JCBも頑張っているようです・・・2

●接客窓口はおおいなるメリット●

 ところでSと編集Tは、パリにプラザが開いて間もない頃、それぞれ立ち
寄った経験があるのだった。が、「新聞だけ、読みに入ったよなあ。不純な
動機!」「私もお茶と地図もらうだけの目的で」……。それなりの場所を確
保し、スタッフを常駐させるには当たり前だがコストがかかる。プラザのよ
うな拠点を設けるカード会社のメリットってなんなのだろう?
「まずは当然ながら、海外で直接、時差などを気にせず接客ができることで
す」と、松下さん。「ご予約いただいたチケットの手渡しなど、やはり有人
サービスの安心感は代え難い。ただ、私どもとしてもっともありがたいのは、
お客様のニーズを直接吸い上げることができる、という点なんです」
 ダイレクトな接客により、会員がいま、なにを望んでいるのかがすぐわか
る。ニーズは東京にフィードバックされ、サービスとして開発される。お客
の間で話題のプチホテルや人気のレストランが、まだJCBの加盟店になっ
ていないのなら、営業部隊に伝えて攻めてもらう。「銀行などとの提携によ
って、加盟店が新たにまとまって増えるケースもあるんです。が、個別には
どういうところがよくてだめなのか。マスで加盟店数が増えたらいいという
だけでなく、日本人がカードを使いたいところをきめ細かく見ていないと。
そこが、日本のカード会社である私たちの強みだと思っています」。


●朝9時前から、もう待ってらっしゃるんです●

 それでは、ホノルル駐在員だった阿部さんの例を通じて、JCBプラザの
お仕事を実際に追ってみよう。
 駐在員は通常、JCBインターナショナルで採用された現地スタッフと一
緒に働く。「ハワイの場合、接客を週4日続けて3日休み、というシフトで
す。営業時間が長いので、早番が9:00~17:30、遅番を11:30~20:00、1日
フルで勤務、と勤務体制を分けてシフトを組んでいました」。
 阿部さんは、毎朝必ず8:15に出勤する。東京から届くメールやファクスを
チェックし、「無料でお出しするコナコーヒーをインスタントではなくわか
しているので、十分に作って、ハワイはお子様が多いので缶ジュースも切れ
ないよう揃えて、9:00に万全な状態でオープンできるようにします」。
 9:00前にはもう、お客様がプラザの前で待っている。「ホノルル便って到
着が早いじゃないですか。私どもでは貴重品を除き、その日の営業時間内に
取りに来ていただけるならお荷物をお預かりしています。個人旅行の方は、
うちへまず来て、荷物を置いて、そのまま観光に出たい、というご要望があ
りますので」。
 それから、ひっきりなしに訪れる客に応対する。3交代くらいで昼食に出
て、また接客が続く。「私の場合はプラザのすぐ裏手が家でしたので、帰宅
して食べたりしてました。レストランに不自由することはまあ、ホノルルの
場合ないですけどねえ(笑)」。


●あの店、この店、取材、取材、また取材●

 駐在員である阿部さんの仕事は、接客だけではない。各プラザが毎週情報
を発信する「現地最新情報」(ホームページ上で公開)。ここに載せる現地
情報を集めるために、時間を見つけては街に飛び出す。「私たち“視察”と
呼んでるんですけど、これがなかなか大変でして」。話題のレストランを軒
並み食べ歩く。エステなら体験取材のハシゴをする。「週に1回締め切りが
来るので、休みの日に原稿を書いて間に合わせたりしてました」。
 何度も足を運び、納得のいくところだけを選んで紹介する。「レストラン
では、注文から料理が出るまでのタイミング、サービスのきめ細かさなど、
かなり細かいところまでチェックします。どれほど注目を集めていても、や
はり自分が自信を持っておすすめできないと」。雑誌の切り抜きなどを手に
「ぜひここへ」とリクエストされても、自分ですでに行ってみて、あまりに
もお客の期待と違うときは、率直に伝えるようにしていた、とも言う。

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    ●サムライカード気質?●

    「プラザのスタッフは世界じゅう、そうですよ」と、松下さんが言う。「み
    んな、とにかくよく動いている。足で情報を取ってくるって感じです」
     やっぱり社風ってあるのか? とつい、横入りしたくなるS。『サムライ
    カード、世界へ』(湯谷昇羊著・文春新書)を読んでいたからだ。
     約20年前、「無謀もいいとこ」「ドン・キホーテに終わるだけ」などと業
    界の冷風を受けながら、JCBが日本のカード会社として初めて、独自の海
    外展開を決断した頃のドキュメントなのだが、読むとこれがもう、とんでも
    なくって(失礼)!――「頼むから加盟店になってくれ。今日一日でもいい」
    とか、「英語力ゼロで出張を命ぜられ、英文で書いてもらった(加盟店契約
    の)お願い文をいきなり店頭で読み上げた」――などといった、地を這い、
    恥をさらす(失礼)飛び込み営業活動の数々に、抱腹(失礼)しつつも、お
    お、とうならされた。
    「ははは、いまでこそ、海外で使っていただける環境が整いましたが、先輩
    方は本当に大変だったようです。私は89年入社で最初は国内営業でしたが、
    思い出せばずいぶん泥臭いやり方、してましたよね」
     加盟店も情報も、1軒ずつ足で稼ぐ。その気質が活きた結果か、同社では、
    「海外とっておき予約サービス」を実施している。旅行に発つ前に、現地オ
    プショナルツアーやレストラン、コンサートや試合のチケット、美術館など
    の予約手配をするというものだ(インターネットか電話による受付。予約取
    扱手数料あり)。「国内では難しいチケットなども、独自のルートを通じ、
    手数料も旅行会社経由などに比べて格安の手数料で行います。これも各地に
    プラザを持っているからこそのサービスと、自負しております」。

    ●予期せぬ“駆け込み寺” ~ 「9.11」のホノルル●

    「広場=プラザ」は、緊急事態が起こったときに「駆け込み寺」になったこ
    ともある。「9.11」だ。ニューヨークでは、本社の指示待ちをせずプラザが
    独自に動き、情報を求めて殺到した会員をサポート。結果、皮肉ではあるが
    リスク管理能力が一気に高まったそうだ。当時阿部さんのいた、ホノルルで
    はどうだったのか。
    「休みで自宅にいたんですけど、呼び出されまして」。とにかく飛行機が飛
    ばない。帰るに帰れない。「一日600人近く、お客様がいらっしゃいました。
    飛行機が飛ばないのでアメリカ本土から取り寄せる日本語の新聞も来なくっ
    て」。航空会社の電話はつながらず、ネット上の情報と照らし合わせてその
    都度発表する。新聞はファクスで送ってもらい、貼り合わせて掲示する。
    「パソコンのサービスを始めていたので、あの時に限り時間制限を設けて、
    日本にメールで無事を伝えていただきました。延泊になるので安いホテルに
    移りたい、などといったリクエストにもお応えして。1週間くらいパニック
    状態でしたね」
     否応なしに、鍛えられることになった、と、阿部さんは当時を振り返る。

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    ●あのう…… 猫、探してくれませんか●

     20年前に500万人だった会員数は、現在約5000万人。10年ほど前、50万店
    ほどだった海外加盟店も560万店に増えた。プラザにおいても、これからは
    輝く道が広がるばかり、ではないんだろうか。
    「楽にはなっていないです」と松下さんは言う。「会員数が増えればそれだ
    け、サービスは多様化します。お客様のご要望も正直言って、以前よりはレ
    ベルが高くなりまして。われわれとして、サービスにつながるものならばと
    ことん追求したいんですが……」
     あまり話すべきではないんで、と、その先をためらう松下さんに代わり
    (失礼)、私が続ける。各地のプラザに寄せられるたくさんのリクエストに
    のなかには、「これこれこういう人を探してくれ」だとか、「迷った猫を見
    つけてくれ」などといったものが、結構あるんだそう! 「本来の業務以外
    のことを求められてもお受けできないこともあって……、つらいところです
    ね。でも、それだけお客様から信頼されているのは、非常に喜ばしいことで
    す」。以前にはなかった要望に対応することも、求められるお仕事なのだ。


    ●最初のお礼状●

    「そういうことにも向き合う仕事だからかもしれませんが、最初に戴いたお
    礼状のことが、ずっと忘れられないんです」
     阿部さんは入社後3年間、ゴールド会員専用のゴールドデスクで電話の応
    対をしていた。対面の接客をするのはホノルルが初めて。「周りは現地スタ
    ッフもみんなベテランで、最初はすごく心細かったんです」。そんな折、航
    空券のトラブルで駆け込んできたお客を手伝い、無事解決した。「そうした
    ら、ものすごく感謝していただいて、お手紙まで頂戴した。現場にいると、
    自分のしたことに対して直に返ってくる。嫌なことでもそうでしょうが、嬉
    しいことはその何倍もある。ああ、これがやりがいなのかって、思いました
    ね」。


    ●ファンになっていただきたい●

     ぜひ、気軽につきあう場所として、JCBプラザを考えていただきたいと、
    松下さんも阿部さんも言う。じゃあ、お訊ききしますよ、お茶1杯、新聞読
    むだけでもいいんですか?(失礼) 松下さんが笑う。
    「もちろんです。私たちを通じて、JCBのファンになっていただきたい。
    次は、どの旅行でどこのプラザに寄ろうかな、などと楽しみにしていただけ
    たら、なおうれしいですね」
     今日も世界のあちこちで、スタッフたちは足を棒にしながら(失礼)、視
    察に励んでいるのだろう。ところで最後に、みなさんのカードライフはどう
    なってるんです? 社員だと見せるだけでいい、特別カードだったりして?
    「まさか。みなさんと同じです。ちゃんとサインして、普通に使ってますっ
    て」。松下さんがまた笑う。いやいや何度も失礼しました。あ、「宴会とな
    ると、幹事を買って出ては自分のカードで払い、ポイントを付けたがる人が
    多いのも、わが社風かなあ」とも、笑っておられました。

    ●JCBプラザの上手な使い方●
    「その都市にいらしたら、できれば早めにお寄りいただきたいですね。クー
    ポンによる割引など、特典はかなり充実していると自負しています。割引や
    優待などがあるんだとわかっても、最後の日にお寄りくださったのではもう、
    時間がない。そう言って、残念がる方が結構いらっしゃるんですよ。同伴者
    OKなので、ぜひお友だちやご家族と一緒に、ご滞在の最初にいらしてくだ
    さい」(阿部友紀さん)

    JCBプラザで働く、こんな人に来て欲しい:
    「海外とかかわる仕事だから、英語は相当できないといけないか? いえそ
    んな必要はありません。国際営業に来ても、大丈夫です! と、まず申し上
    げたいですね。
     なにごともプラス志向に考え、マイナス要因であっても、そこからなにか
    を新たに開拓しようという気持ちがある人と一緒に働きたいですね。実際、
    うちの社員は明るくて前向きな人ばかりです」(松下英司さん)
    「女性でも海外赴任のチャンスがある会社、ということで志望したのですが、
    就職してみて、『やってみれば』、という気持ちをすごく感じることができ
    て楽しいです。自分たちの考えで最後までできる。女性もどんどんチャレン
    ジしてください」(阿部友紀さん)

    ホームページ ⇒ http://www.jcb.co.jp/