この年末年始、初イタリアでフィレンツェに1週間あまり滞在しました。
決してつまらなかったとか、嫌な思いをしたというのでは全くないのですが、「すっごーく楽しかった!!!」「イタリアだーい好き!!!」とはなれなかったのです。
相性ってあるもんね、と思いつつも、初イタリアを応援して下さった方々に、何となく申し訳ないような気分でおりました。
ところが、最近、あのベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」を読了して、気が付いてしまったのですね。
お読みになった方はご存じのように、あの歴史・暗号ミステリーとでもいうべき小説では、キリスト教、それもその暗い一面が、重要なモチーフになっています。そして、あの冒頭のルーブル美術館のシーンの禍々しい雰囲気と言ったら・・・。
そうなのです。
私は、フィレンツェで、教会と美術館に入り浸り過ぎてしまったようなのです。
冬のフィレンツェですから、それは予想していた、というか当初から計画していました。
以前スペインを旅行した際、キリスト教美術を全く理解できなかった反省から、今回は、聖書・聖人から絵画における象徴についても、若干の準備をして参りました。
その結果、教会とキリスト教美術が、結構おもしろく感じられたのです。
それが、悪かったのかもしれません。
つまらなければ、一つか二つ、せいぜい三つも回っておしまいにしたと思うのですが、せっかく来たのだからという貧乏性も手伝って、手当たり次第に教会を訪れてしまったのです。
あの、外から見るより一層広大に感じられる、教会の圧倒的な内部空間。
その巨大な空間の壁を、天井を、床を寸分の隙間もなく埋め尽くす、彫刻・絵画・モザイク・・・。
そこに注がれただろう膨大なエネルギー・・・財力、労力、時間と、そこに込められた人々の思い。
さらには、妙に生々しい血みどろの磔刑図、殉教図の数々。
それどころか、本物の聖人達の指骨、頭骨。
それが、毎日、8日間です。
「わーい楽しい、だーい好き」とならなかったのも、無理ないですよね。
はい、オリーブオイルに慣れていない人がイタリアでおなかを壊すのと、全く同じです。
すっかり、消化不良を起こしてしまいました。
とはいえ、外は20年ぶりの大雪です。買い物に興味がない者としては、フィレンツェの8日間、教会と美術館以外、どこに行って過ごせば良かったのでしょう。
実は、例のダ・ヴィンチ・コードにも、全く同じせりふが出てくるのです(少々簡略化)。
‘フィレンツェだよ?1週間だよ?美術館も、教会も、墓地も、芸術も、遺跡もなしで、ほかに何をすることがあるって言うんだ’
くやしいことに、この会話の主は、出会ったばかりの恋人達なもので、どうも、ほかにすることが見つかったようなのですが・・・。
って、それはともかくです。
今度、イタリアを訪れる際には、もう少し暖かい時季に、もう少し南の方を、と思っております。