11/07/11 15:55

北部が低地ドイツ語

直接注意するとまた屁理屈の猛反撃がきて、わたしは別に構わないのですが、トピックを立てた方に迷惑がかかるので、どうしようかと考えていました。内蔵介さん、申し訳ありませんが、出会いがしらの事故にあったとでも思って、ほんの少しお付き合いください。

>オーストリアのドイツ語もサルツブルク、セルデンなどSを濁らない傾向があるなどツェレが最もきれいな発音といわれる標準の低地ドイツ語とはやや異なりますが

「あの人物」の発言の一部です。「標準の低地ドイツ語」と書いていますが、果たしてどんな意図、認識から言っているのか?

ドイツは方言の多いことで有名ですが、一番重要な方言境界線は元々のkがchに変化したか、していないかの境界線でベンラート線と言います。この名前はこの方言境界線が今はデュッセルドルフの一部になっているベンラートでライン川と交差することに由来します。

ベンラート線より北ではもともとのkが保持され makenと言いますが、それより南ではchに変化しmachenになっています。言うまでもなく標準ドイツ語(専門用語では新高ドイツ語Neuhochdeutsch)ではmachenで、標準ドイツ語がこのような体系的な子音変化に関しては中部あるいは南部(高地)のドイツ語をベースにしていることが見てとれます。

かたや低地ドイツ語と言えば、中世以降公式な文書で使われることがなくなり、文化的な求心点を失って各地の方言へと分化が進み、その後の標準ドイツ語の普及によって公的な場での使用の機会減り急速に話し手を減らしていきます。

一般に北ドイツの人のドイツ語がクセがなく聴き取りやすいと言われるのは、地の言葉が外国語と言って良いほど標準ドイツ語との間に距離があるので、その延長としてではなく、学校での勉強によってまったく新たなベースの上に標準ドイツ語を積み重ねて習い覚えて行ったからだと言われています。もっとも今の時代はラジオやテレビの影響も無視できないでしょう。

長くなりそうなので最後に、低地ドイツ語は標準ドイツ語のベースではないし、低地ドイツ語には各地の方言があるのみで、「標準語」はない、この2点を指摘して終わります。

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2件のコメント

  • 非常に勉強になります。(近くて遠いドイツ)

    PP&Mさん、おはようございます。

    勤務先は、戦後の混乱が落ち着き始めた頃、アメリカよりも欧州に着目し、とりわけドイツの会社の技術力に注目、多くの技術を導入してきた経緯があり、私の周りにもドイツには一家言ある面々が多くいましたし、今も子会社を持っていますので、隣にある関連事業部門には年に数回、ドイツから技術者が来ていますが・・・

    私は仕事柄全くドイツには縁が無く、乗換えでハンブルグの空港に降り立っただけ・・と言う状況ですので、本当は結構身近なのに、すごく縁遠く感じています。

    >長くなりそうなので最後に、低地ドイツ語は標準ドイツ語のベースではないし、低地ドイツ語には各地の方言があるのみで、「標準語」はない、この2点を指摘して終わります。

    有難うございます。
    勉強になります。

    発音だけでなく単語の綴りも変わってくるというのもすごいですね。
    ドイツの歴史も勉強したいところですが、未だにローマ時代を抜け切れません。

    東フランク王国-->神聖ローマ帝国がドイツの基と習った記憶がありますが、その後ビスマルクが出てくるまで、ややこしすぎて一体何がどうなっていたのか・・・頭の中(先ずは紙の上)ですっきり整理できれば、すごく楽しいでしょうね。

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    またまた五目講釈ですが・・

    内蔵介さん

    相変わらずいい加減なあて推量のたわごとですが、くだんの高地、低地の別け方はそもそもはローマ帝国時代からのものではありませんか。

    中期以降の大ローマ帝国を苦しめた蛮族の雄ゲルマン民族の別け方が既にこのわけ方で、まつろわぬ蛮族の総称がライン川下流域にすむ・・・低地ゲルマンだったと・・。

    神聖ローマ帝国と総称する国?も基本的にはアルプスよりのライン・ドナウ河川の上流域ですから。

    北海沿岸が産業文化の主流を占めるようになるには近世も終わりごろまで待たなくては・・でしょう。

    ベルギー、オランド、ハンザ同盟諸都市・・・いまでこそそれらしいよそおいですが近世初頭は一皮むけば流れ者が寄り集まった密輸・海賊商人集団だったとか。

    やっぱり文化は「川上」が起源です・・。   

  • 11/07/11 17:35

    Niederdeutsch

    お待ちしていました。
    専門家の”正しい”意見が出ることを。

    沽券に関わる致命的ミスなので、あれほど暇なのだから、すぐにでも
    訂正していると思ったのですが、すでに6時間経過しています。ということは・・・

    低地ドイツ語なんか正直ちんぷんかんぷんです。以前、ラジオドイツ語講座で
    これをやっていました。良く聞けば、確かにドイツ語のような。
    これがオランダ経由で英語になったと理解(というか、オランダ人を親に持つ日本人が
    言っていた)しているのですが、そうですよね。

    初めてオランダに言ったときも、ドイツ語で通じるかと思ったら、多分、相手は理解しては
    くれたのでしょうが、返ってくる言葉は理解不能でした。エリザベート役で有名なかたが
    オランダ人で、オランダ語バージョンのDVDを買って勉強しましたが、何となくわかる程度で
    した。私には全く異なる言語と思えて仕方ないのです。

    スイスドイツ語ですが、こちらが言う分には、間違いなく理解してくれます。
    また、ドイツ語を母国語とする人間なら、多少の違いは問題ないでしょう。しかし、
    やっとの思いでドイツ語を使う人間にはあまりにも壁が厚すぎて、日常生活にはきついなあと
    いうのが印象。スイス赴任や留学でも、子どもは現地の言葉がすんなり入るが、大人は
    難しいと言っていました。ですから、ほとんど現地の言葉は習得せずに帰国する人が多い
    ようです。周囲には。

    ここの掲示板でも、イタリア語とスペイン語とで意思疎通できるというかたが時々出て
    きますが、これもネイティブ通しか、余程一方に精通している人でないと無理だと思います。
    より似ているはずの、ポルトガル語とスペイン語とでも無理でした。リスボンの少し郊外の
    乗換駅で道を聞いても、まったくわからない。スペイン語は通ぜず、ポルトガル語は私の語彙の
    決定的不足でダメでした。英国で仕事していたという人が通り掛かって、助けてもらいました。

    仕事の場合、現地語ができれば、『この人は骨を埋める、少なくとも腰掛けで来ている訳では
    ない』という意気込みが伝わるので、凄くプラスになると思うのですが。

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    言葉に関する話です。

    専門家などまだ登場していませんが。

    ハノファー市民が話すドイツ語が標準とされています。
    そして、すぐそばのツェレがドイツでもっともきれいなドイツ語が話されているというのは有名な話です。

    ホッホ・ドイチュを標準ドイツ語と訳さず、高地ドイツ語なんて誤訳したから、わけがわからなくなっているのですよ。高地てドイツにはオーバーバイエルンだけです。

    方言はあるけど東京で話されている日本語が一応標準語でしょ。
    ドイツでは首都ベルリンでなくハノファー、ツェレ周辺の話す言葉が標準語ということになっております。北ドイツです。

    東欧のどこでもドイツ語が通じなかったとかわけのわからないことをわめいていましたが、私は東欧の超長期旅行でドイツ語を覚えました。

    スペイン語ペラペラの友人の何人もが、伊では伊を覚えるのが面倒だから、スペイン語で押し通したと言っております。
    私は両語が似ているので、間違ってスペイン語で言ってしまったこともありますが、通じました。

    ポルトガルではスペイン語で通そうとしたら、「ここはスペインでなく、ポルトガルだから」とポルトガル人にいちいち、単語をひとつずつポルトガル語に直されました。スペイン語が理解できなければ、そんなこと不可能でしょう。
    同じようなことは何度もあり、スペインとポルトガルは対日感情の悪かったころの日本と韓国の関係とそっくりだなと思い、スペイン語の使用はやめました。