その5 アレッツォの美味しいレストラン 26日のアレッツォのお目当ては、 ピエロ・デッラ・フランチェスカの聖十字架伝説と 映画「ライフ・イズ・ビューティフル」に出てきた広場を見ることです。 聖十字架伝説は、25日は休みでしたが、この日に見られることが分かっていたのです。 要予約と言うことでしたが、天気次第で予定をかえるつもりだったので 事前予約はしませんでした。 10時過ぎに着いて、まずは予約を入れに。 午後1時からの予約が取れました。 安心して広場やその他の見所を回り、 聖十字架伝説も堪能して、昼食へ。 実は、広場を見ていたときに、 広場を囲む柱廊にあるレストランの入り口の飾りが目に留まり、 扉を見れば、キアーナ牛のマークが張ってあります。 もともとキアーナ牛は、このアレッツォをも含むキアーナ渓谷が産地。 すっかりその気で、1時半に予約を入れておきました。 けっこう混んでいましたが、 当日とは言え、予約を入れておいたので、いい席が確保してありました。 目当てはキアーナ牛でしたから、プリモを飛ばして アンティパストに、この店の「アンティパスト・グラン・ミスト」 セコンドにキアーナ牛のタリアータ(ステーキを切ったもの) ピンクペッパーとローズマリー風味をオーダー。 ところがちゃんとしたレストランなので、 コペルト(席料)に食前酒とアミューズも含まれていて まずは、プロセッコ(スパークリングワインの1種)のグラスと アミューズが出てきました。 このアミューズがもう~~~ 黒トリュフ入りのチーズソースの真ん中に、 ほうれん草入りのオムレツを切り分けたものが置かれ、 その周りがバルサミコを思わせるベリーのソースで飾られています。 日本ならこれで立派な1皿の前菜といったところ。 運ばれてきたときからトリュフの香りがぷんぷん。 食べると今度は口の中から鼻へ香りが抜けていきます。 卵とトリュフは、本当に素晴らしい相性です。 そして、テーブル上に運ばれたパン。 4~5種類、食べやすい小ぶりのサイズ。 この店で焼いたものなのか、特別に焼かせているものなのか、 どれもこれも食べてみたくなる、そそられる見かけです。 これで一気に期待が高まりました。 アンティパスト・グラン・ミストは、4種の盛り合わせ。 生のカルチョーフィ(アーティチョーク)の薄切りサラダ、 ラルド(脂身の生ハムで、カロリーを気にしなければ本当に美味しい)を 自家製ミニロールパンにはさんだもの、 チンギャーレ(猪)の赤身の生ハム、バルサミコ掛け、 そして卵とチーズのムースに黒トリュフを削りかけたもの。 どれも美味しく、全く違う味4つなので 量がたっぷりあるのに最後まで新鮮な気持ちで食べられました。 カルチョーフィを生で食べたのは初めてで、 これは筍と一緒で本当に新鮮じゃないとダメみたいです。 レモンとEXバージンオイルと塩でさっぱりと食べるのですが 本当に美味しくてお替りしたい気分でした。 チンギャーレの生ハムは、はまる味。 熟成した肉のそそられる臭さと甘さ、ちょっと酸味もあります。 黒胡椒も利いていて、同じ赤身でも牛のブレザオーラより 一癖ある分こちらが美味しく感じます。赤ワインにぴったり。 セコンドのキアーナ牛は、脂が少なく、味も噛み応えもある肉でした。(すごく硬くはない)見かけはそうでもないのですが、すごいボリュームで、 それでもピンクペッパーの柔らかな香りと、ローズマリーがよくマッチして 食が進みます。 付け合せは、プリンサイズの筒型のニョッキ。 ざくろの実が飾ってあって、ニョッキの単純な味にアクセントを添えています。 ワインは、キアーナ牛に合う、近郊の赤を 店の人に選んでもらいました。 こういう店ではドルチェも気合を入れて作っているので、食べないと損。 私が食べたのは、スフォリアティーナという、パイとはちょっと違うけれどサクサクした食感の円形の焼き菓子2枚の間に、フルッティ・ディ・ボスコ(森のフルーツ=ベリー類)とカスタードクリームろ生クリームを挟んだもの。やはりカスタードもぽってりしすぎない品のいい甘さで、それぞれの量のバランスも抜群。 最後にエスプレッソで締めました。 カフェの友は、プチケーキやドライフルーツ。 美味しそうなんだけど、さすがにお腹一杯で手は出せず、 ちょっとだけ包んで、お土産にしました。 イタリアは、こうした地方都市のエレガントなレストランが本当に充実しているなぁと つくづく感じた1日でした。