20/04/27 18:33

抗体獲得の意味

簡単に言えば、感染中および感染後回復した人です。ともに、発症したか否かは不明。これが、抗体検査とPCR検査を同時にすれば、有意義な情報が得られるという理由です。詳細が書かれていないので、抗体の分布がIgMとIgGとで違うのか、そうなら数値はどちらなのかも重要になるので、本来は専門家がきちんと解説すべきことなのです。前者は感染初期、後者は感染後期にでき、長期に残るし、再感染したら量産されて攻撃に使われるのです。少なくとも、殆どの人は気付かないうちに感染し、発症しなかったか、直ぐに治ったかでしょう。

以前から言っているように、抗体検査の利点は、
・簡便であり、採取には熟練技術が不要で、しかも即、結果が出る。
・操作に危険性がほとんどない(人間の血液を扱うのはHIVの惨劇からノウハウがある)。
・安価である。
・PCR陰性でIgG陽性なら、これまでの経験上、今期は感染することはない。ただし、後述のように、獲得免疫が確実に感染を阻止できるという証拠がない。これが証明されれば、今は、人を見たら感染者と思えが、抗体保持者は身の潔白が証明でき、自由に動けるし、海外旅行へも行ける。

問題は、
・PCRでの閾値に達する前では検出不能。感染後数日では無理。
・コロナは他にもいるが、売りに出す際に2019年より前の保存血清ではでないことを確認しているので、特異性にはさほど問題はないが、PCRのようなものを直接検知していないので、精度では劣るのは間違いない。
・韓国で特に多い、PCR陰性から再度陽性になったことから、抗体を持っているから再発しないとは現時点では言い切れない。これに関しては、韓国には悪いが、広くやっているため、人による技術の差があるのかも知れない。特に、検体採取とその後の処理、RNAの分解抑制と多糖類の妨害です。痰とかの粘液は妨害要因。恐らく、このウイルスは増殖効率が悪い分、低空飛行でじっとして、機を伺って再活動するのでしょう。中国の例でも4週間残った人がいるそうです。

ついでながらワクチンに関しても、これを期待する人が多いのですが、本庶佑氏も言っているように、“ワクチンって効くの?“があります。インフルエンザでは、この効果に疑問を投げかける人も少なくないし、事実効きはあまり良くありません。あくまで実験室の話ですが、構造がよく似ているSARSで治ったかたの血清は、効くことは効くがかなり弱い。COVID-19から回復したかたの血清は提供拒否が多くて実用例が少なすぎるようです。しかし、日本で最近話題になっているスペイン風邪の記録書を読んでみましたが、当時はこれがウイルスであるという認識は少数派で、主流派はインフルエンザ菌説を唱えていて、その菌を直接人に接種して予防しようとしていたそうです。まあ、細菌でもウイルスでも、取ってくるものは同じなので、かなり過激かつ乱暴な方法ですが、軽く済む幸運な人には効果があったのでしょう。

ワクチンに関しても、ウイルス表面だけを挿げ替えて、その狼の皮を被った羊を感染させる方法論はあり、これなら即効性があるのですが、まだ研究段階でしょうし。

実は、このサイトでも以前書いたことなのですが、インフルエンザのような定点観測が必要だと今でも思っています。無作為抽出で、できれば、PCRと抗体検査を同じ集団に持続的に行う。結果は敢えて知らせず放置。勿論、何かあれば優先的に処置はする。この集団のRNAと抗体の変化を追う。もう一つが本来の定点観測で、両者の度合いから感染拡大か収束期なのかの判断が可能。数字の遊びと脅しだけでやっている対策が、かなり科学的根拠に基づくものになるはずです。

ついでに、トランプが言ったことが何故問題なのかですが、それは細菌なら体に毒物(あくまで細菌に対する)を流し込んで退治することは可能なのですが、ウイルスは身体の外で壊す以外には原理的に毒は効かないからです。基本中の基本。彼らは人間の体を乗っ取って生き延びるので、体内で殺すと人間も死ぬのです。たしかに、抗インフルエンザ薬などは存在しますが、それは、人の身体にないものや反応がウイルス増殖には必要で、それらをウイルスが持ち込むため、そこをめがけて薬で止めれば、人には害なくウイルスを抹殺できるからです。この基本中の基本を理解できない、理解しようとしない人が国民の命を握っていることが人災なのです。

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