14/08/03 15:29

10)平たい桃 pêche plate(果物の話)

フランスではちょうどabricot(杏、明るいオレンジ色の果物)の時期で、スーパーやマルシェにはうずたかく積み上げられている。
リール市のスーパーでabricotを買ったが、その横に平べったいスモモのようなものが置いてあった。直径はリンゴ程度で、円盤状に平べったい。それが何であるかは知らなかったが、果物だから食べられるだろうと買って帰り、ホテルでおそるおそるかじってみたら、味は桃だった。 

皮を見た感じは日本のスモモのようだったので、食べるまでは期待していなかったが、口に含むと、すっきりした甘さがすがすがしい。甘さにしつこさがないというのか、食べているときは口の中ではかなり甘いが、飲み込むと口の中に甘さがあまり残らない。後味がすっきりしていると言えばいいのか。このような味わいの果物は日本にはなかなかないような気がする。
皮をむかずにそのまま食べても口の中で違和感がないのもいい。種があまり大きくないのもうれしい。
これに対するフランス人の好みはそれほどでもないのか、値段は手頃というか、かなり安めだ。

ルーアン、アミアン、カンと移動したが、これらの町の八百屋には数十個程度であるが置いてあった。名前は知らないので、店の人に、指さして「あれ二つください」というと、「はい、桃 pêche ですね」というので、桃として認識されているようだった。

日本に帰って調べると、フランスではpêche plate(平たい桃)というのが一般的ないい方で、昔中国から渡ってきたものをらしい(おそらく品種改良しているだろう)。
また、中国語の発音から入った仏語としてのpantaoといういい方も使われるそうだ。ノルマンディー地方など北部で取れるそうだ。

日本ではこの種類のものを蟠桃といって、東北地方や信州で取れるらしいが、これまでお目にかかったことはない。(それらの地方に住んだことはないし。)
日本での取れる時期は夏のようだ。

パリでも探せば出ているかもしれない。
読者で、この時期にフランス北部に行ったら、是非お試しあれ。
pêche plate (仏語の写真のサイトより)↓
http://urx.nu/aEMl


一方、abricot 杏 は産地や時期により、すなわち店により、日によりおいしさにばらつきが大きい。おいしいものに当たったら、abricotってこんなにおいしかったのかと思うことがある反面、期待してまた買いに行ったら、次のはそれほどでもないことがある。運みたいなものだ。
ある八百屋で、主婦らしき人々が並んで一人2kgぐらいずつ買っていくので、一人の買う量が多めだし、ひょっとしたらこの店のはおいしいのではないかと思い、自分も買ってみようと思って並んでいたが、どんどん売れて、自分の直前で全部売れてしまった。う~ん、あれはおいしかったのではないか、と思いたい。傷み出したので安売りしていたのではなさそう。(イソップの狐のまねをしてもつまらないしね。)

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2件のコメント

  • オーブンでパイなどにスライスした実をいれて焼くと美味しそう

    料理は全くできない主婦が少なくなさそうですが、フランスでは自宅でタルトを焼いたりしませんか。

    日本で・・・・とある30名ほどの催しに、自宅で焼いたパイを持ってきてくれたご婦人がいたのですが、そこそこ美味しかった。 作り方はそんなに難しくないそうです。
    普通の主婦なので、大きいオーブンをお持ちではないでしょうから、たくさん焼くのは簡単ではないのではとは思いましたが。

    abricot って、甘みと酸味がほど良いお味で、パイの素材としても良さそう。


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    14/08/06 21:46

    abricot の tarte って食べたことないので

    どんな感じか、わかりません。

    季節を問わず作られているのは、イチゴ、リンゴのタルトぐらいしか知りません。
    フランスに行って時々お世話になる知り合いの家では、イチゴのタルトぐらいしか作りませんね。
    家庭では、大きめのオーブンを設置している家は多いと思います。
    料理で、オーブンで焼く、というレシピはかなりあるような気がします。


    フランスの果物では、ロレーヌ地方で取れる、ミラベル mirabelle の風味がいいです。
    といっても、夏の終わり頃に熟すので、その頃フランスに行った経験がなく、
    缶詰とか加工品しか食べたことはないですが、
    mirabelleと聞くと、唾液が出てきそうな感じです。

  • confiture d'abricot を手作りするかたも・・・・

    こんにちは。

    mamoruさんの旅行記、楽しく読ませていただきました。

    露店のマルシェでabricotが洗面器ほどの器に載せて売られていたのを何度か見ました。
    また、朝食時にconfiture d'abricotは良く並べられていました。
    なので、生でも食べるでしょうが、手作りジャムの素材として用いる主婦も多そうに思います。

    平たい桃 pêche plate、これは食べたことがありませんが、
    お書きになったのが美味しそうで興味を持ちました。
    桃の類でも、甘み・酸味・果汁・果肉の繊維質など様々のものがありますが・・・・その平たい桃を皮をむかずにたべても歯間に果実の繊維が付かなければ、最高に美味しくいただけそうです。
    その時期にフランス北部に行って試してみたいです。

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    14/08/05 23:27

    そういえば、abricotのジャムを作る人もいるかもしれないですね

    フレンチ☆☆ さん こんにちは レスありがとうございます

    確かに、ホテルの朝食に出されている、メーカー製のジャムではabricotのジャムがけっこうありますね。
    家庭でも手作りでabricotのジャムを作っているのかもしれません。

    フランス人は、朝食には、何かナッツ類のペーストみたいなものかジャムをパンに付けて食べ、そのほかはコーヒーか牛乳かココア類(ショコラ)ですね。朝食ではおかず類はほとんど食べませんね。そのような習慣なのでしょう。

    フランスのホテルで朝食の食べ方を見ていると、どのあたりの国の人か、何となく推定できるのがおもしろいです。
    フランス人は、フランスパンをとって20cmぐらいの長さに切り、ナイフでパンの横腹から切れ目を入れて、開いてジャムを塗り、元のように押さえて、フランスパンのサンドイッチを食べるように縦に食べますね。(このやり方、男性に多いです)
    または、フランスパンを輪切りにしてジャムを付けて食べる。(こちらは女性が多い)バターは朝は使わないようです。

    コーヒー用の入れ物も、日本の小さめのどんぶりみたいなものを選ぶのはフランス人ですね。
    他の国の人は、日本と同じような形のコーヒーカップを選ぶようです。

    ドイツかイギリス人かはわかりませんが、大きめのパンをスライスしたものの上にバターをたっぷり(え~、あんなにバターを塗るの? というぐらい)塗って、その上に、ソーセージまたはハムを乗せて食べるのは、フランス人じゃないですね。
    スライスしたパンでも丸いのを好む人と食パンを好む人は国に傾向があるのかどうかわかりませんが。

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