いた的に向かって一心不乱に木の弓を射っている、上半身裸の黄金のひげのおじさんが一人。

    近寄って入口の看板を見てみると、次のような記述が確認できた。

    「とってもフレンドリーなヴァイキングがいるよ、いらっしゃい!」

    ・・・フレンドリーなヴァイキングってあの強面のおじさんの事か?
    なかなかお茶目なジョークだ。

    おじさんの弓はさすがに全部的に入っていた。
    弓が下手ならヴァイキングを名乗れまい。


    弓を射るのは20クローネ、ヴァイキング船に乗るのは100クローネ。
    あのヴァイキング船の持ち主はあのおじさんか。
    どうせならヴァイキング船に乗りたいけど時間がないや。


    とりあえず入ってみる。

    見た目の年の割に筋肉質で怖そうだが、禿げあがった頭が怖さを和らげている。(ような気がする)

    テントとか色々見せてくれる。
    見た目に比べて随分優しい、本当にフレンドリーだ。

    最後にはお約束、

    「ヴァイキングのアクセサリーはどうだね?」

    とのこと。

    そう、アクセサリーまで売っていたのだ。

    歴史博物館などで見たヴァイキング時代のアクセサリーのレプリカだろうか?
    ヴァイキングのデザインはカッコイイぞ。

    素材は銀じゃなさそうなのに値段はちょっと高め。
    でも気に入ったデザインをいくつか購入。

    後からわかったことですが、ベルゲンでも同じモノが同じような値段で売られていた。ボッタクリではなかった。



    フレンドリーなヴァイキングと別れ、フェリーが発着する埠頭へと急ぐ。

    ラールダール行きフェリーはフロム~グドヴァンゲン間の観光フェリーとは違い、地元用に運行されているフェリー。

    このため自動車も積みこめる構造になっており、観光船用ドッグとは違い、駐車場よりの赤い踏み切りのある埠頭が発着場となっています。

    やがてフェリーがやってくる。

    フェリーの先っちょ、青黒い部分がパカーッと口を開け、車を次々飲みこんでいく。村上よしゆきさんの著書の表現する通り、まさしくクジラが口をあけて大量の車を飲みこんでいくかのようだ。

    (最高の表現を先に使われたなぁ)


    車と同時に多くの観光客がクジラの口に飲みこまれていく。
    彼らは全員、同じ観光ツアーのようだ。

    僕はさすらいのバックパッカーの為、自分でチケットを買わねばならない。
    車から料金を徴収していた船のスタッフに、

    僕「あのぅ、チケットは?」

    スタッフ「チケット?それは後だ。さぁ乗った乗った!」


    船に追いやられる、後って何時やねん?

    なにはともあれ、ネーロイフィヨルドを再び逆走するカウパンゲルまでの約二時間の船旅が始まった。

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  • 七月四日・・・③「アウランフィヨルドからネーロイフィヨルドへ」

    フェリー内には軽食や飲み物を販売するカフェと座席があるが、座席の方を利用している人は皆無でほぼ全ての人が甲板に出ている。

    甲板には椅子が大量に用意してあり、それぞれ思い思いの場所に椅子を置いて陣取っている。かくいう僕は椅子には座らず、甲板の後ろでデッキに持たれつつ立っていた。

    いざフェリーが動き始めると、想像もしていなかったことが判明する。
    観光客船だからノンビリ走るものだと思っていたら、メチャクチャ早い。
    まるきり水中翼船のスピードだ。あっという間にフロムが遠ざかっていく。

    すさまじい風を受けまくり、寒くなってきた。
    まさかここで冬用コートを使うとは思っていなかった。
    バックパックから引っ張り出す。

    やがてウンドレダールの小さな街並みが見えてくる。
    ここウンドレダールにはノルウェー唯一の白いスターヴ教会がある事で知られている。木が邪魔でなかなか見えなかったが、隙間から一瞬姿が見えたので思わず写真を撮る。

    この教会に行くにはここで船を停めてもらい街に降りる必要がありますが、そうした場合次のフェリーを待たなければならない為、この後のスケジュールを考えると無理。

    チッ、あと1日余裕があったなら・・・
    自分の勤める会社を激しく憎む。



    ウンドレダールで数人のお客を乗っけた後、白亜のスターヴ教会を眺めつつ
    フェリーは街を離れていく。

    フロム周辺では36mだった水深も、この辺りまで来ると一気に水深400mになってしまう。

    とはいえ見た目にはわからん。

    ナイフで削り上げたような岸壁が両側に聳え立ち、山からは滝がよだれのように垂れている。船から見ると小さいけど、実際は巨大な滝なんだろうな。

    チラホラと民家が建っており、ヤギなどを放牧する牧歌的な雰囲気も見られる。
    またカヤックで移動する人が遠くから手を振っている。


    やがてフェリーは広々としたアウランフィヨルドとネーロイフィヨルドとの分岐点、「バイテレン」に到達する。

    ここからソグネフィヨルドで最も幅が狭いネーロイフィヨルドへ入っていく。
    波がなく静かで青い水面は、まさに鏡のように両脇に迫る高山を映し出していく。絶景を前にすると観光客の多さなど全然気にならない。


    しかしこのフェリーの猛スピード、なんとかならないものなのか。

    滝の側に近寄ったり、見所ではちゃんとスピードを緩めてくれるのだが
    カモメも追いつけないスピードで走られると景色を落ち着いて見られない。

    ネーロイフィヨルドに入ってしばらくすると甲板から「オーッ!」という歓声が。何事か?と声の方向に身を乗り出すと、なんとアザラシが泳いでいる。

    船はスピードを緩めてくれたのか結構長いこと視界に入っていた。
    写真を撮ってみたが、ちと遠くすぎたので映らなかった。


    ネーロイフィヨルドにも民家はあるものの、ウンドレダールのような大きい集落はなかった。人口6人の村もあるというから驚き。

    しかし目の前には雄大なフィヨルドの大自然。人が付近に全然いない、カモメやアザラシを見ながらの生活は、えもいわれぬ安らぎを与えてくれそうです。

    通勤ラッシュが名物の日本の都市部に住み、毎年せわしない夏のバカンスを送っている僕にとって、こういったゆったりした生活は強い憧れがあります。

    日本での生活を全部捨てて、人口が少ない分自然の恩恵が受けられるこういう国に1度住んでみたいですね。(しかし物価高を考えると?)


    2時間半の船旅も終わり、グドヴァンゲンの港が見えてきた。

    港から左手に望む高い山の頂上部には、遠くからでも雄大さがわかるシェルの滝が見えます。

    ここで昼食とグドヴァンゲン散策を交えつつ、14時45分発のラールダール行きフェリーを待ちます。

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  • 七月四日・・・②「フロム山岳鉄道」

    フロム鉄道は緑の角張った車体で、僕は前から2列目の車両に乗る。
    オスロからの観光客とかち合わなかった為か、車内は大分すいている。

    オスロからの始発列車だと、フロム鉄道の始発には間に合わないのです。

    おかげさまでどの席からも景色が見放題。

    列車が動き始めると、右に左に氷河の侵食によって削られた圧倒的なスケールの谷や渓谷が次々と目に飛び込んでくる。

    山岳鉄道の最高傑作と自慢するだけのことはある。

    今は一面木に覆われ緑ですが、冬は一面雪に変わるでしょう。
    山の斜面にへばり付くように建てられた民家。
    何が楽しくてこんな不便そうな所に住んでいるのだろう??





    ちなみにこの鉄道、登山列車のイメージが強く今回乗った感想でも山を降りているようには感じなかったが、海抜867mのミュールダールから乗ると海抜2mのフロムまで20キロの道をたった一時間で下っていくことになります。

    これじゃ下山列車だ。


    やがてヒョースフォッセン駅に列車は止まる。

    フロム鉄道のハイライト、ヒョースの滝です。
    この大瀑布を見るために列車は五分間停車します。

    左右にブレながら階段状に落ちてくる滝を間近に眺めることができる。
    あまりの水飛沫に近くにいればいるほどずぶ濡れになる。

    やがて音楽が流れてきて歌声が聞こえてくる。
    滝のすぐ側の建物の廃墟みたいな陰から青い服を着た女性が出てきて踊り始める。

    滝の側で美女が歌い踊る、というおとぎ話のようなナイスな演出。
    みんな滝を撮るだけ撮ってしまいこんでいたカメラやビデオを取り出して再びバシャバシャ撮り始める。


    みんなの夢を壊すようで申し訳ないが、あそこにいるのは女性ではなく
    地元男子学生のバイトという情報もありました。

    まともな道も階段も見当たらないあれだけの急高配を女性が登れるとは確かに考えにくい。オペラグラスで確認を試みるも、遠すぎてわからなかった。



    やがて音楽がやんで美女も引っ込むと、皆ゾロゾロ列車に戻り始める。

    しかしこの鉄道、トンネルが多い。

    ミュールダール駅にはこのトンネルを掘った当時の道具などの展示がされていましたが全工程の約三分の一がトンネルの為、絶景が途中で途絶えてしまう。

    少々残念。


    やがてフロムが近づいてくると山の高配も少なくなってきて谷は穏やかに開けてくる。民家の数も次第に多くなってきてフロム手前の村では、スターヴ教会そっくりの形をした木造のフロム教会が見える。


    やがてフロム駅に到着。

    土産物屋や列車を改造したレストランなどが建っており、奥の埠頭には巨大豪華客船が乗り入れていた。

    駅周辺は既に観光客の数が多い。
    どうやらバスや車でフロム鉄道始発の観光客よりも先に来た人や、フロムで一泊した観光客のようだ。

    ここから約20分後のグドヴァンゲン行きフェリーに乗りこまなければならない。チケットオフィスが込む前に急いで購入しなければ。

    しかし二十キロ近くあるバックパックを担いでの移動はつらく、ゼイゼイ言いながら辿りついた観光案内所兼フェリーチケットオフィスはもはや手遅れ寸前の満員状態。


    11時のフェリーに間に合うよう祈りつつ待つ。
    なんの神に祈ろうか迷っていたら、いつの間にやら僕の順番。


    チケットを買ってグドヴァンゲン行きフェリーの出る埠頭の場所を聞き、フェリーへダッシュ。

    出発6分前、ギリギリ間に合う。

    自転車の旅行者もいるようで、自転車が2台積みこんであった。
    僕のバックパックをフェリーの片隅に置き、いよいよ楽しみにしていた僕のソグネフィヨルド観光が始まる。

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  • 七月四日・・・①「ナットシェルコースの始まり」

    早朝4時前、すさまじいイビキで目が覚める。

    僕の隣りの席でビッグサイズのおばさんが豪快な音を出して就寝中。
    ただでさえ寝不足が続いていたノルウェー滞在、列車の中でさえも寝られぬ運命にあったみたい。

    ふと車窓を見ると雪がチラホラ見える。
    氷河の残る山が連なり、穏やかな水面の青い湖が見られる。
    道路も見当たらないのにポツポツと民家が。
    山道のような細い道をマウンテンバイクでこんな時間から疾走する旅行者も見られる。

    景色を眺めていたら再びウトウトしてきた。
    そんな時に車掌が起こしに来てくれる。

    「もうすぐミュールダールだよ」

    朝の風が冷たいミュールダール駅に降り立ったのは僕と登山用バックパックを担いだ男女五人組のパッカー達。

    彼らは到着するなりトイレに入り、歯磨きなどをしていた。
    かくいう僕はミュールダール駅と周辺を調査。

    僕達以外、駅舎に人影は見当たらずフロム鉄道のチケットオフィスは10時オープン。始発のチケット買えへんやないか!

    九時オープンのカフェと土産物屋、トイレはなかなか綺麗にしてあって
    使用可能かどうかは不明ですがシャワーまであります。


    ミュールダール駅周辺は村と呼ぶのもはばかられるような光景。
    民家が4~5軒、営業してるかどうかも怪しいカフェと宿泊施設と思われるB&Bと書かれた建物。

    人口は10人そこらではないかと思われます。

    車道が無く山道の為、どのようにして物資を調達して生活しているのかは不明。麓に街があるのだろうか?

    始発列車が来るまで暇なのでバックパックを駅舎内に置いてミュールダールの村へ降りてみる。ひっそりと静まり返り、遠くの滝の音が聞こえてくる。

    目の前が岸壁そそり立つ山、民家の間を縫うようにして山から落ちる滝の水が川となって流れている。駅の真下辺りにある砂利道を歩いていくと、しばらくして木造の古びた小さい橋があり、落差はさほど無いけど結構大きな滝が大きな音をたてて流れている。

    水が綺麗。飲めるんじゃないか?などと考えていたら僕と同時にミュールダール駅で降りた五人組がバックパックを担いで更にミュールダールの山道を下っていく。

    氷河観光にでも行くのだろうか?

    欧米人の旅行と日本人の旅行は、行く場所も観光スタイルも大分違うように思える。


    しばらく彼らの後に付いて先に進んだが、果てしなく砂利道の為つまらなくなり駅に戻って一眠りする事に。

    フロム鉄道の始発は9時39分、まだまだ時間がある。
    目覚ましをセットして駅舎内のベンチで眠る。


    9時20分、ベルゲン方面からの列車が到着。
    フィヨルド観光ヘ向かう観光客が駅に大勢降り立つ。

    無人駅だったがカフェや土産物屋も営業を開始しており、にわかに活気付いてきた。

    えげつなかったのは中国の団体ツアー。

    こじんまりした土産物屋に大挙して押し寄せ、商品を触り巻くってベラベラ大声で喋りまくり。商品は大きな音を立てて落とすし、結局なにも買わず挨拶さえも無しに大挙してカフェに入り、何を注文する訳でもなく席についておしゃべりを始める。

    チャイナインパクトだ。朝から目が覚めるぜ!
    でもこういった中国らしさ、嫌いではない。


    やがて緑の車体のフロム鉄道がやってきた。
    駅員に尋ねると、チケットは車内で購入するらしい。

    いよいよソグネフィヨルド観光の始まりだ。
    ワクワクドキドキして胸が高鳴ってきた。

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    06/07/22 11:45

    Re: 七月四日・・・①「ナットシェルコースの始まり」

    駱駝シアンズさんお早うございます。
    丁度ぴったりの所を今朝の旅サラダで放送していて私も改めて思い出しました。
    フロム鉄道、フィヨルド、ノールカップでした。

    話は違いますが、今日フランスから最後の衛星中継がマルセーユからあります。
    私は早寝なので夜の10時過ぎはつらいです。見ているうちにうとうとの毎日です。

  • 七月三日・・・⑥「夜行列車」

    バガテッレを出たのは夜の九時半過ぎ。
    ここから中央駅に戻り、オスロ~ベルゲン線の夜行列車に乗りこむ。

    23時11分発の列車で途中駅のミュールダールで明け方4時45分に下車予定。

    さすが夜行列車、寝台列車があるぞ。
    荷物を担いで列車に乗りこむ。



    ちなみに列車のチケットは日本からノルウェー国鉄のウェブサイトで予約していきました。全席予約制の為です。

    この路線はノルウェー4大フィヨルドの1つ、ソグネフィヨルドへアクセスする為の玄関口のような路線で、フィヨルド行き観光客で込み合うから、というのが全席予約制のタテマエでしょうか。

    ウェブサイトで予約をすると「Minipris」という割引切符の購入が可能。
    一万円近くする切符が4000円足らずで購入ができます。

    ヘルプ画面に「グループ」の記載がありますが、グループ割引という意味ではありませんので、1人で購入して列車に乗り込んでも全く問題ありません。

    チケットの受け取り方法に「Hentingi tog」という項目を選択すれば切符引換の必要もなく、送られてくるメールのプリントアウトを車内で見せるだけでOK。座席番号や列車番号もメールに書かれていますが座席の位置の選択はできないようです。

    座席はかなり後ろまで倒し込むことができ、飛行機などより快適に寝られそう。

    夜行なのでオスロ~ミュールダール間の車窓から見える風景はお預け。
    これからソグネフィヨルドで自然を見に行くのだから、まぁいいか。

    ミュールダール駅に着いても起こしてくれない可能性があるので、目覚し時計をセットし、Miniprisのメール切符を座席前の網に入れておく。

    「朝が早いから切符の検札に来ても起こさんといてくれ」

    というメッセージを込めたつもりでしたが、就寝後にしっかりと起こされる。
    ワインの飲み過ぎで眠いのにさぁ。

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    06/09/05 19:32

    鉄道のチケット予約について

    駱駝シァンズ様
    初めまして、やこといいます。
    今週の土曜日からノルウェーに旅行する予定で、駱駝シァンズさんの旅行記を拝見しました。
    かなり詳しく書いてあり、参考になりました。

    私は、ゾグネ、ハダンゲル、リーセを1週間で回る予定ですが、まずはオスロからミュルーダルを国鉄のHPから予約しようと思っています。

    駱駝シァンズさんのようにminiprisのチケットを購入しようと思い、何度か試したのですが、「something failed.please try again 」という表示が出て、うまくいきません。

    1番最初に入力したときに「zip code」に自宅の郵便番号を入力し(123-4567という風に入力)、そのときは、「zip code」でエラーが出て、その後、番号のみを入力したり、桁数を削ったりするのですが、「something ~」が出ます。

    駱駝シァンズさんが入力されたときは、すんなり購入できましたか?
    郵便番号欄をどのように入力されていたが覚えていらっしゃったら教えていただけませんか?

    また、何度も入力していますが、確認メールは一度も来ていないので
    予約は取れていないとは思いますが、予約がうまくいけば、すぐメールが来るものなのでしょうか?
    カードの番号を入力しているため、購入になっていたら、、と気になっています。

    覚えていらっしゃる範囲で構いませんので、教えていただければ幸いです。

    やこ

  • 七月三日・・・⑤「夢のような一夜」

    僕は椅子が一脚だけセッティングされたテーブルに案内される。

    「アペリティフは如何ですか?」

    と聞かれたのでグラスシャンパンを頼む。

    シャンパンのボトルを持って来て、

    「これは食前酒としてはポピュラーな種類のシャンパーニュです・・・」

    説明をしてくれる。出された付き出しと一緒にシャンパンを飲みながらあらためて店内を見渡すと、お客はまだ僕以外誰もいない。ますます緊張してきた。せっかくのいいシャンパンなのに、緊張してるとシャンパンがうまくない。

    やがて持ってこられたメニュー。

    「アラカルトはこちらのページです。こちらはコースとなっております。3皿のコースと6皿のコース、グランドメニュー(クリエイション)のコースは○○皿のコースです。本日のメインはお肉がレインデール(トナカイ)のステーキにタピオカのクスクス。お魚はシーバス(スズキ)のグリルとなっております」

    どのメニューもさすがに価格が桁外れに高い。
    しかしこのノルウェー旅行の為に爪に火をともすようにして貯めた金がある。
    こんなチャンスはもう2度とないかもしれない、後悔はしたくない。
    一番高いグランドメニュー(クリエイション)を頼む。

    しばらくしてワインはどうするかを聞かれたので、「ボトルでお願いします」
    というとワインリストを持って来てくれた。

    この日の為にテーブルマナーを勉強してきたのだが、この店はソムリエがいないのだろうか?しかし自分でゆっくり好きなワインを選ぶことができて楽チンである。

    ワインは大体1000クローネ前後。高いものは10万円以上軽くいってる。
    自分の好きなオーストリアのリースリング種の白ワインを注文する。
    1000クローネ、約二万円なり。


    やがて目も眩むような、色とりどりの前菜が何皿も運ばれてくる。
    陶製の白スプーンに乗っかった一口サイズのものからつまようじにちょこんと挿されたムース、小さなグラスに入った緑色の冷製スープ、茶碗蒸のような温かい前菜もある。

    スタッフは料理の説明をしてくれるが、もはや何がなんだかわからん。
    グラスシャンパンが無くなると同時に、僕の頼んだ白のワインテイステイング。絶妙のタイミング、凄い!

    前菜はもっと凄い、とにかくおいしい。
    特に茶碗蒸みたいな料理は絶品。

    フランス料理というと薄味を予想していましたが、ここの料理はメインなど含めて全てにおいてしっかりした味付けで濃い目の味付け。日本人にはこういった味付けの方がフランスの薄味よりもあうのではないだろうか。

    後はメインまでホタテのグリルやら、次々と料理が来る。
    ワインが進んでかなりヤバイ。

    夜も8時前くらいになってくると、店内もお客で埋まり始める。
    みんなそんなにお洒落していない。ネクタイも締めてないし、キラキラのドレスも着ていない。

    メインのクスクスの上に乗ったトナカイのステーキが今回一番の1皿だったかも。
    鹿肉みたいのを予想していたら、全然臭みのない肉でソースに絡んだクスクスがたまらない。これもう一皿欲しい。メインの前に赤ワインをグラスでどうかと聞かれ、頼んだ赤ワインも料理によくあうものでした。

    スズキ料理もソースがおいしい。

    酒が入ってきたせいか、緊張がほぐれてきた。
    思ったよりもこの店、居心地悪くない。そんなに肩肘張ったお客もいませんでしたし、店員の気配りもさりげないもので食事の邪魔にはならなかった。

    前菜を持ってくる前には、
    「料理が来るまで待っている間、これをお読みになってください」
    とシェフのレシピ本を貸してくれたり、トイレに立とうとすると、
    「トイレはこちらです」
    と、いたれりつくせり。

    やがてワゴンに乗ったチーズフランスチーズの数々。
    そしてテーブル一杯に並んだデザート。
    シャーベットがワインで重くなった胃に染み渡る。

    食後のエスプレッソでゴージャスな夜の余韻を楽しむ。

    料理は10皿以上はあったと思う。我ながらよく食べたしワインも沢山飲んだ。

    「ワインのエチケットを持ちかえりたい、あとこのレシピ本、持って帰っても良いですか?」

    「もちろんです。ただ本は450クローネ頂きますが」

    これも記念だ、と承諾。会計に入る。

    えーっと、2600クローネちょっと。
    5万円越えちゃった!

    ビザカードで支払う。(チップは払わなかった)


    ルレ・エ・シャトーの本2冊をお土産に頂き、ワインの銘柄と年代を書いた手書きのカードを頂く(ラベルははがす事ができない、とのこと)

    「楽しい食事でした、ありがとう」

    と言って店を出る。

    夢のような夜だった。
    また機会があれば、こういった高級レストランに来るのも悪くはないかな。

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    退会ユーザ @*******
    06/07/22 13:47

    Re: 七月三日・・・⑤「夢のような一夜」

    駱駝シァンズさん、こんにちは!

    予約されているときから傍目に拝見しておりましたが、期待どおりの素晴らしい一夜となって、何よりでしたね!
    (~しかし、こんな食事を読まされるだけの身になってくださいな.....。)


    .......私は、女性の一人旅な上、ワインもだめですので、あまりきちんとしたレストランでの食事を楽しむことがありません。
    が、いつか一度ぐらいは夫と経験したいものと思っているのですが、その際、分不相応で気が張るようなら、馬鹿馬鹿しいと常々思っていました。
    でも、お話を読みますと、そうしたサービス面も行き届いているようですね。


    私も帰国したてで前後はまだ拝読しておりませんが、少しずつ読ませていただきますね。
    とりあえずあまりに羨ましかったので、思わず書き込んでしまいました!

  • 七月三日・・・④「バガテッレ」

    この日の夕方、オスロに戻ってからはかなり緊張していた。

    ノルウェー唯一のミシュラン2つ星レストラン「バガテッレ」での高級ディナーを予約していたので。

    ノルウェー風フランス料理というジャンルの、オスロの名店です。

    今まで、フランスに4回も行っていながらこの手の高級レストランで食事をしたことは一度も無かったし、日本においても格式高い最高級レストランに行った事は一度もない。文字通り初体験。

    まずは駅のコインロッカーから荷物を出そうとすると、とんでもないハプニング。

    鍵を無くしてしまった!!

    ノトデンのカフェで支払いをする時に落としたのかも??

    ロッカー脇の遺失物保管所が開いていたので事情を説明。
    鍵を開けてもらい中身が本当に僕のものか、いくつかロッカー内の荷物に関する質問を受け荷物を返してもらう。デポジット100クローネを支払い、僕の名前と日本の電話番号を聞かれる。鍵が見つかったら返金されるそうだ。

    荷物は無事に返ってきたけど、バックパック担いでレストランに行ける筈がない。再びロッカーに預けてとりあえず恥ずかしくない格好をするべくバックパックからジャケットを出して羽織る。赤いYシャツに白のズボン、そして柿色のジャケット。

    ネクタイはいらないであろう、という僕の判断。
    果たして吉と出るか凶と出るか?

    中央駅前、ポツンと大きなライオンの銅像があるあたりで人だかりがあり、司祭らしき人が聖書を片手になにやら説法をしていた。教会の出張説法か?まだ時間があるのでしばらく見物。

    トラフィカンテン前のトラム乗り場から12番のトラムに乗り、SOLI駅下車。ビグドイ・アッレという名の通り入ってすぐに予約したレストラン「バガテッレ」があります。

    レストランとも書いてないし、やはり入りにくそうなオーラが出ている。
    緊張がピークに達してきた、向かいの公園でタバコを吸って一服。

    夕方6時、予約の時間だ。勇気を振り絞って店のドアを開けて入る。
    黒いタキシードを着たスタッフのお出迎え。

    予約してある旨を告げるとスタッフは予約ノートを確認し、

    「ジャケットをお預かりします、お席へご案内いたします。こちらへどうぞ」

    英語って不思議だ。ハッキリした敬語って無いはずなのにこういう所に来ると何故か丁寧な言葉に聞こえる。スタッフの英語も細かい表現が多かったですが。

    店内はほんのり明るい感じで床も壁もピカピカ。センスのよい現代デザインの椅子やテーブル。
    両脇には巨大な写真が飾られている。ロウソクの明かりがロマンチック。
    しかし格式が高いイメージは無く、むしろちょっぴりなじみやすい雰囲気の店内です。

    テーブルマナーを必死に思い出しつつ、受け答えも慎重に行う。
    夕食食べるのにこんなに緊張するとは、これも初経験だ。

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  • 七月三日・・・③「ヘッダール野外博物館」

    ヘッダールスターヴ教会からバス停へ戻る途中、山手に登る道に野外博物館があります。
    2~300年前のテレマルク地方の木造家屋や当時の生活道具などを保存、展示した博物館ですが、観光客はスターヴ教会だけ見てさっさと車に乗りこんで帰っていく。こんな近くにあるのになんでみんな見ないんだろう?


    標識に従って道を登っていくと、少し開けた場所にオスロ野外博物館で見たような古めかしい味のある、極めてアンバランスな石積みの上に建てられた木造家屋が建ち並んでいる。

    民族衣装を着た若い女性とおばあさんの2人のスタッフがいた。
    1人20クローネでガイドツアーらしい。
    お客は僕一人、若い女性によるプライベートツアーだ。
    間違い無く採算取れなさそう。

    1700年代の民家。カラフルな1800年製の木製チェストや小さくて狭いベッド。木製の小さいベッドには子供など4~5人が寝るという。内部は木造家屋の為か、非常に涼しい。

    続いて1700年代後半のゲストハウスも見せてもらう。
    何人ものお客産で寄り集まってワイワイやる、文字通りゲストの為の建物。
    テーブルは細長く、壁に掛けられた調理器具の鍋もビッグサイズ。

    この巨大鍋はノルウェー特産の茶色いチーズ、ヤイトオストを作るためのものだそうだ。
    長いテーブルを前に椅子に座り、出来たてチーズをつまみながらワインで夜通し騒ぎまくり。
    楽しそうだし、おいしそうだ。


    更に少々奥まった所にある農家も見せてもらう。
    ここでふと足元を見ると、スタッフの女性は靴を履いておらず裸足だった。

    「靴を履いてないけど、それはノルウェーの文化ですか?」

    女性は笑って、「違う、ちょっと履き忘れただけ」
    とおっしゃる。忘れへんやろ、普通?


    ノルウェーの農家は民家やゲストハウスよりも更に狭く、小さい家屋です。
    屋根には草がボウボウに生えており、屋根でなにか栽培できるんじゃないかとも思う。内部の調度品も質素で、全然かわいらしくも無く、ただ生活を追及していっただけのようにも見える。

    暖炉に変わった形の黒いヤカン、暖炉の側で洗濯物を干す為のハンガー、小さいベッドが一台。
    隣りの小さな部屋には機織り機もある。

    2階に上がると、ちょっとした展示室になっていてお洒落なデザインのノルウェーの民族衣装が展示されています。
    およそ19世紀後半の生まれのアンネ・バムレという女性が全て作ったそうで、展示室には写真もあります。民族衣装を着た優しそうなおばあさんです。

    結婚式に着る服は現代においても充分通用するすばらしいもので、ウェディングドレスなんかよりずっと見栄えがいい。

    アンネ・バムレさんは前国王、ホーコンさんから勲章を貰ったそうで勲章の展示もあり。

    他に展示室で興味を引いたものは、1885年にヘッダールスターヴ教会前で撮られた民族衣装(当時は普段着か)を着た人達の集合写真。
    歴史を感じます。

    途中ヘッダールのパノラマポイント(スターヴ教会は見えない)を見て、倉庫を見せてもらう。
    冬になると雪が深くなるらしく、そういった場合に靴に装着して使用するノルウェー版かんじきを見せてもらう。

    鉄の輪っかに太い紐を結び上げたもので、結構な重さがある。
    他にも馬具や背負いもっこなど、日本の古民具と似たような道具がゴロゴロ。

    これで野外博物館観光はお終い。

    バス停に戻る道すがら、ふと時計を見てみるとバスの発車時刻10分オーバーしていた。

    オオゥ、ミステイク!!

    約一時間後のバスを待たなくてはならない。

    しかしこのバスは循環型バスで、ノトデンを基点にヘッダールなどをグルグル廻っているバスのはず。

    てことは必ず対向車線をバスが通るはず、バスから見落とされたらいやなので
    羽虫と戦いつつひたすらバスを待つ。

    子供がキックボードで遊んでいたりした以外は、人通りが全くない。

    やがて対抗車線をバスが通り、しばらくしてバスがやってくる。
    行きのバスと同じ運転手だった。

    バスは途中で数人のお客を乗っけてノトデンに到着。
    しかしオスロ行きバスはつい5分前に出発してしまっていた。
    また一時間、バスを待たなければならない。
    この接続の悪さたまらん。

    ノトデン市内に出て、カフェでビールとサンドイッチの少々遅めの昼食。
    ノトデンにはクワみたいな棒を担いだオッサンの銅像などはありますが、
    これといって見所は無かったと思う。

    やがてバスの時間になり、無事にオスロに戻る。
    夕方4時、中途半端な時間だ。観光も行けないな。

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  • 七月三日・・・②「ヘッダールスターヴ教会」

    幹線道路からスターヴ教会を指し示す茶色の看板の案内に沿って、広々とした麦畑の広がる道に入っていくと青い空に照らされて明るく映る、お墓に囲まれたスターヴ教会が見えてきた。

    800年の歴史とノルウェー最大の大きさをを誇るヘッダールスターヴ教会だ。既に何人かの観光者が教会の周りで見学を始めていた。

    近くに行ってスターヴ教会をジックリ眺めると、確かにゴルスターヴ教会と比べると遥かに大きい教会です。

    ゴルのように側面に回廊が取り付けられていて、外周を一周することが出来ますが龍頭の屋根飾りは無く、代わりに小さくて目立たない犬みたいな動物の頭飾りが屋根に付いています。

    高さの違う塔を三層重ねた造りになっていて、段々と塔が高くなっていくようにも見えて、教会の大きさを誇張しているようにも見える。

    ちなみに、こういった外観のスターヴ教会は今回他に出会えなかった。
    今回主に見たソグン地方と、こちらテレマルク地方とでは教会の概念が違うのかもしません。

    ちょっと開館時間には早いかな?と思っていましたが、教会の入口が開いている。中に民族衣装を着た女性がいたので

    「ハイ!」(←ノルウェーのポピュラーな挨拶、覚えておくと役に立ちます)

    と挨拶し、チケットの有無を尋ねる。

    「向かいのカフェでチケットを買ってください」

    とのことだった。この辺はロンプラの記述と一緒。木造平屋(広い)の建物がチケットオフィス兼トイレ兼お土産屋兼軽食、ケーキなどを扱うカフェ。

    カフェの敷地にはスターヴ教会付属の木造の鐘楼があり、傍らには19世紀のヘッダール教会のシスターと思われる女性と向かい合って座る一人の女性の銅像があります。説明書きが読めなかった為詳細は不明。

    他の観光客に混じってカフェに入り、チケットを購入。ちょっとおなかが減っていたけど観光優先。

    チケット片手に教会内部に入る。
    電灯は無く、入口扉を開けるだけで充分な光が入り内部を見る事が出来る。

    スタッフの女性は「わからないことがあれば質問してくれていい」
    との事だったので、遠慮なく質問をする。

    まず内部側面の壁板に描かれていたデフォルメされた鮮やかな花の壁画。
    残念ながら花の種類に関しては聞いた事がない種類だったのでわからなかったが、とりあえずは何かの花を一面に書いているようです。

    教会正面、祭壇部分を飾る壁画は12使徒を表しており、花の壁画と共に17世紀頃に描かれ、19世紀の教会の修復によって壁画も修復された、とのこと。

    同じく17世紀に描かれたとされる祭壇画が祭壇の礼拝部分を飾りますが、傍らの木製の椅子は更に古く、なんと教会創建当時に作られた椅子だそうです。

    ヴァイキング時代のサガのデザインで架空の動物の頭が背もたれの両脇から突き出していて椅子側面にもライオンのような架空の動物が生き生きと彫られている。
    背もたれ部分中央には、スカートを履いたような王もしくは神を思われる人物と、取り囲むように両脇に騎馬像が2騎。
    手を置く丸い球体や支えの柱にいたるまで独特のデザインが施されている。

    こんな素晴らしい木製の椅子を見たのは、多分産まれて初めてではないだろうか。
    国宝、いや人類の宝を前にしてただひたすら感動。


    教会を支える柱の上部には龍の翼を模した飾りが彫られている。
    ウロコを現すこけら屋根共々、教会全体がドラゴンを現している。

    あと、内部で非常に気になったのは祭壇部手前の柱に架けられた看板。
    三ケタの数字が5~6個、白く描かれている。

    とても古いものには見えなかったので、この時は特に聞かなかったけど・・・
    なんの数字か、何に使うものかなどはまだこの時は不明でした。



    色々教えてくれたスタッフにお礼を言って教会内部から出て、今度は回廊を一周してみる。入口のユグドラシルの装飾パネルはゴルスターヴ教会のそれよりも立派な造りで、見た事もない生き物がドア両脇に全身丸々立体的に彫られている。装飾パネルの両柱に鎮座する怪しげな生き物は、スターヴ教会の守護神にも見える。

    コロボックルみたいな顔で、体は動物みたいな。
    とにかく変な生き物です。

    回廊には古代ルーン文字が一ヶ所だけ彫られていて、ガラス板で保護されています。アルファベットのようでアルファベットではない、楔形文字のようでやっぱり違う。

    なんとも不思議で神秘的な文字です。
    このルーン文字の内容は今回購入した資料には扱われていなかったので不明。


    ゴルでは味わえなかった達成感と感動を、ここヘッダールでは味わえた。
    後のスターヴ教会巡礼にも大きな影響を与えてくれたスターヴ教会です。

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  • 七月三日・・・①「ヘッダールスターヴ教会への道」

    早朝5時30分にシティホテルをチェックアウト。

    中央駅へ向かい、コインロッカーにバックパックを預けて身軽になる。
    駅構内のスーパーで朝食に飲むヨーグルトとバナナ二本を購入し、長距離バスターミナルへと向かう。

    ヘッダールスターヴ教会へ行く方法は二通り。
    列車でコングスベルグへ行き、ノトデン行きバスに乗りかえてヘッダール行きバスに乗り換えるか、バスで直接ノトデンへ行き、ヘッダール行きバスに乗り換えるか。

    長距離バスターミナルからは、ノルウェーバスエキスプレスが運行するコングスベルグ乗り換えノトデン行きバスが一日数本出ていますが、タイムエキスプレッセンという別のバス会社が運行するノトデン直行バスがほぼ一時間おきに運行されています。

    僕はタイムエキスプレッセンの6時40分発のバスに乗り込んだ。
    お客は多く、バスはほぼ満員。

    都市部を離れてしまうと、ノルウェーの誇る自然がバスの車窓に飛び込んでくる。木々の生い茂る森の中にポツンポツンと建つ木造の家。
    まるで自然の中に家を間借りさせてもらっているかのようだ。

    川の流れはいたって緩やかで、水面に鏡のように傍らの山が映りこんでいる。
    本当に美しい・・・


    ほとんどの乗客はコングスベルグ駅前のバスターミナルで降りてしまう。
    コングスベルグはこの地方最大の都市のようだ。



    オスロを離れて二時間ちょっと。ようやく着いたノトデンバスターミナルで降りたのは僕を含めて三人。
    降りる際、運転手が、

    「一体ノトデンのどこへ行くのか?」

    と尋ねてきたので、

    「ヘッダールスターヴヒルケ」

    と答えると、運転手は、

    「それなら市バスを使うといい。乗り場は10番から12番までのどれかだ」

    と教えてくれる。

    運転手にお礼を言ってバスを降り、市バスの時間帯を確認する。
    11番のバスターミナルから約一時間後にヘッダールへと巡回するバスが来る様だ。平日はほぼ一時間おきに1日約6本、土日は2~3本と、グッと少なくなります。

    帰りのオスロ行きのバスも一時間おきの運行で頻発している。


    バスを待つ間、市街を見ている余裕はなさそうなので、市街地の反対側、南のテレマルク運河へとつながる川を見に行く。

    川とは名ばかりで、湖のように広々としていて静かな水面。
    人っ子一人見かけない川辺のベンチに座り、悠々一服する。


    時間が差し迫ったのでバスターミナルに戻り、しばらく待つとバスがやってくる。ヘッダールに行く事を確認しバスに乗りこむ。
    途中の村でお客二人を乗せた以外は誰も乗らなかった。

    座席にも揺れによる転倒防止用の紐が吊るされていましたが、乗ってみて納得。急カーブが多く、メチャクチャ体が傾く。

    約20分後、運転手に教えてもらってヘッダール着。
    スターヴ教会はあっちにあるぞ、と方角も教えてもらう。

    ノルウェー人は優しいなぁ。

    ヘッダールは民家がまばらにある以外はバス停しかない、ほぼ幹線道路。
    面白くないのでヘッダールスターヴ教会へと急ぐ。

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  • 七月二日・・・⑦「シーフードのディナー」

    ノルウェーといえばシーフード。

    夕食はシーフードに決める。向かったレストランはアーケシュフース城麓にあるオスロフィヨルドに面したシーフードレストラン「ソールシーデン」

    倉庫みたいな店内もテラス席も、客が一杯。
    構わず突撃、フロアスタッフと交渉。

    僕「予約してないけどいいですか?」

    スタッフは予約ノートを調べて「8時までなら良いですよ」

    僕「構いません、お願いします」


    現在時刻は六時、早メシには自信がある。

    グラス白ワインを頼んであらためて店内を見渡すと、満員の店内はカジュアルな服装のカップルもいれば、お洒落なネクタイ締めてる老夫婦まで、様々なお客で込みまくっている。

    厨房は席から丸見え状態で、シェフは全て男性でビデオ早送りのようにスピード感溢れる動きで次々料理を作っていく。フロアスタッフは全て女性。

    スタッフはメニューを持って来て口頭で説明してくれる。

    「アラカルトだけではなく、三コース、六コースの日替わりのメニューがあります。三コースのメニューは如何ですか?」

    時間のかからないメニューで、さっさと食って帰れ。
    ということか?

    しかしアラカルト、日替わりいずれのメニューも想定の範囲外のえげつない値段だった為、三コースの日替わりコースにする。

    料理待ってる間にワインが無くなる。
    ノルウェー産ワインではないのだろうが、飲みやすいおいしい白ワインです。

    前菜はスモークサーモン。
    盛り付けも美しく、油っぽくなくてうまい。

    メインの分厚いタラのグリルが最高。
    ワインがあっという間になくなってしまう。

    デザートがイチゴジュースを皿に浸したケーキ。
    イチゴがスゴイぞ。

    エスプレッソで締めてお勘定。
    味はゴージャス、しかしダイナマイトなお値段、なんと678クローネ。

    日替わりコースとワイン二杯、エスプレッソで13000円以上もする、一瞬我が目を疑う。

    今までのヨーロッパ旅行では、どんなに高価なものを食べても3~5000円くらいまでしかかからなかったのに。

    ノルウェーの物価高の恐ろしさを思い知る。


    カールヨハンス通りに戻り、コンビニなどでビールを探すがフシギな事にどこにも売っていないし見当たらない。

    仕方なくカールヨハンス通りのスコッツマンバーで沈まぬ太陽の下で行き交う人を眺めながらビールを飲む。一杯約1000円、飲むたびに財布に大ダメージが。


    物価高さえなければ、居心地最高の国なのに、惜しいなぁ。


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  • 七月二日・・・⑥「オスロ歴史博物館と国立美術館」

    オスロ大学裏手にあるオスロ歴史博物館と国立美術館。

    建物が向かい合っているにもかかわらず、入口はお互いにそっぽを向いている形になっている。おかげでお違いの入口が中途半端に遠い。向かい合う建物の中央広場にはアドバルーンのような白い展示室があり、現代美術の企画展を開催していました。(無料)

    国立美術館は後回しにして、まずは歴史博物館へ向かう。

    博物館に入って警備員のおじさんにチケットはいくらかを尋ねると、「タダだ」と返ってくる。コインロッカー用のコインをくれたので10クローネの代わりに投入口に入れて荷物を預けて見学スタート。

    先史時代に始まり、バイキング時代の武器や宝飾品の展示。
    とりわけ見応えがあったのは教会関連の展示。

    「AL」という所にあった、取り壊されたスターヴ教会の内部に描かれていた壁画の再現展示は、色彩の鮮やかさに思わずため息が漏れてしまう。

    アダムとイヴから最後の晩餐、キリスト磔刑まで、聖書の世界が空間を持て余すことなく色鮮やかに描かれており、後に見るいずれのスターヴ教会においても、これほどの状態の壁画は存在しなかった。

    他にもヘッダールのスターヴ教会に置かれていた燭台ランプやキリストを描いた板絵、取り壊されたスターヴ教会の入口を飾っていたユグドラシルを現す木製装飾パネルの数々、サガの衣装を彫りこまれた椅子等々、スターヴ教会の遺産のオンパレード。

    これからスターヴ教会を見にいこう、という僕にとっては辛抱たまらん刺激になる。

    ブックショップもヴァイキング関連やスターヴ教会関連の本のオンパレード。
    ノルウェー二日目にして重~いお土産(自分用)を担いで移動する事になる。


    時刻は午後3時、後は閉館までジックリと国立美術館を見る予定。
    国立美術館も入場料は無料、1階特別展はスペインの現代美術アーティストの前衛的な作品を展示していましたが、どうやらこちらもタダらしい。

    2階に上がると、向かい合う二人の人物の彫刻が。
    ガイドの話を心ならずも盗み聞きしてしまった。
    (だって作品見てたら勝手に喋り出したんだもん)

    「この階は右の部屋から見ようが左の部屋から行こうが、必ずこの部屋に戻ってくる。二人が別々に見学してもこの部屋で再び再会できます。この部屋にふさわしい彫刻ですね。」

    ということらしい。
    なるほど、面白い展示です。


    僕は右から見学をし、ノルウェーの大自然の風景を描いたノルウェーの画家の作品から見学。スタルハイム渓谷を描いた絵もあればフィヨルドを描いた絵もあります。しかしいずれも耳にかすりもしない画家ばかり。

    ノルウェーで最高の知名度を誇る画家といえば、やっぱりムンク。

    ムンクの初期から晩年までの代表作を展示した部屋が一部屋あり、ここにはツアー客から個人客まで満員御礼状態です。

    僕はノルウェーに来るまで一度もムンクの作品を見た事が無かった。「叫び」は写真などで見た事はありましたが、他の作品となると全く知らなかった。実際に見てみての感想は、、、

    「あまり好きな絵画ではない」

    正直に書くと、こういう感想です。


    コローの描いた風景画をボケーッと眺めるのが好きな僕にとって、ムンクの暗い色彩の絵はちょっと重たかった。

    代表作、マドンナもあまり好きな構図ではなかった。


    ただ、「叫び」だけは別格でした。

    歪めた空間にコミカルな叫びのポーズ、生々しく叫び声が聞こえてくるような絵です。いろんな美術館へ行き一級品の絵画を見てきましたが、こんなタイプの絵は初めて見た。ピカソのゲルニカやダヴィンチのモナリザに匹敵する人類の遺産ともいうべき絵画です。

    本物はやっぱり違うな、と一人で感動。

    後はピカソやらエルグレコやらがチマチマと展示されている。
    この美術館、規模が大きいとは言い難いと思う。

    が、そのうち見学者がいなくなり、ラッキーと思いながら鑑賞中にスタッフに呼びとめられる。

    「申し訳ありませんが、もう閉館の時間です」

    は?なんですって??

    時計を見ると既に夕方五時。

    最低、中途半端に展示を見れてないし、まだ図録も買ってなかったのに!
    おとなしく美術館を出る。

    これで僕のオスロ1日観光はお終い。
    せめてもう1日欲しかったなぁ。


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  • 七月二日・・・⑤「ビグドイ地区、コンチキ号博物館」

    小、中、高校の学生時代の夏休みの宿題に毎年、用紙数枚書かされた読書感想文。

    おかげさまで今では読書そのものが大嫌いになり、今もって文学と呼ばれるものには全く持って興味ありません。

    そんな読書感想文の為に読まざるを得なかった本の中でも、ヘイエルダールの「コンチキ号漂流記」は数少ない面白く読めた本です。

    バルサの丸太を組みあげた筏、コンチキ号で南米から漂流しポリネシア諸島まで辿りついた冒険は、ワクワクドキドキのシーンの連続で小学生だった僕にとっては冒険心と探求心を掻き立てるものでした。

    その小学生時代に呼んだ本の世界が、このコンチキ号博物館に展示されています。本を読んでいた頃の自分を考えれば、今この場に自分がいること自体がなにやら因縁めいたものを感じますし、おとぎ話が現実になったかのような感覚になる。

    展示はパピルス材の筏、ラーⅡ世号とイースター島のモアイが2つ。
    ヘイエルダールの冒険の軌跡や当時のことを扱った新聞の紹介。
    そしてコンチキ号。

    子供時代の読み物の世界だったコンチキ号を前に、ただひたすら立ちつくす。
    そして読み物からは想像できなかった、その筏の大きさにただひたすら見惚れてしまう。


    館内はヴァイキング船博物館に劣らぬ込み具合で、冒険好きな人が多いことがわかる。

    このあと海洋博物館も見る予定でしたが、民族博物館で予定時間を大きくオーバーしてしまった為に諦め、ビグドイの埠頭でフェリーに乗り、市庁舎広場に戻ることにする。

    あぁ、アムンゼンに関する展示も見たかったなぁ。
    早足で歴史博物館へ向かう。

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  • 七月二日・・・④「ビグドイ地区、ヴァイキング船博物館」

    民族博物館前のバス停にナイスタイミングでバスがやってくる。ビグドイ地区の五つの博物館をまわるバスで、これに乗ってヴァイキング船博物館へ向かう。

    ノルウェーといえば、やっぱりヴァイキング。

    胴長短足で赤いもっさりした下品なヒゲ、斧にツノ兜という勝手なイメージがありましたがね。

    ヴァイキング時代は意外なほど短く、およそ1000年前の200年足らずに過ぎません。彼らの主な活動目的は交易、そしてよく知られる略奪です。
    農耕季節以外の出稼ぎ感覚で交易もしくは略奪に行っていたようで、
    卓越した航海術と造船技術で、


    「ちょっと出稼ぎにカツアゲに行って来るで」

    みたいなノリで殺戮や略奪に行っていたのかは不明

    デンマーク、スウェーデンにもヴァイキングはいたそうですが、ノルウェーのヴァイキングは行動範囲が桁違いで、遠く地中海のイタリアの都市、ピサにまで出没していたという。

    ノルウェーヴァイキング、赤毛のエリックはアイスランドからグリーンランドへ到達。息子のレイフはグリーンランドから、コロンブスのアメリカ大陸発見500年前にアメリカ大陸へ往復したという。

    歴史の教科書を書きなおす必要がありますな。

    アムンゼンやヘイエルダールなどの偉大な冒険家がノルウェー出身なのも、ヴァイキング達の土壌があったためかもしれません。

    そんな凄いヴァイキングの子孫である現在のノルウェー人は粗野でも短気でもなく、いたって穏やかでおとなしい人達です。人間変われば変わるものなのかな?


    ヴァイキング船博物館ではバイキング時代のお墓から出土したオーセベルグ、ゴクスタ、テューネの3隻のヴァイキング達の使用した船が保存、展示されています。

    博物館は観光客でごったがえしています。

    縦横に見事な曲線美を誇るオーセベルグ号。
    別に美しさを狙ってのものではなく、航海に適した形を突き詰めていけばこういう形になった、というみたいですが。スターヴ教会とは違えど、龍頭の飾りがえもいわれぬ美しさを演出している。

    船体横には櫂で漕ぐ為の穴が無数にあり、櫂を出した姿を上から想像するとゴキブリにも見えるだろう。色合いが拍車をかけてる。

    船体の曲線。
    現代の造船技術においてもヴァイキング船は遠洋航海用の船に最も適した形をしているとのこと。古代の海の男達の技術にひたすら魅入ってしまう。

    ゴクスタ号はオーセベルグ号より少々小型で、オーセベルグ号ほど美しくも無いですが、保存状態は良好。テューネ号の方は原型を留めておらず保存状態もよくない。

    かつての出土地のヴァイキングのお墓から発掘された副葬品の展示もされており、黄金細工などもありますが、やはり特に木工彫刻品が素晴らしいです。

    観光客が多いわけがわかりました。
    ヴァイキングの底力に触れられる博物館です。

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  • 七月二日・・・③「ビグドイ地区、民族博物館」

    市庁舎広場の港から出ているフェリーボートはビグドイ地区行き。
    面白そうな5つのノルウェーに関するテーマの博物館がある地域です。

    ドロンニンゲンで下船し、僕のオスロ観光最大の目的である民族博物館へ徒歩で向かう。ノルウェー各地の古い建物を保存し、民俗学などを紹介する野外博物館で、ゴルから移籍されたスターヴ教会があることで知られています。

    ドロンニンゲンから道なりに歩いて15分。
    他の観光客もいるため迷わない、と思っていたら皆さんヴァイキング船博物館の方がお目当てのようで民族博物館ヘ行く道に曲がったのは僕を含めて五人。

    民族博物館に入り、まずはエキシビジョンと書かれた屋内展示を見学。
    コインロッカーに荷物を預け、まずは片翼の写真展。

    しかし一体何がテーマの写真か、理解が出来ず。
    写真は難しい世界だ。見る限りではノルウェーの自然をテーマにしたものだと思いますがね。

    もう片翼がノルウェーの民族衣装や木製の見事な家具類、果ては棺まで展示されている民俗学の展示。

    ノルウェーの民族衣装は黒を基調としていて、独特の意匠のアクセサリーで飾った服で、お洒落です。

    野外展示はノルウェー各地の古い家屋の展示であり、民族衣装を着たスタッフが畑作業をしたり、豚や馬などを飼育していたり生活感溢れる演出の展示となっています。

    展示されているノルウェーの家屋は全て木造の為、人がある程度生活していかないと傷んでしまうという演出以外の理由もあるのかもしれません。

    木の柱を直接地面に立てると、そこから腐食してしまう為、必ず石を組み上げた土台の上に立てています。ただ、古い民家は組みあげたというより、積み上げたという感じの土台の作り方で積み木のように積まれた石の上に家屋を支える柱が立つ姿は見ていて危なっかしいアンバランス。

    地震が起これば倒壊間違い無し。
    ノルウェーに地震はないのかもしれないけど。

    半分くらい建物を周っていて気づく。
    想像以上におもろいぞ、ここ。

    ふと時計を見るとここの見学に予定していた1時間を大きくオーバー。
    他の展示を諦め、ゴルスターヴ教会を急ぎ足で見に行く。

    ゴルという村にあったスターヴ教会をこの地に移設したもので、現在では一番訪れやすいスターヴ教会です。

    龍が火を吹いているような龍頭の飾りが屋根につけられている。
    龍のウロコを表すと言われるこけら屋根の一枚一枚にいたるまで全て木製。

    内部は薄暗く、木の香りが心地よい。
    入口のパネルや内部の装飾も見事。

    スターヴ教会自体も木造の弱点のひとつ、「腐食に弱い」という欠点があります。この教会もまた石を組み上げた土台の上に築かれており、失われたスターヴ教会の中には石の土台の上に築かなかった為に地面から腐食した教会もあります。

    とはいえ雨も降るし、敵は地面だけではない。

    現在も定期的に屋根にタールが塗られていて腐食を防いでいるそうで、屋根からタールの雫が固まり落ちているのが見られます。屋根の継ぎ目には雨どいのような水の通り道もあり、古代の建築技法にひたすら驚嘆。


    スターヴのもうひとつの弱点は「火に弱い」ということ。

    電気なんて無かった昔は火で明かりをとっていたであろうし、ロウソクが倒れれば大惨事。落雷を浴びれば一瞬で焼失するし放火によって近年失われた教会もあります。

    スターヴ教会がここ1000年足らずのうちに急速に失われていったのは宗教改革だけが理由ではなく、保存にかかるこういった手間が石の教会にとって変わられた理由でしょう。

    そういった意味でも、今もって現存しているスターヴ教会は取り壊しや破壊を免れた貴重な存在です。

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  • 七月二日・・・②「モノリスと北欧神話、ムンクの人生」

    市庁舎広場からトラムに乗ってフログネル公園に向かう。
    オスロのトラムは到着駅の表示が電光掲示板で書かれて、凄くわかりやすい。

    フログネルパルケン駅下車、目の前に広くて立派な緑生い茂る公園が。

    この公園はノルウェーの彫刻家、ヴィーゲランが企画、設計した彫刻公園で
    テーマは「人生、人間の一生」だそうです。

    公園の遥か奥の高台にこの公園の象徴とも言うべきモノリスが立っているのが見える。早速モノリスに向かって歩き出し、大きな橋にかかると、橋の左右のヴィーゲランの彫刻群がお出迎え。

    その中にあって一際目立つ「怒りんぼう」の像。
    オスロのマスコット的な、かわいい存在です。

    人体の表現に重きを置いたようなポーズがほとんどで、顔は無表情のヴィーゲランの彫刻において、この像だけは顔をクシャクシャにしてハッキリと表情を持っています。

    ただ、僕には怒っているというよりも、つま先をたんすの角にぶつけて痛がっているように見えましたけど。

    他にも一本背負いみたいなポーズなど、ユニークな彫刻が見られます。


    橋を過ぎると六人の男が中央で支える巨大な噴水。
    周りの彫刻は人間の誕生から最後の時までを表現しているそうです。
    ハイライトに持って来ても良いくらいの迫力の噴水です。

    ウーム・・・ダイナミック!!

    噴水の奥、階段を登った高台に121人の人柱、「モノリス」がそびえ立ちます。


    121人・・・誰が数えたんだろうか?
    数えた人はヒマやね。

    老若男女が絡み合い、一つの塔になっている。
    死を恐れてひとつに集まっているのか、それとも人間の一生を一つの塔として表現したものだろうか。


    「人間の一生」というテーマにふさわしい塔だと思う。

    しかし今日は晴れていてよかった。
    噴水は虹が架かっていて、ジョギングする人や芝生の上で寝ている人がいて静かな上にとても気持ちいい。

    バスでやってくるツアー客が増えてきて、にわかに騒がしくなってきたので
    公園を出てトラムで市庁舎広場に戻り、市庁舎を観光。

    入口は広場の反対側にあります。

    市庁舎入口には北欧神話を描いた彩色木彫りがあります。

    今回のスターヴ教会見学の為、少しだけ北欧神話をかじってきたので興味のあるものを見学。スターヴ教会にも北欧神話を取り入れた意匠があり、ウルネス様式と呼ばれる装飾パネルなどが有名です。

    入口に向かって右側、こちらに最高神オーディンと共に世界樹ユグドラシルにまつわる木彫りがあります。


    ユグドラシルは根っこから枝までの上下に渡り、人間の世界や妖精の世界、巨人の世界などを支える木で、その根っこを大蛇ニードヘッグがかじり、四頭の鹿はただひたすらに葉を食べまくる。枝には物知りの鷲、フレスベルグがいるという。

    市庁舎では、このうち鹿と鷲の木彫りが見られます。
    ただ、鹿はどうみても3頭しかいない。。。

    なんでだろう???


    ノーベル平和賞の受賞が行われる市庁舎のホールを見るのはタダです。
    ヨーロッパ最大という油彩壁画が壁一面を飾ります、スゴイ。


    ただホールより先に進む為には、40クローネのシールタイプのチケットを購入しなければなりません。

    ガイドツアーが先行して内部見学をしていましたが、後から来る人達はだれも入ろうとしない。チケット代が高いからか?

    ここまで来て800円をケチれるか!

    という事で、僕はチケットを購入し入場。

    ホールから2階に上がり、ムンクの人生を鑑賞。

    ムンクの作品を生で見るのはこれが初めて。
    ついでに言うと「叫び」以外の作品を見るのも初めて。

    「叫び」とは違い、黄色など明るい色を多用した絵画です。
    どちらかというと色彩は、ゴッホよりマティスに近いように見えました。

    しかし、、、正直に言ってしまうと、

    「思ったよりの感動はなかった」

    というのが感想。
    ムンクはこれ一作しか見ていないのでこの時はなんとも言えませんでしたが、ひょっとするとムンクは僕の好きなタイプの画家ではないのかもしれない。

    市庁舎には小さな会議場や世界各国からのプレゼントを陳列した部屋もあります。タージマハールの模型や日本人形まであります。

    あと絵画の織り込まれた壁掛けなどは見事です。

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    退会ユーザ @*******
    06/07/23 11:34

    ヴィーゲランの公園

    あの公園は面白かったですね。
    よくわからないけど、まぁ、一応、行っておこうかという感じで行ってみたのですが、あの彫刻群には圧倒されました。すごく楽しかったです。

    オスロのマスコット的な存在になっているんですね、オスロ空港内には「おこりんぼう」のスクリーンが掲げられていました。

    ちょうど今、目指せ100ケ国さんが先日のノルウェー旅行の写真が掲載されているのに触発され、昨日、公園での一ショットをトラベルフォトコーナーに投稿しました。(ので、気を付けて見ておいてくださいね。)
    歩き方にヴィーゲラン公園と出ていたのでそのまま出しましたが、フログネル公園っていうんでしたかね?

    札幌芸術の森野外美術館に5体ほどヴィーゲランの作品があるようですよ。

    http://www.welcome.city.sapporo.jp/feature/artpark/art_list.html

  • 七月二日・・・①「王宮とオスロフィヨルド」

    チェックイン時に申し込んだ朝食。

    チーズ、サラミ、胡瓜とトマト、ジュース、そして山盛りのパンとシリアル。
    ユースホステルの朝食に毛が生えた程度・・・期待していたスモークサーモンみたいのは当然無し。
    宿泊料金別で50クローネの価値あるのか?

    コーヒーは自販機タイプで別料金、というのも納得いかないし。
    でも今日は昼食を食べる予定が無いので、とりあえず食べておく。


    朝七時前から早速オスロ1日観光、本日は晴天なり。
    まずはオスロの目抜き通り、カールヨハンス通りを真っ直ぐ歩き
    王宮を見に行く。

    早朝のカールヨハンス通りは人通りも少なく、涼しい風が通りぬけて気持ちいい。オスロ大学前のムンク像やオスロ聖堂の外観などを見物。
    なんだかコンビニのセブンイレブンを数多くみかけました。
    日本のとは販売しているものが随分違うようでしたが。

    ノルウェーについて調べていてわかったことですが、ノルウェーの夏は日中の日照時間はやたらと長く、日の出も早いし日の入りも遅い。なのに観光地の開館時間はすごく短い。

    朝十時から夕方五時位の観光名所が多く、夜開いている観光地はほとんどない。

    お国柄なのだろうか、それとも旅行者があまり来ない国なのだろうか?
    いち旅行者の僕としては「もっと働け」って思うのですがね。

    朝の時間帯で見られる名所の一つが王宮。
    国旗が立っていないので国王は不在なのだろうか。


    広々とした砂利の広場の背後に建つ王宮は、バッキンガム宮殿やヴェルサイユ宮殿などとは比べ物にならないくらい、地味な色で質素造りの建物です。

    おまけに柵のような物は無く、驚くほど近くに近づけるし。
    衛兵は2人、こんな警備で大丈夫なのだろうか?

    オープンな性格の、ノルウェー人の一面が垣間見えたような気がする。
    しかし、広場の巨大銅像(騎馬人物像)に登ろって写真を撮ろうとしている人は、さすがに衛兵に怒られていました。

    オープンといっても限度ありですなぁ。


    オスロの街はノルウェーの首都の割にさほど広い都市ではなく、高いビルなどもあまり無い為、地図とにらめっこする必要性があまりない。

    緑の公園も多く、道路も広いし交通渋滞も見かけなかった。
    物価高を除けば非常に住みやすそうな、理想の首都だと思う。

    王宮から徒歩で市庁舎の方へ歩き、オスロフィヨルドを見に行く。

    ヨットやクルーザーなどの船が多数停泊するオスロフィヨルド。
    ただ、絶景のフィヨルドというよりは「静かな湾」といった感じの穏やかな海です。ここから夏季はビグドイ行きのボートも出ます。

    市庁舎広場からフィヨルドを眺めると、左手にアーケシュフース城。
    右手にはお洒落な近代建築が並ぶレストラン、ショッピング街。

    ここでは一枚のパノラマ絵画が書けそう。
    朝は人影も少なく、ボーッとするにはよさげな場所でした。

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  • 七月一日・・・①「オスロ着」

    日本ではジメジメした梅雨の真っ只中、日本がコテンパンにやられても熱気冷めやらぬW杯の真っ最中に僕はノルウェーに行った。

    旅行二週間前に風邪をこじらせて、咳が止まらないまま行った為
    体調はあんまりよろしくなかった。

    W杯中は旅行に行く人も減るだろうと見ていましたけど、予想に反してアムステルダム経由オスロ行きの飛行機はほぼ満員。でもオスロに行く日本人はほとんどいなかった模様で。

    日本からはるばる到着したオスロのガーデモーエン空港。
    比較的新しく建てられた空港、という事で綺麗な空港を期待していましたが
    空港に降り立ってみてビックリ。

    電気がほとんどついておらず、空港内は薄暗い。
    夜10時を過ぎていても日本でいう夕方ぐらいの薄暗いオスロの空模様そのままのような空港に、大きく肩透かしを食らってしまった。

    荷物を受け取るターンテーブルの前に何故か免税店があり、そこだけ煌煌と明かりが灯っている異様な光景。なんで入国の所にこんな大きな免税店が??

    しかもさすがノルウェー、特に安くないし。

    到着ロビーに出ても、開いてる店が少なく薄暗い。
    やはり時間が遅い為だろうか?

    エアポートバスでオスロ市内へ出ようとするも、バス乗り場が六つくらいありどのバスがどこに行くのかさっぱりわからん。

    適当なバスに入って運転手に尋ねると、右端手前のバスがそうだ、と教えてくれる。

    早速バスに乗り込み切符を購入。

    オスロ長距離バスターミナルまでで120クローネ。

    1クローネ=約20円だから一人2400円もする。
    30~40分ほどの距離なのに。。。

    長距離バスターミナルと中央駅(鉄道)は歩道橋でつながっており、簡単にアクセスできます。

    現在時刻は夜11時半、沈みそうで沈まぬ太陽の為薄暗い駅前と、目抜き通りのカールヨハンス通り。危なそうな若者達が集団でたむろし、道はポイ捨てタバコで吸殻だらけ。

    もっと安全で美しい国を思い描いていましたがね。

    僕のオスロでの滞在先は中央駅近くの「シティホテル」
    予算を考えるとYHの方がよかったのですが、駅の近くというゆずれない希望を、となるとこのホテル位しかなかった。

    しかしホテル入口のの自動ドアが無反応。
    横にインターホンを発見、押そうとすると扉が開いた。
    上部に監視カメラがあり、そこから見られていたらしい。

    トイレ・シャワー共同のテレビ付きシングル1泊440クローネ。
    朝食は1食50クローネもする。

    いいもの出るかな?と期待し翌日のみ朝食を朝六時からお願いする。

    明日はオスロ1日観光の予定。
    後々の旅程がつらくなるので、サッサと寝て風邪を治さねば・・・

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    退会ユーザ @*******
    06/07/18 18:25

    オスロのホテル

    こんにちは。

    スターヴ教会を主にしたレポート、興味深く拝見しています。

    オスロでシアンズさんがいらっしゃったところと私の行ったところと、かなりだぶっているのは当然の事とは思いますが、ホテルまで同じでした。シアンズさんのチェック・インの前日に私はチェック・アウトでしたが。

    入口のところはカメラでチェックされていましたね。フィレンツェで宿泊したペンションがこういうインターフォンで対応して開けてくれるところだったので、思い出して名前を言ってましたが、ここでは宿泊客である事を告げれば開けてくれるようでした。

    やはり、知らないところのホテルを事前に決めるのは難しく、微妙に自分の感覚とは違ってしまう事がありますね。オスロCityホテルは私もいまいちの感想でした。

    わりと便利なところにあり、ホテル内の衛生面などには問題はなかったのですが、部屋がちょっと監獄を思わせるような、というと大袈裟だけど、狭いし、窓からの景色が内側向きで良くなかったのです。

    まず、中のテラス(?)を挟んでちょうど向かいの部屋に使わない椅子が積み上げられているのがもろに目に入り、興ざめ。向かいの部屋にカーテンを引いていれば済むことなのに、自分の部屋の方にカーテンをしなくてはならず、ホテルにしてこの無神経さだけは理解不能でした。

    それから、シャワーのところの液体石鹸が切れてて、次には入っているだろうと思ったのですが、三泊中、切れっぱなし。ちょっと身を乗り出せば洗面のところの液体石鹸は使えましたけど。

    これらの事はちょっと言えば解決する事かと思いますが、あんまりそういう労力を払うのも面倒なんですよね...(皆がこういう宿泊客ばかりということなのでしょうか? )

    こういう感じのシャワー、トイレ共同の部屋は今まで経験なかったですが、別に悪くはないと思いました。シャワー&トイレがない分、部屋がより広いと言うこともあるようですし。

    あと、部屋の洗面の上の鏡の位置が高かったですねー。まっすぐ立って見ると顎から上しか映らなかった。

    慣れて来ると、観光帰りなどにフロアー角にある応接室のようなところに寄ってしばらくゆっくりしていました。ここは外に面していて明るく、大きな革製のソファ・セットがあります。古かったですけどね。
    新しいワイドTVも置いてあって天気予報を見たり。(天気予報はたまたま。見たくても、ノルウェーは?あんまり天気予報はやってなかったように思います。)
    共同の居間にはニ度ほど寄りましたが、他には誰もいなくて良かったです。

    そういえば、一度、たまたま見かけたメイドさん?に言って直接バスタオル交換してもらいました、言わないと替えてもらえないような気がして。
    あと、チェック・アウト時に、出すのが間に合わなかった絵葉書をフロントに頼んだり。絵葉書はちゃんと届いてましたよ。

    朝食はあのクラスにしてはあんなものだと思います。そういった意味で、私は特に不満はありませんでした。何階だったでしょうか?、朝食の部屋やは明るくて綺麗でしたし、通りを見ながら過ごせましたからね。フロント(が)から見えるのでちょっと落ち着かない感じではありましたかね。
    コーヒーサーバーの件も、最初、戸惑っていたら誰かが押すボタンを教えてくれて、あとは自由に飲めましたよ。

    駅近くと言えばThon Hotelがあります。以前発行された歩き方ガイド・ブックにはRainbow Hotel Operaと出ているところです。現地で見てみると、これは駅の南側に隣接していてCity Hotelよりも駅には近いです。

    実はここは、往きの飛行機で隣になった人が宿泊すると言ってたホテルで、ひとり海外が初めてで、HISに見繕ってもらったとのことでした。予算を多少アップして(?)、こちらにしていればもう少し違った印象になったかもしれませんね。

    ホテルの部屋がいや(?)だと自ずと外にでたくなりますので、そういった意味で、観光重視にはそう悪くないホテルだと言えましたね。
    なんか、レビューに書く事みたいになってしまいました。

    ええっと、日程を見てみると六日七日は私もベルゲン泊でしたよ。

    長々とおじゃましました。(自分のレポートで書けと言われそうな..)
    今一度、駱駝さんの、ホテルに関する部分を読み直しましたが、付け込む(?)隙がないほど周到に書かれていることがわかりました。よろしければ、また遊びに来ますが。

  • 旅行の写真

    普段は旅行において写真を撮らない主義ですが、自分用に取ったスターヴ教会の写真を公開します。

    旅行記を書き記す時の為の参考に撮ったり、防犯用に持ち歩いているカメラですけど観光地においては普段はまず撮りません。

    今回はスターヴ教会に苦労して辿りついた感動と、フィヨルドの織り成す圧巻の絶景に、ついついカメラを持つ手が動きまくってしまったのもまた事実。

    今はスターヴ教会だけですが、時間があれば少しずつ写真を増やしていくかもしれません。

    「木造教会って何?」

    という方は、一度ご覧になってみてください。

    http://photos.yahoo.co.jp/ph/luotou2002/lst?.dir=/b6ea

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    退会ユーザ @*******
    06/07/11 20:11

    Re: 旅行の写真

    駱駝シァンズさん、こんにちは。

    お写真拝見しました。
    すてきですね............詳しいご報告ありがとうございます。
    いつか駱駝シァンズさんの情報を役立てることができる日が来ることを、願っていますが.....。

    いつも周到に準備されて、とても目的意識のはっきりした旅をされますね。
    見習いたいです。

    それにしても、独特の形ですね。
    このような北の果てともいっていい地に、こんな教会を建てた人たちがいたのですね。



  • 参考にしたガイドブック

    「地球の歩き方」

    オスロとベルゲンでは役に立ちましたが、スターヴ教会へのアクセス方法は全くといっても過言ではないくらい掲載されていません。

    ちなみに

    「ウルネススターヴ教会へはラールダールからフェリーで・・・」

    という記述がありましたが、今回調べた限りではラールダール~ウルネスのフェリーは存在しませんでした。



    「JTBワールドガイド」

    主にレストラン情報を参考にしました。最高級レストラン「バガテッレ」などの情報はここから得ました。それ以外は特に役に立ったことは無かったと思う。。。



    「村上よしゆきさんのノルウェー・フィヨルドの旅」

    地球の歩き方、ノルウェーの項を執筆された事もある村上よしゆきさんのガイドブックです。北方の街や氷河についても書かれていますが、フィヨルド方面の小さな街の情報やオーロラやヴァイキング、ノルウェーの言葉や習慣、食べ物に関する面白いウンチク、スターヴ教会に関するコラムも載っている貴重な本です。

    ノルウェーに行く前に1度読んでみると、より深くノルウェーを楽しめます。

    ノルウェーを知り尽くした村上よしゆきさんならではの一冊です。
    情報がちと古いのが珠にキズでしょうか。



    「ロンリープラネット・ノルウェー」

    見るもおぞましい英語版です。
    正直英語なんて見るのもイヤ。ほとんど読めませんしね。

    ヘッダールへのアクセスやソグン地方のスターヴ教会情報が載っている貴重な本ですが、用済みとなったベルゲンでは荷物軽減の為、捨ててきました。


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  • ノルウェー旅行プロジェクト

    スターヴ教会が集まっているのは主にノルウェー南部、テレマルク地方とソグネフィヨルドのあるソグン地方です。

    世界遺産、ウルネススターヴ教会があるのはソグン地方で今回はこちらを旅行しました。どうせなら名高いソグネフィヨルドも見てみたかったので、スターヴ教会を周りながらフィヨルド観光も行っちゃおう、という訳です。

    しかしこの地方はナットシェルというソグネフィヨルドお決まりのコースで旅行し、オスロ、またはベルゲンへ一日~二日で抜けてしまう方が多く、この地に散在するスターヴ教会へのバス及びフェリーの一日の本数は非常に少なく、また極端に接続が悪いという旅行者泣かせの地域です。

    ノルウェーは宿泊費も高くつくため、この地方を旅行する旅行者はキャンピングカーなどの車を使っての移動が主であり、車もバイクも乗れない僕みたいな旅行者にとっては、この本数の少ない地元用の交通手段を使って旅行するしかありません。


    計画を立て始めて、早速ルート組み立てに行き詰まりを感じましたが、

    「ルートインフォ」

    というサイトを発見し、飛躍的にルート組み立てが早くなりました。

    これはノルウェーバスエキスプレス以外が運行している、ソグネフィヨルド方面の地元用バス、フェリーの時刻表を芋ヅル式に調べられる素晴らしいサイトです。

    サイト一例↓

    http://www.ruteinfo.net/ruter/r/23-528.htm

    このサイトを元に僕が立てたルートは、


    一日目
    オスロ泊

    二日目
    オスロ一日観光

    三日目
    オスロ→ヘッダールスターヴ教会一日観光→ミュールダール行き夜行列車泊

    四日目
    フロム鉄道→フロム→グドヴァンゲン→カウパンゲルスターヴ教会→ソグンダール泊

    五日目
    ソグンダール→ウルネススターヴ教会→ボルグンスターヴ教会→ソグンダール泊

    六日目
    ソグンダール→バレストラン→ヴァングスネス→ホッペルスタッドスターヴ教会→ベルゲン泊

    七日目
    ベルゲン半日観光→ファントフトスターヴ教会→ファナフォークロアショー→ベルゲン泊

    八日目
    ベルゲン→アムステルダム経由で関空へ

    九日目
    日本へ帰国


    今回はちょっとしたアクシデントや勘違いもありましたが、なんとか予定通りに行動が出来ました。

    ノルウェーでは移動代も高額です。
    しかし僕の旅程ではバスのフリーパスを購入するほどのものでもなかったと思っています。

    そもそもパス自体が四万円以上と非常に高価ですのでじっくり考えてください。


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  • 06/07/09 19:42

    Re: ノルウェーにて

    駱駝シァンズさん、こんばんは。

    このレポートで、
    すでにノルウェーに行きたくなってしまいました。

    ぜひぜひ、続きのレポートをお願いします。
    楽しみに待っています。

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    ありがとうございます

    温かいお言葉、ありがとうございます。
    時間を見つけて、少しずつ旅行記を書こうと思っています。

    旅行記は遅々として進まないかもしれませんけど、時々でも覗いてみてください。

    実際、スターヴ教会に来られていた観光客は欧米からのツアー、もしくは欧米の個人旅行者ばかりで、日本人旅行者にはほとんど知られていないのが現状でしょう。

    これから観光地としての評価が上がっていく教会だと思います。
    あまり人が訪れて、あの美しい景観が失われるのは複雑ですけど、是非多くの皆さんに知ってもらいたいノルウェーの遺産です。


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